ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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173『女好き、メイド選手登録』

「………ぐすっ…」

 

「…オイ、こいつどうした?」

 

「ああ…捕らえた人達に話しかけても無視されるって言って、さっきからずっとあんな調子なのよ」

 

「アホか…」

 

うう…誰がアホじゃい…。ゾロの癖に生意気言うな…なんて言う気力も無いけど…。

 

 

『今日も可愛いね、2人共☆』

 

『『……』』

 

『私はあなた達を絶対に幸せにしてあげるよ!』

 

『『………』』

 

『え、えーっと……ふ、布団が、ふっとんだ!…あはは』

 

『『…………』』

 

『うわーん!!』

 

 

…みたいな感じで、あなたと話す事なんてありません、て言うような顔で私が話しかけても目を瞑って無視するんだもん!どうしたらいいのー!!もう昼時だっていうのに仲良くなるどころかお話しすら出来てないし!

 

あ、そういえば、朝ご飯を食べている時に錦えもん達の目的も聞いたんだった。

どうやら錦えもん達は「ゾウ」と呼ばれる場所を目指して海へ出たらしく、しかも、その場所はシーザーを引き渡して工場を壊した私達の次の目的地だったのだ。

そこにローの仲間が居るらしく、何から何まで奇遇だけれどそこまで錦えもん達も同行する事になった。ていうかルフィ曰くワノ国まで行くとかどうとか。

 

ドレスローザに用がある理由としては、そこで仲間の1人が捕まっているから。

ゾウに向かったのは良いけどあえなく遭難した錦えもん達は、残る1人を除いて全員がドレスローザに漂着した。そこで運悪くドフラミンゴ達に追い回され、モモの助が慌てて乗り込んだ船がシーザーの人体実験に利用される予定の子供達が乗る船だった…という顛末だ。

錦えもんも残り1人の同心、“カン十郎”により何とか海へ逃げ、パンクハザードに行き着いた…という訳である。つまり錦えもん達がドレスローザに向かう理由はそのカン十郎を助ける為だった。

 

「はぁ…それはまぁ良いけど、モネもベビー5も私と少し話してはくれないのかなぁ…。ね〜、お願い〜」

 

「!!…わ、私が必要なら…」

 

「…ベビー5…!!」

 

私の言葉に口を開こうとしたベビー5にモネが目を見開いて名前を呼んだ。呼ばれた彼女はビク、と体を震わせて顔を俯かせる、パワーバランスはモネの方が上らしい。

 

「お!!お前らァ〜!島が見えたぞォ!!」

 

「もうそんな時間なんだ」

 

「おォ!?なんだこのでっけェ島は!!」

 

どうやらドレスローザに着いた様だ。見た感じは大陸で、ここからではドレスローザの街並みはさっぱり見えない。

どこまでも断崖絶壁の崖だけど、船を停める様な場所はあるのかな?

 

「あ、あっちに船を停められそうか海岸があるわ」

 

良かった、普通にあったみたい。

私達はそこに船を停め、錨を下ろしてドレスローザの地へ足をつけた。

左右は岩壁で、後ろは私達が通ってきた海だから前に進むしかなさそうだね。

 

「所でさ、ドレスローザって王様が居るくらいだから結構大きな国なんでしょ?私達って変装しなくて大丈夫かな?」

 

「勿論必要だ、今朝の新聞で大きく報じられたからな…対策もナシに街を歩けば直ぐに捕まる」

 

「変装ならば拙者に任せて貰おう…!ドレスローザは皆、この様な衣装にござる故、街に溶け込める様お主らを変身させてしんぜる!」

 

そう言って錦えもんが取り出した紙には、男は襟シャツ、女はすっぱだかと書かれ、ご丁寧にもその通りの見本絵まで描いてあった。

 

「へぇ…つまりあなたはウソをついてナミさん達をこの場で裸にしたいって言ってるという事でいいの?」

 

