ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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119『女好き、女王と女帝』

石化してしまったマーガレット達を闘技台の外へと避難させ、私は蛇姫…女帝と向き合う。

ルフィの方は……、うわ、ルフィの相手も2人とも能力者なんだ…!ヘビに変化してるから、ヘビヘビの実って所だろうか。

 

「言っておくが、わらわは童だとて手は抜かぬぞ」

 

「大丈夫、ここに子供なんて居ないから」

 

女帝の椅子となっていた大蛇はその女帝をいつでも援護できる様に周りを這っていた。

…うーむ、最初はルフィの方と違って1対1だからまだマシかと思ってたけど、この人…対峙したら分かる、物凄く強い人だ。

 

「30倍じゃ厳しいかな」

 

「何をぶつぶつと…、わらわ直々に処刑するなど初めての事、光栄に思うが良い」

 

「そうだね、あなたみたいな綺麗な人を嫁に出来て光栄だよ。どうもありがとう」

 

「……、その戯言を受ける気など毛頭無いが、わらわは元より誰のモノになる気もないッ!!」

 

っ…と!ビックリした…急に蹴りが飛んできた…!!

何とかそれは避けたが、その時私の背後にあったバキュラの檻が蹴りの犠牲となる。

 

「…えっ」

 

蹴りが当たった檻が石化してる…!?石になるのはあのメロメロなんたらだけじゃないんだ…!

石化は何の耐性を倍加したって意味ないよね…、石化耐性なんてそもそもないし!

 

「ほっ!」

 

後ろへと跳んで距離を取り、床を踏みつけて瓦礫を生み出す。接近戦は危険過ぎる…遠距離のメロメロなんたらは気を付けてれば当たらない程のスピードだから問題ない、あの脚技が厄介なんだ。

 

「それそれっ!」

 

瓦礫を連続で蹴り飛ばして女帝を狙う。どこへ避けても当たるように頭上、左右にも飛ばしてある、避けようはない!

 

「何じゃコレは、子供のごっこ遊びに付き合っているヒマなど無い。虜の矢(スレイブアロー)!」

 

「何ソレ!」

 

私が蹴り飛ばした瓦礫は彼女が生み出した幾本ものハートの矢に射抜かれて砕け散る。

瓦礫の総数よりもハートの矢が多かった為、余り球は全て私へと跳んできたが横へ跳んで何とか躱した。

 

小太刀は使えないな、流石に刀傷を残すのは可哀想だし。

どうにかして直接ぶん殴るか…拘束するしか無さそうだね。

 

「仕方ない…行け!」

 

「なんか“私”、ずっとこんな使われ方してる気がするんだけど!」

 

神背(ヒューマ)で“私”を生み出して女帝へ特攻させる。私もその後ろをついて走り、これで彼女がビームを放とうが矢を放とうが私本人が石になる事は無いって寸法だ。

 

「厄介な能力じゃ…!サロメ!」

 

「蛇相手に遠慮なんかするか!30倍灰(さんじゅうばいばい)

去羅波(さらば)一文字(いちもんじ)!!」

 

後ろから飛びついて来た蛇に斬撃を喰らわせて動きを止める。だけどこの蛇、私の攻撃を喰らってもそんなにダメージを負ってない様に見えるね…。ペットでこの強さってどうなってんの?

 

芳香脚(パフューム・フェムル)!」

 

「うぐ…!速…っ!?」

 

…!しまった…!“私”が石に…!

と言う事は…私本人が特攻しても同じ未来を辿るだけか…。

 

「うわァああ!!?」

 

「ルフィ!」

 

2人の相手をしていたルフィが私の近くへと吹き飛ばされてきた。

横目で戦闘を見てはいたけど、あのヘビに変身した2人もマーガレット達と同じで覇気が使えるようだ。そして恐らく…目の前のこの人も。

 

「フ…口程にも無いとはこの事じゃ、わらわが出るまでも無かったやも知れぬ。ソニア、マリー!これ以上は時間の無駄じゃ、一刻も早く終わらせよ」

 

「じゃあ、遊びはこの辺にして…」

 

「……!!」

 

「受刑者達に“絶望”と“死”を与えましょ…」

 

巨大な大蛇の体に変身しているサンダーソニアが、その長太い尾で石になったマーガレットを巻き持ち上げた。

 

「私とルフィの処刑じゃ無かったの?マーガレットは関係無いじゃん!」

 

「このコには悪いけど、それがあなた達にとっての罰になるから」

 

くそ…これは力を出し惜しみしてる場合じゃ無い…!後先考えるよりまずはマーガレットを助けないと!

