ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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103『女好き、抜けろ「不思議な庭(ワンダーガーデン)」』

ーーー…す…!ーーー

 

 

ーーー!…りす、ーーー

 

 

 

「イリスッ!!!」

 

「っはぅわ!!」

 

……あ…え、な、ナミさん…。耳元で叫ぶなんて、普段はしない起こし方ですね!あはは、額に青筋が見えるのは気のせいですか?

 

「あ・ん・た・ね〜!!!私達を庇って攻撃貰うくらいなら、普通に戦って倒しなさいよ!!」

 

「だ、だって、“影”の手掛かりが…!」

 

「私はそれよりあんたの体の方が大事なのよ!次無茶したら殴るわよ!!」

 

「ご、ごめんなさいっ!!み、ミキータもロビンも、ごめんっ!」

 

「…ふぅ、イリスちゃんは強いから無茶しちゃうんでしょうけど、私達も心配するのよ?」

 

うう…ミキータに怒られると心が痛い…、普段怒られ慣れてないからかなぁ。

 

「も、もうし………、…ないから!そ、それでここは?外みたいだけど」

 

「露骨に話題を逸らしたわ」

 

「しないって言うのにも間があったわね」

 

「やっぱり1発殴って…」

 

ひぃい!ごめんなさいごめんなさい!もうしません!!……多分、きっと。

 

「…はぁ。…ここは恐らく、屋敷の裏手ね」

 

「裏…?…うわ、反対側にでっかい建物もある…!」

 

「そう、ここはあの屋敷と建物を繋ぐ大きな渡り廊下よ。森みたいに見えるけどね」

 

まぁ、森にしては木とかに飾り付けられてあるものがファンシーだなぁとは思ってたけど…。

 

私が気を失ってから、倒れたフリをしたナミさん達と一緒に棺桶に閉じ込められてここまで運ばれてきたそうだ。

途中で運んでいたリスゾンビ2体が棺桶を落とした際、ナミさん達が気を失ってない事がバレたらしい。

…確かに私が寝てたの棺桶の中だ。…え、じゃあみんなでこの狭い棺桶に詰められてたってこと!?うわぁ…意識が無かったの本当に勿体ない!!!

 

「サムライリューマ…峰打ちだったのかな、斬られた痕がない」

 

「殺す気は無かったんでしょうね。きっと私達をゾンビにしたかったんでしょうけど、殺せばゾンビにできないとか」

 

うーん…でもホグバックがせっせと完成させてたのは死体だったから…よくわかんないなぁ。

 

「そのリスゾンビは?」

 

「仲間を呼ぶって言って逃げたわ。だからあんたを急いで起こしたんじゃない。本当ならもっとゆっくり寝顔を堪…もとい、疲れを取らせてあげたかったのに」

 

「正直な話、ナミちゃんも私の事言えないわ…」

 

なんだかんだ言ってナミさんは私に甘いから…。

 

「…ん?」

 

ペッタン♪ペッタン♪

 

なんか、ペンギンが3匹後ろ向いて踊りながら出てきた。

ナミさんが何この愛らしい森の動物達…と喜んでるけど、気付いてナミさん!それ絶対ゾンビ!

 

「番号〜!1!」

「2!」

「…あ、3…」

 

それぞれ順番に私達に振り向いたペンギンもどきはやはりゾンビで、1番はまだしも、2番は人面、3番はブルドック面…いやあ…うーん…キモ可愛いって、呼べるのか…な??

 

「コンニチワ!僕ら」

「ペンギンゾンビコンビ!あ!間違えた」

「トリオ!トリオだ。おれ新入り」

 

どうでもいい〜…。

 

「そして君達の後ろにいるのが仲間の動物(ワイルド)ゾンビ達!!」

 

「へ?」

 

 

『ようこそ!!ペローナ様の“不思議の庭(ワンダーガーデン)”へ!!』

 

 

「……す、凄いヘンなのがイヤっていう程いるー!!!」

 

ナミさんの言う通り、もう記述出来ない程いるんだけど。

ゴリラウサギや、人カバ、カンガルーシマウマ、牛犬、パンダゴリラ、羊猿、蛇鳥etc…。

 

だけど私は、そいつらの見た目なんかよりもよっぽど衝撃を受けた言葉がある。

…何でだか分からない。ただ、私の心を揺さぶったのは…『ペローナ』という人名。

 

私の前世の記憶かな?Hey王華、ペローナって誰?

 

「なんて聞いて、ほいほい出てはこないんだけどね」

 

「それ、ケチョンケチョンにして絞り上げろ!」

 

ドドドド!と大勢のキメラゾンビ達が私達に向かって走ってきた。

…仕方ない、ここは神背(ヒューマ)を使って…。

 

「やめろ!!!」

 

「!!?」

 

その時、私に攻撃しようとした人カバを……ペンギン3号が蹴り倒した。

な、なに…?どうしてこんなタイミングで仲間割れなんて…。

 

「おい新入り!仲間に何してやがる!!敵はその女共だ、そっちをブッ飛ばせ!!」

 

「…このレディ達がどこの誰かは知らねェが…例えご主人様の命令に背いても…俺は死んでも!女は蹴らん!!文句があるなら、かかってこい… クソゾンビ(・・・・・)共!!」

 

……!!

