ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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194『女好き、妻と娘の気持ち』

その後のリク王との交渉は、特筆する事も無い程にはスムーズに流れて行った。

ていうか、交渉にもならなかったというか。

 

リク王様的には、モネやベビー5を迎え入れるのはどこか思う所があるという。当然だ、むしろ何も思わないのなら王様失格だろう。

だけど、彼女達は私の嫁でもある。この疲弊し切った国で、更に一騎当千の女王である私の怒りを買う訳にはいかず、この提案は飲むしかないのだとか。

これじゃあ脅迫だよねぇとは思うけど、上手いこと話が進んだからヨシとしよう。

 

 

そんなこんなで数日が経ち、ルフィ達の傷も癒えたという事で私達はそろそろ“ゾウ”を目指そうという事になった。

余談だけど、既にシャルリア強化特訓はスタートしている。現在は基礎の体力作り、私やミキータとの追いかけっこだ。

2年間各地を渡り歩いて来ただけあって、シャルリアはそれなりに体力がある。それでもまだまだ足りないからこうして特訓してるんだけど。

その他にも、どうやら剣術の才があるとかでゾロから色々と学んでいるようだ。ゾロも人に教えた事は無かったらしく、これはこれで良い修行だとか言ってた。

 

あと気になるのは街の噂話だ。レベッカちゃんの父親はここに居るキュロスの筈なのに、巷では隣国の王子がレベッカちゃんのお母様と駆け落ちしたとか何とも言えない噂が流れていた。

レベッカちゃんのお母様、スカーレットは、あの時のトレーボルの言葉を信じるなら既に亡くなっている。だから、この噂がどうして広まったのかは謎だった。だって、火のない所に煙は立たないのだから。

 

「その噂は私が流したんだ……」

 

「え?」

 

なんか変だよね、とミキータ達と話してれば、唐突にキュロスがそんな事を言い出した。

 

「私がレベッカの父親だと知る者は限られている。ごく一部の王族と、ドンキホーテファミリー。そして君達だ。だから知れ渡る前に噂を流した」

 

「なんで?」

 

食い気味に質問をする。レベッカちゃんの事情はある程度知っていても、キュロスの事情までは知らないんだ、私は。

その辺はミキータの方が詳しそうだ。

 

「私には“前科”がある…育ちも劣悪だ。本来、王族と結ばれていい身分では無かったのっだぶァ!?」

 

「オイイリス!手を出すのが早ェって!!」

 

「離してウソップ、離さなくても止めないけど」

 

「押さえられてんだから止めろよ!?」

 

思わずキュロスを殴った私の肩をウソップが掴む。

ここは変わらずキュロスの家で、ベラミーやローも既に目を覚ましている。エース達に代わって現在は錦えもんと、助け出した侍であるカン十郎もここに居た。

 

「その事、レベッカは知ってるの?」

 

「ぐ……、手紙が、渡っている筈だ。私の人生の全てを正直に綴った。彼女には軽蔑されるかも知れないが……レベッカはまだ子供だ。一時の激情で将来の幸せを逃して欲しくながァ!?」

 

「いでででででッ!!?無理矢理殴るなお前ェ!!」

 

ウソップに掴まれていようが関係なく殴り飛ばした。殴らないといけないと思った。この人には、自分が何を口走ったのかを理解してもらわないといけない。

 

「それって、つまりバカにしてるって事?」

 

「……そうではない。ただ、私のそばにいても幸せにはなれないと……」

 

ああ、ダメだ。なんか無性に腹が立つ。この人は何にも分かってない!!先を見据えすぎてるし、結局は独りよがりの自己満足だ!!

 

「レベッカちゃんもそうだけど、あなたの嫁さんをよくもそこまでコケに出来るね」

 

「……何?」

 

「隣国の王子と、駆け落ち?ふざけてるの?レベッカちゃんのお母様が愛したのはあなただってのに、そのあなたがっ!どこの馬の骨とも知らない奴と!!あいつは遠くの地へランデブーしましたって!!あなたはそんな噂を流したのかっ!!」

 

「っ……」

 

キュロスが目を見開いて私を見据える。みんなも空気を読んでか、ウソップさえも静かになった。

 

「自分の嫁でしょ!!そんな人との娘でしょ!!あなただけは逃げちゃダメって思わないの!?天国でスカーレットさんも泣いてるだろうね!!なんたって自分の夫に架空の男をあてがわれてるんだからさ!!」

 

「っ私は!そんなつもりでは……!」

 

「……そんなつもりがなくたって、あなたがしたのはそういう事だよ。娘の為じゃない、娘と向き合えない自分自身の為に、あなたはスカーレットさんの想いを踏み躙った。……レベッカちゃん、あなたの事を思い出した時、泣いてたよ。私達がお父さんに会う為の手伝いをするのを恩だって言って、その恩を返せるモノがないって嬉しそうにさ」

 

「!!……っ」

 

グ、とキュロスは拳を握り締める。

弱って弱って、自分がどうしようもなく情けなくて、愛する人からも逃げてしまう。

その気持ちは、正直覚えがあった。だからこそ見逃せない。お節介でもなんでもいい。殴ってでも考えを改めさせてやるのだ。

 

「罪を犯そうが、育ちが悪かろうが、あなたはスカーレットさんが愛した人で、レベッカちゃんが尊敬する父だよ」

 

「……父、か。こんな私でも、あの子の親を名乗れるのか……?」」

 

「名乗る必要なんてないよ、レベッカちゃんがあなたを父親だと認めているんだから、あなたはレベッカちゃんの親なんだ。親子関係ってさ、誰かに認められて成り立つものじゃないでしょ?」

 

「そう、か。いや……そうだな、その通りだ。私は逃げていただけかも知れない……。過去と向き合えず、妻にも顔向け出来ない事をしてしまった」

 

ネガティブな発言だけど、表情はどこか吹っ切れたみたいに穏やかだった。これならもう大丈夫だろう。

言いたい事を言ってスッキリしたので、晴れやかな気持ちでソファに腰掛ける。やっぱり自分を抑えるなんて私には出来ないって事だね、自重?何それ?