 

「ふざけんな!おれ達とお前らとの決闘だろ!!」

 

「決闘だと思ってるのはあなただけ。そっちのお嬢ちゃんですらこれが公開処刑だと理解しているというのに…。大人しく見てらっしゃい」

 

「オイ!やめろ!!あ、バカ…そいつをもっと大事に扱えよ!!どうなっても知らねェぞ!!」

 

私はサロメに、ルフィはマリーゴールドに巻きつかれて身動きが取れなくなった。

次第にルフィの顔には焦りが生まれる。…私をチラチラと見てくるのは何なの?

 

「どうなると言うのかしら?そこで大人しく見てらっしゃい…!姉様の受けた心のキズはこんな物ではないわ!!」

 

「バカかお前!やめろよ!冗談でもそんな事すんな!!」

 

「いやね、下品な言葉…。行くわよ、……3…2……1!!」

 

カウントダウンが始まり、サンダーソニアがマーガレットを地面へ叩き付けようと尾を勢いよく落としーーーーーー、

 

 

 

「やめろっつってんだろうがァ!!!!」

 

 

「…あ」

 

私が女王(クイーン)化を発動したと同時、ルフィの内で眠る“覇王色の覇気”が爆発した。

その気迫に押されてサンダーソニアもマリーゴールドも、そして女帝さえも目を見開かせる。

観客席に居た人達の中でも何人か倒れる者が現れ、それを起こした張本人のルフィは、サンダーソニアの力が抜けてそっと地面に置かれたマーガレットを見て安心した様にため息をついた。

 

「何だ、言う事聞いてくれたのか、物分かりいいなァお前ら!そりゃそうだ、そんな事したらイリスがキレ……げェ!?変身してんじゃねェか!!」

 

「当たり前でしょ、ルフィが代わりに助けてくれたから良かったものの、そうじゃなければ私がサロメを引き千切ってでも助けてたよ」

 

「…し、シャ〜…」

 

私に巻き付いていたサロメは、私の風貌の変化…そしてその内から発せられるオーラがさっきまでとはレベルの違う物となっている事に気付いて逃げるように女帝の後ろへと移動する。

 

「…わらわと同じ覇王色…!?ただの小僧ではないのか…あやつ……!!」

 

「同じ?あなたも覇王色使えるんだ」

 

「……そなたもまた随分風貌が変わった様じゃな。…ッ!?」

 

ほんの少し覇王色を外へ放出してやれば、女帝は私を信じられないものを見る様な目で見てきた。

 

「まさか…そなたもか…!?」

 

「覇王色が使えるだけで何をそこまで驚いてるの?驚くのは…ここからだよ!ルフィ!そっちも早いこと終わらせて!私は長期戦無理だから合わせてね!」

 

「くっそ〜!お前らがもっと早くにおれの言う事聞かねェからだぞ!いいかお前ら、良く覚えとけよ…イリスを怒らせんな!」

 

何で私限定?

…前から思ってたけど、ルフィって私の怒りに敏感じゃない?そこだけなんでそんなに気にしてるんだろ、ルフィらしくないんだよね。

 

「言っておくけど、私は強いよ」

 

「何を言う、この不届きも…ッ…!ぐ、!?」

 

女帝が目で追えない速度で背後へ回り込み、首筋を掴んで地面に叩きつける。よし、捕獲っと。完全に不意打ちみたいなモノだったから良かったけど…正面切って戦ってたらこの状態でも面倒な相手だったに違いない。

 

「え…蛇姫様…?」

「き、きっと敵を油断させる為の演技よ!」

「そうね!確かにあの体勢なら、いつでも“ゴルゴンの目”を解放出来るわ!」

 

ゴルゴンの目?…そりゃこの人の技は石化系だけど、それとゴルゴンに何か関係があるの?…まさか、背中のあのマークが何かしら切り札の様な物の発動媒体…!?なら、背中の服を破ってサンダーソニアとマリーゴールドに見せれば…!

