あの後、下半身は何故か暴れ出して逃げ出し、それを追ったルフィに結局捕まっていた。
しかもドラゴンの時みたいにルフィの背中にくっつけられてケンタウロス〜って遊ばれてる始末。
「七武海がどうこうって言ってたし…やっぱり下半身だけなのにも理由があるんじゃないの?」
「お前は夢のない奴だな!こいつはこういう奴なんだ、なァ、お前名前は…ブヘァ!!?」
おう…綺麗なバックドロップ。そりゃ素直に従う筈もないか。
「そもそも私達の声は聞こえてるのかな」
「いてて…でも喋ってんじゃねェか」
「うーん…それはそうだけど…」
もう意味分かんないんだよねこの島。私みたいな転生者もいるわけだし、どっか別の島から召喚された魔物説とかある?
「おいお前ら!こっち来てみろ!」
ゾロが階段を登った先の溶けた建物の上から手を上げている。
侍か助けを求めてた人でも見つかったのかとゾロの居る場所まで歩いて行き、私達はその先の光景を見て目を見開いた。
「何だコレ…!」
私達の周りは今も燃え盛る炎や活火山がある…が、ここから見える大きな湖を挟んだ島の反対、そこにはなんと氷の山があった。
「1つの島でここまで真逆の環境を作れるなんて…しかも隣り合わせに」
「1つ謎が解けたわね」
あっ…「寒い」って言ってたあの声か。
つまり…侍と犠牲者はあっち側に居る訳だね。
「世界政府の所有地、環境が二極化している島……、もしかして…」
魚人島でジンベエが言っていた…“決闘”の話。確か島の天候を変える程の争いとかなんとか言ってなかったっけ。赤犬と青キジのやつ。
「面白ェ島だな〜〜!雪降ってるよなあの山!今暑いしかき氷食いてェ!」
「向こう言ったら寒いだろ!!それに遠過ぎる、一旦船に戻ろう!!」
「私も戻るのは賛成かな、このままだとロビンの体に悪いよ」
暑いとこからいきなり寒い所に行くのは心臓にもよろしくないと思うし。
「とりあえずナミさん達に連絡しようよ、今から戻るって」
「そうだな、ナミから小電伝虫預かってて良かったぜ。……ん?」
鞄の中を探っていたウソップが、不意に一定の方向を見つめて固まった。どうかしたのかな、とウソップの見つめる方向に視線を向け……、……おっと、これはこれは…。おやおやぁ…?
「美女じゃん…!」
少し離れた所にある溶けた建物の上…そこになんと!なーーんと言うことでしょう!これまた新世界級のとんでもない美女がいるではありませんか!!こっちを見て妖しく微笑んでるのは偵察のつもりかな?
腕はなく、代わりに翼が生えていて足首から下も鳥の様なツメの足だけど…胸は大きいし!淡い薄緑の髪は顔突っ込んで嗅ぎたいし!何より美しい〜!!!
「ちょっとナミさん達に電話しててね!私用事できた!」
「え?どこ行くんだよイリス!」
「美女のとこ!」
燃え盛る炎の向こう側で建物に掴まってこちらを窺っていた美女は、突然私が飛んで近づいて来た事に目を見開き、翼を広げて逃走を図る。
あーだめだめ!逃がさないよ!
「はい、捕まえた!」
「っ…!?速い…!」
ガシ、と翼を掴んで飛ぶのを阻止する。近くで見たらこれまたなんとも…とんでもない美女だなぁ。
「私達を観察してどうかした?ちなみに私はあなたの美貌に打ち抜かれてどうかしたけど?」
「……、」
あ、この人褒め言葉に弱いぞ?簡単に赤面見せてくれたんだけど。
「…あなたは何者…?私を掴めるって事は覇気使いね…。あの人達は麦わらの一味…2年もの間姿を消し…再び姿を見せる前に使用人を雇ったって事かしら…」
「使用人?」
…そういえば、今メイド服着てたっけ。私も身長伸びてるし、2年前の手配書じゃ分かんないか。
「どっちかと言うと主人なんだけどね。…で?私の最初の質問は答えてくれないの?」
「…ふふふ、それは言えないわ、お嬢ちゃん」
「そ。別に良いけど…私達この島から緊急信号拾って来たんだけどさ、ドラゴンは出るわ下半身人間は出るわでもう散々…あ、なんなら今ルフィがケンタウロスと楽しそうに話してるしさ」
ちょっと離れてる間にルフィがケンタウロスと和気藹々と言った風に話していた。ケンタウロス…ホントに居たんだ、この島。
ルフィを同種と勘違いしたのかな、背中に下半身付けてるから。
「そうでしょう、かくいう私もハーピーなの、見れば分かるでしょうけど」
「鳥のなんかだっけ?鳥にしては美し過ぎると思うんだけど」
「ふふ…きちんとお世辞が言えて偉いわね」
そう言って、ハーピーの美女はふわりとその柔らかな翼で私を抱き締めた。えっ…と?これはどういう状況?
