ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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127『女好き、抜け出せインペルダウン!』

クロコダイルと魚人…ジンベエを解放して天井に穴を空けた後、イナズマの能力でレベル5へと続く螺旋階段を作りそれを登り切った私達は、早速次のレベル4へ続く階段を登っていた。

イワンコフとイナズマはレベル5.5に戻ってオカマ軍団とボンちゃんを連れてくる為一旦別行動だ。ていうかクロコダイルはいつ着替えたの?どこにあったのそのいつもの服。

 

「今が朝10時前、処刑は午後3時!その時刻には必ず処刑は実行される!白ひげのオヤジさんが来るとすれば、その何時間も前に仕掛けるハズ!!エースさんはもう海の上、戦いはいつ始まってもおかしくない!!」

 

「白ひげがいつ仕掛けるとかは問題じゃないよ、その情報で大事なのはまだエースは殺されないって事でしょ!」

 

海軍本部もバカだよね、どうして白ひげと全面戦争になるって分かっていながらわざわざ時刻を指定して処刑しようとしてるのか。

自分達の都合のいい時間に行ってしまえば戦争になる前に事を済ませられるというのに…まあ、今回はそのお陰で助かってるんだけど。

 

「フン、扉なんざ無意味」

 

階段を登り切った目の前には大きな扉があり、クロコダイルがそれに右手を添える。

 

「俺の右手は乾きを与える」

 

そのまま扉とそれに連なる岩の壁諸共砂に変えて向こうのレベル4へと足を踏み入れれば、その先には沢山の看守が銃を構えて待っていた。

銃なんか効く人この場にいないでしょ。

 

「こちらレベル4、レベル6より逃れた囚人、七武海ジンベエ!侵入者モンキー・D・ルフィと“逃げ足”イリス!元七武海クロコダイル!!現れました、応戦します!!」

 

「撃て!!」

 

「効くか!くらえ… 30倍灰(さんじゅうばいばい)拳雨(レインファスト)(ラルガ)!!」

 

銃を無視して、腕の数を30本に増やし長さも伸ばして前方に居る看守達を一気に殴り飛ばす。

ルフィ達もそれぞれ看守を大勢撃破していた。ジンベエも強いな…そりゃそうか、看守の話ではこの人七武海らしいし。

 

その上後ろからイワンコフ達も追い付いて来て、テンションホルモンを打って貰ったのかボンちゃんもかなり元気になっていた。

 

「レベル5の囚人も出来るだけ解放してきたわ!このフロアでも手当たり次第の囚人を解放して行きナブル!」

 

ぶっちゃけ悪人を解放するのはかなり気が進まないけど、こうなってしまっては仕方ない…!とりあえず先に看守室に向かい、目につく檻の中に鍵を放り投げていく。

 

「んげ!何でアンタいんのよう!Mr.1!!」

 

「Mr.1?ああ、ゾロに負けた人ね」

 

誰かが解放したのか、レベル3へと走る集団にMr.1も合流していた。

ゾロに負けたとはいえ戦力としては十分だ、雑魚じゃないんだから役には立つだろう。

 

「よーし…行くぞ!海軍本部ーー!!!」

 

このフロアを越えれば後3フロア…!レベル2は大した猛獣も残ってないだろうから抜けやすそうだし、思ったより早くインペルダウンを抜け出せるかもね!

 

「カニちゃん!レベル3へ行く階段どっちだ!?」

 

「左へ!」

 

カニちゃんて。確かに手がハサミになってる時はカニっぽいけど!

 

「ブルゴリが来たぞ!!」

「サルデスも一緒だ!!」

 

前からブルゴリの大群…数だけじゃ足止めにしかならないと思うけど、その足止めでマゼランが到着すれば確かに厄介だ。

 

「暴れろブルゴリ!」

 

「ン〜フフ!!道を開けナッシブル!!“顔面成長ホルモン”!」

 

顔面がめっちゃ巨大化したイワンコフが目を見開く。

インパクトしかない見た目のイワンコフが、更にインパクトのあるサイズになってしまいもうメチャクチャだ…。

 

地獄の(へ〜ル)WINK(ン〜ウィ〜ンク)!!」

 

「うぉ…っ」

 

う、ウインク…??ブルゴリが纏めて吹っ飛んで行ったんだけど?バッチグゥオォン!!みたいなおっもい音響いたんだけど??