 

 

『そなたらが見た背中のコレは、わらわ達が例え… 死んでも(・・・・)見られたくないものじゃ…』

 

 

「……、」

 

……死んでも、か。

 

ふぅ…、駄目だね、私ともあろう者が…1度ならず2度までも美女の心に傷を残す所だった。

ただでさえオシャレだなんだと言ってしまったんだから、これ以上傷付ければ私はハーレム女王になんかなれやしない。

 

「…やめ、私の勝ちね。船もいらないから1日だけこの国に滞在させてよ」

 

「…ッ、何故、トドメを刺さぬ…!この様な屈辱…わらわは受けとうない…!!」

 

「そうは言っても、見てよあれ」

 

くい、と顎でルフィ達を指せば、もう決着はついていた。

何故か服が燃えているサンダーソニアが、うつ伏せの状態で闘技台から観客席までの橋となっていたのだ。

観客席を掴む腕を離せばその下は剣の山、離すことなど出来る筈もなく…そんなサンダーソニアの背中にルフィが飛び付いていたのだ。

マリーゴールドはルフィを剥がす事が出来ない。ただ見ているだけだ。それもその筈…背中に張り付いたルフィの体が…彼女の背中にあるマークを隠しているのだから。

 

「私もルフィも、あなた達を殺したくない。あなた達が私達を殺したくてもね。で、どうする?まだやるの?」

 

「………っ、何故、そなたらがわらわ達を守ろうとするのじゃ…!」

 

「殺したくないからだって言ってるじゃん。美人は世界の宝だよ、何よりも大事にすべきだと思う!」

 

私の言葉には納得していないようだったけど、女帝はすぐに体から力を抜いた。

 

「じゃ、反撃してよ」

 

「…わらわの……ぐ、…負け、じゃ、そなたもさっきそう言ったであろう…!」

 

「そうだよ、あなたの負けだよ。でもそれを国民に伝えたらまずくない?演技で私が負けておくから、私を倒して国民をここから遠ざけた方がサンダーソニアも助けやすいんじゃない?」

 

「…ぐ、屈辱じゃ…!覚えておれ…!!」

 

私も女帝を掴んでいた腕の力を緩め、その直後に私の拘束から抜け出した女帝の蹴りで闘技台の端まで蹴り飛ばされた。なんだかんだ溝にある剣の山に落とさない辺り良い性格してそう。落ちてもこの状態だからノーダメだけど。

 

「「武々」は終わりじゃ!ゴルゴンの目が晒される前に、みな会場を出よ!!」

 

「!!」

「大変…!」

「闘技場の外へ!石化してしまうわ!」

「ゴルゴンの呪いよー!!!」

 

おー、流石は女帝、蛇姫様の一声。あんなに集まっていた人達が蟻の様に外へ出て行ってる。

…どうしよ、まだ効果時間あるけど女王(クイーン)化解こうかな、いやでも動けなくなるからなぁ…。どっちみち動けなくなるからこの国の1日滞在をお願いしたんだけどね?

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「こめんなさい姉様!」

「敗けた上に敵に救われるなんて!!」

 

「…よい、わらわも同じ事じゃ」

 

女帝の発言に2人は目を見開いて私を見た。ふふーん、やるでしょ私!

 

「じゃあ3人の石化を解いてよ、何も悪い事してないんだからさ」

 

「そうだ!おれ達を庇ってくれただけだ!お前なら何とか出来るだろ!?」

 

女帝は何か思い詰めた様な表情で目を瞑った。

…な、なに?まさか解除出来ないとか…。

 

「確かに、その石化はわらわなら自在に解ける」

 

出来るんかーい!何をそんな難しい顔する必要があったんですかね?

 

「しかし、そなたら…船で行きたい場所があると言っておったな。小娘、そなたに関してはこの国で1日滞在したいとも。…聞ける望みは1つじゃ、その者達の石化を解くか…」

 

「ホント?ありがとう!じゃあ石化を解いて!やったねルフィ!」

 

「あァ、良かった!ありがとう、こいつら助けてくれるんだな!どうもありがとう!」

 

「……!!」

 

ルフィと同時に頭を下げてマーガレット達を女帝の前まで運んだ。

難しい顔してたのは私達を試そうとしてたからかな?でも残念、それじゃ2択にはならないんだよね。私が嫁候補を見捨てる訳無いじゃん。

 

「ふー!じゃあ私能力解くから、ルフィよろしくー」

 

「え?ああ、分かった」

 

「……ふにゅ〜」

 

ポス、とルフィの腕の中へ倒れ込んで全体重を預ける。ナミさん達が見たらめっちゃ怒りそう。

女帝達もそんな私を見て驚いていたが…仕方ないじゃん、動けないもんは動けないの!

