ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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最近、主人公弱いからチートじゃないですよ、という感想を続け様に貰いましたのでタグを「能力はチート」に変更しました。
気をつけます、申し訳ありませんでした。


14『女好き、決闘を見守る』

「ーーってな感じで、逃げられました!」

 

ジョニーとヨサクを船に引き上げてから二人に詳しく事情を聞いた。

とは言え大まかにはさっき聞いたのと同じで、宝を持って逃げたというのが全容だろうけど。

けど、その話に出てくる賞金首のリストを眺めてたという話は気になる。昼間も同じように見ていた事があったから、無関係だと言うことはまず無いだろう。

 

「くそっ!あの女!!最近大人しくしてると思ったら油断もスキもねェっ!」

 

「この非常事態に輪をかけやがって!!」

 

「…待て!まだ船が見えるぞ!!」

 

ルフィが遠くではあるがまだメリー号が見えると言った。

 

「…!!」

 

行きたいけど…、ここを離れてもいいのか…!

 

「イリス、お前が行け」

 

「ルフィ…!!」

 

「ヨサク!ジョニー!お前らの船は!?」

 

「それはまだ残ってやすが…!」

 

この船長は…本当に出来た人だね!!

 

「みんな…ごめん!私は、やっぱりナミさんが好きだから。ちょっと行ってくる!」

 

「!…わかったよ、ったく世話のやけるガキ女だぜ、おいウソップ行くぞ」

 

「お、おう」

 

ゾロとウソップもついてきてくれるなら何が起こっても安心だね。

ルフィはクリークとの決着がついていないから残るらしい。

 

ヨサクとジョニーは船を用意してくれているので、もういつでも出発できる。

 

「あいつだァ!!」

 

「っ!?」

 

だがその時、並々ならぬ雰囲気を感じでその気配の方向へ顔を向ける。

一瞬だけ目が合ったが、まるで鷹の目のような鋭く、見通してるかのような眼をした男が自らの小舟に乗って海を漂っていた。

 

「まさか…あれが…鷹の目の男…!!?」

 

ゾロがその男をジッと見つめる。

クリークの船員が何で俺らを襲ったのかと問うた時、彼は「ヒマつぶし」と答えた。

ヒマつぶしで50隻の艦隊を潰せるほどの実力者…。これは、相当だね。

 

「…わりィな、イリス。ちょっとだけ待っててくれ」

 

「うん、気をつけて」

 

そんな相手にゾロは真っ直ぐ向かっていく。

ゾロの目的は確か、世界最強の剣豪。そして目の前にいるこの鷹の目こそが今の世界最強の剣豪なんだ。

それは、引ける筈もない。

 

そうしてゾロは鷹の目を誘って、勝負の場を作ったのだった。

 

「…ゾロはいつもの三刀流…だけど鷹の目のあれは?」

 

「どう見てもナイフだろ…それも小型だぜ」

 

私の疑問にウソップが答える。

その背に背負っている十字の大剣を抜くことはなく、鷹の目は懐から取り出した小さなナイフを構えた。

 

そうして始まった決闘は、それはもう一方的だった。

ゾロの今までに培ってきた剣術は、鷹の目の手にある玩具のようなナイフ一本で捌かれ、反撃をもらう。

 

「何を背負う、強さの果てに何を望む、弱き者よ…」

 

「アニキが弱ェだと、このバッテン野郎ォ!!」

「てめェ思い知らせてやる!その人は…」

 

「やめろ!手を出すなヨサク!!ジョニー!!」

 

ヨサクをルフィが、ジョニーを私が押さえる。

これはゾロの戦いだ。手を貸してしまったら最後、私達はゾロの夢の邪魔をしたことになる。

それだけはきっと、ゾロが死んでもして欲しくないことの筈だ。

 

そして戦いは佳境へと入る。

ゾロが虎狩りの構えを取り、対する鷹の目は相変わらずそのナイフを構えたままだ。

 

