ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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130『女好き、戦争を駆ける』

「ぶはァ!!あ、ありがとうジンベエ!死ぬかと思った…!」

 

「全く、能力者っちゅうモンは厄介じゃのう…!」

 

結局海へ落ちた私達であったが、能力者は全員ジンベエの迅速な対応によって、海に浮く私達が乗ってきた船の残骸へと乗せてもらった。

 

 

「ルフィ!!!!」

 

「!!…エ〜〜〜ス〜〜〜〜!!!!やっと会えたァ!!!助けにきたぞォ〜〜!!!!」

 

遠くから自分の名を叫ぶ兄の声にルフィが反応する。

なんだかんだと色々あったけど、ようやくここまで来れた…!さぁ、正念場だよ私…!!!絶対にエースを助けるんだ!!

 

「あ、アレは“逃げ足の女王”…!?クロコダイルも居るぞ!!」

「革命軍のイワンコフまで!」

 

「ふむふむ…」

 

視力倍加を使ってざっと辺りを見渡す。

…たしぎちゃん、見た事ないけどピンクの美しいお姉さん。その他にも沢山の美女…戦争って地獄かと思ってたけど、案外そうでも無さそう!

 

…で、王華が言ってた黒ひげが潜んでる場所ってのはどこだろう。まだこの辺りじゃないね。

 

「あ、ワニのヤツ…!!」

 

「ん?」

 

ルフィが慌てて白ひげの船へと走っていった。

ああ、クロコダイルが白ひげの首狙ったからそれを止めに行ったんだね。とりあえずルフィはルフィで放っておいても何とかなるでしょ、私は私の為すべき事をやらなくちゃ。

 

えーっと、王華が言うには青キジや他の人を説得して黒ひげを倒す協力をして貰うんだっけ。…今は海兵がうじゃうじゃ居て厳しいから…。

 

「まずは数を減らそうか!30倍灰(さんじゅうばいばい)去羅波(さらば)一文字(いちもんじ)!!!」

 

「させないよォ」

 

「げ…っ」

 

き、黄猿!?あんな遠いとこから攻撃するなんて卑怯でしょ!

 

私の斬撃が黄猿の脚から放たれる光線に掻き消されて消滅し、更に突き抜けてこっちまで光線が迫ってくる。

 

「ぜ、全員全力で横に跳んで!!!!」

 

大声で指示を出して真横に跳び、何とか黄猿の光線を避ける事が出来た。

あんの猿野郎〜…!今みたいな攻撃を絶え間なくぽんぽこ撃てるってどうなってるの…!

私達は何とかそれを避け切る事が出来たけど、光線が直撃した所の氷の地面や近くにあった私達が乗ってきた船の残骸なんかはその攻撃だけで跡形も無くなっていた。

 

…やっぱり、女王(クイーン)化も無しにやり合っていい訳ないよね。

 

でもこれだけの大混戦、こんな時こそ私の身長を上手く利用して人に隠れながら安全に進軍出来る筈だ。

 

「よし、進もう!」

 

エースの居る処刑台まではまだまだ距離があるけど…助け出すまで女王(クイーン)化を使えない今は急ぐしかない!

 

「どけェ!!」

 

DEATH(デス)WINK(ウインク)!!」

 

みんなも暴れてるし、流石の黄猿もここまでの面子を纏めて消し去るなんて無理だろうからね。

青キジは……、うげぇ…めっちゃ私の事見てるんだけどぉ…!大将だから後ろの方で構えてはいるけど、視線は私から外さないんだけど!!怖い!!

 

「行かせない!!」

 

「あ、ピンクのお姉さん!!」

 

綺麗な人だなぁホント。こんな状況でも無ければ今すぐ求婚したい所だったのに…!インペルダウンの目隠れ美女もそうだったけど、本当に勿体ない…!

 

袷羽檻(あわせばおり)!!」

 

「何これ…!」

 

お姉さんの両手から出る柵の様なものが、まるで檻の様に私の周りを囲む。かなり広範囲に囲ってるから私だけじゃなくて海兵達も入ってるけど…。

 

(わたくし)の体を通り過ぎる全ての物は… 禁縛(ロック)される!!」

 

…なるほど、それでこの檻を閉じれば私を拘束出来るって訳だ。

でもそれじゃあ…!

 

「こんな風に、私の動きが見えなきゃ意味ないよね?」

 

「ッ…!速い…!ヒナ不覚…!」

 

速さを30倍にしてお姉さんを通り抜ける。

ヒナっていうの?悪いねヒナお姉さん、相手してあげたいけどそんな時間もないし…!

