目指すは海の果て   作:ワンピの風

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続いた。設定とかガバガバですけどそれでもよろしければどうぞ。


能力と弟

 

 

 

 

 あの時俺が食べたのは、予想していた通り悪魔の実だった。能力は、手で触れたものを「破壊」することと、「創造」すること。簡単に言えば「壊す」ことと「造る」ことだな。実の名前までは分からないが、割と強い能力だ、と思う。だが、どの程度まで「壊せる」のか、どの程度まで「造れる」のか。それがまだはっきりしていない。

 

 今日はサボとエースが俺の能力の確認を手伝ってくれた。二人は俺の能力に最初は目を剥いて驚いていたが、それがあの果実を食べたせいだと気づいてからは積極的に手伝ってくれている。色々と責任を感じてくれているのかもしれないが、これは俺が望んだことなのでそんなに気にしなくてもいいんだけどね。二人の気遣いがとても嬉しく感じてしまう。

 

「じゃ、これ壊してみろよ」

 

 エースが渡してきた拳大の大きさの石を、力を込めて両手で握りしめる。すると、パチパチという静電気に似た音とともに、両手に小さな赤い光が走る。この光、「壊す」時には赤色、「造る」時には青色になる。右手で赤、左手で青の光を走らせて少し遊んでみたが、まるで電気を手に纏っているみたいでカッコいいので、俺は結構気に入っている。

 

「んぐぐぎぎ……!!」

 

 大体5秒ほど握っていると、拳大の石に赤い亀裂が入り、ばらばらと砕けて小石になった。ため息をついて、その場に座り込む。これだけですごく疲れた。

 

「うーん……壊すのはいいけど、造るのは下手くそだな、ルーク」

 

 サボが、俺がさっきそこらの地面から造った小さな机を見てそう言った。確かに、足の長さがバラバラで、机の天板はボコボコとへこみが多い。

 

「……俺、どちらかと言うと壊す方が得意かも。壊すのはさ、「壊れろ!」って思うだけでいいけど、造るのはその造りたいものを強くイメージしないといけないし……」

 

 言いながら、手に乗っていた小石をそこら辺に置くと、おもむろに地面に両手を突いた。青い光が走り、今度は10秒ほどしてからバチバチ音を立てて椅子が出来上がった。不格好だが、さっき造った机よりはまだちゃんとした椅子に見える。

 

今の俺はこれぐらいが能力の限界だ。多分この力も、使い続けていけばもっと色々出来るようになると思う。

 

「何はともあれ、練習あるのみだな……」

 

「にしてもすげえな。ちゃんと椅子に見えるぞ、これ」

 

 よっこいしょ、とその椅子に腰を下ろしたエースが、どすんと尻餅をついた。

 

「……」

 

「……」

 

 この椅子の材質は地面。つまりただの脆い土だ。エースの体重を支え切れるほどの耐久性はなかったらしい。椅子だった土の上で、エースは何も言わない。俺もサボも何も言わない。

 

 我慢しろ。ここで笑ったら何されるかわからないぞ。

 

「……ぶっ」

 

「ちょ、駄目だってサボ、俺だって我慢して―――ぶふっ」

 

 口に力を入れて必死に笑いを堪えていたが、サボが吹き出してしまった。俺もそれにつられてしまう。

 

「なぁに笑ってんだァ!!」

 

「うわあっ、逃げ―――!?」

 

 結局、その日はエースにあちこち追い掛け回されて終わった。

 

 

 

 

 

 能力者になってから2年が経ち、俺は7歳、エースとサボは10歳になっていた。

 

 俺も少しずつではあるが能力を扱えるようになってきた。具体的には、「破壊」で壁の一部を崩して通り道を作ったり、「創造」でちょっとした足場を造ったり。最近はちゃんとしたイメージが掴めるようになってきたので、何かを「破壊」、「創造」する時に掛かる時間も短くなってきている。

 

 ただ、「破壊」の方が「創造」よりも得意なので、どうしてもそっちばかり使ってしまう。まあそのお陰でコントロールはバッチリだけど。

 

 

