ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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111『女好き、鉄仮面の下』

数分後。

 

「え?」

 

「?ケイミーちゃん、どうかした?」

 

「魚達が…「悪いけどここまで」だって…」

 

…という事は。

 

「うわ来た!「トビウオライダーズ」!!」

 

パッパグが叫び、私達は急いで船首側に走って海を見た。

…けど、何も居ないよ?

 

「違うよイリスちん!海じゃなくて、空!」

 

「え、空!?」

 

トビウオって魚じゃないの…?と思いながら空を見上げれば、そこには大きなトビウオと、それに乗って操縦しているライダー達が居た。

だけど奴らは私達の船に必要以上には近付かず、そのまま西へと去っていった。…トビウオって言ってもウオなんだからお空ビュンビュン飛ぶのはやめて欲しいよ。

しかもケイミーちゃん曰く、あのトビウオは水中から出て5分は飛行出来るらしい。魚名乗るのやめろ。

 

「まさか空から来るなんてね…、大砲とか準備してたらどうかな?」

 

「おお、それいいな!撃ち落としてやるぜ!」

 

ウソップなら余裕だろう。あのトビウオ大きかったから、的が大きい分狙いやすいだろうし。というか小さくても彼なら当てるけど。

 

「海上の戦闘になるなら、私も試したい技があるんだよねぇ」

 

上手くいかなかったら普通に海に落ちるけど、まぁみんなも居るから大丈夫でしょ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「着いたぞ!アレだな!」

 

「あれがライダーズのアジトか…」

 

見た感じ、トビウオライダーズのアジトは海に無理矢理建てた居住区って感じだ。上空から見れば三日月の形をしているのだろうその島もどきの、囲いが無い場所から船を進ませる。

その三日月の真ん中には、海底に刺した鳥居型の木の棒に檻がぶら下げられており、その中に誰か居るみたいだった。

 

「気を付けてねみんな…マクロ一味だけでも私が30回は捕まった程の敵…」

 

「捕まりすぎだろお前っ!!食われ過ぎだし!」

 

「というか、妙に静かじゃない?待ち伏せされてるね」

 

「え、みんなおやつの時間で家の中に隠れてるんじゃないの!?」

 

ケイミーちゃん、これだけは言わせて欲しい。だから捕まるんじゃないのかな…。

でもそういう純粋なトコも可愛いんだけどね。

 

「ニュッ!おれはここだケイミー!無事だから心配するな!」

 

檻の中から声がして目を向ければ、そこには全身真っ黒の見覚えがあるシルエット。…うーん、やっぱりもう確定じゃないかな、何で真っ黒かは知らないけど。

 

「ナミさん、どう?」

 

「う〜ん……怪しい…っていうかほぼ…」

 

ナミさんが目を凝らしてじーっと真っ黒シルエットを見て言い、サンジが「聞いてみよう」と船首側に歩いて檻に近付く。

 

「おい!アーロンは元気かァ!?」

 

「ニュ〜!?あァ!アーロンさん!?あの人もチュウもクロオビも、みんな海軍に捕まったままよ!おれ1人で脱獄してきて今、昔からの夢だったタコ焼き屋やってんだけど」

 

「「おめェかやっぱりーーーっ!!!」」

 

「しまったーーーー!!!」

 

バカ過ぎる…。疑う事を知らないのか…私達にバレたく無かったんだろうけども。

さて…どうしようかな。

 

「オイ正妻、お前あの黒タコと知り合いか?」

 

「知り合いっていうか…まぁ知った顔ではあるんだけど」

 

「ナミの故郷は昔“アーロン一味”っていう魚人海賊団に支配されてて、あのタコはその一味の幹部だったんだ。まあ当然おれ様がルフィ達を引き連れて殴り込みをかけ…」

 

「キャハ、大体分かったわ、イリスちゃんがキレたのね」

 