…ん?ていうかその名前、どこかで聞いた様な……あ!アラバスタの時の人!

あの時は名前だけしか聞いてなかったからすっかり忘れてたよ、まさかこんな美女だったとは!…くー!求婚したい!

 

「またね!」

 

ここであのお姉さんをスルー出来たのは大きい…!ボンちゃんを簡単に捕まえられる様な相手って訳だし、戦闘してたら時間かかっちゃう。

 

ルフィはどこに……あ、居た。暴れてるなぁ…こんな乱戦でもどこに居るのか分かるなんて凄いと思う。

 

「ルフィ!!来るなァ!!!!」

 

エースはそんなルフィを見て処刑台から叫ぶ。エニエス・ロビーでの私もあんな感じだったのかな…。

ってうわ、危なっ!ちょっとよそ見してただけなのに剣が背後まで迫ってた…!そうだよね…ここは戦場…!それもかなり大規模でレベルの高いモノなんだから油断はして良い筈無かった…!

 

「分かってるハズだぞ!!俺もお前も海賊なんだ、思うままの海へ進んだハズだ!!俺には俺の冒険がある!俺には俺の仲間が居る!!お前に立ち入られる筋合いはねェ!!」

 

近づいてきた海兵数人を巨大な腕(グランデ・アルム)で叩き潰して走る。

 

「お前みてェな弱虫が俺を助けに来るなんて、それを俺が許すとでも思ってんのか!?こんな屈辱はねェ!!帰れよルフィ!!!何故来たんだ!!!」

 

…そうは言うけど、エースも分かってる筈だよ。

例えそんな、思ってもない様な言葉を連ねて遠ざけようとしたって…それが通用する様な人なんかじゃないって事くらいね。

 

「おれは…弟だ!!!海賊のルールなんておれは知らねェ!!!」

 

その言葉にエースは歯を食いしばり、周りの海兵達はどよめく。

ルフィが弟と言ったから、じゃあルフィの父親もロジャーなのか?という疑問が大半だったが…。

 

「親がどうこうとか下らない事言ってるから、目の前の私を見落とすんだよ!30倍灰(さんじゅうばいばい)去羅波(さらば)一文字(いちもんじ)!!!」

 

「ぐゥ!?」

「がはっ…!!」

 

よし、今回は阻止されなかった!結構な数ダウンさせたんじゃないかな。それでも全体で見れば微々たる人数だけど。

 

「ゴムゴムのォ!銃乱打(ガトリング)!!!」

 

…まだまだ序盤だってのに疲れるなぁ…!ただの雑魚兵と戦うならいいけど、ここにいるのはその辺のモブ海兵ですら油断できないから…!

 

『何をしてる、たかだかルーキー2人に戦況を左右されるな!』

 

処刑台の上から司令塔の様な男の声が拡声器越しに聞こえた。その男は私をチラリと見た後視線を戻して話を続ける。

 

『麦わらの男もまた未来の「有害因子」!幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は…「革命家」ドラゴンの実の息子だ!!!』

 

その言葉にまたも周りがざわざわと騒つく。革命家ドラゴンっていう名はそれだけ世界に浸透しているんだね、戦争の真っ只中でも驚きで動きが止まったり鈍ったりしてる人が沢山出てきてるくらい。

 

「ゴムゴムのォ〜〜!!巨人の(ギカント)回転弾(ライフル)!!!」

 

そんな騒めきをかき消すかの様に吠えるルフィが、対峙する巨人族の海兵をその巨大な拳で吹き飛ばす。

 

「エース〜〜!!!好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォオ!!!」

 

親がどうとか、自分の問題がどうとかはどうだっていいんだ。

ただ、死んで欲しくない。その一心でルフィは戦場を駆けている。

 

他のみんなが今のルフィの言葉を聞いてどう思ったのかは知らない。

…ただ私は、かなりやる気が出たよ。

こんなに頑張っているのに…こんなに傷付いているのに…!なのに最後は助けられないなんて許せる訳がない!!

 

「女好き!」

 

「!…あ、たしぎちゃん…!」

 

くっそ…!本当に状況が勿体ない…!

まぁ普通に考えれば海賊の私が海兵を嫁にするなんて無謀もいいとこだけど…!でも絶対いつかは嫁にするから覚悟してよね!!