「…ああ、なるほど」
この人に抱き締められたら何だか眠くなってきた。体が冷たくて体力が奪われるからかな、倍加っと。
という事はこの人…私を眠らせて行動不能にする理由があるって事か、眠ってはあげないけど。
「ふふ…どうかしら?あなたの戦闘能力は分からないけど、私に抱き付かれて離れられる人は居ないのよ?この冷たい体で、みるみる内に体力が無くなっていくのが分かるでしょう?」
「あー、凄い眠たい!これは寝る前に抱き締めておかないと勿体ないなぁ!ついでにキスもしちゃうかぁ!おっぱいも揉んじゃお!」
「やせ我慢がいつまで保つかしら…?」
うひょー!ぽよんに顔埋めちゃうっ!
ンフフフ…くんかくんか、もみもみ。
「……な、なかなか堪える様だけど、無理しない方がいいわ…楽に逝きなさい」
「え?うん」
絶対に倒せると思って抱き締めたのに、まさかその間胸を揉まれ続けるとは思ってもいなかったのか顔に焦りが見えるハーピー美女。
だって耐性倍加して冷たさ感じないし…その時点で眠くなる訳がないんだよね。
「…そろそろ眠ったらどうかしら…!」
「うーん…」
まだぽよんを揉み続けていたい…。あともうちょっとだけね!
どうして私が眠らないのか、その事に対する焦りで彼女の額に薄らと汗が滲む。
そろそろ私が何かの能力者だと勘付かれてるだろうから…ちょっと遊んじゃお。
「…うっ、なんか眠く…」
「!!」
パァ、と擬音が見えるくらい表情が明るくなったハーピー美女。不安を必死に隠そうとしてずっとうすら笑いを浮かべてたもんね!
「これであなたもおしまいね…?能力者の研究はマスターにとっても利益があるでしょうし、このまま連れて行きましょう」
「く…こんな所で負けるなんて…!…マスター…一体、誰の事…!?」
「それはあなたが知る必要の無いコトよ、さぁ…お眠り」
…む、教えてくれそうにはないか。その辺の情報管理は徹底してるのかな?外部に漏らしてはいけないナニカがあると見た。
「はぁ…くっ…ぺろぺろ。寝ちゃダメだ…!ぺろぺろ」
力無くぐったりとしているのを演じ、どさくさに紛れて谷間に舌を這わしていく。…はい、自重します。
「…じゃ!とにかくそのマスターって人のトコ行かないとね。流石に無断で貰って行くのはどうかと思うし」
「え…」
眠くなったフリを止めれば、露骨に落胆した表情を見せるハーピー美女が可愛い。すぐに顔を引き締めていたけど、私からすればあなたの威厳なんてとっくに無いからね。谷間ぺろぺろしたからね!
「あっちの寒い方にいるんでしょ?あなたはさっきそこに逃げようとしてたもんね。あと、残念だけど私はあなたに抱き締められても眠くはならないよ、えっちな気分にはなるけど…」
この人はそこまで強くなさそうだし…これ程密着していれば攻撃することなく無力化出来そうだ。
「という訳なんで、申し訳ないんだけどちょっと寝ててね」
「何を…っ!うっ…ーーーーーー」
ズォ!と覇王色の覇気をハーピー美女だけに向けて放ち気絶させた。私を抱き締める力がフッと抜け、そのまま崩れ落ちそうになるのを支える。
「見れば見るほど整った顔立ちだなぁ…」
横抱きして、顔だけではなく全身をくまなく観察する。やっぱりハーピーというだけあって鳥の特徴をばっちり捉えている。ふわふわの羽毛に包まれた翼…ベッド代わりにしたい…!
「イリス!ちょっと来てくれー!!」
「あ、うん!」
ウソップに呼ばれて元の場所へと飛んで戻った。どうかしたのかな…さっきまで仲良くしてたケンタウロスがノビてるけど。
「どうしたの?」
「ああ、それが……ってお前もどうしたんだよ!誰だその鳥女!!ちょっと目を離せばすぐ女引っかけてんな!」
「ふふ、嫁には出来たのかしら?」
「あー、それはまだ」
とりあえず敵意しか感じられなかったから気絶してもらったんだし…嫁がどうこうって話は出来てないんだよねぇ。
「それで?」
「ああ…実は、さっきサニー号に連絡したんだけどよ…どうやらブルック以外全員何者かに攫われて行方不明なんだ!ナミ達もだ!」
「え…」
……攫われた…?
何で…え、ナミさん達が?
