ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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楽しんで読んでた百合小説がNTRものだった時の衝撃はハンパではないです。思わずこんな所に行き場の無いもやもやした悪感情を叫んでしまうくらいにはヤバいです!!お願い!タグ!タグつけて!!避けるから!!!


176『女好き、相変わらずの堪え性』

「俺達は…囚人剣闘士」

 

「え?囚人?」

 

檻っぽい部屋だと思ってたら本物の檻だった…。

それよりこの檻に入っている人達…ただの1人の例外もなく全員が包帯で全身をぐるぐる巻きにされていた。

しかも片腕や片足を失くしている者、耳が片方ない者、目が潰れている者など、とにかく欠損が目立つ。

 

「レベッカもそうさ…戦い続け、いつかリングの上で見世物として殺される…!ドフラミンゴファミリーに少し逆らったからだ」

「100勝できりゃあ自由の身になれると国王は言うんだが…どんな腕自慢でも100回も殺し合いをすりゃ死ぬ。ここから脱走を謀った奴らは皆射殺された。俺達に逃げ場は無い」

「10年前…ドフラミンゴが王になるまでは「剣闘」は殺し合いじゃ無かったんだがな…奴の治めるこの国には極端な光と影がある」

 

…この人達はみんなレベッカちゃんの仲間って訳か、それにしてもやっぱり色々やってるっぽいねドフラミンゴは。この世界の王様は裏で色々悪事を働かないとダメな法則でもあるの?

 

「私は今日の大会…どんな手を使っても優勝して異界の実の力でドフラミンゴを討つんだ!今日…“兵隊さん”の率いる軍隊が私達を解放する為にドフラミンゴに決戦を挑むって…!」

 

「…うん」

 

兵隊さんという人が誰かは知らない、だけどレベッカちゃんからは強い決意を感じた。同時に、戦う事を嫌がっている雰囲気もある。

レベッカちゃんの事だ、戦うのが怖いから嫌なんじゃなくて、相手を傷付けるのが性に合わないとかそんな感じの天使な理由だろう。

 

「彼は命と引き換えに…この国を滅ぼす気なの!彼より先に、私がやるんだ…!!もう守られるだけじゃイヤなんだ!今度は私が…兵隊さんを守りたい!!」

 

「兵隊さんって…?」

 

「片足の…オモチャの兵隊さん…」

 

オモチャ?…ああ、そういえばこの国って、なんかオモチャが平然とその辺歩いてたりするもんね。

…え、あれって高度な技術で完璧なAIを作り上げたとかそんな感じでもなく、普通に生きてるんだ。

 

「私は、たった1人の家族だった母親を失ったその日から兵隊さんに育てて貰った…。私にとって彼は、親も同然の人…!」

 

「だから、今日の大会に優勝して…悪魔の実を食べてドフラミンゴを倒すって決めたんだね。やっぱり天使だね、レベッカちゃんは」

 

「え?てん…?」

 

「だけど」

 

…はっきりは言えない。レベッカちゃんでは、例え悪魔の実を食べた所でドフラミンゴを倒すなんて絶対無理だ。

それは実力の差を考えて、という理由もあるけど、やっぱり1番の理由は彼女の優しさにある。戦いに不向き過ぎる性格…他者を傷付けるのを嫌がる、とても心優しい彼女だからこそ…ドフラミンゴを討つのは不可能だ。

…とはいえ、それを彼女に伝える気はない。

 

「優勝を譲る気はないよ。優勝は私が頂いてくから、リングの上では正々堂々と戦おう」

 

だから私は、レベッカちゃんから戦う為の剣を奪う事にした。

Dブロックで私が勝てば、レベッカちゃんの思惑は全て無に帰すだろうし…諦めもつきやすい。

あ、でもだからといってそのまま見捨てるなんて絶対しないよ。彼女が戦いに不向きだろうと、親同然の兵隊さんというオモチャを助けたいって気持ちは本物なんだから、私が嫁にすると決めたレベッカちゃんの親は私が代わりに助けてあげる。

要は、ドフラミンゴを私達が倒せば良い。裏で誰が何をしていようとも関係ない、ぶっ飛ばせば終わりだし。

 

レベッカちゃんは私の言葉に頷いてくれた。

いやー…でもあれだね、叶の件もあるし、レベッカちゃんの事もあるし…ドレスローザも中々忙しくなりそうだ。

その上裏ではレイやカイドウが動いているって話だし、裏で動き過ぎだよって突っ込んでやりたい。隠れ蓑になる筈の表舞台より裏の方が大きくなっちゃって隠れ切れてないんだよマヌケ共め!

