ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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185『女好き、続・天竜人だろうと嫁』

「ひ、ひぇ…わ、わた、わたくしの事は、お気になさらず…っ!」

 

デリンジャーを叩き潰して、これでシャルリアの事は守れた!!…ってな訳で、避難してくれていたシャルリアを迎えに行った私を待っていたのは、こんな感じの台詞を吐きながら何故か顔を真っ赤にして狼狽える彼女の姿だった。

 

「どうしたの?…それより、2年前よりも随分雰囲気柔らかくなったね、以前よりもシャルリアの優しさを感じやすくなってるよ!」

 

「っ…そんな事は…!あ、いえ、きょ、恐縮です…」

 

……何この、恐れ多いみたいな態度は。

一体この2年でシャルリアに何が?なんだかこれ、私と会話するのを躊躇ってない?…もしかして。

 

「それよりさ、覚えてる?次にシャルリアと会った時は…私の嫁に貰うって話」

 

「っ…」

 

私のその言葉に罰が悪そうに視線を逸らすシャルリアだけど、面倒な流れには持っていかないぞ〜!こちとらあなたを嫁にするのは確定事項なんだからね!

 

「…私、は…その、貴女様の御許に置かれて良い存在では…」

 

「シャルリア」

 

出来る限り彼女へ距離を詰め、2年前に比べると少し傷んでいるその頰を両手で包み込む。その際にビク、と震えるのが何とも可愛らしく、本当に彼女は自分を変えようとしていたんだな、と愛おしくなった。

 

「シャルリアがどう思っているかとか、そんな事は関係無いからね」

 

「え?」

 

「私は、あなたを嫁にする。そこにあなたの意思は無いの、分かった?あなたがどれだけ嫌がろうと、どれだけ私の事が嫌いだろうと……今からあなたは、私のモノだから」

 

「……そ、れは……あのっ……っんむ…!?」

 

まだ何か言おうとしていた彼女の唇を、強引に私の唇で塞ぎ込んだ。私は鈍い女じゃない。どうしてシャルリアが私の隣に立つ事を否定するのかなんて分かりきっている。大方、天竜人だった私があなたの隣に立つ事は許されません〜とかそんな感じだろう。

…私にとって、そんな事はどうでもいい。シャルリアが元々どんな人間だったのか、なんて事より、今が大事なんだ。

だけど、シャルリアはそう言っても納得しないだろう。そんな強い意思が見えたから……だから私はそれ以上に強い意思でねじ伏せたんだ。

『何が何でも、あなたの事を貰う』ってね。

 

「ふ…ぁ…ん」

 

右手だけを頰から離し、私から離れようとする彼女の後頭部を押さえ込んで逃げ道を塞ぐ。その隙に強引に舌をねじ込んで、口内で逃げ回る舌を無理矢理絡め取ってやった。

普段はナミさん達の下で散々喘がされてる私ではあるけれど、そのお陰でそっち方面のテクはかなりのモノである。シャルリアも時折びく、びく、と体を震わせ、悶える様に捩る姿は…その、凄く唆られる。

 

そうやってシャルリアの口内を蹂躙し続けてどれくらいの時間が経っただろうか、お互いの口端からは拭う余裕も無かった唾液が伝い、当のシャルリアの瞳も熱っぽい色を持っていた。

…当然、こんな場所で最後まで致すつもりは無いけど……シャルリア、可愛過ぎない…?くぅ…時間さえあればなぁ…!今すぐ宿取って色々したかったなぁ…!!!

 

「ん…」

 

最後に軽く唇に吸い付いてから離れた。

シャルリアの赤く染まった顔が可愛らしい。顔立ちは綺麗が勝っているというのに…ふふ、ほんと…2年前から随分成長したね、シャルリア。

 

「…ね?これだけ私に求められてるんだから、応えない方がどうかしてるでしょ?」

 

「…あ、貴女様は、本当に分かっていらっしゃるのですか?私は天竜人でしたのよ?過去に行ってきた、非人道的な、悪意のある…極悪非道で横行闊歩な所業の数々を知れば、普通は…誰だろうと…」

 

「最低な自分を自覚して、今日までずっと苦しんできたんでしょ?ううん、それだけじゃないよね?きっとシャルリアの事だから、何とか自分の罪を償おうと苦しんでいる人達を自らの身すら顧みずに救い続けて来たんじゃないかな。…それこそ、今日みたいにね」

 

天竜人って人達が、どれだけ屑の集まりなのかは知ってる。シャボンディで実際に見てるし、ジンベエから聞いた魚人島の過去の話にも出てきた。それに、ハンコック達にトラウマを与えたのも天竜人だ。

…だけど彼らは、生まれた時からそうする事が当たり前だと育てられてきた。そうする事が当たり前の環境で生まれて、そうする事が当たり前の環境で育って。

ある意味、可哀想な人達だと思う。本来なら無限にある可能性も、自分の中で作られる価値観も、全て生まれた時に決められてしまうんだから。

 

だからこそ、シャルリアちゃんは凄いんだ。そんな環境で育ちながら…ちょっとしたきっかけで自らの過ちに気付く事が出来た。

それでいて、何とかして罪を償おうと足掻く事が出来ている。

絶望して蹲るだけじゃない。きちんと前を向いて、誇れる自分であろうとし続けている!