このペンギン…なんでこんな、サンジみたいな事…!!ま、さか…サンジ、ゾンビにされたの!?肉体とか改造されちゃったの!?

 

「さ、サンジ…?」

 

「あァ?誰だそいつは。それより早く逃げろお嬢さん達…ここは俺が引き受ける」

 

…サンジじゃない?…いや、それにしては言葉の節々に面影がありすぎる…!

仮に肉体を改造するとしても、サンジの体は強靭だ。手駒にするのにこんな弱そうなボディにする意味がない。

…ということは、意識だけを飛ばしてる?例えばその意識…仮に魂として、魂をホグバックが作っていた死体に入れれば動き出す…とか。

 

…え、私天才じゃない?絶対これだよ、これしかない!

 

「…だとしても、とりあえずこの場を乗り切らないとね。手を貸すよペンギンくん」

 

「キャハ!ついに私の成長のお披露目ね!」

 

「私の手も必要かしら?」

 

「ったく…あんたらと一緒だと心強すぎて怯えるだけ時間の無駄よ」

 

4人で戦闘態勢を取り、ペンギンくんの横に並んだ。

おうおう、気を付けなよキメラゾンビ共。ここに居るのはただ可愛くて美しいだけの嫁じゃあない。

 

 

…私の嫁なんだから!

 

(ブレス)!」

 

「おお、ミキータ飛んでる!!」

 

あれはエニエス・ロビーでも見たけど何だろ?…あ、そういえばウソップがミキータの為に風貝(ブレスダイアル)を手に入れたとか言ってたから、それをブーツに仕込んでるのか!

 

「はぁあ!1万キロジェスト!!」

 

「ぉおおお!?なんだこいつァ!」

「み、見た目のわりに一撃が重いぞ!」

 

体の大きなパンダゴリラに蹴りを当てて、そのままグローブからも発生する風の力で押し込み、パンダゴリラの後方にいる奴をその巨体を利用して潰していく。

 

なるほど、確かにあの装備は自身の重さを自由自在に調節できるミキータにはピッタリだね!何よりカッコイイ、映える!

 

どう!?みたいな顔で振り向いてきたミキータに親指を立てて返した。いやー、これはウソップもいい仕事してるね!

 

二本樹(ドス・マーノ)…クラッチ!」

 

「ぶへ!」

 

ロビンもゾンビの肩から腕を生やして首をへし折っていた。流石にゾンビとはいえあそこまでされれば…まぁ動けるには動けるだろうけど機動力は無くなるだろう。

 

「私も忘れないでよね…!上空の雷雲にご注意下さい…!サンダーボルト・テンポ!!」

 

「「あばばばばばー!!?」」

 

「な、なんだこいつら!?強すぎるぞ!!」

 

「ど、どうする…?将軍(ジェネラル)級がいねェと無理だ!!」

 

「ついでにいえば、その将軍(ジェネラル)が居た所で勝てないよ!…あなた達なら、30倍を使えそうだね…!」

 

脚と腕に最大倍加を付与して構えを取る。

…イメージは、青キジ戦。それからさっきのリューマだ。

 

30倍灰(さんじゅうばいばい)…… 遑期道(いとまごい)!!」

 

「…は?ど、どこに行った!?」

「後ろだ!このガキ…いつの間に…!」

「速いだけが取り柄だってんなら、すぐにとっ捕まえて半殺しだバガッ…!?」

「ゴフォ…!!」

 

…ふぃー、上手くいった。

青キジみたいな化物級に強い奴には、覇気ももりもりに盛って、100倍で全力を賭さないと成功しないけどこいつら程度なら30倍で充分みたいだね。

狙い通り殴られた事すら気付いてなかった奴らが次々に倒れていく。…なんか暗殺とかに使えそうな技術だよね。そんな機会ないけど。

 

「…!イリス、今度は別方向から何か来てるわ!」

 

「えぇ…今度は何…?」

 

「…みィィつゥゥけェェたァアアアア!!アブ様の仇ィイイイイ!!!!」

 

ええええッ!!?な、何アレ!?か、カバ!?いや、サイ!?それかブタ!?…いやイノシシだ!!

 

「死ねェ!!!」

 

「このレディに手を出すな!!」

 

私に向かって振り下ろしたきた巨大な斧を、犬ペンギンが蹴り飛ばす。

 

「邪魔すんじゃないわよォ!!」

 

「犬ペン!!」

 

武器を取った所で、犬ペンとイノシシでは体格に差がありすぎるせいか簡単に投げ飛ばされてしまった。

ていうかアブ様の仇ってなんだ…誰だそれ…。

………あ!もしかしてアブサロム…!?

 

「ナミさんに求婚してたアイツか…!」

 

「何ですってェ!?ナミって誰かしら!?」

 

「私だけど…ってきゃぁっ!あ、危なっ!」

 

「この泥棒猫ーー!!!!」

 

何だこのイノシシほんとに!急にナミさんに殴りかかったんだけど!!