と、そこへ呆れ顔の叶が姿を見せた。

 

「話があって来てみれば、どうして原作を知らない筈のあなたがキュロスを立ち直らせているのですか。本当に、生粋の人たらしですね、あなたは」

 

「どゆこと?原作知ってるとか関係なくない?」

 

「ぐおォお!!!む、麦わらの一味が7人も居られるだべ〜〜ッ!!」

 

叶のよく分かんない発言に戸惑ってると、その後ろからバルトロメオが出てきて顔を腕で覆った。何してんの。

 

「もしいづか麦わらの一味オールスターズに逢っちまった日にゃ、オレァ失明しちまうべコレ〜〜ッ!!」

 

「お、おう……バルトロメオ、だよね?なんか濃くない?あなた」

 

「キャハッ、イリスちゃんの濃すぎる可愛さには負けてるわっ!」

 

「どうしてそこで張り合っちゃったの!?」

 

むぎゅ、と後ろから私を抱きしめてミキータがそう言った。椅子に座ってるから、立ってるミキータに抱き締められたらぽよんが丁度頭に当たって大変素晴らしいですはい。

 

「い、イリス先輩が、オレの名前を……っ!その上奥様であるミキータ先輩との甘い会話をこの目で見られる日が来るなんて……!!」

 

「さっさと要件言えよ!!」

 

いい加減我慢出来なくなったゾロが、1人涙を流すバルトロメオにそう突っ込んだ。

コロシアムでは大胆不敵ってイメージだったんだけど、既にそんな印象は忘却の彼方である。

 

「ハッ、そうだべ!海軍のテントに動きが!!ボチボチここも危ねェべ!!大参謀おつる中将と、前元帥センゴクが到着した!!」

 

「おつる?センゴク?」

 

誰だっけ。

えーっと、おつるって人は分かんないけど、センゴクはそういえば2年前の戦争で見た気がする。

前元帥……ああ、あれだ、青キジが従ってた人だ。

だとすればかなりの大物がこの地にやって来たという事だね。

 

「だったら、その2人は私が相手しようか?」

 

「お前が行くなら俺も行く。獲物の独り占めはさせねェよ」

 

「お?大丈夫なの?私について来れるかな?」

 

「てめェ本当に叩っ斬るぞ」

 

なんてゾロと遊んでると、キュロスの電伝虫に連絡が入った。相手はレオという小人族らしい。

どうやら、私の知らない所でみんな小人族との交流を育んでいたそうだ。ちなみに叶は結構前から知り合いだったみたいだけど……何故?

 

それで要件だけど、この地に留まっていた海軍が動き出したとの事。目的は間違いなく私達海賊の捕縛だろうけど、何で今更なんだろ?捕まえるなら一番消耗の激しかった決着当日の夜がベストだっただろうに。

それはともかく、さてどうするか。別に私が全員相手してもいいけど、そこまで大規模ともなると国に損害を与え過ぎてしまうかもしれない。ただでさえ今回の騒動でボロボロになっているというのに、更に私が暴れたとなると踏んだり蹴ったり所ではないだろう。

 

「この島を出るなら、船はどうする?先にナミさん達を行かせてるよね?」

 

「ギャー!そうだったァ!船どうすんだよォ〜〜っ!?」

 

サニー号は先行してゾウを目指している筈。最悪の場合……本当に海軍とどんぱちやり合う必要もあるのか……!

 

それに、まだモネとベビー5を王宮まで送り届けられてない。こうなってしまってはしょうがないかもしれないけど、なんだかんだで強行突破になりそうな予感がした。

 

「船ならあるべ!真っ直ぐ東の港に走ってけろ!!あんたたづがいづでもこの国から脱出出来る様に、既に同志たづがずっと要所に待機してんだべ!」

 

「へぇ!やるじゃんバルトロメオ!」

 

「そ、そんな、恐れ多いべ〜っ!!」

 

うんうん、やっぱり敬われるのは悪くない。少し偉そうになってしまいそうだ。

だから、そんな彼には申し訳ないんだけど……。

 

「ごめん、私ちょっと別行動!すぐに追いつくから先行ってて!」

 

「えェ!!?」

 

「何を言っている、そんな時間など……」

 

「ええ、気を付けて、イリス」

 

驚くバルトロメオとキュロスを流してロビンがそう言ってくれた。

理解ある嫁でホント助かるよ。

けど、急がなきゃいけないのは事実なので、まずは女王化を使用した。2年前だとこんなに簡単に使えはしなかった。でもまだ奥の手が残されてる現在なら、こういった安易な使用も悪くない。

 

「行くよ、掴まって2人とも!」

 

「っ、え、ええ!」

 

「きゃっ」

 

両脇にモネとベビー5を抱えて家を飛び出す。2人を送り届けなくちゃ、私はこの地を出発出来ないし、しない。だからこれは最優先事項なのだ。

それにレベッカちゃんもこの家まで連れてきたいから、往復する必要がありそうだ。

 

「舌を噛まない様にしっかり口閉じててね!100倍で行くよぉ!」

 

速さだけね!!

よし、このまま目指せ王宮、攫えレベッカちゃん!ってね。

 

 

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