ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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新世界 ドレスローザ編
172『女好き、七武海の取引』


あの後すぐにサニー号へと追い付き、飛び付いてきたミキータに頭を撫でられながらナミさん達にジェットや茶ひげの仲間を助ける事が出来た事を報告した。

船には私達一味の他にも錦えもん、モモの助、ロー、シーザー、そしてモネとベビー5が乗っている。

 

どうやら私がパンクハザードで青キジとお喋りしている間にこっちでも色々あったらしく、作戦の一環としてローがドフラミンゴに王下七武海の脱退を求める交渉をしたらしい。シーザーを引き渡す代わりに脱退しろ、との事だ。

普通に考えればシーザーを見限って無視すれば良い話だと思うが、このシーザーが請け負っていた“SAD”という人造悪魔の実を造り出す薬品…これのメインの取引相手が“四皇カイドウ”だとか。要はお得意様って訳だ。

ドフラミンゴとしてもカイドウに余計な刺激を与えて怒らせる訳にも行かないという事らしいが…バックにはまだレイもついてるって言っていたからそれが不安要素ではある。

 

で、シーザーを引き渡す場所はドレスローザらしいのだが、何とも都合の良い事に錦えもん達もドレスローザに用があるのだとか。話を聞けば、錦えもん達の仲間の1人がドレスローザで捕まっているらしいのだ。

 

「私達はローがドフラミンゴを引き付けてる間に「SMILE工場」を壊したら良いんだね?」

 

「ああ」

 

SMILE工場とは、その人造悪魔の実を製造している工場の事だ。SMILEって名はそのまま人造悪魔の実の名前だとか。

 

「シーザーを引き渡す場所は()()()()()()()、普段はあの地にそう易々と踏み込む事は出来ねェが…今は厄介な「魔女」は居ない。奴はドレスローザで開催されるコロシアムに出場するからだ」

 

「あ、それ私も出たいんだけどいい?」

 

「…四異界が揃うのは出来れば避けてェんだが…」

 

「じゃあ、こう言ったらどう?私がそのコロシアムに参加する事で、その厄介な“魔女”さんが味方になるかもしれない」

 

ほんの一瞬首を傾げるローだが、私は嘘は付いてない。

王華を寝かせない様にして叶の前で王華を召喚するだけで彼女はコロッとこちら側に堕ちる筈だ。四異界だなんだと呼ばれたって仲良くしちゃいけないなんて決まりはないでしょ?

 

「根拠はあるのか?デリケートな作戦だ、お前の行動1つで俺達のやっている事全てが無駄になる可能性もある」

 

「根拠は…やっぱり愛かな、それしかない」

 

「諦めろトラファルガー、それにコイツの言ってる事は嘘じゃねェ」

 

うそ…ペローナちゃんが助け舟を…!?嬉しい…!涙が出ちゃう!

 

「魔女は女だろ、ならコイツをぶつければ勝手に堕ちて返ってくる」

 

「え、いや、私は別に叶は」

 

ギロ、と鋭くペローナちゃんに睨まれた。黙ってろって事ですねはい。

ん?待てよ…?女に私を当てがわせたら勝手に堕ちる…?つまりペローナちゃんは自分が堕ちてる事を自分で認めてくれた!?初めてかも!!

 

「…そ、そういう訳だ、コイツに任せてみるのもアリだろ」

 

自分が何を言ったのかを理解したのか、頬を赤く染めながら早口で会話を終わらせる可愛いペローナちゃんはぁはぁぺろぺろ。

ローもペローナちゃんの申し出に不満が無かったのか、そこからは特に何も言わなかった。

 

「そろそろ日も沈むね、私ちょっとお風呂入ってくるよ。…そうだ、モモの助も一緒にどう?」

 

「え」

 

「何日もお風呂入ってないんじゃないの?まだ子供だし、付き添ってあげるけど」

 

「…い、イリスちゃん、ダメよ!いくら子供だろうともイリスちゃんの玉のように綺麗な裸は私達だけのモノ!」

 

思ったよりミキータが猛反対してきた。なんなら泣きそうだし…嫁に泣かれるのはキツい。

 

「そうだぞイリスちゃん、男ってのはガキの頃から毎日女性の裸を想像する様な奴しかいねェ」

 

流石にそれは嘘…でしょ?え、嘘だよね?サンジが特別なんじゃないの…?

