ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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159『女好き、魚人島との別れ。そして新世界へ!』

「え〜〜ん!イリス様達、本当にもう行ってしまわれるのですか…!?うぅ…せめて後1日…いえ、1週間…いいえ1年だけ!…イリス様は一生…」

 

「一応海賊だから、一生は無理かなー…」

 

イチャイチャしまくった夜が明けて、現在は魚人島正門に続く港にサニーを浮かべてみんなで集まっていた。

ネプチューンや王子達、兵士や魚人島の国民達…そしてしらほしちゃん。他にもシャーリーやケイミーちゃん、ルリスちゃん達など沢山の人が見送りに来てくれている。

 

「イリス!また来ておくれよ!」

 

「イリスちん!今度来た時はマーメイドカフェ一同、イリスちん専用でフル対応するね!」

 

「私達も忘れないでよ!!」

 

「うん!!」

 

ぶんぶんと手を振って見送りに来てくれた事への感謝を表した。こんなんじゃ足りないけど、あげられる物もないし…。

 

「イリスちゃんは良いなぁ、俺も俺1人の為だけに麗しのマーメイド達が相手してくれたら…!」

 

「サンジはもっと落ち着けば普通に女の子にモテると思うよ、今でも充分カッコいいんだからさ。…ま、私の近くにいるうちはモテようがないけど」

 

「キャハっ、みんなイリスちゃんの事を好きになってしまうから当然ね!」

 

私がアタックしまくるからって意味だけどね。ミキータが私を過剰に持ち上げるのは2年前と変わんないし、それが何とも落ち着く自分が居るのが不思議だ。

 

「ナミ殿、これを持っていけ」

 

「え?」

 

左大臣がナミさんに渡したのは、今までには見た事が無い形の記録指針(ログポース)だった。というのも、今までの記録指針(ログポース)は指針が1つだったのに対して今渡されたやつは3つの指針があるのだ。

…ていうかナミさん髪型ローツインテールじゃん!空島の時も思ったけど似合い過ぎじゃない??

 

「何これ?」

 

「新世界で使う記録指針(ログポース)だ。たった1本の指針で航海しようとは、かなわんわー…。偉大なる航路(グランドライン)前半の海で使って来た記録指針(ログポース)を覗いてみよ…」

 

私達も気になって一緒に覗き込めば、ナミさんの腕に付けている指針が不規則に揺れ動いていた。

 

「あれ、まだ記録(ログ)貯まってないんだ」

 

「貯まっているとも、ここからの記録(ログ)は半日で貯まる。偉大なる航路(グランドライン)は次の島から出る「磁気」を記録指針(ログポース)に記憶させ、それを頼りに航海をしてきたハズ…。しかしこの先、後半の海には「海流」「気候」に加え今まで唯一信頼出来た「磁気」までもが変動する島がある。航海中に完全に磁気を失う島さえあるのだ」

 

「ナミさんならそれでも次の島に辿り着くし」

 

「無茶言わないでよ、流石に無理だからね」

 

本当かなぁ。ナミさんって本当に凄いし、何とかなりそうって思っちゃうよね。

 

「しかし、1本だけならそれで遭難する航海も、3本あれば変わってくる」

 

「!本当…1本はこっちの記録指針(ログポース)と同じ様にブレてるけど、他の2本は安定してるみたい…!」

 

「3本の指針はそれぞれ別々の島の磁気を記憶する。つまり進路は3本の航路の中から己の“勘”で選び、進む事が出来るのだ。選び方が命の分かれ目とも言える!優れた航海士はその僅かな針の動きでより安全な航路をかぎ分ける…単純に分かる事は、針の動きが異常な程辿り着く島の危険度は高い…!磁場を動かす程の“異常”が島で起きているという事だ…!」

 

あー…そういうやつですか。だったらソレ…真逆の使われ方されそうだね。

 

「どれどれ?…その真ん中のすげー針が揺れてる島、面白そうだなァ〜〜!!ししし!!!」

 

知ってた。

まぁでも…私も面白い島の方が良いかなぁ。いや…ナミさん達の事を考えれば安全な方が…いやでも…!

 

「ちょっとルフィ!あんた黙ってなさいよ!!これからは私が進路を決めて行く!イリスの安全が第一なのよ!!」

 

「バカ言え!おれが船長だぞ!!それにイリスはどこ行っても何とかなるだろ!!」

 

女の子が1人も居ないトコに行ったら死ぬよ、私は。

例えば男しか居ない国に行ったら終わるだろうね。女ヶ島に落ちたのは本当に救いだよ…あの時はナイス、王華、くま!

 

「よーしお前ら!出航準備整ったぞ、浮上操作も習ったァ!行くか!?」

 

「行こう〜〜!!!」

 

なんだかんだ言っても、みんな最後はルフィの決定に従うんだけどね。

勘って言ったら、それはもうルフィが1番良い。嗅覚が鋭いというか…とにかく彼が決めた事は結果的に良い方向に動くからだ。

 

みんなでサニーに乗り込んで、魚人島のみんなに手を振った。またね愛しきブライド達…余裕が出来たらまた会いに行くから!

 

「よし、帆を張れェ〜〜!!出航するぞォ!!」

 

「「オオオオオ!!」」

 

「またねーーー!!!」

 

そう言って、遂に船は動き出し港を離れて行く。私達を見送ってくれている人達が段々と小さくなっていくけど、それでもまだ大きく手を振ってくれているのは分かった。

 

 

「また来いよ〜!!」

「お菓子と肉を食いに来〜〜い!!」

「人間好きになったぞ〜!!」

「イリスさーーん!!お嫁にして下さ〜い!!」

「わたしもーー!!!」

 

 

おそーーい!!船を出してから言わないでよ!!もっと早く言ってくれれば間に合ってたのに!