くそ…確かに私は女だろうと嫁に危害を加えるのなら攻撃できるタイプ…!だけどこのイノシシが変に純粋っぽいから攻撃しづらい!

 

「と、とにかく逃げよう、倒すのは気が引けるよ」

 

「キャハっ、そうね、純真で可愛いコじゃない」

 

「倒しちゃったら心が痛いわ」

 

最悪はそりゃ、倒す事になるのかもしれないけどさ…!

 

「目指すはあのでっかい建物!走って!」

 

「ええ!」

 

ダダッ!とみんなで森を走り抜けていく。

本気で走れば撒くのは簡単だけど、それだとみんなを置いてっちゃうから…!

 

「…っ、イリス、先に行って!!」

 

「!…ダメ、みんなを放っていけない!」

 

「あのイノシシなら大丈夫…!私に考えがあるの!」

 

そうは言っても…!結局倒すって事?それなら私も居た方が…!

 

「倒しはしないわ、ちょっと話をするだけよ!…だからお願い、足手まといはイヤなの、私は、私達はあんたの嫁でしょ!?」

 

「足手まといって……。……本気?」

 

「冗談でこんな事言うわけないでしょ…!」

 

……!これ以上は…ナミさんの決意を無駄にしちゃうか…!

それにミキータもロビンも残ってくれるのなら安全だよね…!

 

「……みんな、無茶しないでね!」

 

「あんたが言うな!」

 

あ、はい、すみませんでした。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ウェディングイノシシから逃げて、森みたいな渡り廊下から続く上り階段を駆け上がって建物に飛び込んだ。

…ナミさん達大丈夫かな。

 

「…いや、心配は不要な筈…!みんな強いんだから、何とかなるよね…!あんまり過保護過ぎても将来的に鬱陶しく思われるかもしれないし?」

 

とにかく私は、この建物で「ペローナ」って人を探さなければいけない。

私の心がその名前に反応しているってのもあるけど、そもそも今の所“影”の手掛かりはその「ペローナ」だけなんだから。

 

「あ…し、侵入者……ぺ、ペローナ様…!」

 

「ん?…くま…のぬいぐるみゾンビ??」

 

…まぁ、このくまには何の恨みもないけど…ちょっと眠ってて貰おうかな!!

 

「ごめんね!去柳薇(さよなら)ッ!!」

 

「ブォ…!!!?」

 

ぬいぐるみの腹部に拳を叩き込み、遙か後方へと吹き飛ばした。

…ぬいぐるみのくせに、なかなか重かったなぁ。中に何が詰まってるんだか。

 

「…さっきあのくま、ペローナ様って言ったよね。…ということはここはそのペローナが管轄のエリアって訳だ」

 

可愛い名前だなぁ。

…いや待て私、今まで会ってきたこの島の人間…人間?を思い返すんだ。まずはホグバック、そしてアブなんとか。……ペローナも人間じゃない可能性が高い…!

 

「期待はしないでおこう…」

 

それにしてもこの建物、中も広いなぁ。見渡す限り石造りで、至る所に階段があって扉もそこかしこにある。考えなしに動いても迷子になるだけか…。

 

「どうしようかな… 神背(ヒューマ)で増やして手当たり次第が1番良いのかな…?」

 

「オイ」

 

「それかこの建物自体を壊しながら進むとか?そうしたら流石に誰か飛び出してくるでしょ」

 

「オイ!!」

 

「…ん?」

 

私が登ってきた階段から、私を苛立たしげに呼ぶ声が聞こえて振り向く。全く、次は何?これが女の子の声じゃなかったら姿を見るまでもなく殴り飛ばしてる所だよほんと!

 

「何かよ………う……」

 

「……?何だお前、人の顔見て固まりやがって。…それよりお前、“逃げ足の女王”か?いや、見間違える筈もねェな…。いいかよく聞け、お前が幾ら6億の首だろうと、この私の能力の前では」

 

「……うううう、かか、かかかか…!!!」

 

「…オイ、聞いてんの」

 

「可愛い過ぎーーーーーッ!!!!!」

 

うひゃぁ!?と私の大声に肩を跳ねさせるピンクツインテゴスロリ縞タイツヘソ出しお目々クリクリびっしょうじょ!!はーー!可愛い!!

え?誰!?も、もしかして…もしかして!!

 

「ぺ、ペローナ、ちゃん?」

 

「!…ちゃん付けやめろ気持ち悪ィな。オイ、待て近づくな。え、止まれ!ちょ、こ、来ないで!来るな!あっち行けーー!!!」

 

 

いやーーーーッ!!!と、逃げ出すペローナちゃんの可愛い叫び声が辺りに響いた。ぐへへ、助けなんてこないよお嬢さん…ぐっへっへ。

 

 




実は私、ペローナめっちゃ好きなんです。
多分かなり前にも1度言った気がするような…?
とにかくめっちゃ好きです。恐らく同志はかなりいる筈…!

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