ま、まぁいいか、今のでブルゴリ軍団全滅したっぽいし!

 

「ヒーハー!麦わらボーイ!ヴァナタ立ち止まっちゃダメよっ!後ろの事はヴァターシ達に任せて、どんどん前へ!どんどん上へ進みなさい!お行き!!」

 

「わかった、ありがとう!」

 

味方が強すぎて勝ちのルートに入っちゃってるなぁコレ!…ん?

 

「ぎゃあああ〜!!獄卒獣だァ〜!!!」

「3人も居るぞ!!」

 

あ、あれは…マゼランぶっ飛ばした後に見た目隠れ美女!!嫁にしたいけど…私の立場じゃ絶対無理だよねコンチクショウ!!いや、諦めるな…チャンスは掴むもの…!結局今は無理なんだけど!

その時に見たでかコアラやシマウマも居るようだ。コアラ達はそこそこ強いのか脱獄囚やオカマ軍団を容易く蹴散らしていく。

仕方ないか…こっちの頭数を減らされる訳には行かない…!ちょっくら眠ってて貰おう!!

 

30倍灰(さんじゅうばいばい)…って、…私要らないじゃん」

 

巨大な腕(グランデ・アルム)を発動しようとした直後、ルフィとジンベエ、そしてクロコダイルがそれぞれ3人の獄卒獣を持ち技でブッ飛ばした。

 

「…よし!じゃあ残った目隠れ美女は私が相手を」

 

「ンダメよクレイジーガール!!ヴァナータ達は先へ進めと言ったブルわよね!?ヒーハー!!」

 

「多分あの女と話したいだけだろ」

 

「は、はぁ?私が?こんな状況で?自分の欲を優先してるとでも??は、はは!ルフィはそれでも私の乗る船の船長??全く、も、もう少し仲間を信用しても…」

 

「こういう奴なんだ、面白ェし強ェぞ。嫁が絡むと怖ェけどよ」

 

ジンベエも苦笑いを浮かべた。クロコダイルは興味無さげに鼻を鳴らすだけだ。言っとくけどあなたもその嫁関連で私に負けたんだからね!あの時ミキータに攻撃しなきゃ私はあのまま負けてたというのに…。

 

「目隠れ美女はイワンコフが対応してくれてるし、レベル3へ続く階段は目の前のアレでしょ?」

 

「そうだ、だがまだ副署長のハンニャバルを見ていないのが気になるな」

 

イナズマがそう言葉にした直後、階段へ続く扉の前に誰かが立った。

誰だ?般若みたいな顔して…って、ハンニャバルか。なんて分かりやすい名前と顔なんだ…!

 

「ここが地獄の大砦!何人たりとも通さんぞ!!見よ、レベル3へ登る階段には1000人の監獄弾バズーカ部隊を配置している!貴様らに出口など無い!」

 

武器は薙刀か…そのなんたらバズーカってのが何なのかはさっぱり分かんないけど、ただのバズーカなら何千人居ようと同じ事だ!

 

「か弱い庶民の明るい未来を守る為!前代未聞の海賊、麦わら、逃げ足!署長に代わって極刑を言い渡す!かのバスターコールから逃げようとも、海軍大将から逃げようとも、この大監獄から逃げる事など不可能だとその身に味合わせてやる!!」

 

「…悪いけど、それでも私達は逃げるよ」

 

「逃げられるものならな!般若!」

 

「!」

 

何…!?周りの看守達が太鼓やマラカスを取り出してリズムを取り始めた…状況が一切掴めないんだけど…!

 

「般若!デ・リズム♪般若!デ・ニャバル♪ご存知ハンニャカーニバル!“焦熱地獄車”!」

 

ぐるぐると薙刀を高速で縦に回し、このフロアの熱を利用して薙刀の刃に火をつけたハンニャバルがその回転を維持したまま突っ込んできた。

 

「その程度の火じゃ、残念だけど私には通らないよ!!30倍灰(さんじゅうばいばい)去柳薇(さよなら)!!」    

 

「グハ…ッ!」

 

薙刀での攻撃を無視してハンニャバルの顔面に拳を叩き込んだ。気持ち良い程綺麗に入った…!今のはノックアウトレベルの…!