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

Cブロックの試合は、何とかルフィの勝利で幕を下ろした。

最後にルフィとタイマンしてたチンジャオってじいさんも結構強かったけど、やっぱりルフィは流石だね。しかもまだ全力じゃなさそうだし…。

という事は遂にDブロックか?と思ったけど、その2人の戦いでリングが壊れた為現在はリング交換中である。

私は既にレベッカちゃんとは離れ、戦闘準備室で剣を選んでいた。

というのも、私の持っている小太刀は知っての通り妖刀であり、手加減をしてもそれなりの威力を誇ってしまう。

その点この部屋に置かれている剣は、パッと見る限りでは業物レベルすら無いようなので手加減にはもってこいだ。手加減するのは相手に申し訳ないと思う心が無い訳でもないけど、自分の実力を過小評価するつもりもない。私は間違いなくこの大会においてはぶっちぎりで強い筈だし、レベッカちゃんも居るんだから誤って傷付けちゃった日には自殺モノだ。

 

「これでいっか」

 

適当に選んで腰にブラ下げた。ちなみに刀身は1番短い物を選んでいる。理由はそうでもしないと身長のせいで剣先が地面に当たるから……、いや、悔しくないよ?ナミさん達ならかっこよく剣を腰に下げてそらもうめっちゃ似合うんだろうなぁって思うだけで悔しくないからね?だって私はもう身長150はあるわけだし?問題はここにある剣がほぼ高身長の為に造られてある事でしょ?いや悔しくないし、私はもう幼女じゃないもん!!

 

『お待たせ致しました、リング交換完了です!!Dブロック出場者はリングへお集まり下さい!!』

 

「お」

 

やっとかぁ、遂に叶の誤解も解けるって考えたらワクワクしてきた。

それに私は叶をこちら側に引き込むのも仕事だし、それが達成出来ればドフラミンゴを討つのももっと楽になるだろう。

 

「あ、レベッカちゃん」

 

リングへと向かう途中にレベッカちゃんと会った。やっぱり思い詰めた顔をしてるけど…決意もしてる。

手加減はするけど、舐めてかかるのは違うよね。油断はしないでおこう。

 

「アイリス!…約束通り、正々堂々やろうね」

 

「うん。あ、そんでさ、会った時も言ったけど嫁になってくれる?この国が解放されたらさ」

 

「フフ、またそれ?」

 

…冗談って思われたかな?まぁいっか、よく思われる事だし、最後には必ず堕としてみせるから。

 

「おーいアイリス!負けんじゃねェぞー!」

 

「麦わら!待て!逃げるなァ!!…ん?麦わらと親しい女性で、アイリス…?アイリス…イリス……ハッ!!」

 

うわ…なんか知らないけどルフィを追っかけてたキャベンデッシュに物凄い形相で睨まれたんだけど!

ていうかルフィ、もう完全に正体バレてるよねぇ……南無。

 

アイリスは流石に安直過ぎたかもしれない…と思いながらリングまで歩く。ちょっと気分が高揚してきた…!ほら、リング上で無双すれば観客席に居るかもしれない美女達は私に釘付けになる訳でしょ?ウヒョヒョ!今から先の事が楽しみだね!

 

『さァ来るぞ!準備はいいか!?皆の衆!!』

 

うおおおおお!

と司会の掛け声に観客達が大声で応えた。ん?なんだなんだ?何が来るの?