 

「それにイリスはここにいる女の中でも1番モモの助と近い外見してるんだから、刺激だってその分強い筈よ、代わりに私が一緒に…」

 

「だ、ダメ!!ナミさんの体を見ていいのは私だけだもん!!!」

 

「ほら、あんたはそういうでしょ?私達だって同じ事よ。仮にモモの助がまだ4.5歳ならともかく。あんたは自分の事に無頓着過ぎるわ、自分が可愛いってこと忘れてるでしょ」

 

「忘れてないよ、私は可愛い!」

 

この顔は自慢だからね、初めて見た時は神に感謝したくらい。あ、勿論ナミさんと比べたらかなーーーーーりランク下がるけどね。そりゃ当然ですよ。

 

「どうせあんたの事だから私と比べると自分なんてって思ってるかもしれないけど、あんたの顔の良さは本当に人形…いや、天使を疑う程なのよ?私も可愛いけど、私からすればイリスの方がずっと可愛いわよ、本当に理解してるの…?」

 

はは、何を馬鹿な事を言ってるのナミさん、私よりナミさんの方がずっと可愛いってば。

……って言いたい所だけど、間違いなく平行線だろうからグッと堪えた。

 

「ごめんねモモの助、ダメだって」

 

「かまわぬ、せっしゃは1人でも平気ゆえ」

 

そう言ってくれて助かる……んだけど、何故か錦えもんやサンジ、ブルックがガッツポーズをかましていた。なんで?

 

 

 

 

そうして夜は更けてゆき…朝が訪れた。

ふわぁ〜…とあくびを溢しながら上半身を起こす。なんかミキータが私の胸を鷲掴みにして離さないけど、これで寝ているのだから彼女は本当にブれないなぁ、と苦笑い。

彼女と反対側の右側には…今日はロビンが居た。いつも早起きのロビンだけど、私の隣で寝る時は決まって起きるのが遅い。理由は…自分で言うのもなんだけど、きっと私とギリギリまで一緒に寝たいから…だといいな。

 

ちなみに、普段起きる順番はロビン→ナミさん→私→ミキータ→ペローナちゃんの順だ。ペローナちゃんは時に昼まで寝てる事もあった程で、かなーり朝に弱い。

 

そう言う訳なので今ナミさんはこの場に居ないのだけど…多分測量室だろう。ナミさんの夢を完成させる為にあそこで良く籠もっているのだ。

私が起きている時なんかは、呼ばれて楽しくお喋りしながら描いてたりする。そんな話しながら出来るような作業じゃないと思うんだけど…やっぱりそこんとこの技術は航海士として抜きん出てると思う。

 

 

「ア〜〜サ〜〜でーすヨホホホホホホ!!!アーイエ〜〜♪しーんぶんが〜!来てますよ〜〜♪ヘイッカマン!」

 

「…ん」

 

ブルック?こんな早くに目覚ましなんて珍しいね。

ロビンとミキータもその音で軽くあくびをしながら目を覚ます。ペローナちゃんは変わらず寝ているけど、とりあえず起こそう。

 

…あ、そっか。ドフラミンゴが七武海を脱退したのかどうかの記事が載ってるか確認しなくちゃいけないのか。

それもあってか、軽く揺すっただけでペローナちゃんももぞもぞと起き上がる。みんなで顔を洗って着替え、芝生のデッキに集まった。

…あ、ちなみに、私はもうメイド服じゃなくて普段着です。

 

「ナミさん、おはよ」

 

「おはようイリス、みんなも」

 

「そっちの2人もおはよ」

 

流石にもう目は覚めていたのか、海楼石で縛られた挙げ句ロープでぐるぐる巻きにされていたモネとベビー5もこの場に居た。

ほんとはこんな扱いしたくなくて全力で抗議したけど、ローに懇々と正論で言い負かされて今に至る。

具体的には、「敵意のある人間を拘束も碌にせず同じ船に乗せるって事は、お前の嫁を常に危険に晒すって事になるが、いいか?」と言われました、その通りです…。

 

「…お、おはよー」

 

「……」

「……」

 

もー!2人揃って無視ですかそうですか。そりゃ敵船だもんそうなるよね!でももう少しお話しして欲しいな!仲良くなりたいんだよ私!