 今日は俺もエースも機嫌が良かった。前々から目をつけていた大きな野牛を、ついに俺とエースの二人で仕留めたのだ。今日は御馳走だ! と二人で野牛を引きずって帰っていると、何やらダダンの家辺りが騒がしい。

 

「何だ?」

 

「さあ? 誰か来たのかも……じいちゃんかな?」

 

 ダダンの声に、ごくたまに俺たちの顔を見に来る暴力ジジイ(ガープ)の声。それに紛れて、少年の抗議するような声が聞こえる。

 

 ……あれっ、もしかして。

 

 ダダンの家に到着してみると、そこには向かい合って何かを言い争うダダンとじいちゃんの姿があった。そして、その近くには麦わら帽子を被った一人の少年が。間違いない、原作主人公のルフィだ。

 

「か、勘弁してくださいよ、ただでさえエースとルークの面倒見てるだけで参ってるのに、それに加えてアンタの孫って……っ!」

 

 結構な言われようだな、俺たち。

 

 ちょっぴり悲しくなったが、自分でも悪ガキの自覚があるので黙っておく。

 

 ルフィは俺とエースにはまだ気づいていない様子で、キョロキョロと辺りを見回している。

 

「なあエース、あいつ、多分俺と同じくらいだよな……」

 

「…………」

 

 野牛の上に座っているエースを見上げたが、彼は何故か無言のまま、じっとルフィを睨みつけていた。

 

 あー………。エースは何というか……縄張り意識じゃないけど、見知らぬ人に対しての警戒心がとても強い。「お前は狼か!」と言いたくなるほどに強い。俺が一度、不確かな物の終着駅(グレイ・ターミナル)で知り合った気のいいおっさんと話していた時も、ずっと気を張っていたし。仲間意識が芽生えた相手にはとても甘くなるんだけどね。

 

「………ぺっ」

 

「あっ! あぁ~~……」

 

 どうしようか悩んでいると、エースが唾を吐いた。止める暇もなかった。目で追っていると、唾はルフィの頬に着弾した。それに気づかないわけもなく、ルフィがこちらを見る。

 

「おいっ!誰だお前ら!!」

 

「おお、二人とも。久しぶりじゃの! おいルフィ、あいつがエースじゃ。歳はお前より3つ上。で、もう一人がルーク。お前と同い年じゃ」

 

 へえ、俺とルフィは同い年なのか。へええ~……じゃない。どうしよう、今のところエースは敵愾心丸出しだし、ルフィも唾をつけられて怒ってる。

 

「今日からこいつらと一緒に暮らすんじゃ。仲良うせい!」

 

 じいちゃんがルフィの頭をパシンと叩きながら言った言葉に、ダダンが悲鳴を上げる。

 

「決定ですか!?」

 

「…………何じゃい」

 

「お預かりしますっ!!」

 

 じいちゃんが出した威圧に、一瞬でルフィを預かることを承諾したダダン。見ていて少し不憫になった。今度からはもう少し言うことを聞くようにしようかな。 

 

「よし! じいちゃんは帰るぞ、ルフィ! エースもルークも、また来るからの!!」

 

 そう言い残すと、じいちゃんは笑いながら山を下りて行った。

 

 諦めたようなため息をついたダダンが家の中に戻っていくので、俺とエースも野牛を引きずって家に入った。後からついてくるルフィは、不機嫌そうに俺たちを睨んだままだ。

 

 どうせこれから一緒に暮らすんだ。だったら仲良くしたい。

 

 俺はむくれた顔をしたルフィに声をかけた。

 

「えーと……ルフィ、でいいんだよな?」

 

「!」

 

「俺はルーク。さっきはごめんな。エースは気難しいだけで、根は良い奴なんだよ」

 

 謝りつつ、エースのフォローも入れておく。たちまちギロリとエースからの睨みが飛んでくるので、それに謝意を込めた苦笑で返した。ごめんごめん、そんなに睨むなって。

 

 ルフィはむくれた顔のまま、数秒俺の顔を見つめていたが、やがてニカっと破顔した。

 

「……謝ったから許す! おれはルフィだ!」

 

「うん、よろしく」

 

 うわあ、素直~っ!! 

