彼女、ヴァルキリーは大富豪の令嬢であった。
茶道やヴァイオリンなどの芸能にも精通していた。
もちろん、魔法にも。
回りには多くの男がよってきたが、家の名前が欲しいだけと知っていたので関わらなかった。
彼女は孤独だった。
誰からも愛されなかった。
彼女は何も感じなかった。
ただ、まるで操り人形の様に、言われた事をするだけだった。
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彼は、しがない手品師だった。
貧乏ではあったが、皆に愛されていた。
その事実が、彼を追い詰めた。
彼は、誰にも言わずに町を出た。
彼は、孤独を選んだ。
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彼女は、彼と出会った。
何かが、彼女の心を満たした。
ただ、それが何かは彼女は分からなかった。
彼女は、生まれて初めて、心から笑った。
彼女は、彼に惹かれていった。
彼も、彼女に惹かれていった。
彼と彼女は、いつも一緒だった。
お互いに、初めて心から愛せた人だった。
結婚の約束もした。
だが、それは許されなかった。
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約束の時間になっても彼が来ない。
その事実が、私を不安にさせた。
まあ、彼でも約束の時間に遅れることはあるだろう。
遅い、遅すぎる。
流石に遅すぎる。
心の中にポッカリと穴が空いてしまったようだ。
オソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイオソイ!
彼は何をしている?
私との約束をすっぽかしておいて。
心はもう真っ黒だ。
「あっ! ヴァルキリーじゃないか!」
そうして声を掛けてきたのは、名家の跡継ぎ。
だが、そんなことはどうでもいい。
「…何か様ですか? 生憎人を探しているのですが。」
「まあそう言わずに。 君が探しているのは
この男じゃないか?」
そうして渡してきたのは、彼の写真。
「…なぜ、あなたがこれを?」
「なぜって…僕と君が結婚するためさ。」
「…は?」
「だから!
僕と君が結婚するためにこの男を殺したんだよ!」
え?
なんて?
お前が? 彼を 殺した?
なんで?
「おーい? どうしたんだい?」
グサッ
「…え? …カハッ!?」
グサッ
「返せ……!」
グサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッ
「あの人を返せ…!」
グサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッ
「私の愛したあの人を返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せぇぇぇぇ!!!」
グサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッグサッ…
―――――――――――――――――――――――――
「……」
彼は、死んだ。
私が必要としていたのは、彼だけだ。
私が愛せたのは、彼だけだ。
私を愛してくれたのは、彼だけだ。
彼がいない世界は必要だろうか?
いや、
必要ない。
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「…いかがなさいます?」
「うむ……まさかここまでとは…。」
「なら……。」
「…仕方あるまい。 彼と彼女だけのヴァルハラへ送って上げよう。」
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「…あれ?」
ここは? 僕は確か、貴族の男に殺されたはず。
ヴァルキリーは大丈夫だろうか?
「……見つけました…!」
「…ヴァルキリー? なんでここに?」
「あなたを追いかけてきたんです! あなたが死んでしまったと聞いて…!」
「…ありがとう。 …ヴァルキリー。もし君さえ良ければだけど、僕と結婚してくれますか?」
「…はい!」
「あなたとなら喜んで!」
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ここは、彼と彼女だけの世界。
孤独を選んだ者と、孤独だった者だけの世界。
愛を拒んだ者と、愛を求めた者だけの世界。
そこは、後に『ヴァルハラ』と呼ばれた。
コメント欄で書いて欲しいモンスター書いてくれたら優先的に書く可能性が微レ存…?
出して欲しいモンスターの属性は?
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火
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木
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光
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闇