ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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187『女好き、欲しいのは、ただそれだけ』

一先ず王宮に向かうと決めた私は、シャルリアを大事に抱きながらその場所を目指していた。

移動した王宮は今は鳥カゴ内の中心に位置し、何層にも連なる大地の最上段にある。

普通はあの王宮まで辿り着こうと思えば、一段目、二段目と順番に上がっていかないとダメなんだろうけど、生憎私は空を飛べるから関係ない。

 

…とはいえ、ルフィ達はドフラミンゴを目指すだろうし、王宮に辿り着くのもそう先の話でも無いだろう。さっきの話を聞いたのなら、ルフィも王宮に入るのを躊躇うだろうから私が早く到着しないと!

 

それにしても、既に乱戦は始まってるっぽいね。コロシアムで一緒に戦った人を味方につける事が出来たのか、戦力的にも頼りになる人達がかなりの数こちら側についてくれてるみたいだ。

ドンキホーテファミリーの下っ端くらいなら簡単に蹴散らしてくれてるし。

お、この気配はキャベンディッシュだね。それにレベッカちゃんも居るし…あれ、叶も居るじゃん!戦力過多〜!

…ん?ちょっと離れてるけど、そこにエースの気配もする…!誰かと共闘してる…のかな?相手、それこそ海軍大将並に強そうだけど…。

いや、なんか分かんないけどすっごく息のあった連携してるし、大丈夫かな!それにお相手も本気で戦ってる訳じゃなさそうだ。エース達と戦う事でわざと足止めを演じている…様な印象を受ける。いや、正確には分かんないけどさ。

 

「1段目はルフィ達で、2段目はー……っと、この気配はベビー5!」

 

ベビー5だけじゃなくて他にも強そうな気配沢山…てことは、向こうの幹部達か!

でも良かった、ベビー5は今すぐに身に危険が迫るって事も無さそう!さっさと無力化して嫁に迎えなければ!

っていうか、もう近くまで来てるんだけどね!シャルリアを抱いてるから抑え目とはいえ、それなりの速さで移動してるし…私は誰にも邪魔をされずに空を走ってる訳だから地上のみんなと違ってスムーズにここまで来れたという訳だ。

 

「よっと!」

 

衝撃がシャルリアに届かない様に緩やかに着地し、辺りを見渡す。んー、まだ誰も来てないか。

という事は2段目の大地に居るのは私とシャルリア、それから…さっきからずっと警戒しながらも殺気を飛ばしてくる、そっちの4人だけって事かな?

 

「ベビー5〜!!さっきぶり!!」

 

「…女王、また容姿が変わってるわ…!」

 

「気を付けろ、ベビー5、奴を止めるにはお前が必要不可欠だ」

 

「えっ…私が、必要…!?ま、任せて!」

 

相変わらず、誰にでも何にでも必要とされれば嬉しそうに笑うなぁ。なんだかその表情に…ほんの少しの悲しみさえ見えなきゃ、ただただ可愛いねで終わってるってのに。

 

「女王!お前の目的は分かっている、ここに居るベビー5と、若のお側で待機しているモネだろう!!」

 

ツンツン頭の、特徴的なメガネ…サングラス?ゴーグル?をつけた男が話しかけてくる。他にはよぼよぼの爺さんと、脂肪が詰まりすぎている巨大男。…本来ならここにデリンジャーが居たのかな?今じゃ顔を地面に埋めて夢見てる所だけどね。

 

「待機?…鳥カゴとやらに閉じ込められているのを待機っていうのなら、そうなんじゃない?」

 

「っ…お前が今ここで手を引くのなら、ベビー5もモネもお前にくれてやると若は言っている!お前も知っているだろう!?モネも優秀な女だが、この女は何と言っても便利差が違う!お前が頼めば何でもしてくれるだろう!戦場の切込隊長から夜の慰物まで、それこそ何でもだ!!」

 

ぴく、とベビー5の体が跳ねた気がした。

…うーん、さてはこのツンツン頭、交渉下手だな?闇の世界とやらで生きてきたからか、クズ相手には十分効果を発揮しそうなセールスではある。

だけど…ぶっちゃけ私相手にそれって、逆効果だとしか言いようがないよね?