ウソップはそんな事一言も言ってないと思うんだけどなぁ?間違ってはいないんだけど、それだけの情報で正解に辿り着くってミキータどんだけなの…、私が分かりやすいだけとか、そんな事は言わない。

 

「何だお前だったのか!“はっちん”ていうタコ焼き屋は!!アーロンとこのタコッパチ〜〜!!そうとわかりゃおれ達はお前なんか助けねェぞ!!…でも!…でもお前のタコ焼き…!そん〜なにうめェのか!?」

 

「揺れんな、食欲と理性の狭間で…」

 

「もしかして、みんなはっちんとお友達だったの!?」

 

「友達じゃねェよ!!」

 

私達のやり取りを見てそう聞いてきたケイミーちゃんにゾロが凄い形相で怒り気味に返す。

…うーん…困ったなぁ。

 

「ナミちんっ!」

 

「…うーん、まさかケイミー、あんたの友達があいつだとは思わなかったから…悪いけど…」

 

「そんな…じゃあ救出は、手伝って貰えないのね…!…はっちん…!」

 

「ニュ〜!!ケイミー、それでいいんだ!そのまま帰れ!!これは罠だぞ!」

 

ああ、ダメだ…本当に困った。

 

「イヤだよ!だってはっちんはいつも私達を助けてくれたじゃない!!」

 

「ニュ〜!我儘を言うな!本当に危険なんだぞ!!」

 

こんな考えは…本当に困った…。

…ナミさんの顔が、怖くて見れない。

 

「………ナミさん」

 

ぽつりと呟くと、ナミさんは「ん?」と私を見た。

あーー…言いづらい。言いづらいけど…!

 

「……助けてもいい?」

 

「え、いいわよ」

 

「そうだよね…ごめん……って、いいの!?」

 

私、悩んだんだけどなぁ?

ナミさんの未来を奪った魚人海賊団の幹部を助けるなんて、普通に考えればイカれた事を言ってると自分でも思うし。…だけど、そんな奴でも居なくなればケイミーちゃんが悲しむのなら…私は、助けたいって、思っちゃったんだ。

ナミさんはきっと、私のそんな気持ちまで全部見透かして……。やっぱり、ナミさんは正妻だよ。

 

「はっちん、今助けるよ!…ごめんね、イリスちん」

 

「けっ!コイツらこんな薄情な奴らだとは思わなかったぜ!バ〜〜カおめェら!!」

 

「あ、ちょっと…!」

 

私とナミさんの会話を聞いていなかったのか、ケイミーちゃんとパッパグは制止も聞かずに海へ飛び込んでしまった。

しかもすぐに3人組の魚人に捕まっていた。アレがマクロ一味か?

 

「捕まえたぞケイミ〜!」

 

「きゃーー!」

 

「口程にもねェとはおめェらの事だァ!!」

 

ウソップの突っ込みが刺さり、私は船端の手すりに足を掛ける。

…あいつらがマクロかどうかはこの際どうでもいいや。今私のするべき事が決まったからね。

 

「よっ」

 

「えっ、い、イリス!そこ海よ!?何で飛び降りて…!!」

 

「イリスちゃん!!」

 

私の足が海面に触れる。その瞬間、パキ…と何かが割れるような音がした。

そしてそのまま、私は海面を歩いて(・・・)3人組の近くまで向かう。

…いや、正確には海面ではない。私の足に触れて凍った(・・・)海の上を…だ。

 

「ど、どうなってんだ…イリスの周りだけ海が凍ってるぞ…」

 

「…成程、イリスの能力は倍加、一度空島でもおしぼりを凍らせた事があった筈…恐らくそれと同じ事を海で実行しただけね」

 

流石の観察力だね、ロビン。

ただ1つ違うのは、おしぼりの時はおしぼりの冷たさを2倍にしたのであって、今回は私の冷たさを倍加したってトコかな。

つまり、マイナス方向の倍加。体の大きさとかをマイナス方向には出来なかったけれど、おしぼりや体温に関しては問題なく実行できた。

つまり今の私は足先の体温がマイナス30倍…絶対零度とは何だったのか、深く考えるのはやめよう。

 

