ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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123『女好き、レベル3へと到達する』

30倍灰(さんじゅうばいばい)…!去羅波(さらば)礫太刀(つぶてたち)!」

 

「ガルゥ!?」

「ステーキ!?」

「カンシュ!?」

 

30倍の速度を利用して放った礫の様な斬撃が、私達を追う人面ライオンを切り刻む。

なんかさっきからこのライオンに追われてるんだよね…、Mr.3が言うにはこいつらは「マンティコラ」という名前らしいけど、なまじ顔が人なだけあってインコの様に人の言葉を喋れるそうだ。

それを囚人達が面白がって色々言葉を覚えさせているらしい。

 

人面ライオンといえばスリラーバークでも一度見たけど、あれはホグバックが造ったゾンビだし…まさか本物が居るとは思わなかったよ。

 

「もう…!1頭1頭は大した事ないけど…数が多い!ルフィ、早く次の階に行く道見つけないと…!」

 

「おう!なァお前、力を貸してくれるって言ったよな」

 

「勿論だガネ、ここは1つ力を合わせて脱獄しようじゃないカネ!」

 

「脱獄?そんな事よりレベル3への道はどこ?」

 

私の言葉に驚いて一瞬固まるMr.3。今立ち止まれるなんて凄いなぁ、あの数の人面ライオンに追いつかれればどうなるか分かんないってのに。

 

「脱獄じゃないのカネ〜〜!!?レベル1へ登るのでは!?」

 

「まぁ最終的にね!だけど今はもっと下の階…エースを助ける為にそこを目指してるの!」

 

「火拳のエースを救出〜!?イカレてるガネ!逃げるガネ!!…グエッ」

 

そう言って別の道へ逃げ出そうとしたMr.3の首根っこを掴んで走る。だめだめ、あなただけは逃してあげない。

 

「どうせエースを助ければまた地上に向かうんだし、今行くか後で行くかの違いじゃん!私達と別行動取った方が危ないんじゃない?」

 

「……(そうだガネ…!レベル1からレベル3までの階段は続いている!その階段を守る怪物の囮にこいつらを使えばいいだけだガネ!私はそこでおさらばだ!)よーし麦わら、女好き!共に行こう!!ついて来……ぶっ!?」

 

私の腕を振り払って前も見ずに先頭を走るMr.3が、目の前の巨大な何かにぶつかった。

…巨大な何かって言うか…私達を追ってくるマンティコラの親玉みたいな奴だ。図体はマンティコラの何10倍とありそうだけど。

 

「階段の守り主、スフィンクスだガネーーーッ!!」

 

「階段の…!?」

 

と言うことは、こいつを倒せば道は開ける!!…んだけど、私はその隙を突いてMr.3に逃げ出されないようにする必要もあるから…。

 

神背・倍加(ヒューマインクリース)

 

とりあえず“私”を出してMr.3につけておこう。これで心置きなくスフィンクスとやらだけを見れるね。

 

「ヴォルルル…ソーメン…」

 

「ソーメン?」

 

「ラーメン…!!」

 

「やば…!」

 

ゆっくりとこちらに振り返ったスフィンクスが、その巨大な腕を振りかぶって私達へと振り下ろしてきた。咄嗟に後ろへ飛んで避ければ、躱したというのにその腕の風圧だけで体が吹き飛ばされてしまう。

床への衝撃も物凄い…なんて力だよこのでかライオン…!

 

「おっと、どこに行くのかな?あなたは逃さないよMr.3」

 

ナイス“私”。やっぱり神背(ヒューマ)使ってて良かった、速攻で逃げようとしてるじゃん。

 

「どうして女好きが2人になっているのだガネ!?というより何で私にそこまで固執する!?」

 

そりゃあなたが居ないと作戦が始まらないからだよ。っと…!