「ブルックは死体と思われてたのか無事で、船の積荷を運び出そうとしていたガスマスクを付けてる奴らは全員倒したから居場所も聞き出せねェ」
「サンジやフランキーも居て簡単に攫われるとは考えにくいわ、恐らく意識を失う様な…睡眠ガスでも船に投げられた可能性が高い。眠らされている間に船も島の反対側へ移動させられているそうよ」
という事は…今も目の前に見えているあの氷山の向こう側か。
睡眠ガスで眠ったブルックを死体と勘違いしてくれたのは助かった。お陰で状況が分かったんだし。
「近くにでけェ建物もあるって話だ!きっとそこに運び込まれてるに違いねェ!さっきのケンタウロスもそいつらの仲間かも知れねェ、持ってた子電伝虫に“CC”ってマークがある」
「…ん、分かった。じゃあ早く行こう、どのみち引き返してもサニー号は無いのなら…氷の土地へ行かなくちゃならないって事でしょ」
「かき氷も食えるな!」
CC…何かの組織の名かな…。
ま、何だって良いよ、ナミさん達に手を出したって事は…つまり私に何をされても良いっていうコトでしょ。
…潰してやる、クソ組織が。
「だが、向こうへどうやって行く?俺とウソップはともかくお前らは泳げねェだろ」
「んー…飛んで運ぶって言いたい所だけど、向こう岸吹雪いてるからなぁ…」
「そうね、島の中でこれだけ極端な温度差があれば風は吹き荒れる」
ナミさんがサイクロン・テンポを使う時もそういうのを利用してるのかなぁ。
「そもそもこの湖、一部燃えてるし氷は浮いてるし泳いでなんか渡れるワケねェだろ!向こう岸へ渡ればいいんだろ?ちょっと離れてろ。…必殺緑星!「ボーティーバナナ」「団扇草」!」
「お」
ウソップが放った種が湖に着水し、バナナ型の大きなボートになった。
近くに咲かせた団扇草という持ち手の長い団扇の様な草をオールにするんだね。
「色んな種持ってるんだね、なんだっけ、おっぱい列島?」
「煩悩しかねェのかお前の脳内は!ボーイン列島だ!あそこは変な植物の宝庫だったからな、危険な
ボーインもおっぱいもあんま変わらないと思うんだけど…。それは言い過ぎかな。
「よーし!出航だーっ!」
みんなでバナナに乗り込みオールを漕いで行く。私は乗ってるだけだけどね、だって両手塞がってるし、
「待てェ!コノヤロォ〜!!」
「!」
私達がさっきまで居た場所から誰かが岩を投げてきた。岩自体は覇銃で砕いてやったけど、投げたの誰だ…?ああ、ルフィにやられたケンタウロスか。
「おーい!やっぱりおれの仲間になりたくなったのか〜!?」
「勧誘したんかい!」
勧誘するなら私の腕の中に居る美女からしてよ!あーほんと可愛い…私が犯罪者ならこのまま犯しちゃってる所だよ!…あ、犯罪者か。
「ボス〜!!侵入者がそっちへ!!始末して下さい〜〜ィ!!!!」
「ボス…!?」
角笛を鳴らしてからそういうケンタウロスの言葉にウソップが反応する。
ボスか…私達が緊急信号で聞いたボスと同一人物なのだろうか?
「何か現れたわよ、向こう岸に…」
「…あれがボスかな?」
吹雪のせいでシルエットしか見えないけど、かなりの数のケンタウロスと、一際大きな体格のケンタウロスが姿を現した。でかいのがボスって考えるのが自然だね。
「面白ェ奴らだなァ!おーい、おれの仲間になれ!」
「誘ってる場合かァ!?あいつらバズーカこっちに向けてるぞ!ボスってあいつの事じゃねェのか!?だったらおれ達を攻撃するのは筋違いだ!」
「とはいえ狙われてるのも事実、遠くから撃たれてボートが転覆したとなっちゃ面倒だし…仕方ないなぁ」
能力でボートを倍加させ、広くなったスペースに
ウソップが最初からそうしとけよ!ってツッコミ入れてくるけど…広くなったらハーピー美女を寝かせるスペースも出来るわけだし、私が抱っこしておく理由が無くなるじゃん!!
「撃ってきたぞ!船を転覆させる気だ!」
「大丈夫。…
飛んできた5発の砲弾を、右手の指5本から出した
攻撃の意思があるのなら…とりあえず倒してからあちらさんの話を聞くとしようか。
「
ボートの先頭に立ち、小太刀に手をかける。
「黒刀
居合で熱さを最大まで倍加させた小太刀を横に振り切り、熱を纏った巨大な黒い斬撃がその岸にいた全ての敵を焼き斬りダウンさせた。それはボスとて例外ではなく、見聞色で確認しても全員倒れているのが分かる。
なんならちょっとやり過ぎたかな、ボス以外のケンタウロス達もまさかそんな脆いとは思ってなかったから…。
ま、いっか。私達を狙うって事はロビンを狙ってるのも同じだし、それは許される行為じゃないし!