Fate/Black Lotus 泥中之蓮   作:杉田雅俊

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昼下がり

 

 

 

 

「士郎、アンタの悪影響よ。」

 

「なんでさ?」

 

「アンタの度を越したお人好しが、桜に移ったのよ。」

 

姉さん、それはあんまりです。というか、先輩のお人好しが移ってくれるなら、私は大歓迎ですよ。

 

「ちょっと、さっきからうるさいわよ。凛ったら淑女としての嗜みがなってないのね。」

 

イリヤさんは辛辣ですね。でも普段はこうじゃないんですよ。

 

「あの、姉さんはいつもはもっと、こう・・・」

 

「ネコをかぶってますね。」

 

違います!!せめてもう少し言い方をオブラートに包んでくださいよ、セイバーさん。

 

「イリヤ!!桜!!セイバー!!」

 

ひとまとめにして叱られてしまいました。私は悪く言うつもりなんてなかったのに。でも気を取り直して、和やかにもっていきましょう。

 

「あの、できれば戦わずにすませられるかもしれませんし・・・」

 

女三人よれば姦しいというが、私、もう一人の私、姉さん、セイバーさん、ライダー、イリヤさん、六人よれば何と言えば良いのやら。

 

とにかく一通り説明しましょう。

 

「ふーん、それにしても同一人物が並行世界からサーヴァントとして召喚されるとはね。」

 

「イリヤさんもご存じのはずです。冬木の聖杯は汚染されています。ましてやイリヤさんが聖杯になってしまってはあんまりです。それなのに何故戦わなければならないのですか?」

 

「なんで?そんなの決まってるじゃない。御三家の魔術師なら当然でしょ。」

 

「あー・・・このメンバーだとそれを理解できるマスターは私しかいないわ。」

 

そうですね。『魔術師として』まともなのは、イリヤさんや姉さんくらいでしょう。

 

「へんなの?」

 

「士郎にいたっては、魔術師になることを切嗣から反対されてたようなのよ。」

 

「・・・私のことも聞いてないの・・・」

 

「ごめんな、爺さんからは娘の話なんて聞いたことなかった。」

 

「・・・そう、やっぱり。」

 

なんだかイリヤさんはしょんぼりしてます。痛ましいくらいに。

 

「・・・えっ?・・・それって実の娘をほっといて、士郎を養子に迎えていたってこと?最期まで黙ったまま?」

 

姉さんも戸惑っているようです。それに・・・

 

「・・・私は・・・なんとなくイリヤさんの気持ちがわかる気がします。」

 

言葉に実感がこもってしまいます。

 

「血の繋がりはないけど、兄弟姉妹なんですよね。そして、『自分が貰えるはずだった愛情』を受け取っていた他人でもありますよね。」

 

最初からそんなもの無かったならまだ耐えられた。でも『貰えるはずだった』と思えてしまえばそうではいられない。私が姉さんを慕いつつも妬んだように、イリヤさんも先輩をそういう目で見てしまうのだろう。

 

「あー・・・なるほどね。そりゃ複雑だわ。」

 

「俺は、恨まれてもかまわない。だけど、戦いたくない。ましてやイリヤが・・・妹?姉?・・・どちらにせよ、兄弟姉妹の関係ならなおさらだ。戦うどころか守ってやらなくちゃいけない存在だろ。切嗣がその役目を放棄したっていうなら、その分まで俺がイリヤを守る。」

 

先輩・・・それ私の前で言いますか?先輩らしいですけど。

 

「士郎・・・アンタ半人前のくせに一人で何人守るつもりよ。」

 

姉さんも呆れています。

 

「わかってる。イリヤの方が俺よりずっと強い。だけどそれは「以下略しなさい!!」だろ?」

 

おや、おやおやおやおやおやイリヤさんの様子が・・・

 

「お、お兄ちゃん・・・」

 

目がハートマークですよ。イリヤさん。ちょろインだったんですか!?

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