 

「…っき、効かん!!」

 

「うわっ…!」

 

その隙に横を通り過ぎようとした私とルフィに未だ熱く燃える薙刀が鋭く振るわれ、後ろへ跳んで避けた。

 

「どけ!」

 

「やだねー!!」

 

「ゴムゴムのォ〜!!JET(ジェット)銃乱打(ガトリング)!!」

 

ルフィの数多の拳が今度こそハンニャバルを捉えて膝をつかせる。

アレは私でも喰らえば痛いでは済まなそうだ。

 

「…ま、だ、まだァ〜〜〜!!!」

 

「どんだけタフなの…!…じゃあ悪いけど、加減はしないからね!巨大な腕(グランデ・アルム)30倍灰(さんじゅうばいばい)去柳薇(さよなら)!」

 

「ッッ!!!?」

 

ドゴォン…!と地面にめり込ませる様に殴った、今の私が出せる最高火力だ…!幾らタフだろうと…!

 

「ゴフ…!待て…!!」

 

「…この…!」

 

何て奴だ…タフにも程がある…!まさか私が思ってる以上に強いのかな…!?

 

私とルフィだけではなく、Mr.1やボンちゃんにイナズマと、次々にハンニャバルを攻撃するも彼は倒れなかった。

その体は血で黒く染まり、最早薙刀を杖代わりにしなければ立てない状態になろうとも倒れない。

 

「は、ハンニャバル副署長!」

「もう立たないで…!死んでしまいます!!」

 

「何を…!貴様らシャバで悪名揚げただけの“海賊”に“謀反人”…!何が兄貴を助けるだ!社会のゴミが綺麗事ぬかすな!!貴様らが海へ出て存在するだけで、庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!か弱き人々にご安心頂く為に凶悪な犯罪者達を閉じ込めておく、ここは地獄の大砦!!それが破れちゃこの世は恐怖のドン底じゃろうがィ!!出さんと言ったら一歩も出さん!!!」

 

「…なるほど、確かにその通りだね。世間から見た私達は悪…そして政府は正義…!だけど、私達にも私達の正義がある!お互いの正義をぶつけて…最後に立ってた方が勝ちなんだよ、この世界は!!!」

 

「…!なら、私が負ける事は無い…!」

 

自分の正義を疑わないハンニャバルの返答に口角が上がった。私はこの人、どうしても嫌いにはなれないな…こんな人が居るのならインペルダウンも安泰でしょ、いや、これから抜け出そうとしてる私が言っても説得力ないけど。

 

「ふ…副署ちょ…!」

 

「な…、おい、どうしたお前ら!バズーカ部隊!何が起きてる!?」

 

「…!これは…」

 

バズーカ部隊が地面から生まれる“闇”に呑みこまれていた。闇…とくれば間違いない、奴だ…!

 

「やめときな、正義だ悪だと口にするのは!この世の何処を探しても…答えはねェだろ、くだらねェ!!!」

 

いつの間にやら現れたソイツは、ハンニャバルの顔面を思い切り蹴って踏み倒した。

やっぱり…ジャヤで会った大男…コイツが黒ひげ…!!後ろに居るのは仲間か…?全員強者のオーラ放ってる…!

 

「ほうほう、コリャすげェ面子が揃ってやがる。何か取り込み中だった様だな…ゼハハハ」

 

「ティーチ!貴様が何故ここに居るんじゃ!!いや、今は黒ひげと言うべきか…!」

 

「ジンベエ…ハハ、オイオイ物騒だな、その拳は引っ込めて貰おうか。そういやおめェはエースと仲が良かったな…だがおれを恨むのはお門違いだ」

 

ルフィが黒ひげという名前に反応する。まぁ当然だろう、エースを捕まえたのはこの男なのだから。

 

「お前が黒ひげ!?」

 

「んん?そういや名乗った事は無かったな。ゼハハハ…!久しぶりだな麦わらァ!おれも驚いたぜェ、お前が我が隊長…エースの弟だったとはな。フフ…ここに居ていいのか?もうすぐ始まるぞ、お前の兄貴の「公開処刑」がよ…ゼハハハ!!」

 

「心配“ご無”用、ゴムだから…なんちて。さ、早く行こうルフィ、今はコイツらに構ってる暇ないでしょ」

 

「まァ待てよ、少し話そうじゃねェか。後から話を聞いてみりゃあ、そこの元七武海クロコダイルを討ち取ったのはおめェだってんじゃねェか、女好きの…いや、逃げ足の女王イリス…!あの時七武海の後釜を狙ってたおれとしちゃ、おめェかその船の船長の麦わらの首を取って政府に実力を示すのが最も有効な手段だった」

 

だから何だと言うんだ。本当にただ喋りたいだけなの?