 

「便利…?」

 

「そうだ!お前には成し遂げるべき夢があるんだろう!?ならばこの女を使うと良い!これは手となり足となりお前の為に動いてくれる!!」

 

「ふぅん…そっかぁ」

 

「どうだ!?お前にとって、悪い条件では……っごっがァ…!!?」

 

メリ…、と私の足がツンツン頭の腹にめり込み、その後凄まじい勢いで彼方へと飛んでいった。

他の3人も何が起きたのか分かってなさそうだけど、簡単な話、私の足の長さを倍加させた『100倍灰・ゴムゴムのスタンプ』である。

当然、加減の出来ないその攻撃を喰らったんだから間違いなく一撃KOだろう。死んでない事を祈るしかない。

因みにわざわざこの手を選んだ理由としては、私自身が高速で動いちゃうとシャルリアに負担が掛かるからだ。それは避けないとね。

 

「…一撃で…!」

 

「あのさぁ」

 

「!!」

 

ドン!と地面を踏み付ける。それだけの動きでも100倍は発動し、グラグラと大地に揺れが発生した。

それにしても、レベッカちゃんといい、シャルリアといい、モネといい、ベビー5といいさぁ…どうしてこうも、私をイラつかせる状況に身を置くのかなぁ?狙ってる?狙ってるよねこれはもう。

 

「私の夢は……ハーレム女王になるっていう夢はさ、当然…私1人で成し遂げられる物じゃないよ」

 

だけど、と言葉を繋いで、ついでに爺さんも蹴り飛ばしておいた。

 

「私は、嫁を“使って”ハーレム女王になるんじゃない」

 

今度は大男を蹴り飛ばし、邪魔者も居なくなったという事でベビー5へと歩いていく。

 

「…嫁と“一緒に”、ハーレム女王になるの。…ベビー5、確かに私はあなたが必要だよ、だけど…絶対にあなたをモノ扱いなんてしない」

 

「…!!」

 

「私はあなたを幸せにしてみせるし、私はあなたを人として尊重する。勿論、助けて欲しい時は助けてあげるし、逆に私が困った時は力を借りる。これから先の人生で、あなたを便利な女だなんて呼ばせやしない!よーく聞いてよベビー5…!私は、あなたのその能力よりも、あなたが闇の世界で培ってきた数多の技術よりも、私は……!!あなたっていう存在が、欲しい!!」

 

「…ぁ」

 

怒りに身を任せて、ド直球で、もうかなりのストレート球で口説いてみた。

だって腹立つじゃん!便利とか!使うとかさ!私はそんな事を言わせる為に嫁にするんじゃない!!

 

「……ふふ、やはり貴女様は、素晴らしいお方ですわ」

 

「え?」

 

腕の中のシャルリアがもぞもぞと動いて何かを呟いた。何かをって…聞こえたけどさ、バッチリ。ちょっと降ろして欲しいと視線で告げられ、一旦渋々と降ろせば私の1歩後ろへと移動し控える様な形になった。

 

「…わ、たし……必要?私が、必要?」

 

「!…うん、何が何でも、ね。だから自分を粗末に扱って欲しくない。あなたにはこれからもずっと健やかに生きて貰わないといけないんだからさ」

 

ベビー5の前へと辿り着けば、彼女は嬉しさの中に困惑を滲ませた表情を浮かべていた。

…正直な所、いきなりど直球のプロポーズをかまして成功するだなんて思ってもなかった。多分、ベビー5にも色々と事情があって、私の言葉はたまたま彼女の琴線に触れたのだろう。

それは良いけど、困惑の感情は…あれかな、それこそいきなりだから、とか、まだ残ってるドフラミンゴへの忠誠心…とか?そもそも彼女がモネと同じ様な忠誠心を持っているかどうかは知らないけどね。

 

「ベビー5、私の嫁になってよ!」

 

有無を言わせない為に、背中に腕を回して抱き締めた。あ、勿論抱き締めたって言っても力は入れてないからね!?潰しちゃう!