 

「ヴォルルルルルッ!!!ジャージャーメン!!」

 

「まだ全・倍加(オールインクリース)を使う訳にも…はー、面倒だね!30倍灰(さんじゅうばいばい)巨大な腕(グランデアルム)!」

 

両腕を倍加させて飛び上がり、スフィンクスの顔前で構えを取った。見れば見るほど人間みたいな顔してる…麺類を中心に覚えさせられてるのも何だか面白い。

 

「行くよ…!去柳薇(さよなら)銃乱打(ガトリング)!!」

 

「ヴォバブッ!?」

 

「おれも行くぞ〜〜ッ!!ゴムゴムのォ!バズーカ!!!」

 

「ヴォルルゥ!!」

 

私の今出せる1番火力の高い技とルフィのバズーカを受けても大したダメージになってないっぽいな…流石インペルダウン、レベル2の番人程度で既に私が全・倍加(オールインクリース)を使わなきゃ余裕で勝てない敵だなんて…。しかも今はその全・倍加(オールインクリース)を使えない状況だし。

 

「まずい…っ、へぶ!」

 

空中に浮いて避けようの無い私にスフィンクスのネコパンチが炸裂し、吹き飛ばされて壁にめり込んだ。

 

「いったぁ…!」

 

「こ、こっちにも来るガネ〜!?あ、2人して卑怯だガネ!そんな高い場所へ逃げて!」

 

ぬぐぐ…バギーは飛んで逃げてるのか…!ルフィは何かスフィンクスの頭に乗ってるし…あー痛い…30倍を使ってもこの体じゃあこんな物か…情けないな。

 

「ヴォルルル!!」

 

「ぎゃああああ!!」

 

スフィンクスの右腕を振りかぶった一撃がMr.3に直撃する。いや、正確にはMr.3じゃなく…。

 

「フハハハ!!引っ掛かったな単純動物め!それは私のドルドルの能力で作り出した蝋人形!ミス・ゴールデンウィークの着色無しでは物足りないが動物の目をダマすのには充分だガネ!!」

 

色こそはついていないものの、何10体ものMr.3人形をその場に作り出してスフィンクスを翻弄する。

今そこに蝋人形があるのなら実践練習が出来そうだけど…スフィンクスがモグラ叩きみたいに叩いて叩いてしてるから塗ってる暇は無さそうだ。

…だからこそ、練習には都合が良い。

 

30倍灰(さんじゅうばいばい)、ペイント!」

 

壁から抜け出し、腰に下げてあるバックからパレットと筆を素早く取り出してスフィンクスの真下にあるMr.3の蝋人形へと着色を開始する。

本番も塗ってる暇なんてない…一瞬の出来事なんだ!これくらい緊張感のある方が良いってもんだよ!

 

「なっ…私の蝋人形に着色を…!?」

 

「こんな時に何やってんだアイツ、頭イカレてんのか!?」

 

確かにこんな状況で颯爽と道具取り出して塗り始めるって頭おかしい人みたいだよね。でも仕方ないじゃん!こんな形で練習出来るなんて思っても無かったんだから!

 

「…ほべっ!?」

 

「イリス〜!?そんなトコに居たら危ねェだろ!!」

 

あ…あともう少しで塗り終わるという所でスフィンクスに潰されてしまった。

だけど今の30倍…しかも全・倍加(オールインクリース)を使ってない状態であそこまで塗れたのなら本番でもきっと通用する筈だ…!いや、成功させてみせる!

 

「危ない!」

 

再度スフィンクスに潰されそうになった所を“私”が腕を伸ばして助けてくれた。

 

「ごめん、ありがとう」

 

「仕方ないよ、ペイント上手くいきそうだね!」

 

「うん…!後はこのでかライオンをどうにかして下に行かない……と!?」

 

ボゴォン!!と足場が崩れたと思ったら、崩れたどころか床が抜けていて体が浮遊感に包まれる。

モグラ叩きだけでこんな分厚い床をブチ抜くってどんな力してるの!ていうかこんな怪物置くならもっと床を強固に…!……いやでも待てよ?これって下に落ちてる訳だから、まさかこの先は…!

 

「ぎゃあああああ!!このバカ怪物め!フロアの床をブチ抜きやがったァ〜〜!!!」

 

「まずいガネ〜〜!!」

 

「オイオイ!この下レベル3だぞォ!!?」

 

お、やっぱりね。

て言っても私も危ないなコレ。下に何かクッションがあれば別だけど、流石にこの高さから落ちてその下に針山が待っていた時には痛い所じゃ済まないだろう。その時は全・倍加(オールインクリース)もしくは女王(クイーン)化を使うしか…!

 

 

「うわあああ!!」

 

「何か暑い…!耐性倍加っと…」

 

下が見えてきた…!…なんだアレ…砂!?砂漠!?何にせよ着地点が砂ならそうそうダメージも負わないだろうからスフィンクスにでも捕まっておこう。

 

 

ドォン…!!

