「はぁ……。」
ため息をつきながら、肩を落とす。
「今回も2位か……。」
テストがある度に、親から1位になれ、1位になれと言われ続けた。
当然頑張って勉強をした。二桁台だった順位も2位まで上げる事が出来た。
だが、1位のアイツにだけはいくら勉強しても勝てなかった。
―――――――――――――――――――――――――
「およ~? どうしたのそんな暗い顔して?」
「……レイランか…。」
俺に声を掛けてきたのはレイラン。スタイル抜群であり容姿端麗、頭脳明晰、勇壮活発、おまけに人当たりも良く、まさに完全無欠を体現したような奴だ。
俺の幼なじみでもある。
テストでいつも1位を取っているのもこいつである。
「…テストの成績が悪かっただけだ。」
無難に返す。変に返すと質問責めに会うためだ。
「ふ~ん……。」
予想通り、レイランはそれ以上聞いてこなかった。
「おーいレイラーン! 一緒に帰ろうよ~!」
「オッケーイ! もう少し待ってて~!」
何処からか、レイランを呼ぶ声が聞こえた。
前述の通り人当たりの良い奴なので、当然友達も多い。俺には友達と呼べる様な仲の良い奴は居ない。
「さて! そろそろ帰らなきゃ! バイバーイ!」
風のようにレイランは駆けていった。
「……」
「……帰るか。」
俺も荷物をまとめ、帰った。
―――――――――――――――――――――――――
「……んお?」
帰る途中で、レイランと何人かの女子生徒を目撃した。
(…まだ帰ってなかったのか。)
俺が帰る10分位前には学校を出たはず。
(…カフェか?)
どうやら、カフェで何かを頼んだようだ。
(…何の話をしているんだ?)
好奇心には勝てず、俺は盗み聞きを決行した。
「でさ~! ○○がさ~!」
「あー分かる! アイツキモいよね~♪」
「そうそう! キモいと言ったらさ~
レイランは何でアイツと一緒にいるの?」
(!)
いつも一緒にいるキモい奴。そのワードから連想されるのはまず俺だろう。
レイランは俺の事をどう思っている?
俺はただひたすらに彼女の言葉を待った。
「うーん……
正直キモいかな…。」
何かが割れる気がした。
ただそこから走って走って、家まで走った。
―――――――――――――――――――――――――
「はぁっ……はぁっ……」
家に着いた。不思議と涙は出なかった。
(…結局アイツもか。)
今の高校に入る前も、小学校、中学校でいじめられてきた俺をレイランは助けてくれた。
だが、いくら人が良いレイランでも俺に愛想が尽きたのだろう。
「今は6時か……」
今日は親の仕事が遅くなる。早くとも9時までは帰って来ないだろう。
(……)
もう何も考えていなかった。
風呂を沸かし、その間に自分の財布の中の金を全て取り出し、リビングの机の上に置いた。
遺書も書いて、机の上に置いた。
風呂が沸いたのを確認して、キッチンから包丁を取り出した。
(…じゃあな。親父…お袋…レイラン。)
風呂に行き、上着を脱ぐ。
細くて白い手首が露になる。
俺はそこに包丁を当て付け…
勢い良く引いた。
―――――――――――――――――――――――――
「え~次のニュースです。昨日の午後6時30分頃、都内のアパートに済む○○ ○○君が風呂場で亡くなっている事が分かりました。リビングには遺書と○○君の物と思われるお金があり、風呂場には包丁があった事から、警察は自殺と考えて捜査を続けています…。」
信じられなかった。
彼が自殺したなんて。
信じたくなかった。
彼が自殺したなんて。
ニュースを見てすぐに、彼の家へと向かった。
ニュースを見て集まったのだろう野次馬を、気絶させて、玄関を開けた。
血の匂いが伝わってくる。
不思議と嫌な匂いではなかった。
だが、血の匂いが却って私を不安にさせた。
彼が死んだという事実を否応なしに突きつけられた。
(イヤだ…イヤだ…!)
(イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダッッッッ!!!!!)
風呂場へと駆け、警察を気絶させた。
そこには、とても安らかに眠っている彼の姿があった。
(誰よ…誰よ…! 彼をここまで追い詰めたのは…!)
遺体を背負い、リビングの遺書を読んだ。
「親父、お袋、レイランへ。
この手紙を読んでいるということは、俺はもう死んだのでしょう。でも、許してください。
俺はもう、生きていくのが嫌になってしまいました。
親父とお袋には話していなかったけど、俺はいじめられていました。そんな時にレイランが助けてくれました。だが、そんなレイランも俺に愛想が尽きたみたいです。どんな豆腐メンタルだよと思うかも知れませんが、どうか許してください。俺には友達が無く、レイランには友達が沢山いました。そんなレイランに近づいては、レイランの評価も落ちてしまいます。ですから、俺がレイランに近づかないように、レイランが俺に近づけないように、死ぬこととしました。
俺のことは気にせず、楽しく人生を謳歌してください。それが俺からの言葉です。 ○○より」
言葉が出なかった。
信じたくなかった。
彼をここまで追い詰めたのは、私だ。
彼が死んだのも、私のせいだ。
ワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノセイダワタシノ……。
―――――――――――――――――――――――――
「……ねえ先生。 レイランは…。」
保健室の先生に、レイランの親友であるカリンが聞く。レイランだけではない。メイメイ、サクヤ、ハクもだ。
「…残念だけど……望み薄だわ。」
かぶりを振りながら、彼女は答えた。
「……そんな…。」
「…うぅ…レイランさん…!」
「レイラン……グスッ」
彼女達は、深き悲しみに叩き落とされた。
「ほら♪ ○○ご飯だよ♪ あーん♪」
「……」
「おいしい? ねえねえ♪」
「……」
「そっかー♪ お口にあって良かった~♪」
その光景はまさしく異常だった。
死んでから軽く3カ月は経っているのに全く腐敗していない男子生徒の遺体。
その遺体に一方的に語り掛ける朱雀の少女。
レイランは、自分が彼女を追い詰めたという事実に耐えきれず、意識を失った。
目覚めてからは、まるで彼が生きているかのように彼の身の回りの世話をしている。
恐らく、レイランには男子生徒の幻覚が見えているのだろう。
「えっ? 突然どうしたの?」
「……」
「…私の事が…好き…?」
「……」
「…えへへ…実は私も♪」
「……」
「えへへ…両思いだよっていちいちいわなくても♪」
「……」
「うん♪ 私も、貴方を宇宙で一番愛しています♥️」
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彼女の目は、真っ暗だった。
それは、愛する彼の他に何も写していなかったように思えた。
(レイラン要素は)ないです。
感想待ってるゾ~。
出して欲しいモンスターの属性は?
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火
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水
-
木
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光
-
闇