 

「だから、改めて言わせて。…シャルリア、あなたに、私の嫁として隣を歩んで欲しい!あなたの在り方を見て、私は確信した!あなたが私の嫁になってくれなきゃ、私のハーレム女王になるっていう夢は一生叶わない!あなたが居ないとハーレム女王なんて言えない!!あなたが、シャルリアが欲しい!!!」

 

シャルリアの両手を私の両手で優しく包み込んで、力強くそう宣言した。

天竜人を嫁にすれば、多分また波乱というか色々起きてしまうのかもしれない。だけどそんなモンは知った事か、待ち受ける困難なんて全て蹴散らしてみせる。私が目指すのはハーレム女王!困難上等なんだから!

 

「…ふ、ふふっ…!…やっぱり貴女様は、2年前から変わらずに無茶苦茶な方です」

 

「そ、そうかな?」

 

「はい、初対面の女の顔を蹴り飛ばすくらいですから」

 

「ぅえ!?ちょ、それはごめんなさい!!私が悪かったから許してぇ!!」

 

「ふふ、冗談ですわ。…私は、貴女様には本当に感謝しているのです。当時のどうしようもない存在であった私を、強引でも闇から引っ張り上げてくれた…。そんな貴女様の事を、私は心からお慕いしております」

 

「……っ」

 

そう言って目尻に涙を溜めながら、儚くも、だけど美しいその微笑みを浮かべたシャルリアに…私はつい息を呑んだ。

 

「これからも私は、貴女様にご迷惑を掛ける事になるでしょう。シャルリア宮の名は、最早私の生涯を賭けた善行などで洗い落とされる様な汚れでは御座いません。…それでも、私はこれから先の人生をこの世界で暮らす人々の為に使いたい。…許されるのならば、貴女様のお側で」

 

「っ…という事は…?」

 

「はい。この様な、本来であれば救われていい存在ではない私ですが…」

 

「んもう!それはシャルリアが何とかする事でしょ!私の隣に立つのにそんな事情は関係無いから!!」

 

遂に我慢が出来なくなって、ギュ、とシャルリアの体を抱き締めた。細いけど出るとこは出てる素晴らしい体…!さわさわさわさわ。

 

「んっ…、そ、その様な行為は、未経験ですので、その…ご期待には添えられないと思いますが…」

 

「えへへ、最初はそんな事言ってる嫁も居たけど、今じゃ私を押し倒して好き勝手してるくらいだからシャルリアも気にしないで?むしろ不慣れなのも可愛いよ」

 

……っと、ちょっと…いやかなりテンション上がってたかも。まだまだこの国での用事は終わってないんだし、急がないと!

 

「…あー、その、さっきあんな事言っておいて幻滅されちゃうかもしれないんだけどね、この国にはまだ嫁になって欲しい人が何人か居て、まだ振り向いて貰えて無いから…」

 

さっきの今でじゃあ他の人口説いてくる!とか流石にアレだよね…でも状況がぁ…!!

ハーレム女王を目指す身としては、仕方がないと割り切るべき所なんだろうけどやっぱり気にしちゃうのが本音だ。

 

「何を仰っているのですか、王とは様々な事情に備え、多くの側妻を持つべきです。失礼ながら、イリス様は現在何名程の側妻をお持ちで?」

 

「ええ!?い、いきなりだね…えっと…22人かな」

 

「……え?それだけですか?」

 

「あ、それだけなんだ…」

 

確かに私としては美女はどれ程居てくれても構いやしないどころか大歓迎だけど、端からこの人数を聞いてそれだけって言えるのは凄い…。

 

「ええ、勿論ですわ。何故なら貴女様はハーレム女王…つまり、この世の女の頂点に立つお方であらせられます。全世界の女の数は正確には把握しておりませんが、それはもうかなりの人数となるでしょう。その頂点に立つお方の側妻が22人となると、些か威厳にも欠けるかと思われます。……はっ…!い、いえ、やはりそれは、貴女様の様にカリスマ性溢れたお方には、あまり関係の無い内容ではあったかもしれません…!」

 

「……いや、その通りかもね、シャルリアの言う事も最もだよ。それに、そこまで私の夢の事を考えてくれて嬉しいし!ありがとう!」

 

「う…ぁ…!み、身に余る程の光栄…き、恐縮の極みでございます…わ…!」

 

はは…私の夢に肯定的なのはありがたいけど、変に謙られるのも困ったものだね…。ま、この辺はまた追々考えちゃおう。せっかくシャルリアがこう言ってくれてるんだし、まずはモネの件をどうにかしないと!

 

「それじゃ、失礼して」

 

「きゃっ」

 

んぐ…ちょっとお姫様だっこしただけでなにその可愛らしい声は!だから!ここ外だから!私も自重しなきゃいけないからさ!!

 

「当分起きないとは思うけど、もし暴徒達やデリンジャーが起きたら危ないし…一緒に連れてくけど、良いよね?」

 

「…はい、元より私は貴女様のお側にこうして居られるだけで幸せで御座います。どこへなりともお連れして下さいませ、どこへなりともお供致しますので」

 

…な、なんだか2年見ない間に私の臣下みたいな事言い出しちゃった…。

ほんと、2年前とのギャップが強すぎる人No.1かも…。ま、可愛いからいっかぁ。

 

 




ここでシャルリアについての軽い設定を。
最早原作の面影は消え去ったシャルリアではありますが、素の口調はあの〜アマス、〜かえ?のままです。やはり長年身についた口調はそうそう変えられなかったみたいですが、何とか意識して抑えている…という訳です。
それが影響して、シャルリアの口調は不安定になっています。ただのですますだったり、いきなりお嬢様口調になったりと本人も苦労しているみたいですね。

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