 

 

そうして私達はレベル3の砂漠みたいなトコまで落ちてきた。天井も高いし、さっきまでのフロアに比べるとかなり広々としている。落下の衝撃は目論み通りスフィンクスが大半を背負ってくれたようで、ついでにそのスフィンクスもノビてるから都合が良い。

 

「あっつ!床が熱い!!」

 

暑さ耐性は倍加したけど熱さはしてないよ!まぁいいや、じゃあそっちも倍加で。

 

「ここ暑ィな…イリスは倍加だろ?おれにもくれよ」

 

「これが無かったら私はただのか弱い女の子だから無理でーす」

 

神背(ヒューマ)も解除しておこう。ん?やけにMr.3弱ってるね。

 

「ろうそくの能力を持つ私には…ここはキツ過ぎるガネ〜…」

 

なるほど…全身ろうそく人間だもんね。じゃあさっさとこのフロアを超えないと…。

 

「うわっ!焼き鳥が降ってきた!!」

 

「上の階のハチ鳥が迷い込んで上空で焼けたのだ…」

 

暑すぎでしょ!!ぜ、絶対能力は解除しないでおこう。

 

「ここはレベル3…飢餓地獄!ぐずくずしてたら我々もあっという間に干からびてしまうガネ…!まだ暑くて汗が出る内にここを抜けなくては…!」

 

「じゃ、急いでレベル4に行こう!」

 

「「行くか!!」」

 

私は大丈夫だとしても、ルフィやMr.3の体力まで奪われるのは問題だ。バギーはどうでもいいけど。

…それより、この階は何かがおかしい。今までの階と違って静か過ぎる気がする…この砂漠のような所を徘徊できる獣や看守が居ないだけかもしれないけど。

 

…ていうか、砂が敷き詰められてあるのは私達が居る一帯だけ?それ以外は普通の床だね…。怪し過ぎる。

 

「Mr.3、この床怪しくない?」

 

「何?…ふむ、確かに…これは罠である可能性が高いガネ。私ならこの下には海楼石の網を張って…今みたいに標的がその上に立ったら網を引き上げて一網打尽にするだろう」

 

「なんだなんだ?まずいのか?」

 

「いや、もう解決したよ。捕まっててね!」

 

ルフィ、Mr.3、バギーの体を腕を増やして大きさも倍加させて掴み普通の床まで一気に跳ぶ。その直後さっきまで私達が居た床から網が出てきてスフィンクスを中に入れて宙へとぶら下げた。天井から網を引き上げる為のワイヤーみたいなのも網に付いていたのか、細すぎてそれは見えなかった。

これは罠でよく見るよね、天井から網ごとぶら下げられる手法。とにかく気付けて良かった良かった。

 

「お〜!すげェなイリス!」

 

「ふふーん」

 

ドヤ。こんな所でバッドエンドなんて勘弁して欲しいし。

 

「くっ…!まさか1人も網に掛からないとは…良く気付いたな…!」

 

大量のブルゴリを引き連れて小さな男が現れた。

ツノの生えた帽子を被って銛を持っている…弱そうな見た目だけど、インペルダウンに居るのだから油断はしないでおこう。

 

「じゃあ悪いけど私達は行かせて貰う……ってアレ!?Mr.3は!?ついでにバギー!!」

 

周りを見渡しても…居ない!視力倍加!……居ない!!どうして…一体どこに!?

まずい…彼が居ないと作戦が…!!

 

「捉えろ!」

 

「邪魔!!」

 

小さい男の指示で飛びかかってきたブルゴリを殴り飛ばす。

邪魔なんだよ!今私は焦ってるんだから!

 

「ギャ〜〜ッハッハッハ!麦わらァ!女好き!エースに会ったらよろしくな!命あったらまた飲もうぜってよ!!」

「フハハハ!精々イイ囮になってくれたまえ!バ〜〜〜カ!!」

 

「!!」

 

上か!!網よじ登って上の柱まで登ったんだろうけど…!

 

「見つけたんだから、絶対逃がさない!!ルフィ、ちょっと別行動でよろしく!」

 

「え?別にいいじゃねェかあいつらが居なくても…」

 

「良くない!!!じゃ、そういうコトで!!」

 

また飛びかかってきたブルゴリの頭を踏んで思い切りジャンプし、Mr.3達の居る柱を腕の長さを倍加させて掴む。それを見た彼らは慌てて逃げ出した。

 

「逃すか!待て〜ッ!!」

 

何があったってMr.3だけは手放す訳にはいかない…!こんなとこで躓く訳には…いかないんだ!!

 

 

 


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