「バーサーカーは強いね。」
何度思ったかわかんないけど、やっぱり私のバーサーカーは最強のサーヴァント。そして私、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンも最強のマスター。
「アーチャーも、そのマスターもどこの馬の骨か知れない雑魚だったし、想像以上につまらない聖杯戦争になりそう。」
早速一組脱落させたのは良いけど、こんなにも味気ないとつまらない。
私にとってこの聖杯戦争は最期の思い出作りでもあるのに、あっさり終わるのは嫌だなぁ。お兄ちゃんは少しは楽しませてくれるかな?
「そろそろ帰ろうバーサーカー。遅れるとセラがうるさいから。」
夜の散歩も悪くはないけど、なんというか新しい街並みは無国籍な感じで面白味に欠ける、どうせならもっと歴史を感じさせる赴きだったら気分良く行き来できたのに。
「次はどんなサーヴァントを倒そうかな?」
アインツベルンの城に向かって走るバーサーカーの肩の上で、次の獲物に想いを巡らせる。
「お兄ちゃんはあっさり殺したらつまらないな?あっ、でも同盟を組んでいる凛を殺すのはいいかも?目の前で凛とそのサーヴァントを殺して、セイバーも殺して、最後にお兄ちゃんを殺してあげたらすごく楽しそう。」
あっという間に人里を離れて森に入ったら、切嗣とクルミの芽を探したことをチラリと思い出しちゃった。切嗣はもういない、私を置いてきぼりにして、自分は新しい家族をつくって、実の娘である私にはなにも残さず逝ってしまった。ならその分お兄ちゃんに責任とってもらわないと。
「決めた!!明日の夜は凛とそのサーヴァントを殺すわよ!!バーサーカー!!」
「■■■ーーー!!」
◇◇◇◇◇◇
こちらの私といっしょに部屋から出てきたライダーは震えている。
ガクガク!!ブルブル!!
どうしたと言うのだろう?先輩も姉さんも愕然としている。セイバーさんは相変わらずの能面のような無表情だけど。
「ライダーとも話し合いました。私も聖杯戦争に本格的に参加します。」
耳を疑うとはこのことだ。しかし、それどころではない。表情はほがらかな笑顔のはずなのに、こちらの私からは凄まじいプレッシャーを感じてしまう。
「ねえ私!!ちょっと折り入って話があるの、二人きりで!!」
えっ!?私ってこんなに押しが強かった?ぐいぐい腕を引っ張られる。そもそも、私のことが怖くないの?殺されかけたのに??
となりの部屋まで連れていかれると、こちらの私は私の両肩を掴みながら迫ってきた。
ドン!!と壁に押し付けられる
少しうつむきがちで、前髪のせいで表情はわからない。だけど、プレッシャーはさっきより増している。そして地を這うような低い声で尋ねてきた。
「セイバーさんから聞いたの。ねえ、私。貴女は先輩の恋人だったのね。」
セイバーさんのおしゃべり!!やっぱり貴女とは仲良くできません!!
「最後までいったんだぁ、ねえ、気持ち良かった?先輩は激しかった、それとも優しかった。」
デリカシーないんですか!?セイバーさん!!
そもそもなんでそのことを・・・あ、愚痴を言ってた気がします。先輩ったら私のことを抱いておいて、姉さんやイリヤさんと・・・みたいな。
聞かれていたんですか?恥ずかしい!!
「黙ってないでこたえて。どうなの私?」
ようやく顔をあげた私。その目には光がない。
「わ、私はもう先輩のことはあきらめて・・・」
わあ、無言で押し倒してくる!!
こう、横に捻ってズリズリっと。
完全に押し倒されました。上からのし掛かられてます。・・・もちろんサーヴァントとなった今の私なら、人間の私をはねのけるなんて造作もない・・・はずなんですけど、なぜか逆らえません。
「先輩のことを諦めた?嘘ばっかり。貴女は私なんだもの、先輩のそばでいつまでも自分の気持ちを抑えられるわけない。」
怖い、そう怖い。ハイライトの消えた目で迫られると怖い。
私って客観的に見たらこんなに怖い女だったんだ。
「で、でも、戦いなんてできないでしょ?戦闘はおろか、まともな魔術の使い方すら教わってないのに。」
そもそも戦いが嫌で兄さんにライダーを預けたのに。なんでこんなにもノリノリなんでしょう。
「これだけは覚えていて『恋する乙女は無敵』」
「あっハイ。」
「貴女にできて、私にできないはずがないもの。」
自信をつけちゃってる。
そう言えば、こちらの私のセイバーさんを見る目がやたら輝いていたような気がする。
『殺されそうになったところに颯爽と助けに現れる』『有益な情報を提供』『私と違って悪印象を持つようなイベントが発生してない』
こちらの私はセイバーさんとうまくやっていけそう。
魔術に関しては姉さんもライダーもいるし、なんとかなるかな?なるといいな。