 

「…はい、あなたが、私を必要としてくれるなら!」

 

「うん、これからよろしくね!」

 

必要とされれば命すらも差し出しちゃいそうな彼女だけど、それも今後直していけばいい。もうそうやって自分を追い詰める必要はないんだから。

 

「…それで、嫁になって貰ってすぐで本当に申し訳ないんだけどさ、王宮の状況って正確に分かる?えーっと、モネを囲ってる鳥カゴとか」

 

ほんとに急で申し訳ないけど、モネの事も急がなきゃいけない。

ベビー5もそれは理解してくれている様で、変に疑問を抱く事なく答えてくれた。

 

「それなら、分かるわ。若は王宮の周りを囲う様に細い糸を張り巡らせてあるのよ、それに少しでも触れたら、鳥カゴは縮んでいく」

 

「んー…じゃあ、縮む速度とかは?」

 

「今までも拷問に使ってたりしてたけど…あの大きさだとモネの体を斬り刻むまで、縮小が始まって2分。若が調整を入れてるなら私にも分からない」

 

…だよね、んー…困ったなぁ、結局そうなる…か。

もし本当に2分もかかるのなら、王宮に侵入してモネを助け出すのは簡単だ。10秒でも助けられる自信がある。…けど、私が糸に触れた瞬間にモネが死んでしまうくらいまで縮小されたら厳しい。

そんでもって性格の悪いドフラミンゴの事だ、それくらいは準備してそうだと思っておいた方が良いだろうね。

 

どうしようかなぁ…と悩んでいると、おずおずとシャルリアが遠慮がちに腕を上げた。別に気にする必要は無いのだけど、私の思考を邪魔している、とか考えているのかもしれない。

 

「シャルリア?」

 

「申し訳御座いません、僭越ながら私、1つだけ糸に引っかからない方法を閃きました」

 

「どんな!?」

 

それを聞いた瞬間に間髪入れずにシャルリアへと詰め寄る。当のシャルリアはいきなり目と鼻の先まで迫った私の顔に瞳をぱちくりとさせ、頬を染めながら目を瞑る。

 

「…あれ?どうして目を瞑ったの?」

 

「…この距離までお近付きになられたのですから、キスでもどうかと思いまして」

 

「ははは、私、そこまでがっついてない……けどする!!」

 

流石シャルリア…近付くのならキスくらいしていけ、と言う訳だね…!…いやまぁ本人は多分、自分を慰物に使え、くらいの気持ちで言ったんだろうけどさ。…あんまり自分をそういう風に扱って欲しくないけど…なんか、なんかえろい。

 

そんな感じで軽くキスを交わして本題に入った。

 

「それで、方法って?」

 

「はい、それはベビー5様、あなたですわ」

 

「え?私?」

 

こてん、とベビー5が首を傾げ、シャルリアは頷いて肯定を示した。

ベビー5が……なんだろ?

 

「ここでの出来事を逐一監視するだけの余裕がドンキホーテの者にあるとは思えません。つまり、まだベビー5様がイリス様の手に堕ちた事は気付いていない筈ですわ。なら、仲間であるベビー5様は王宮へと入れるのではないでしょうか」

 

「!そっか、じゃあ私はベビー5と一緒に入ればいいんだ!」

 

「確かに私には王宮の罠は作動しないわ!」

 

ベビー5もこう言っているので、シャルリアの案で行く事にしよう。

私が王宮の周りがダメなら地中から無理矢理突入してやろうかな、とか考えている内にこんな実用的な案を思い付くとは、流石シャルリアだ。……私の考えが脳筋なのは昔からだから!

 

「凄いよシャルリア!あともうちょっとで穴掘りしないといけなくなる所だった!」

 

「え?……?こ、光栄ですわ」

 

私の言ってる意味が分からなくて困惑しながらも取り敢えず言葉を返すシャルリアも可愛い。

 

「ベビー5もよろしくね!」

 

「ええ、任せて」

 

……これ、ベビー5を便利扱いしている事になるのかなぁ。うーん、彼女の場合は色々と複雑で、お願い事をするだけでもちょっと深く考えてしまうね。

……ううん、やっぱり違う!“使う”と“頼る”じゃ全く違うもんね!うん、気にするのやめた!

よーし!頼りにしてるよ、ベビー5!

 

 

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