 

「ていうか、たしぎちゃんが居るって事は…」

 

「どけたしぎ!ホワイトランチャー!!」

 

「やっぱり近くに居るよね!スモーカー!!」

 

煙となって突進してきたスモーカーが繰り出す十手の振りを、かがむ事で避けて後ろへ跳び退く。困ったな… 自然系(ロギア)か。

 

「ルフィはあっちだけど?私よりルフィの方が仲良かったじゃん!」

 

「てめェらと仲良くした覚えはねェがな。少し確かめに来た…“逃げ足”とやらをな」

 

む…私の不名誉すぎる異名関連か。それは今もあそこで私を見てる怖い人に聞いた方が分かるんじゃないかな!

 

「残念だけど…今はまだ本気出せないからまた後でね!」

 

「ハッ!なら尚更逃す事は出来ねェだろう!ホワイトブロー!」

 

「うぐっ!?」

 

ヒナお姉さんの要領で横を通り過ぎれば、後ろからスモーカーの腕が煙となり迫ってきて十手で私の頭を地面に叩き付けた。

う、ぐぅおォ…!!い…痛過ぎる…!!意識が飛ぶかと思った…!そういえばアレ海楼石入りだっけぇ…!!

 

「はぁ…はぁ…か、海楼石は私には禁止だよほんと…」

 

「その様だな」

 

頭から血をドクドク流す私を見てスモーカーがそう呟く。くそ…十手で押さえつけられてるから身動きすら取れない…!

 

「おのれ!離れぬか!!!」

 

「!?ぐ…!?」

 

な…何…!?誰かがスモーカーをぶっ飛ばしたの…!?頭押さえつけられてたから見えないんだよね…!

 

「…!ハンコック!てめェも七武海をやめる気か!?」

 

「黙れ!!怒りゆえ何も耳に入らぬ!!そなたよくもわらわの愛しき人を殴り飛ばし押さえ込んだな!!生かしてはおかぬ…こんなに怒りを覚えた事はない!!そなたを切りキザんで獣のエサにしてやる…!」

 

「は、ハンコック…!!」

 

「はい♡」

 

そっか、もともと私がこの戦争の招集に応じる様頼んだんだからこの場に居て当然だよね…!

でも助かった…今は覇気が使えないからスモーカーに手も足も出ないのは事実だし…。

 

ハンコックはそんな私に近寄ってしゃがみ、胸の谷間からごそごそと何かを取り出す。

どこに保管してあるねーん…むらっとするからやめて欲しい…。

 

「そなたらは必ず生きてここへ来ると信じておった。…これを…!ルフィの兄の手錠のカギじゃ…!」

 

「え…!ありがとう…!!本当にあなたには助けられてばっかりで…!」

 

カギを受け取り、そのままハンコックの手をギュッと握る。

本当に女ヶ島からこのマリンフォードまで…彼女が居なきゃ何も出来なかっただろう。…ダメだ、気持ちが昂ってきた。

 

「よ、よいのじゃ、気にせず先を…先を急ぐのじゃイリ…っ」

 

私に手を握られただけでアタフタしてるハンコックをぐいっと引っ張り、そのまま強引に口付けを交わす。

…ゆっくり堪能してる暇も無い…!舌を絡める余裕すらない…!だけど今は…これだけでもしたかった。

 

「…じゃ、ありがとう!また後でね!」

 

「ーーーーーーー…はぁん…♡」

 

 

「か、海賊女帝に無理矢理口付けした!?」

「せ、精神攻撃だ…!ショックで崩れ落ちてるぞ!!」

 

好き放題言ってくれるね!?いいもーん!ハンコックは幸せそうな顔してくれてたもん!!

 

…とにかく、面倒な人をまた1人突破出来た…!しかもエースのカギまで手に入ったし、ルフィに伝えたい所だけど…!

 

「ルフィは……っ痛てっ!もう!邪魔しないで!30倍(さんじゅうばい)ば……い!!!?」

 

ドン、と何かにぶつかって後ろへよろめき、そいつをぶっ飛ばしてやろうと視線を前に戻して口をあんぐりと開ける。

ど、どどどどうしよう…!!?まさかこんな早い段階で絡んでくるなんて思って無かったというか…いやホントになんでこんな前線に居るの!?さっきまで後ろに居たじゃん!

 

 

「青キジ…!!」

 

「よっ、久しぶりだな、イリス」

 

指を2本立てて「よっ!」とポーズを取る青キジに思わず頰が引き攣った。普通に名前で呼んできたし…友達か!!

ああああ〜…!!本当にどうしよ…!30倍で勝てる様な相手じゃないってのに…!

 

 

…よし……、逃げよう!!!

 

 

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