 

 

 

その後すぐ女帝は3人を元に戻してくれた。3人共石化される前後の記憶が無いみたいだ。まぁいいや…無事で良かった。

 

で、今はルフィと一緒に「九蛇城」という城の『皇帝の広間』に案内されていた。何やら私達に用があるらしい。

ていうかここ、私達が浴室に落ちた城だね。

 

「何だ?用って。あ、戦いの後のお食事というわけですかねえ、なァ!そういうわけならおれは喜んで…」

 

「そんな訳無いじゃん、こんな意味深にカーテンで区切られたベッドの前に座らされてるのにさ」

 

そしてその向こうからは服を脱いでいる衣擦れの音が聞こえている。この場に居るのは私とルフィを除けばサンダーソニアとマリーゴールドだけで、つまりカーテンの向こうに居るのは女帝…。服を脱いでいるのか、着替えているのか…どちらにせよ大変耳によろしい。

 

「あなた達にはお礼を言わなきゃね…ありがと」

 

「お礼?国の規則を破って侵入したわけだし、許してくれた事に私の方からお礼言いたいくらいだけど」

 

「そうは言うけど、背中のものを見られたら私達はもうこの国には居られなかった…」

 

そんなに…?あのマーク、私が思ってるよりずっととんでもない物なのかな…。

 

「入ってよいぞ」

 

「ん?…え、いいの?」

 

「中へ入れ、小娘。男もじゃ」

 

よく分かんないけど、ルフィによろしく頼んで背負って貰いカーテンの奥へと入る。ルフィは飯かな、と涎を垂らしていたがカーテンを捲った途端勢いよく顔を逸らして私をカーテンの中へ放り投げた。

 

「お前…!裸になってるならそう言えよ!おれを殺す気か!」

 

「?何を言っておるのじゃ、そういうのを気にする様な男にも見えぬが…まぁ、よい」

 

女帝はそう言ってベッドの上に座ったままくるりと背中を向け、右手で長い黒髪を避けて『見られたくない』マークを見せて来た。

私は反射的に視線を逸らしたが、女帝は震えながらも言葉を続ける。

 

「ーーーこのマークを、そなたら、どこかで見たと言ったな…今一度よく改めよ。どこで見た……この印の意味が分かるか…?」

 

「…見ていいの?」

 

「構わぬ…さっさと答えよ、あまり見せたい物ではない…!!」

 

「…ルフィ、背中しか見えないから、一緒に確認して」

 

私の言葉にルフィも中へと入ってきて、私と一緒にじっとそのマークを凝視する。体動かせないからよく見えないんだけど…私はやっぱり見覚えないかな…。

 

「…私は、見た事ないかな、ルフィは?何処かで見た事あるんでしょ?」

 

「……、う〜ん…、やっぱり、おれが知ってんのとは少し違うみてェだ。ハチのおでこにあったマークかと思ったんだけど違うだろ?おれの勘違いだな、そのマークは知らねェや」

 

ああ、確かに似てるかも。女帝の背中にあるのは何かの蹄のようなマークだけど、ハチの額にあったのは太陽のマークだもんね。マークの中心が大きな円なのはどっちも同じかな。

 

「にしても魚人の中でも珍しいらしいタコのハチと、こんな美女が付けてるマークを見間違える?普通」

 

「マークは魚人でもハチでもねェんだから仕方ねェじゃねェか」

 

まぁそうだけど。

 

 

「知らニュのなら、話してやるがよい!」

 

「ニョン婆……!」

 

一体いつ、どこからこの部屋に入ってきたのか、1人の年老いた女性が蛇の杖を突いて歩いてきた。

蛇の杖って言っても本当に蛇の杖だからね?蛇型とかじゃなくてそのまんま蛇が杖になってるからね?

 

「!!またどこから…!」

 

勢いよくカーテンを開けた女帝がニョン婆と呼ばれた人物に問い詰めるが、当の本人はそれを流して言葉を続ける。

私はそれよりも早く女帝に上着を着てほしい。

 

「その者達の懐の深さ…しかとその目で見たハズじゃ…!安心して全てを吐き出せ…!おぬし!海賊モンキー・D・ルフィと逃げ足の女王、イリスで間違いニャイな!?」

 

「え?お婆ちゃん、私達の事知ってるの?」

 

「これだけ世間を騒がせておいてノンキなもニョじゃ。見よこニョ新聞、こニョ娘…つい先日“中枢”のすぐ側にあるシャボンディ諸島にて、“天竜人”を蹴り飛ばすという…!神をも恐れぬ大事件を引き起こした張本人じゃ!!」

 

正確には蹴り飛ばすというか踵落としだけどね。

…ん?ていうかもう新聞の記事になってるの?だったら名前も逃げ足から改名してくれないかな!神をも恐れぬって言うなら逃げ足って異名はおかしいんじゃないかな!!

 

 

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