「お、おおおい、何だ、どうなってんだ!?海が凍ってるぞ!」

 

「いい加減、その手を離して」

 

「えっ…ブフッ!?」

 

一瞬で後ろに移動した私に気付かない魚人の顔面を蹴り飛ばし、その手に捕まえられていたケイミーちゃんを氷の上に降ろす。ついでにパッパグも助けておいた。

私が動いた場所の周りだけ海が凍ってて何だか面白い。

 

「い、イリスちん…!」

 

「ケイミーちゃん、タコは必ず助ける…だから安心してよ。あと、あんまり動かないでね、危ないから」

 

「う、うん!」

 

氷の上に座っているケイミーちゃんと目線を合わせるようにしゃがんで頭を撫でながら言うと、彼女は頬を染めながら嬉しそうに頷いた。

本当に何が惜しいかって?私の身長だよ!絵面が!!!

 

「イリス!あんま凍らすな!!サニーがそっち行けなくなるだろ!」

 

「心配しないでルフィ!青キジと違ってただの氷だよ、船で砕きながら進めるハズ」

 

私の言葉通り、サニー号は私が凍らせた海を砕きながら前へ進む。

青キジの氷はね、氷の見た目をした何か別の物だよ、うん、固すぎ。

 

「よーし!ゾロ、タコッパチの檻とロープを斬れ!イリスに全部奪われるぞ!」

 

「おう!」

 

「野郎共!戦闘だァ〜〜!!」

 

うおおおお!!!とみんなが雄叫びをあげて戦闘態勢を取った。そうだ、久し振りに全・倍加(オールインクリース)を使おう。女王(クイーン)化と違って反動は重くないし。

…いや能力使えなくなるから重いのか!ちょっと感覚が麻痺してるみたい。

 

「ま、いいや。全・倍加(オールインクリース)っと」

 

おー、これこれ、この目線の高さだよね。生前の王華は世界から逃げたくて私みたいなちっちゃな体を望んだみたいだけど、私はやっぱり大きい方が良い。

 

「え!?お前おっきくなれるのか!?」

 

「まぁね。可愛いとカッコイイ、そして美しいを兼ね備えてるのが私」

 

「その通りだから何も言えねェ…。よし、離れるぞケイミー!ここはこいつらに任せよう!!」

 

「女好き!気を付けろよ〜〜!!もうお前ら罠の中だ!“トビウオライダーズ”が海中から囲ってるぞ!!」

 

そのライダーズさんが何人居ようとも私達に勝てるわけないじゃん。

さて…能力的に、3分でケリ付けてやる!

 

「海中に居るんでしょ?だったら邪魔するのも簡単だね!!30倍灰(さんじゅうばいばい)氷板(アイス・アッセ)!!」

 

ガガガガガガ!!と私が全力で海を広範囲に走ることで、青キジの氷河時代(アイス・エイジ)……の超縮小版が出来上がった。

氷の層は薄いし、1週間も保つなんて事はまずあり得ないけどトビウオライダーズが海上に出るまでの視界を遮る事はできたハズだ。

あ、サニー号の周りまで凍って進めなくなっちゃったみたい。流石にここまで凍らせちゃうと砕きながら前進はキツかったか…まぁでも、ここまで広範囲に氷を張ったんだから足場を作ったって事で許して下さい。

 

「来るよ!!」

 

私の合図にルフィやゾロ、ブルックが船から飛び出し、氷の地に降り立った。他のみんなはサニーの上で迎え撃つ様だ。ミキータは空に行くのかな?あ、ペローナちゃんも降りてきてるね。

 

その直後、氷を突き破りながら何体ものトビウオが飛び出してきた。…が、やはり氷のせいで海中でつけた勢いがかなり落ちたのか飛ぶスピードも最初見た時よりずっと遅い。

 