 

 これまでダダン一家でも、エースやサボの中でも俺が一番年下だったので、弟が出来たような感じがして胸がほっこりする。いや、歳は一緒なんだけどさ。

 

 

 

 家に戻って少しすると、食事の時間になった。食卓には俺とエースが狩ってきた野牛の肉が並んでいる。やはり牛の肉は美味い。幾らでも食べられそうだ。

 

「おれ、山賊大っっ嫌いなんだ!!」

 

「黙れクソガキ! あたしらだっておめぇみたいなの預けられて迷惑してんだ! ここに居たくなきゃ好都合! 出てってその辺で野垂れ死んじまえ!!」

 

 肉汁溢れる焼きたての肉を口いっぱいに頬ばっていると、荒ぶるダダンとルフィの会話が聞こえてくる。

 

「メシ食い足りねえ。おれもあの肉食いてえ!」

 

「黙れクソガキ! あの肉もこの肉もエースとルークが獲ってきた野牛の肉だ!! あたしらに分け前を渡すことでこうして食卓に並ぶんだよ! 何か食いたかったら自分で獲ってきなァ!!」

 

 こうやって聞いてると中々厳しい環境で生きてきたよな、俺たち………。

 

 ダダンがルフィにしてもらう予定の仕事(掃除・洗濯・靴磨き・武器磨き・窃盗・略奪・サギ・人殺しのとんでもないラインナップ)をルフィに言い聞かせ、ルフィが「わかった!」と即答しているのを聞きながらチラリと左隣のエースの様子を伺う。

 

「……」

 

 無言で肉を頬ぼるエース。ただ、その眉間には深いしわが寄っていて、目には鋭い光が宿っている。その様子はただ食事に夢中になっているというわけではなさそうで、明らかにルフィを意識しているのがわかる。それとは別に前々から思っていたことではあるが、基本的にエースはダダンの家にいる間もピリピリと気を張っているように感じる。まあダダン一家からも俺たちは基本腫れ物扱いなので、それも無理もないけど……。

 

 俺が見ている先で、エースは一足先に食事を終えると、さっさと家を出ようとする。それに目ざとく気づいたルフィが後を追いかけようとするので、俺は慌ててルフィを呼び止めた。今のエースは不機嫌だ。あんまりルフィと一緒にいるのはよくないかもしれない。

 

「ルフィ! この肉食わないか!?」

 

「え? いいのか!?」

 

「俺、腹いっぱいだから!」

 

 

 そう言って肉を幾つか差し出すと、ルフィはとても嬉しそうにその肉を受け取った。腹いっぱいなんて嘘だ。正直まだ食い足りないが、肉よりもエースのほうが大事だ。

 

 ルフィの後ろで、ダダンたちが俺の行動を見て目を剥いている。俺が肉を誰かに分けたことが意外だったのだろう。それにしても少し驚きすぎな気もするけど。

 

「ありがとう! お前いい奴だなー!」

 

「まあね。よく噛んで食えよ?」

 

 少し心苦しいが、ルフィが肉に気を取られている間に、俺もこっそり家を抜け出す。エースは少し先の方を歩いていたので、すぐに追いついた。

 

「エース!」

 

「………ルークか」

 

 幸い、呼び掛けるとちゃんと返事をしてくれた。そのことに安堵しながら、隣を一緒に歩く。

 

「どうしたんだよ、ちょっと警戒しすぎじゃないか?」

 

「………」

 

 うーん、やっぱり不機嫌だ。無視されたが、めげずにもう一度呼び掛けてみる。

 

「エース~?」

 

「………」

 

「………こちょ」

 

 脇腹をくすぐってみるが、ぺっとその腕を振り払われた。今のも効果なし、かぁ。

 

「ちょっと話したけど、そんなに悪い奴じゃなさそうだぞ?」

 

「……そうかよ」

 

「そうだよ」

 

「………」

 

 駄目だ。俺はエースが思いのほか頑固なのを知っている。こうなっては、エースがルフィを何らかの形で認めない限りはどうにもならないだろう。どうなるかわからないけど……見守るしかないな。

 

長期戦を覚悟し、俺は小さくため息をついた。

 

 




「破壊」と「創造」ってノリで能力決めたけど、実の名前一切考えてなくて死んだ。
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