「やめとけ錦えもん、イリスちゃんは普段はただの可愛い女の子だが、突っ込んじゃいけねェラインってのがあるんだ」

 

「…ぬ、当然、冗談にござるが…」

 

「そういう冗談は通じねェぞ、怒るとおっかねェからあんまり怒らせるなよ」

 

ルフィにすらこう言われるって、私…もしかして普段の行動を見直した方が良いのだろうか。

いやでも、許せない事は許せないし。

 

「おい、お前にこいつを渡しておく」

 

「?ビブルカード…?」

 

ローがビブルカードを取り出して少し千切り、紙片をナミさんに渡した。

そのビブルカードの先にはさっき話した『ゾウ』があるらしく、俺達に何かあればここへ行け、との事だった。

何故ナミさんに託したのかと言うと、それは今回の班決めが理由になっている。

シーザー引き渡しチームがウソップ、ロビン、そしてローとシーザー。

サニー号の安全確保チームがチョッパー、ブルック、モモの助、サンジ、ペローナちゃん、ナミさんだ。モネとベビー5の2人も船に残ってもらう事になっている。

そして残りのメンバーが工場破壊チームだ。攻撃力に特化したメンツが選ばれたと言う訳だね。

 

「…あれ、ルフィ達は?」

 

「え、サンジもいねェ!おい!おれ達は誰が守ってくれるんだ!?」

 

船番チームはサンジが居なくても戦力に問題は無いだろうけど、居てくれた方が私も安心なんだけどな、ナミさんも居るし。

 

「麦わら屋達はどうした…!あいつら作戦のメインだぞ…!!」

 

「キャハ!船長(キャプテン)はいつもこんな感じよ。じゃあ私達も着替えて行ってくるわね」

 

着替えとは、さっき言ってた変装の事だ。当初は錦えもんの能力に任せる予定だったけど居なくなったので持ち前の服でどうにかするしか無くなったという訳である。あいつらほんと…!

 

 

結局私はパンクハザードの時と同様のメイド服に宴会用の陽気なデザインの仮面を付けて顔を隠し、ミキータは普段着ない様なヒラヒラのドレスを身に纏ってメイドとご主人様を装う事にした。

いざという時にすぐ戦闘出来るよう、ドレスの下は動きやすいいつもの服装だ。

 

「みんな頑張ってね!ナミさんもペローナちゃんもロビンも気を付けてー!!」

 

「あんたもね。あと、女の1人や2人は引っ掛けてきなさい!」

 

「はーい!」

 

そうだ…ドレスローザは大国!沢山の美女と出会える筈!!待ってろまだ見ぬ未来のお嫁さん達ーーー!!!

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「ここがドレスローザ…!」

 

おお…人でいっぱいだ!

…なんか人じゃ無さそうなのも歩き回ってるし、なんなら喋ってもいるけど…あれはなんだろ。

 

「オモチャ…?かな。まぁいいや、それよりいい匂いがあっちからもこっちからも漂ってくるんだけど」

 

花の香りだったり、料理の匂いであったり…後は、女性の素晴らしい匂いとか!!

見渡せば、結構至る所で踊り娘達が踊っているのが見える。この国の文化なのだろうか、みんな素人目で見ても洗練された綺麗な踊りだった。

 

「…?」

 

その踊り娘達の中で1人だけ、何故か目に付く人がいてじっくりと観察する。周りの踊り娘達と比べても頭一つ抜けて上手い踊りをしているから…という訳ではなく、どこかで見た事ある様な気がしてならないのだ。

…ちょっとだけならバレないでしょ。

 

さっと仮面を外してじーっと見つめる。あの栗色の髪…それに、あの顔立ち……私はどこかで、彼女の事をーーーーー。

 

「…!!」

 

「あ、まずいまずい…!」

 

不意にその女性と目があってしまい、私は慌てて仮面を被り直した。ば、バレてないよね…?