 

「ふわぁ〜…、ドフラミンゴの野郎はどうなってんだ?」

 

ローが広げる新聞をペローナちゃんが幽体離脱して上から覗き込み、私達も新聞を囲って覗き込んだ。

その新聞の見開きにはこう書いてある。

 

 

『ドンキホーテ・ドフラミンゴ「七武海脱退」、ドレスローザの王位を放棄か!?』

 

「…ほ、本当に辞めやがった…!!」

 

「王位って…ドフラミンゴって王様だったんだ」

 

「鳥の国か?」

 

ドフラミンゴだから鳥の国って考える辺りがルフィらしいけど、まぁそんな事はまずないだろう。

それよりも私は…少しこの記事に違和感を覚えていた。いや違和感と言うより、アッサリとコトが進み過ぎてる事に対する不気味さかな。

レイが関わってる事とは関係なく、ドフラミンゴはそんなあっさり色々手放す様な性格じゃない気がする、多分。

例えそうしなければカイドウの恨みを買うかもしれない、という状況だとしても…何かしらの行動には出てくるだろう。

 

(って思ってるんだけど、どう?)

 

『やるね、その通り…ドフラミンゴはそう簡単に言う事を聞く様な相手じゃないよ。まずその脱退したっていう記事、それは誤報だったって速報が直ぐに飛ぶ。だけどその頃には既にローはグリーンビットに居るから…まぁ、つまるところ騙されてるって事だね』

 

ああ…そういう事か。

 

『その上グリーンビットには大将も出向いてくるし、ローも苦戦を強いられる』

 

(え、それって大丈夫なの?)

 

『大丈夫かと言われれば…どうだったかな、死ぬ事は無いのは絶対だよ、命は絶対大丈夫』

 

(なら、この交渉が決裂する事実だけでも伝えておこうか。グリーンビットに行かないって選択肢は無いだろうし)

 

シーザーの誘拐も果たし、一応形だけでもドフラミンゴの七武海脱退は為された。

行かなければ状況は動かないのだから、ローとしても行くしかない筈。

 

「どうしたの?イリス」

 

「ん、なんでもないよ、ちょっと王華と相談をね。どうやらこの七武海脱退の情報はウソらしいから」

 

「…何?」

 

私の言葉にローが怪訝な顔をした。まぁ…その反応は正しいよね。普通いきなりこんなこと言われても信じられないと思う。

 

「グリーンビットにローが到着する頃には、そこに大将も居るんだって。誰かまでは聞いてないけど…ま、良くない流れなのは確かだよ」

 

「…ていうかあんた、王華と話せるのは夢の中だけとか言ってなかった?」

 

「2年前まではそうだったけど…なんか最近は普通に話せるの。何でかは分かんないんだけどね」

 

「…それより、どういう事だ女王屋、何故そう言い切れる?」

 

「王華が言ってるから、としか言えないかな。詳しくは話せないけど…私はちょっと先の未来が分かるの」

 

これは最初青キジに説明したウソだけど、強ち間違っているという訳でもない。勿論正解でもないけど。

ローは考えるように眉を寄せるが、その顔には疑いの色が濃く出ていた。

 

「信用出来ないならそれでもいいけどね、王華が言うには別に死なないみたいだし、それに今更行かないって事はないでしょ?」

 

「……ああ、俺がそこで時間を稼ぐ事で工場の破壊に時間を使える。仮にその話が本当だったとしても、俺はグリーンビットまで行くしかねェ…。…根拠が無い話を信じたくはねェが、そういう事もあるかもしれねェ、とは思っておく」

 

「うん、気を付けて」

 

…ていうか、私がグリーンビットに乗り込んでドフラミンゴをぶっ飛ばしてきても良いんだけど、叶の件もあるしなぁ。ここは素直にローに押し付けておくとしよう。

 

「お!コイツらも同盟組んだんだってよ!」

 

「ん?」

 

キッド、アプー、ホーキンスの海賊同盟?…てか、私達とローの同盟も記事になってるけど!?…ってそりゃそうか、普通にスモーカー達の前で話してたっけ…。

 