 

「だが運命はお前らを守った…!白ひげの船で大罪を犯したおれをずっと追いかけていたエースは奇しくも麦わら、お前の兄だった!弟とその仲間を殺しに行くというおれ達を目の前にして…あいつの退路は断たれた!分かるか?おれ達を逃がせば…白ひげの名を汚すだけでなく弟が殺されちまうからだ!」

 

「運命に偶然など無いのである」

 

「ウィーーハッハ!!立派に戦ってたぜェ、おめェの兄貴はよ!!」

 

「………」

 

ルフィがプッツンしそうな事をペラペラ喋るのはやめて頂きたいんだけど…それより私は黒ひげの後ろに居る“女”が気になった。

おかしいな…王華の話じゃ、現時点で黒ひげ海賊団に女海賊は居ない筈じゃ…?確かこのインペルダウンでカタ…カタリーナ?だか何だかを仲間にするって話じゃ無かったっけ。

しかもその女の人、何故か私をジッと見ている…何なの…怖いんだけど。

生気のない瞳に、紫のストレートロングヘア、そして大きいぽよん。

 

「エースの墓前ではよくよく礼を言うんだな…!あいつが現れなかったら、本来死んでたのはお前らだ」

 

「だったら今…やってみろよ!!」

 

困惑する私を置いて、ルフィと黒ひげが戦闘を始めた。

…あ、確かにルフィの初撃をモロに喰らってるね。慢心と油断てのは本当みたい。

 

「………、入州」

 

「ん?」

 

何…?今名前呼ばれたの?あの女の人に…?

それにしては発音に違和感があったと言うか…まるで私の名前を呼ばれた気がしなかったんだけど。

 

 

私がその人から目を離せないで居る間もルフィと黒ひげの戦闘は続いており、早い段階でジンベエがルフィを止めた。

今は黒ひげと戦っている場合では無いとルフィを諭し、双方睨み合っている。

そうだ、私も今はこの女の人に気を取られている場合ではない!

 

「マゼランが来たぞォーー!!」

 

「…それはマズいね…!ルフィ!行くよ!」

 

女の人は気になるけど、とにかく今はエース優先だ。こんな時にマゼランなんかとガチバトルしてる余裕は無い。

後方から聞こえた報せのすぐ後、同じく後方から爆発音が響いてくる。既に攻撃されてるんだね…最後尾からじわじわと数を減らされているのだろう。

 

「獄卒獣がまた出たぞ〜!!」

「今度はミノタウロスだァ〜〜!!!」

 

アレは…ルフィ達が倒してた牛!復活してるじゃん…!

 

「え〜!?アレはあちし達がやっつけた奴じゃないのよーーう!!」

 

「復活は当然、あいつらは“覚醒”した動物(ゾオン)系の能力者だ。異常なタフさと回復力がウリなのさ」

 

あのコアラとかシマウマとかも悪魔の実だったんだ。私が言うのも何だけど何でもありだね、悪魔の実。

 

「楽しみにしてろよおめェら!」

 

「ん?」

 

「わずか数時間後、おれ達が!!世界を震撼させる最高のショーを見せてやる!!ゼハハハハハ!!!」

 

ジンベエはそれに構うなと言って走り出した。

私達もそれに続くが…最高のショーか…多分それこそが王華の言ってたマリンフォードでの出来事だろう。

黒ひげが世界を震撼させる前に、逆に私がこの世界を震撼させてやる…!辿るべきだった運命は変えてやる…死ななくてもいい人が死なない未来へ…!

楽しみにしてなよ黒ひげ…!そのショーとやらが始まる前に、私が必ずお前達の企みを無に帰してやる!!

 

 

 


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