ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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18『女好きvsアーロン』

アーロンパークの門の前に辿り着くと、村人達がナミさんの受けた仕打ちの報復を掲げて攻め込もうとする寸前だった。

幸いにもそれらの村人達はヨサクとジョニーに止められていたのでまだ誰も中には入っていなかったが。

 

「あ、イリスの姉貴!」

 

「おー、ヨサクもジョニーもお疲れ様〜」

 

軽く手を振って二人の後ろへ回った。

もし私達より先に村の人達が中に入るようなことがあれば、間違いなく殺されていただろう。

 

「よっ…と!」

 

お行儀よく入ってやる必要なんてどこにもないから門を蹴り壊して中に入った。

 

アーロンは最初に私とゾロが見た時と同じように、椅子に座って寛いでいるようだ。

あの椅子ってなんて言うんだっけ。ビーチチェア?

 

「ま、どうでもいっか。みんな、アーロンには手を出さないでね。私がやる」

 

「お、おう!本当は俺がやりたかった所だが仕方ないっ…俺は遠くで君の勇姿を見守ろう」

 

「見守んな戦えてめェも!」

 

ウソップのいつもの感じにゾロが突っ込む。私としてはゾロに休んでて欲しいんだけど…、ミホークとの傷だってあるんだから。

 

「てめェは…ナミが連れてきたガキか。ここに何の用があって来た?」

 

視線だけを私に向けて姿勢を崩さないアーロンに、私は返事もなく近づいていく。

 

「おい…返事くらいしたらどうだ?ガキとはいえそれくらいの知恵はあるだっ…!!!?」

 

そのまま容赦なく10倍パンチでアーロンを壁際まで殴り飛ばして、足元に転がった椅子を踏みつぶす。いつまでもふんぞり返っていられると思うな。

 

「どう?返事だけど…強烈すぎたかな?」

 

「…シャッハハ…、虫ケラの挨拶など、蚊にでも刺されたくらいだな」

 

ぶつかった衝撃でガラガラと崩れる壁を背に、アーロンはまるでダメージが入ってないかのように起き上がった。

 

「あっはっは!虫ケラか。で、半魚(・・)さんは何ケラですかね?」

 

「…その言葉は二度と口にするなと言っといた筈だぜ」

 

「ごめん!魚さんでしたか、海へ帰れ」

 

「魚人だァ!!!」

 

ぶん!と大振りに振るわれた腕を顔の横に腕を立てて受け止める。

うぐぉ…っ、めちゃくちゃ重い…!!

 

「…っ、周りの雑魚は……任せたァ!!」

 

腕を弾いてアーロンを飛び退かせると、間髪入れずに距離を詰める。

 

十倍灰(じゅうばいばい)去柳薇(さよなら)ッ!!」

 

そのまま顔面に10倍のストレートをお見舞いして、吹っ飛ぶ前に足を掴んで振り回す。

 

「おらァーー!大旋回(だいせんかい)!!かーらーのっよいしょぉっ!!」

 

振り回す勢いを利用して地面に叩きつける。

大旋回(だいせんかい)の時はついでに周りの魚人達も何人か昏倒させておいた。

 

「あれ?結構弱いね!」

 

「アーロンさん!ニュ〜許さねェぞ!」

 

「てめェの相手は俺だ」

 

私を攻撃しようとしたタコの魚人をゾロが剣で制する。

 

「なに…!?俺の魚人空手が通用しないだと…!?」

 

「うん、効かねェ。ゴムだから」

 

なんか空手家みたいな魚人はルフィが相手をするようだ。サンジはウソップと一緒にチュウチュウ言ってる魚人の相手だ。

…ま、この中で一番危ないのは私で間違いなさそうだね。

 

あれだけの攻撃を受けても大した傷もなく起き上がっているアーロンを見てため息をつく。

 

「なるほど…ガキにしてはやるようだが、相手が悪いんじゃねェのか?」

 

「いーや、私に言わせればこのアーロンパークなんて、あなたを含めてみんな小魚の大群くらいにしか思ってないよ」

 

首を鳴らして挑発する。

アーロンがいくら強かろうと関係ないのだ。今の、私にはね。

 