「ホロホロホロ…初陣だな。ほら、よーく狙って私に攻撃を当ててみろ」

 

「なんだとこの女!!おらァ!!」

 

ライダーの1人が持ってる棍棒をペローナちゃんに叩きつけるが、棍棒は彼女をすり抜けて氷を砕いただけに終わった。しかも、砕かれて足場が無くなっているというのに海には落ちず、ペローナちゃんはその場で浮いている。本体はサニーの中かな。

 

「お前らじゃ相手にもならねェな。ネガティブ・ホロウズ!」

 

『ホロホロホロ』

 

彼女の生み出した何体ものゴーストが空を飛ぶトビウオ、そしてライダー達をすり抜けて墜としていく。んー!優秀だなぁペローナちゃん。

 

「キャハハ!私も負けないわよ!(ブレス)!」

 

対抗してミキータもふわりと浮かび上がり、ペローナちゃんのゴーストから逃れたライダーズを持ち前の機動力の高さで追い詰めて狩っていく。

ミキータの能力であそこまでビュンビュン縦横無尽に動き回られたら対応するの大変だろうなぁ。なんたって高速移動する1万キロの物体って訳だし…うん、やばい。

 

「おほー!最高!!」

 

ルフィはトビウオライダーズのトビウオを1匹奪って代わりに乗り、空の移動を楽しんでいるようだ。じゃあ私はトビウオが出てきた穴でも塞いでおこう。

 

「おらガキィ!てめェを倒せばこの氷も無くなるんじゃねェのかァ!!!」

 

お、ライダーズの1人が空から私に突っ込んできたか。真上から垂直に落ちてきているから、自爆覚悟の特攻かな。

 

「確かに倒せば消えるんだけどね。…倒せれば、ね。消えない傷が残っても恨まないでよ、ケイミーちゃんを狙ったあなた達が悪いんだから」

 

小太刀を抜いて、体温をマイナスにした指で刀身をなぞれば、白い冷気が煙のように刀身から浮かび上がった。

 

10倍灰(じゅうばいばい)去羅波(さらば)氷一文字(ひょういちもんじ)!!」

 

飛ぶ斬撃が冷気を纏って真上に走っていく。それは私目掛けて急降下していたライダーをトビウオごと斬り、いとも容易くKOする事に成功して落ちてきたライダーをキャッチしその辺に放り投げる。流石にあの高さから落下したら死ぬし。

斬った箇所は氷の膜で覆われており、倍加も10倍で済ませてあげたから死んではないだろう。トビウオは知らない。

 

他の面々もそれぞれライダーズを撃破していて、次第に奴らの数は減っていった。

私も何だか蝿叩きしてる気分になってきた…。というか残り時間があと1分くらいだと思うんだけど、ほんとに私の能力って持続力が無さすぎる…!何とかしないといけないっていうのは分かるんだけどね?

 

「ん?」

 

ふと空を見上げると、トビウオに乗ってたルフィが敵のアジトに突っ込んで行ったのが見えた。

あちゃ…ブルックも初陣で張り切って敵を眠らせてるから、それでルフィの乗ってたトビウオも寝ちゃって制御が出来なくなったのか。

 

「うわ!あの野郎、ヘッドの部屋に!!」

 

ライダーズの1人がそう叫ぶ。ヘッドって事は、こいつらのボスか。

なら丁度いいや、ルフィに任せてたらそのヘッドとやらをぶっ飛ばして来てくれるでしょ。それでこの戦いは私達の勝ちって事で。

 

「うーん、結構減らしたと思うんだけど、まだ居るね」

 

「お前のソレもそろそろ切れる頃合いじゃねェか?」

 

「あ、ゾロ。んー…そうなんだよね…もういっそ女王(クイーン)化してこの島もどきを塵に変えた方が早いかな?」

 

「ニュ〜!油断して、ロロノアめ!!」

 