ゾロの技が鷹の目へと襲いかかるが…、結果として左胸をナイフで貫かれていたのはゾロだった。

それでもゾロは引かない。あと少しでも前に出てしまえば心臓を貫かれる位置に居るにも関わらず。

 

何を喋っているのかはよく聞き取れないが、鷹の目はゾロの胸からナイフを抜いた。そして…今度は自らの背に背負った黒刀を手にしたのだ。

 

これが最後の打ち合いになるだろうことは間違いない…。ゾロもそれはわかっている筈だ、だからこそ、次に自分の全てを乗せてくる。

 

「三刀流奥義!!三・千・世・界!!!」

 

「…!」

 

その技は、間違いなくゾロの切り札だ。

三本の刀を無駄なく使う、まさに奥義。でも…その技を持ってしても届くことはなかった。

鷹の目の黒刀に両手に持っていた二本の剣を折られる。そして止めを指される寸前に、ゾロは鷹の目に体を向けた。

 

「背中の傷は、剣士の恥だ」

 

「見事」

 

ズバン!と世界最強の黒刀がゾロの体を肩から腰にかけて斜めに斬り裂く。

その斬り傷からは夥しい程な血が溢れ出し、力なく倒れて海へと落ちていった。

 

「ゾロ!!」

 

ジョニーとヨサクが海へと飛び込み、ルフィが鷹の目に突っ込んでいく。

鷹の目はそんなルフィにゾロはまだ生かしてあるという。その言葉通り、二人が引き上げてきたゾロにはまだ息があった。

 

「ゾロ!私が上げるよ!」

 

二人から受け取って船へと寝かす。いくら生かしてるとはいえ、この傷はまずい…。

早く処置しないと出血多量で結局死んでしまう!!

 

「我が名はジュラキュール・ミホーク!貴様が死ぬにはまだ早い、己を知り、世界を知り!強くなれ、ロロノア!!」

 

私はゾロの血を丁寧に拭き取って傷口に傷薬を塗っていく。

その上に薄いタオルを押し当てて、包帯で巻く。応急処置はこれくらいしか…私達の知識では無理だ。

 

「俺は先、幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ!!猛ける己が心力挿してこの剣を越えてみよ!この俺を越えてみよ、ロロノア!!」

 

そんな鷹の目、ミホークの声にゾロが反応する。

彼は寝ながら、自らの剣の先を天に翳し宣言した。

 

「ルフィ…不安に…させたかよ…俺が…世界一の、剣豪くらい(・・・)にならねェと、…お前が困るんだよな…!!」

 

血反吐を吐きながらも喋るゾロを、ヨサクとジョニーが止めようとするがそれでもゾロは喋るのをやめない。

 

「俺はもう!!二度と敗けねェから!!あいつに勝って大剣豪になる日まで、絶対にもう…俺は敗けねェ!!文句あるか…海賊王!!」

 

「しししし!!ない!!」

 

ゾロの宣言を聞き遂げ、ミホークは自らの小舟に戻る。

その途中クリークに絡まれていたが、軽くあしらうかのように海を斬ってその隙にこの場から離脱した。

 

「イリス!!行ってくれ!!」

 

「わかった!ナミさんは絶対嫁にするから、ルフィはサンジの勧誘成功させてね!!」

 

「ルフィ!6人ちゃんと揃ったら!そんときゃ行こうぜ、“グランドライン”!!」

 

「ああ!行こう!!」

 

そうして、私たちはナミさんの乗るゴーイング・メリー号を追いかけた。

…ナミさんに、本気で拒絶されてるかもしれないってことを考えた事がないと言えば嘘になる。

でも、だったら何だと言うのか。私は海賊だ。奪えばいい!!

カヤの言うように、強引に行くんだ…何が起ころうとも、ナミさんの心は、身体は!私が隅々まで奪う!!!

 




今回は短いので、投稿するのも一日早めました。
クリーク戦も描写したかったんですが、ナミさんをほったらかしてクリークと戯れることは絶対しないだろうな、と思ったので…。

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