「シャハハハハ…威勢だけは良いが、てめェのカスみたいな攻撃はこの通り効いてねェ…。それは何故かわかるか?」

 

「ドMだから。…いや、もしかしてロリ…?」

 

「魚人だからだ!!」

 

「おわっ」

 

その鋭い牙で噛み付いて来た。

サメっぽいし、顎の力も相応にあると見て良いだろう。当たったら10倍アーマー越しでもシャレにならないかもしれない。

 

「地面でも…噛んどけ!!」

 

再度噛み付いて来たのを横に避けて、アーロンの頭を掴んで地面に叩きつける。

だがその顔が地面に直接ぶつかることはなく、鼻が地面とぶつかってそこから先へ沈まない。

 

「どれだけ硬いの…!ぐっ!」

 

アーロンに弾かれ、距離を取らされる。

何だかんだは言ったけれど、確かに魚人の肉体は人間よりずっと丈夫なのは今の攻防で痛いほどわかった。

 

「この鼻も、牙も!生まれ持った(・・・・・・)魚人の力だ。てめェら下等な人間共とは生まれた瞬間から次元が違うんだよ!!」

 

「だったらそろそろ私に攻撃当ててみたら?さっきから掠りもしてないけど…」

 

「バカが、始めの数発を避けたくらいで何を粋がっている?」

 

アーロンが口をパカっと開けたかと思うと、勢いよく歯を引き抜いた。

綺麗に入れ歯のような取れ方をした歯をカスタネットのように右手に持つ。

 

「サメの歯は…」

 

無くなった歯が直ぐさま生えてきて、同じように抜いて左手に持った。

 

「無くなっても直ぐに新しく生えてくる、より強靭な物となってな…どうだ?てめェら人間とは違ってこう言った戦い方もできるのさ」

 

「はぇ〜、確かに無理だね、一本でも抜けたら泣くかも」

 

(トゥース)ガム!!」

 

両手にサメの牙を装備したアーロンが突っ込んでくる。

カスタネットの様にとは正にその通りで、両手を駆使してまるで口が三つに増えたようだ。

 

「っ…!」

 

少しだけ肩に掠ってしまうが、それだけでかなりの痛さだ。10倍アーマーなどこのレベルになってくると大して意味がないな。

 

「どうした人間、手数が増えただけだが?」

 

「いや、手数が増えるって結構な変化だよ」

 

「シャハハハハ!自分で認めるのか…!所詮はバカで愚かな人間らしい…!」

 

10倍ヒールで肩の傷を癒しつつ、アーロンの後ろを指さした。

 

「だから私も増やしてみたんだ」

 

「は…?…ッ!!!?」

 

アーロンが後ろから顔に叩き込まれた蹴りで横に吹っ飛んでいく。

この時ばかりは戦闘中の仲間も、相手の魚人達も、果ては門で待機中の村人達も目を見開いた。

 

「て…てめェ…、そいつは…何だ!?」

 

受け身を取ってダメージを抑えたアーロンが、口の血を拭いながら問う。

 

「何って…なんだと思う?」

 

「さぁ…双子って言ったら面白そうだよね」

 

私の隣に、“私”が居るのだ。

どこまでも私と一緒の“私”。思考回路も私、勿論身長も使える技も私。

何もかもが私と同じの“私”は不適に笑った。

 

神背・倍加(ヒューマインクリース)。最近情けない敗北をしたからね、色々自分の能力と向き合ってみたの」

「そしたら何か出来ちゃった、ま、制限時間付きなんだけど」

 

クロに敗北した後、私はずっと自分に足りない物を考えていた。

そこで考え至ったのが私の全力で戦える戦闘時間の短さを何とか出来ないかという問題だったのだか、最終的に私自身を増やすことはできないのかという馬鹿げた解決法だった訳だ。

結論から言えば今の私を見れば分かる通り、出来た。

ただこの倍加は物に使用する時と同じカウントをされるのか私の人数は2倍までが限度でそれ以上は増えないし、10分経てば私に戻るのだけど。

それに、この技にはどうしようもない弱点が一つあるんだけど…言わなくても直ぐにわかるだろう。

 

「…そうか、てめェ能力者か。ガキのなりして妙にやりやがる理由も納得出来るって訳だ」

 