目が合った瞬間に目を見開いていたからバレたのかと思ったけど、踊りは続けてるから…私の気のせいだったのかもしれない。

 

「先にご飯食べる?」

 

「あ…イリスちゃんとデートするなら、お弁当を作ってくるべきだったわ…!!く…失敗した…!!!」

 

「デザートとしてミキータを頂けば大丈夫じゃない?」

 

「!!!…イリスちゃん、それだわ!!」

 

あの、当然キス止まりですよ?おーい、分かってますかミキータさーん。

 

分かってなさそうなミキータと一緒に、私達は近くの飯屋へと入った。

今更だけど私達って主人とメイドに見えてるのかな?仮面つけた怪し過ぎるメイド…ミキータは綺麗だから本当のお嬢様みたいだけど。

 

「パスタの気分なんだけど、魚介類のやつあるかなー…って、えええ…?なにこれ…」

 

店内に入った瞬間に目に飛び込んで来たのは、まるで地震でも起きたのかと勘違いしてしまう程の荒れもようだった。客は騒めきだち、テーブルやイスなどはその辺に転がっている始末。

その上、何やら隅の方の床に巨大な穴がぽっかりと空いていた。すっごい重たい物で床を押し潰した…みたいな感じで、とてもではないがご飯を頼めそうな雰囲気ではない。

 

「…ゴホン。…申し訳ありません、ここで何かあったのですか?」

 

「あ、ああ…実は……」

 

とりあえず近くに居る女性に話を聞いてみる事にしたけど…良かった、キャラ作りの為に敬語を使ってみたけどバレてないみたい。

 

肝心の内容はこうだった。さっきまで店内では『ドンキホーテファミリー』の下っ端達によって賭けルーレットが行われていたらしい。

それもただの賭け事ではなく、盲目のじいさんを騙して、目が見えないのをいい事に自分達の都合の良いよう事を進めていたのだとか。つまりじいさんが絶対に勝てない様仕向けていたという訳なのだが…そこに現れた1人の男が不正を告発し、騙されていた事に気付いた盲目のじいさんによって下っ端達はあの穴の底まで押し潰された…とのことだった。

 

「…面倒な事をしてくれましたね、私達は昼食を摂りに来ましたのに」

 

「ここら辺で飯屋となると、コロシアムの方へ歩けばもう一軒あるわ。ここより値は張るけれど、あなた達なら多少高く付いても問題なさそうだし」

 

「本当ですか?それは大変貴重な情報、どうもありがとう御座いました。それでは私達はこれで失礼します」

 

怪しまれる前にそそくさと会話を終わらせて店を出る。コロシアムの方…か、そっちに用もあるから丁度いいや。

 

教えて貰った通りに、私達はコロシアムの方へ進んで昼食を済ます。いつコロシアムが始まるかも分からないので急いで食べたけど、確かにちょっと高かった。魚介パスタが3000ベリー…単品だったハズなんだけどなぁ。ナミさんに言ったら勿体ないって怒られちゃうかな。

なんてね、私が食べたんだったらナミさんは「美味しかった?」って天使の微笑みで聞いてくる事は簡単に予想出来る。だって私の正妻だし、可愛いし天使だし良い女だもん。

 

そして、遂にコロシアムへと辿り着いた時には既に受付が終了しようとしていた。受付は綺麗なお姉さんだ、俄然やる気が出てくるというもの!!

 

「一般からの受付、他には誰か居ませんかー!」

 

「はい、私が」

 

軽く手をあげて受付カウンターみたいな場所へ歩いていく。周りに集まっているのはまだ会場に入っていない観客達だろうか、私を見る目はなんとも居心地が悪い。

 

「オイオイ…大丈夫かあんな小娘が」

「今日の大会の出場者知ってんのかよ」

「それより隣の女ァ、ありゃァ上玉だぜ」

 

「……、」

 

「はいストップ。ダメよイリ……、ゴホン。…えーと、とにかくダメよ、こんな所で騒ぎは起こせないわ、私の事は大丈夫だから」

 

「むー…」

 

ミキータに止められてしまった…、私のミキータを見て舌舐めずりした奴をぶっ飛ばそうと思っただけなのにぃ!