 

『当コロシアムきっての美少女剣闘士!“幻の王女”!!こんなにも会場を熱く沸かせる選手がどこに居る!?』

 

美少女剣闘士…ああ、レベッカちゃんの事か。そりゃレベッカちゃんは可愛いからね!人気がなきゃおかしいよね、うん。

 

「…?」

 

だけど、何故だろう。…レベッカちゃんの兜に隠れたその表情からは、悔しさが滲み出ている。

気になって口を開くと同時に、私達はリングへと足を踏み入れた。

 

 

「「「「ブ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」」」」

 

 

「…は?」

 

「…っ」

 

え、は、え…?何、これ?

こういう演出?…いや、違う…明らかに敵意を向けられている。…それも、レベッカちゃんが。

観客席から一斉に、レベッカちゃんだけに向かって膨大な数のブーイングが飛んできていた。

 

「くたばれレベッカーー!!」

「今日こそ斬られろー!!」

「くたばれー!!」

「リク王の一族ー!!」

「人でなしの一族ー!!!!」

 

「…気にしないで、アイリス。いつもの事だから」

 

「いつも…?」

 

いつも、これなの?

止まない罵声に、突き刺さる膨大な数の敵意の視線。

こんなものを1人で背負って戦ってきたなんて…しかもその理由が自分以外の誰かの為だなんて、そんなのさぁ…!

ああ、きた、きたきた…!この感じ…すっっごく良いって人を見つけると私はいつも胸が高鳴る!…つまり、何が言いたいか分かるよね?

 

「絶対、レベッカちゃんは私が嫁にもらう。…そんな人にいつまでもブーブーうるさいんだよ、ちょっと静かに…して!」

 

ぐっ、と気配を周りに撒き散らす様に力を入れた。要は覇王色の覇気を観客席に向かってぶつけただけだけどね。勿論、気絶させる程強くはしていない。精精目眩がする程度だろう。

 

「…い、今のは…?」

「あのメイドか…!?」

「観客席に手を出したのか!何を考えてんだ!!」

「危ねェだろ!!!」

 

「すぅぅぅ………う・る・さぁあああああああい!!!!!」

 

ドン!とリングを踏み潰して足跡をつける。何が危ないだって…?ちょっと目眩がしただけで喧しいんだよ!

 

「今!!レベッカちゃんの事を貶した奴!!全員…全員顔覚えたからね!!!客席が安全だと思うな、私がいる限り…嫁への侮辱は死んでも許さないから!!!」

 

シン…と静まり返る客席に、尚も言葉を投げかけていく。

 

「粋がるくらいなら降りて戦え!私が相手してあげるよ!!それが怖いなら黙って見てて!!!」

 

「……う、…うるせェ!てめェだって仮面つけて素顔を隠してるからって言いたい放題じゃねェか!!何様のつもりだ!!」

「そいつを庇うって事がこの国でどういう意味になるか分かってんのか!!」

「仮面取って言ってみろ!!お前こそ顔覚えて殺し屋を派遣してやる!!!」

 

…ちょっと予定とは違うけど、まぁいいや。この仮面は…今外す。

 

仮面を片手で掴み、無理矢理紐を引きちぎる様にして取りその辺に投げ捨てた。

素顔を見たからと言って、私の正体に気付くのはごく小数だろう。それに観客席からここまでは距離もある、私は問題なく1人1人の顔をじっくりと観察出来るけど、普通はこの距離で顔を詳しく見るなんてそれこそ相当な視力がないと無理だ。

だけど、その中でも私の顔を見て…それでいてその正体に気付く者達も居た。本当にごく小数ではあったけど、数の程度は問題ではない、1人でも私の正体に気付いたのならばそこからあっという間に情報は広がる。

 

次第ににざわざわと観客席は騒がしくなっていき、リング上では私を見て顔色を蒼白にする者まで現れた。

…思ったより強いな私の名前、10億の賞金首は飾りじゃなかったみたい。

さて、これでようやくレベッカちゃんに対する喧しい声も無くなった事だし…後は選手が全員揃うのをゆっくり待つとしますか!

 

 


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