「…もう朝か。」
気だるげにベッドから降りて、リビングに行く。
時計を見ると、昼の1時だった。
「さすがに寝過ぎたか…。」
キッチンに行き、米を炊き、握り飯を作って食べた。
何も感じない、氷のような味がした。
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「ただいま~。 ごめんね? 遅くなっちゃった。」
炬燵に入り、何の気なしにテレビを見ていると、姉が帰ってきた。
「ううん。平気だよ。」
「そう? ならいいけれど…。」
姉の姿は、身内の僕からしても見目麗しいと思わずにはいられなかった。
美しい白髪。引き締まったスタイル。そしてどこかミステリアスな雰囲気。
そんな姉の名前は、リーチェ。
日本人ではないように聞こえるが、それは当たり前だ。
彼女は元は白人と日本人のハーフで、両親が早いうちに病死してしまったらしく、うちで引き取ることとなった。
彼女の両親は、魔女の血を引いているという根も葉もない噂話を立てられていたらしい。
俺の両親も、その噂話を鵜呑みにして最初は姉さんを引き取ろうとはしなかった。
だが、俺は姉さんを信じた。
そして、両親を説得し、うちに引き取ることになった。
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「そういえばごめん! 朝ごはん作り忘れちゃって…
ご飯はどうしたの? 」
「自分で米を炊いて食べたよ。」
こうして他愛もない話をしていても、俺の心は擦りきれそうだった。
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昔っから出来損ないの癖に、意地っ張りだった俺でも、小学校の時には10人位友達がいた。
だが、その友達も中学校に入ると急によそよそしくなった。理由を聞いても黙りだった。
中学校では、一回だけ彼女が出来た。
だが、その彼女もよそよそしくなった。
理由は明確。 既に寝取られていたのだ。
それきりと言うもの、人が信じられなくなった。
高校に行かず、バイトにも行かず、ただ姉さんに甘える怠惰な生活を送っている。
死んだ両親が見たら嘆き悲しむだろうなと思いながらも何かするために自ら動く事が出来なくなってしまった。
姉さんはどんどん頼ってくれと言っているが、彼女ももう23歳。結婚を考えていてもおかしくはない。
「なあ…姉さん。」
「ん? どうしたの? どこか悪い?」
「姉さんは……結婚とかしないの?」
「……」
「……」
二人の間を沈黙が支配する。
「うふふ♪」
沈黙を破ったのは姉さんの方だった。
「なんで笑ってるんだよ?」
「だって…あなたがおかしいことを言うものだから…うふふ♪」
「俺は姉さんのことを思って…。」
「だって、私が魔女っていう噂が広まっちゃってるんだもの♪ 仕事以外は相手にされないわよ♪」
「え……。」
嘘だと信じたかった。
今になっても、姉さんが魔女だという根も葉もない噂を信じているのが信じられなかった。
でも、俺は心の中で安堵していた。
(姉さんが俺の側を離れることは今はないか…良かった。)
そんな考えをした自分を殴りたかった。
でも、そんな邪な考えは止まらず、涙となって流れ始めた。
「あれ? どうして泣いているの?」
「…姉さんが離れなくて良かったって思っちゃったりしたの?」
「…ええ。私は絶対に貴方を離したりしない。」
「そう、絶対にね……♪」
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「…おやすみ♪」
私の可愛い弟君が寝静まったのを確認して、部屋に戻る。そして、私の使い魔とも呼べるフロウを呼ぶ。
「フロウ? 私のドレスは何処かしら?」
「ええ、リーチェ様。 此方に。」
「ありがとう。」
ドレスに着替え、窓から空へ飛び立つ。
そして、魔法を唱える。
私の大好きで可愛いくて愛しくてたまらない弟君を皆が避けるようになる魔法を。
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幼い頃から、祖父母や両親から魔法を教えられてきた私はある日、友達の男の子に見られてしまった。
「私が魔女」という噂はあっという間に広がり、友達やクラスメイトからいじめられるようになった。
そんな時に私の心を更に追い詰める事があった。
両親の死だった。
祖父母にももう、私を育てるだけのお金は残っておらず私は日本に送られた。
日本に送られても、私の家での扱いは変わらず、皆から距離を置かれた。
でも、今の弟君だけは違った。
魔法が使えることを怖がらずに、何度も私に話しかけてくれた。
孤独だった私は、それがとても嬉しかった。
忘れていた笑顔を取り戻すことができた。
いつの間にか、弟君に恋をしていた。
でも、それは弟君が中学校に入学してすぐの事だった。
いつまで経っても帰って来ない弟君を迎えに行った時の事だった。
「私と……付き合ってください!!」
何処からか、女子生徒の告白の声がした。
(もう少し声を小さく出来ないのかしら?)
そんなことを気にも留めずに弟君を探していた時だった。
「はい……僕でいいならよろこんで!!!」
弟君の声がした。
その時、何かドス黒い感情が私を襲った。
え? なんで? どうして?
なんで私じゃないの?どうしてあんな雌臭い女なの?
なんで誰にでも媚を売るような雌からの告白を承諾したの!?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!!!!
ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ!!!!
ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!
自分で自分が抑えられなかった。
勢いのままに、あの雌に魔法をかけた。
貞操を極限まで緩くさせる魔法だ。
誰かの子供を妊娠した時に全てを思い出させ、絶望するように仕掛けた。
その勢いのまま、学校の生徒、教師、用務員全てに弟君を避けさせる魔法を掛けた。
当然のように、次の日学校から帰って来た弟君はとても暗い顔をしていた。
その時の、今すぐにでも泣き出しそうな顔と、それを必死になって隠そうとしている声にゾクゾクした。
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「……ふぅ。」
今となっては、もはや依存症状のように毎日毎日町に魔法を掛けている。
確かに、私は赦されざることをしただろう。
魔女どころか、人間の中でもここまで下衆なことをするのは私位だろう。
だが、それがどうした?
好きな物を手にいれるためには、それ相応の犠牲は付き物だ。それが、たまたま貴方達だっただけのことだ。
私は確かに「避けるようになる」魔法は掛けたが、「嫌うようになる」魔法は一回も掛けていない。
恨むのなら、恨めばいい。
憎むなら、憎めばいい。
蔑むなら、蔑めばいい。
最も、弟君の視界に入ることも、弟君を視界に入れることも、弟君を話題にすることも、弟君の話題になることも、全て赦さないがな。
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氷の魔女は嗤う。
全てを蔑むように嗤う。
その目には光などはなく、多くの者を絶望に叩き落とすブラックアイスバーンに似た暗黒が広がっていた。
晴れ着リーチェ欲しいゾ~
出して欲しいモンスターの属性は?
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火
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水
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木
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光
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闇