「キッドは知ってるけど他の2人は知らないね」

 

「その2人も最悪の世代と呼ばれる人達よ。イリスやルフィ達と同じ様にね」

 

へぇ…ロビンが教えてくれないとずっと知らないままだった気がする。自分で言っちゃお仕舞いだけど、そういう情報に疎いからなぁ…。私の頭の中は基本嫁達の事で埋め尽くされてるし。

 

「他所は他所だ、ドフラミンゴに集中しろ…。奴が七武海の称号を放棄していない可能性があろうとも、作戦は予定通り進めるしかねェ。まずは奴と連絡を取る」

 

「や、奴ってドフラミンゴか!?」

 

「当たり前だ」

 

相変わらず腰が引けてるウソップに構う事なく、ローは電伝虫を用意してドフラミンゴへとかけた。

仮にも王…こんな朝早くにいきなり電話をかけた所で繋がるとは思わなかったんだけど、予想に反して何コールも待つことなく奴は電話に出た。こうなる事が分かっててスタンバイしていたのだとすればかなり面白い絵面だと思う。

 

『俺だ、七武海をやめたぞ』

 

「…そうか。…約束通りシーザーは引き渡す」

 

『そりゃあその方が身の為だ。ここへ来てトンズラでもすりゃあ…どういう目に遭うかお前は良く分かってる』

 

ローの事を知った風な口きいてるけど、何かしらの繋がりでもあったのかな?

それよりドフラミンゴの声を聞いて心底安心した顔をしているモネにムッとしてしまう。そんな忠誠心今すぐ捨てて私の嫁になってよぉ!

 

…とまぁ少し話は逸れたけど、話の内容はこうだ。まずはシーザーの声をドフラミンゴに聞かせて、交渉の材料は生きている事を伝える。

そして、今から8時間後、ドレスローザの北の孤島にある「グリーンビット」、そこの南東のビーチにて、午後3時にシーザーを投げ出すと一方的に伝えて電伝虫を切った。

ちなみに、普段ならグリーンビットを取引場に選ぶ事は有り得ないそうだ。それは前も聞いた通り叶が居るからで、彼女は私が思っているよりもこの世界では大きな存在らしい。

 

「作戦の内容は大体理解したけど、目的の工場はどこにあるのか知ってるの?」

 

「悪いが、そこだけどうしても情報を得られなかった。作戦を決行するには不透明なままだが…こればかりは任せるしかねェ」

 

「キャハ、敵の大切な工場なら、何か秘密があるんじゃないかしら?普通は工場が分からないなんておかしいもの」

 

それはそうだ。例えば誰かの能力で隠しているとか、それこそ空を飛んでるとか地下にあるとか。色々考えられるけど…ま、行ってみれば分かるか。

 

「ロー殿、グリーンビットと申しておったが…」

 

「ドレスローザに船はつける、安心しろ」

 

ああ、錦えもん達は仲間を助けなきゃいけないんだよね。それも出来れば手伝ってあげたいけど…私は私で忙しくなりそうだからなぁ…。

 

「ローはドレスローザに行ったことあるの?」

 

「…ない、奴の治める王国だぞ」

 

「そっか、じゃああんまり細かい作戦も立てられないって事だね」

 

「だが、何の計画も立てずに乗り込める程甘くはねェ筈だ。工場を捜索するにしても固まって動けばそれだけ怪しまれる可能性は高くなる…。行動する班を分けた方が良い」

 

なるほど、確かにその通りかも。

…ドフラミンゴやその部下に負けるつもりはないけど、心配なのはレイだ。奴がどう今回の件に絡んでくるのか…。

 

「飯出来たぞー、考えるのは良いが、まずは腹ごしらえからだ、野郎共」

 

「うほー!ハラへった!朝メシなんだ!?」

 

「サンドイッチだ」

 

「あ、私はフルーツサンドがいいなー、みかんいっぱいで」

 

「俺はパンは嫌いだ。……はっ…!!」

 

完全に私達のノリに染まってきてるローににまにまと笑いかけながら、私はモネとベビー5の体を抱き上げて一緒にダイニングへと向かった。

体縛ってるから、あーんって出来るよね!ここで親密度を高めようと思うのです!体縛ってるけど!!

 

 


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