 

「お名前は?」

 

「えっと…」

 

しまった…受付だから名前は当然聞かれるか…。前世と違って身分証は要らないだろうから適当に言っておけば良いんだろうけど…どうしようかな。

 

「あ、アイリスです、アイリス」

 

「アイリスさんですね、かしこまりました。少々お待ち下さい」

 

そう言って受付の女性は奥へと引っ込んでいった。

私の名前にアを付けただけだけど、だいぶ名前の印象変わるしメイド服だからバレやしないだろう。

私も本名に近い方が呼ばれた時反応しやすいし。

 

「お待たせしました、こちらがアイリス様の選手番号になります。参加ブロックはDブロックです、お忘れなき様」

 

渡されたのは『IRIS』と書かれた大きな背番号札だった。名前の少し上に私の番号が書いてある。えっと…0557番らしい。

誰にでも見える所に付けてとの事なのでミキータにお願いして背中につけてもらい、受付の人の案内で選手の控え室へと向かった。

 

ちなみにだが、ミキータとはここで一旦別行動を取る事になっている。コロシアムに用があるのは私だけだし、その間に彼女は工場の場所を探るらしい。あんまり1人で行動して欲しくはないけれど、どうやら猛者揃いらしいこのコロシアムに参加させるよりは安全かもしれない。

 

「こちらが選手の控え室です、出番までご自由に」

 

…ふう、ここからは敬語を使う必要も無さそうだから助かるよ。

それにしても凄い熱気だ…強いオーラもそこら中から感じるし、あとちょっとむさ苦しい。男女比が偏り過ぎてる気がする!

視界に映るのはほぼ全員男で、広いとはいえこの控え室に500人は下らないだけの人数が詰め込まれているのではないだろうか。しかもみんながみんな試合前のウォーミングアップをしているせいで余計暑苦しく感じる。

 

「…まさかこれ程まで熱気のある大会だったとは知りませんでした…場所をここに指定したのは間違いだったかもしれません」

 

「あ、叶」

 

「……数日ぶりですね。それより…ちゃんと来てくれた様で何よりです」

 

げんなりと言った様子の叶がハンカチで汗を拭いながら近づいて来た。その顔にはまだ敵意が若干含まれているけど、今は王華も起きてる。…周りの人達に正体を気付かれたくないからここでは出せないけど。…まぁ、このコロシアム中の何処かでは私の正体を晒す必要は出てくるだろうけどね。

 

「私はDブロックですが、あなたは?」

 

「私もDだよ」

 

「…そうですか、それは良かったです。あなたがまだ私に何か伝えたい事があるとしても…後はリングの上で語りましょう。私もそこで…全霊を込めて応えます」

 

「へぇ、パンクハザードでは私に傷一つ付けられてなかった様な気もするけどなぁ?」

 

ニヤニヤと意地悪く言うと彼女はムッとしてそっぽを向いた。

 

「前回とは違います!」

 

そんな叶の反応に頭の中の王華が騒がしくなった。具体的には…可愛い!とか、早く話したい!とか…気持ちは分かるけど、流石に煩いかな!?

 

「それでは、私はコレで。…それと、改めて…パンクハザードではみっともない姿を見せてしまい申し訳ありませんでした」

 

「はは、うん、気にしないで。じゃあまたリングで」

 

ヒラヒラ、と手を振って叶と一旦別れる。やっぱり叶は真面目な性格なんだなぁ…。それに全然気付いてなかったけど、叶と話してただけで周りから注目を浴びていたらしい。私に刺さる好奇の視線の数々……うう、居心地が悪い…。

 

 

 

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