…あれ、ケイミーちゃん達は見えるけど、しらほしちゃんはどこに…。

 

「イリス様!!」

 

「おわっ!」

 

ザバ!と海の中からしらほしちゃんが飛び出してサニー号を横から掴んだ。す、凄いダイナミックな登場だね…!

 

「イリス様…!また、またお会い出来ましたなら…その時は、もっとイリス様のお嫁様に相応しい女になっておきますから…!泣き虫も卒業して…誰にお見せしても恥じない女に…!…ですからまた…私を“誘拐”して下さいませ…!」

 

「誘拐?また海の森に行きたいの?いいよ、連れて行ってあげ…」

 

「いえ…!今度はもっと遠くへ…海の上の、本物の「森」という場所へ!そこで…おデート…しましょう…!」

 

目頭に涙を溜めながら言うしらほしちゃんの言葉に少しだけ目を見開き、すぐ微笑んで頷いた。

…これだけじゃなんか軽いな…、よし。

 

「“約束”しようよ、しらほしちゃん」

 

すっと小指をしらほしちゃんに向けて出す。口約束だけじゃ…なんかパッとしないし、これだけでもしておけばなんか約束!って感じがするもんね。

 

「はい…お約束です…!」

 

「イリス、それ一緒に航海してる私達にも責任ない?」

 

「キャハ!イリスちゃんの責任なら借金でも何でも背負ってあげるわ!」

 

借金なんて作るつもりは無いけど、仮にそうなってもミキータにだけは頼らないでおこう。全財産渡してきそうだし…。

 

「なら、みんなで約束しましょう」

 

「ったく…仕方ねェ姫様だな。今度会った時はプリンセスの極意でも教えてやる」

 

私の小指に触れるしらほしちゃんの大きな小指にロビンとペローナちゃんの小指も追加され…ナミさん、ミキータ…それからルフィ達と言う風に約束の輪は繋がっていった。

 

「フランキーは手が大きすぎるから来ないのは分かるとしても…ゾロは何で約束しないの?」

 

「柄じゃねェ、それにそんだけやってて今更1人増えても変わんねェだろ」

 

「あぁ、まーたカッコつけてるんだね、納得」

 

「叩っ斬るぞてめェ…」

 

でも間違ってないじゃん!…まぁ、確かにこれだけ約束してるんだからゾロがしてなくても変わんないか。

 

「では…また…!」

 

「うん、しらほしちゃんも元気でね!ネプチューンとお兄様方にもよろしく伝えといて。…それじゃ、今度こそ…またね」

 

「っ……」

 

最後に小指をぎゅっと握り締め、ひらひらと手を振って数歩後ろに下がった。

しらほしちゃんはサニーから手を離し、出てくる涙を隠す様にバシャッと海水で顔を洗ってるけど…別にこの別れは泣いたっていいんだよ。永遠の別れじゃあるまいし…次会う時に笑顔なら、別れの時くらいはね。

 

サニーは段々正門へ近づいて行くけれど、それでもずっと手を振っているしらほしちゃんに私達も手を振って応えた。

また絶対、しらほしちゃん達には会いに来よう。約束もしたし…何より私がまた会いたいと思っているから。

…それを言っちゃったらカヤもビビも、他にもたくさん会いたい人は居るんだけどね。

 

 

 

そして遂に、私達は魚人島を出た。

フランキーが言っていた浮上操作ってのは、今もサニーに括り付けられて上に浮き上がろうとしているこの四角い木片の事かな。

 

「…さ、みんな、気持ち切り替えるわよ、海に出たら安全な場所なんてないし、またあの暗黒の海を通るんだから!」

 

「ああ!…ここ上ったら、シャンクスのいる海だ!」

 

シャンクスか…もう新世界に行ってるのだろうか?でも新世界へ行こうとすればマリージョアか魚人島を通るしかないと思うんだけど…やっぱりまだ前半の海に居ると思う…でも無粋だからこれは黙っとこ。

 

んー…でも、新世界か…!新しい美女達に会える予感…!

ハーレム女王の夢も、何となくじゃない…しっかりと着実に近付いて来ている!

それに王華との“約束”だって果たさなくちゃいけないんだ…私は、必ず美咲達を見つけてみせる!

 

「この海底を抜けたら、世界最強の海だ…!」

 

「やっとだな…全部斬ってやる」

 

「待ってて下さい、ラブーン…あと半周!」

 

「いいわよ、どこへでも連れてったげる!」

 

「そうさ、サニー号なら行ける!船の整備は任せろ!!」

 

みんなも気持ちが昂っている様だ。当然だよね…!私だって、ワクワクが止まらないんだから!

 

「重たい荷物を運ぶのは私に任せて!」

 

「好きなだけケガしろみんな!!」

 

「食うことには俺が困らせねェ!」

 

「海の戦士も乗ってるしなァ!!」

 

ペローナちゃんはフン、と鼻で笑うだけだが、その瞳は上を見据えている。ロビンもそんなペローナちゃんを見て笑い…私達の昂った気持ちは今、正に1つになった。

 

「待ってろ美女達…!片っ端から私の嫁にしてやる!!!」

 

「行くぞ野郎共ォ〜〜!!!「新世界」へ〜〜〜!!!!」

 

ウオオオオオオ!!!とみんなで雄叫びを上げた。

珍しくペローナちゃんも腕を上げ、サニー号からもやる気が伝わる。

 

よーし…!行くぞぉ…!!最強の海!!


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