「負けた時の言い訳に使えてよかったじゃん」

「相手は人間でも能力者だったから仕方ねェ、しゃはは!」

「似てる!下等な人間共よ…しゃはは」

 

「……殺す!」

 

(トゥース)ガムで私達を狙うが、相手の手数が増えたのと同じく、的も増えたとなっては意味がない。

結果私は右手の歯だけに集中できるし、“私”は左手だけに集中出来るという訳だ。

 

「「よっ!」」

 

二人同時にアーロンの攻撃をしゃがんで避け、懐に潜り込んだ。

 

「「十倍灰(じゅうばいばい)!ツイン去柳薇(さよなら)ッ!」」

 

「かーらーのー?」

 

「「十倍灰(じゅうばいばい)!ツイン去羅波(さらば)!」

 

私が二人に増えたので単純に威力の増した去柳薇(さよなら)にアーロンが口から血を吐きながら吹っ飛んで行った所を、ナイフを取り出しまたも二人で放ってXの形で飛んでいく衝撃の刃、去羅波(さらば)で斬り刻んだ。

 

「おい…あのアーロンが…」

「あぁ、押されてる…!これ、勝てるぞ…!」

 

村人達が次第に騒ぎ出すが、私はちょっと焦っていた。

確かに、今のでダメージ自体は与えることはできただろう。

だけど決定打になっていない。

この能力の弱点を考えると短期で終わらせたかったのだが、思ったよりアーロンがタフなのだ。

 

「……下等な人間なのには変わらねェが…、俺の敵であると認識を改める必要がありそうだ」

 

今も二人の私が放った本気の攻撃を二発も受けたと言うのに、平然と立ち上がってくるアーロンに冷や汗をかく。

 

「本気で行こう。てめェが何人に増えようが関係ねェ…魚人の真骨頂を見せてやる」

 

そう言ってアーロンは私が最初プールみたいだと揶揄した海に飛び込んだ。

今の口振りだ、逃げたとは考えられない。

とすると…何かしら水中である事を利用した技が出てくるはずだ。

 

「…受けるしかないよね、任せていい?」

 

「あなたが受けるのはまずいからね…、ま、任せてよ、盾になるのも私の仕事だからね」

 

“私”がそう言って前に出た。

 

(シャーク)・ON…」

 

アーロンの声が聞こえるが、水の中にいるせいで正確な位置が特定できない。

それは“私”も同じ事だ。

 

DARTS(ダーツ)!!」

 

「速…っ!!」

 

水中から恐るべきスピードで飛び出してきたアーロンが、自慢の鼻で“私”の腹を貫いた。

そのままの勢いでアーロンパークの二層目に突っ込んでいく。

 

「どうだ?俺の自慢の鼻の味は」

 

ぶん!と首を振って鼻に刺さった“私”を下に落として笑うアーロン。

落とされた私は何を言っても能力で倍にしただけなので痛覚は存在しないのか、いやー、何も見えなかった、速いね。とか言いながら歩いてくる。いや腹に穴空いてますけど?私それでクロに負けたんだけど?

 

「…そっちのてめェをどれ程痛めつけようが何も変化がねェのなら、本体の方はどうだ?」

 

「まずい、気付かれたかも。盾カモン!」

 

「おい、確かにそれも仕事とは言ったけどその扱いは酷いでしょ!」

 

(シャーク)・ON・DARTS(ダーツ)!!」

 

「危ない!」

 

再度飛んできたアーロンの鼻に刺さる寸前、何とか反応が間に合った“私”が私を突き飛ばす。

 

「うぐ…っ!」

 

その際に脇腹に攻撃が掠っただけとは言え当たってしまい、がくっと膝をつく。

それと同時に神背・倍加(ヒューマインクリース)の効果も切れてしまい、私はまた一人に戻った。

 

「ほう…本体に少しでもダメージが入れば消えるのか」

 

「くぅ…!」

 

攻略されるの早い!

…でも、諦める訳にはいかない。

 

「だったら… 全・倍加(オール・インクリース)!」

 

「てめェの体は一体どうなってやがる?」

 

「人体模型でも見たら大体わかるよ」

 

この能力を使用したからには、延長戦などありえない。

今から三分で決着をつける…!!

 

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