ついさっきゾロに救出されていたはっちん…ハチが、その6本の腕に剣を構えて突っ込んでくる。

…ああ、ハチから殺気を全く感じないと思ったら、ゾロ目掛けて突撃していたライダーが居たのか。ハチはそいつを斬り倒し得意気に腕を振ってみせた。

 

「そういうあなたもね」

 

「ニュ!?」

 

斬った後無防備になったハチに攻撃しようとしたライダーをゾロが斬って撃墜する。

 

「お前はツメが甘えんだよ」

 

「し、死ぬかと思った…ありがとうな」

 

「ん、あれルフィじゃない?」

 

アジトの方からダッシュで走ってきたのはルフィだった。何で逃げてるんですかね、絶対ヘッドっての倒せるでしょ!

 

「何してるのルフィ!」

 

「仮面のやつと牛が来ててよ!!逃げろ!でっけェぞ!」

 

「でっけー?」

 

確かにさっきから低い牛の様な声が響いてるけど、これがそのでっけーやつの正体だろうか。ルフィも牛って言ってたし合ってるよね?

 

「モ、モトバロの声だ…!!」

 

ライダーズの1人がそう呟いたのが聞こえる。モトバロ…牛の名前か。

 

「何か出てきたぞ!」

 

ウソップがアジトを指させば、ルフィが逃げてきた所から巨大な牛と、それに乗った男が現れた。

自分らのアジトすらも踏み潰して出てきており、何というか背水の陣の様な意気込みすら感じる。

 

「バタバタと叩き落とされやがって!!蚊やハエじゃねェんだぞ!もうこのアジトはいらねェんだ、麦わらの一味さえ殺せりゃあな!!どけ!!魚人や人魚に用はねェんだ、逃げたきゃどこへでも行きやがれェ!!!」

 

そう言って進路上にいたハチを押し除けて男は私達の前に現れた。

ライダーズからヘッドと呼ばれているから、こいつがボスなのだろう。

 

「俺は好きでこんな人攫い稼業やってんじゃねェんだよ!!よく分かってるよなァ、おめェら…!」

 

「も、勿論です、ヘッド!」

 

「めでてェ日だ今日は…!殺したくて殺したくて夢にまで見たその男が…!!今俺の目の前に居る!!ありがてェ…神様ってのァ居るんだなァ…!!ある日突然、俺を地獄のドン底へと突き落としやがったその男…!俺は今日ここで、例え刺し違え様とも必ずお前を殺す!!」

 

なんかあいつ、サンジの方見て言ってない?

 

「海賊、“黒足のサンジ”!!…会いたがったぬらべっちゃ…」

 

やっぱり標的はサンジだったみたいだ。それにしても怒りで凄い訛ってる…意味は分かる訛り方だから助かるけど。

私は軽く跳躍してサニーに乗り込みサンジの隣に行く。

 

「サンジ何かしたんじゃないの?ほら、バラティエの時とかさ。あ、あれは?何だっけ…私最初しか居なかったからあんまり記憶に無いんだけど…クリーク?だっけ、そいつとか」

 

「いや…奴が恨むなら俺じゃなくてルフィだ。…それにあの時代は人に恨みを買う事ばっかやってたから」

 

「すっトボケてんじゃねェ黒足ィ!!ごく最近の話だ!!!」

 

「危ねェ伏せろ!!銛だ!!!」

 

そう言って、手に持つ小型のガトリングから銛を連射してきた。ウソップの声でいち早く死角に逃れて、同じようにサニーの上でライダーズを相手にしていたナミさんとロビンを守るように私の体で隠す。

ペローナちゃんは船の中だし、ミキータは空だから今は心配要らないだろう。

 

「最近だと!?ますます分からねェ」

 

「…待て!この銛、何か変だぞ!!」

 

サニーの甲板に刺さった銛から、何かが溶ける様な音が聞こえてウソップが汗を垂らした。

…毒だ。クロコダイルが使ってたのと効果が似てるからまず間違いない。

 

