Fate/Black Lotus 泥中之蓮   作:杉田雅俊

6 / 38
桜の願い

できることなら、力ずくでも、記憶を書き換えてでも、先輩には冬木から避難してほしかった。

 

姉さんにもそう頼んだ。

 

だけど姉さんにこう言われた。

 

「それは相手の人生を勝手に奪う行為よ。」

 

たしかにそうだ。その方が貴方のためだから、と言って相手の人生を変えてしまう事がどれほど罪深いか、私は、それを痛いほど知っている。

 

「ところで姉さん、顔が赤くありませんか?」

 

「えっ!?そ、そんなことないと思うけど。」

 

ひょっとして、さっきの先輩の言葉が原因ですかね?

 

ちょっとイタズラしてみたくなってしまいました。

 

「姉さん、安心してください。私が守ってあげますからね。」

 

後ろからギュッと抱きしめながら耳元で囁いてみた。

 

「あう、あう、あうあう。」

 

やっぱり守ってもらうことに免疫がないんですね。

 

「強くなったからといって、誰かに頼ってはいけないなんてことはありませんよ。」

 

「きゅう~・・・。」

 

姉さん、可愛い。

 

「ちょっと桜!!私で遊んでるでしょ!!」

 

いけない、ちょっと怒らせてしまった。

 

「でも姉さんに叱られるのって、久しぶりだから嬉しいです。」

 

思わず頬が緩む、それは姉さんも同じのようだ。

 

「・・・確かにそうね。本当に久しぶり。でも、今はしんみりしてる場合じゃないのよ。」

 

「ええ、では次善の策に移るのですね。」

 

「そういうこと、衛宮君にサーヴァントを召喚させるわ。もしセイバーを引けるなら、これ以上ない前衛になるんだから。」

 

「そして、先輩にはしっかり訓練を受けてもらって、無茶をしないようにしてもらうのですね。」

 

「そういうこと、任せておきなさい。それじゃ戻りましょう。」

 

◇◇◇◇◇

 

土蔵に戻って姉さんの説明が再開された。

 

「待たせたわね。それじゃ衛宮君は聖杯戦争に参加するってことで良いのね。」

 

「そうなるのかな?遠坂の助太刀はするつもりだけど。そもそも何がきっかけの戦争なんだ?」

 

「名前の通り、万能の願望器である聖杯を手に入れるための戦いよ。」

 

「キリストの血を受けた!!」

 

「まさか?それなら今頃は・・・ええと、聖堂教会ってわかる?」

 

「ああ、それなら、・・・そうだな、そんな聖遺物なら教会の人間が大挙して押し寄せてるよな。」

 

「そういうこと、だけど願望器としては聖杯の名に恥じぬ代物のようよ。だから、魔術師だけではなく、普通なら人間の召喚になんて応じない英霊たちも、この冬木にやってくるの。」

 

「そんなことになってたのか・・・ずっとこの街に住んでいたのに気がつかなかった。」

 

姉さんが目配せしてきた。いよいよ私の出番ですね。

 

「すでに私は、その英霊を召喚してるわ。・・・キャスター!!」

 

霊体化を解き、先輩の目の前に姿を現す。

もっともローブで体にラインを、仮面で顔を隠してるので正体がばれるおそれはない。

 

「はイ、まスター。」

 

先輩は首を傾げてる。

 

「あの・・・遠坂?なんか声が変だけど?」

 

「英霊は正体を隠すものなの。有名なら有名なほど、手の内が知られているでしょ?」

 

「ああ、なるほど。」

 

「いまから衛宮君にも英霊を召喚してもらうわ。方法は教えるから、召喚できたらまず私たちは味方だと伝えて。敵と思われて、出会い頭に攻撃されたらたまらないわ。」

 

「わかった。言われたとおりにする。」

 

ここまでは順調。どうか先輩が良い英霊を召喚できますように。セイバーさん、今度はしっかり先輩を守ってくれるとよいのですけど。

 

姉さんが召喚の説明を終えたので、私たちは土蔵を出た。

 

「よう、お嬢ちゃんたち。ちょっと突きあってもらうぜ。」

 

そこに、ランサーさんがいました。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。