Fate/Black Lotus 泥中之蓮   作:杉田雅俊

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世界一受けたくない接待

 

 

 

 

 

 

 

俺は料理を準備して給仕やるだけだが、シンジがいい感じにツッコミ役をしてくれてるおかげで誤魔化せそうだ。このままの空気でいてほしい。

 

ん?シンジが何か冷静な表情になったぞ。まさか・・・

 

「わかったぞ、酔い潰れたところを襲う気だな❗❗そうだな❗❗おまえが飲んでるのは水だろ❗❗」

 

良かった。いつものシンジだ。

 

「こんな透明な一升瓶でどうやって自分にだけ水を注ぐのです?私はキャスターでも手品師でもありませんよ」

 

そもそもサーヴァントがアルコール程度でどうこうなるわけないでしょう。とセイバーは呆れ顔だ。

 

「なら毒だ❗❗毒を盛ってるだろ❗❗」

 

「だからどうやってギルガメッシュにだけ盛るのです?その金杯は自分で出しましたよね?」

 

ギルガメッシュも鼻で笑ってる。

 

「一服盛る?そんなことができるようなら、不貞な妻や不義の騎士など表向き病死で片付けられただろう。国が滅ぶこともなかっただろう。こやつはそんな王に相応しい振る舞いなどできぬ女だ。女子供の憧れるような名君の真似事をいつまでもやめられず、かといって演じきることもできず、哀れな末路を辿った騎士王だぞ、忘れたか」

 

言いたい放題言ってくれるな、セイバーは涼しい顔してるけど、作戦がなければぶん殴ってやるところだ。俺が返り討ちにあうだろうけど。

 

「仕える者がなければ、民や国がなければ王ではない、意のままにならぬからと殺しては騎士の名折れ、確かに私は守れなかったが、皆を守ろうとした事はもう悔いはしない。哀れみなど無用です」

 

「違うな、王の下にあるからこそ、国であり民だ。たとえ一人でも王は王。いつしかまがい物どもが『王は国家第一のしもべ』などと世迷言をほざいたそうだがな」

 

「だから後世の王たちを有象無象と言ったのか?あたなは」

 

「いかにも、選定侯?教皇の信任?そんなものは生まれながらの王には必要ない。まがい物が王の真似事をしているに過ぎぬ。戴冠式など児戯の類、ままごと、ごっこ遊びに過ぎぬ」

 

「それでは示しがつかないではないか」

 

「示しをつける必要などどこにある?王は値踏みする側なのだ、逆はない。我が宝といえば宝」

 

見せつけるようになみなみと注がれた金杯を掲げ・・・

 

「ゴミだと言えばゴミだ」

 

ビチャビチャと船盛りにぶっかけやがった。唐揚げに勝手にレモンかけるやつの10倍ムカつく。殴りたいその笑顔。

 

「喜べ、我が認めてやろう。お前は我の寵愛を受けるべき愛い奴だ」

 

最低の口説き方だな。やはり王としてのあり方がセイバーとコイツでは正反対だ。決して相容れぬ平行線。だからセイバーはコイツを拒絶するしコイツはセイバーが欲しいんだろう。

 

「女はお前一人いれば良い。他の女どもの姿がないことも我には些末なことよ」

 

バレてる、わかってたのかよ。

 

「そうだ、遠坂たちがいない❗❗お前ら何を企んでる❗❗」

 

「我の前に雑魚を片付けてから、我に全力で挑む策ということか?」

 

「ご明察、そして、それをわかった上で乗ってくると思っていました」

 

そうだ、セイバーのプロファイリングならそうなる。

 

「その策とやらを語ってみよ、我を退屈させるな、伽を務めるのだ」

 

コイツは鷹揚に話の続きを促した。

 

「二正面作戦など愚の骨頂。まずはマキリを先に片付けます。見つけるのは至難の業ですが、おびき出すのは容易い。聖杯戦争のシステムの要、大聖杯を破壊する動きを見せればよいのです。我々は聖杯など求めていません。あれは破壊しか能のない欠陥品ですから」

 

「なんだ、聖杯がガラクタとわかっても澄まし顔のままとは残念だ。まあいい、そういうことなら乗ってやろう、せいぜい我を気持ちよくして時間を稼ぐが良いぞ。おいおい、盃が空ではないか。酌をしろ女」

 

お前が自分でひっくり返したんだろうが・・・

 

「末期の酒です。ゆっくりと堪能しなさい」

 

言うなー、涼し気な表情はそのままなのに冷や汗が出てくる。

 

こんなピリピリした接待は俺なら絶対に嫌だけど、本当に愉快そうに振舞うアイツはやはり大物なんだな。

 

全く尊敬できないけど。

 

 

 

 

 

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