「コイツはサソリの毒の銛!刺されば3分であの世へ行ける!!俺の怒りの程を知れェ!!てめェも一味も皆殺し(・・・)だァ!!!」

 

更に追加で何本もの銛を飛ばして来て、私はそれを掴んで捨てたり、弾いたりして対処する。

毒?耐性倍加で平気です。

 

…ただ、

 

「皆殺しって言葉は聞き流してあげられないね…。私の嫁を、殺させる訳には行かないし」

 

「だったら手伝ってやる。あの銛が何かの間違いで“本体”に当たれば面倒だ」

 

ペローナちゃんに頷き返して、サニー号を飛び降り男の元へと真正面から走る。

ペローナちゃんが私より早く行動を開始して奴に近付き、奴は墜とそうと毒の銛を放つも当然それは体をすり抜けて意味がない。そして、彼女の幽体が男の体をすり抜けた。

 

「……おら、もし生まれ変わるなべら、ミジンコになりてェぬら…」

 

「相変わらずその能力、凄い効果だ…ね!!」

 

「ッ!!」

 

牛の顔を踏んで足場にし、落ち込んで項垂れていた奴の仮面だけを蹴り飛ばした。

こいつを無力化する前に、まずは正体を知っておかないと…こいつの恨みが万が一、億が一正当性のある物なら知っておかないと可哀想だろう。それと私の嫁を殺す発言した事とは別の問題だけど。

 

………って…!!!

 

「う、うそ…!」

 

「オイ…こりゃお前…」

 

スタン、と牛から降りて着地した私の隣に浮かぶペローナちゃんすらも目を見開いて驚いていた。

きっと他のみんなも…特にサンジの衝撃は計り知れないだろう…。

 

「…!!なんだ、今の…まるでこの世の全てに絶望した様な気持ちは…!!…まあ、いいさ。絶望ならとうにした…!!よく見ろ…!!この俺の傷付いた顔をよく見ろよ…!!」

 

私ですら見た事のあるその“顔”は、サンジが忌み嫌っていたアレに他ならなかった。

…まさか、まさか本当に…実在していたなんて。

 

「今日という日を待ってたんだらべっちゃ…貴様をブチ殺すと心に決めでオラは海さ出た…!だどもおめェを探すのは大変だったべっちゃ…!手配書と本人の顔が違ーがらなァ…!海軍や賞金稼ぎはもすかすて、本人を見がけでも素通りがもすれねェぬらなァ!!!」

 

周りのトビウオライダーズも涙を流してその話を聞いている。

そんな中、サンジはサニー号から飛び降りてこっちに走ってきていた。

 

「…いィや、そんだら事はねェ、奴らはお前を見づける!見づけで、そいづらこう言うぬら…。「見づげだどー!黒足のサンジ!!」ーーーーそしてオラは(・・・)言う。ーーーーオラ違うよォ!!!オラそんな奴知らねェよーー!!海賊ですらねェぬらべっちゃ!!」

 

奴がその顔から涙を流して叫んだ。

…手配書のサンジそっくりな、特徴は捉えてるけど全然別人のあの顔がそこにはあったのだ。

 

「分がるか!?ある日突然命を狙われたオラの恐怖!!…なしてオラが…海軍本部に追われなぐっちゃならねんだ!!名のある賞金稼ぎに殺されがげにゃならねェぬら!オラが一体何をすた!?オラの人生を返せェ〜!!!」

 

「知るかァ〜〜〜〜!!!!」

 

「ボベ〜〜!!」

 

走ってきていたサンジに顔面を蹴り飛ばされて牛から落ちる男。

いやぁ、世界って広いね!

 

ていうか、その顔で海軍本部に狙われるのなら…まずは髪とか髭とかをどうにかすれば良かったんじゃないかなって思うんだけど…言っちゃダメなんだろうか。

 

 




次回のトビウオライダーズ戦はダイジェストで終わらせます。
時間をかける必要も無さそうですので!
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