ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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195『女好き、信頼を得るという贖い』

「待ってください」

 

「はえ?」

 

王宮へ向かおうとした私を叶が呼び止める。今はかなり急いでいるから、叶もそれなりの理由があって呼び止めたのだろうけど、なんだろう。

 

「王宮へ向かうのならば、私が案内します。こちらへ」

 

叶の手に杖が生み出され、それでカツンと地面を叩けば、叶の周りの地面に直径2メートル程度の魔法陣が浮かび上がる。

……なんか読めた気がするけど、まさかそんな事まで出来るわけないよねー、と思いながらも叶に促されるままモネとベビー5を連れて魔法陣に入った。

 

「行きますよ」

 

「う」

 

 

シュンッ。

 

 

「ん。……うわぁ、予想はしてたけど、マジですか……」

 

「え?え……?」

 

今、私達の目の前にはレベッカが居た。というか、私達がここまで『転移』して来たのだ。

魔女……魔女かぁ、いやぁ、定番とはいえテレポート的なアレまで出来ちゃうんですか、しかも人を連れて。

 

「これ使えばルフィ達ももうちょっと安全に東の港まで行けたんじゃない?」

 

「『テレポート』は同時転移人数が4名までなんです。あの人数を纏めて運ぶ事は出来ません。それに、回数の制限もありますので」

 

なるほど、色々と縛られてるって訳だ。

……それにしたってとんでもない性能の技、いや、魔法だけどね。

 

「あ、アイリス?え、今どうやって……」

 

「あはは、人間やめてる知り合いがちょちょいってね」

 

「あのですね、その言葉はあなたにだけは言われたくないのですが」

 

叶に続いてモネとベビー5もうんうんと頷く。自覚はあるから変に反論しないでおこう……。

 

「お父さんから手紙はもらった?」

 

「!……うん。……お父さん、もう私と暮らしたくないのかな……」

 

「大丈夫、その事なら話つけて来たよ。後はレベッカちゃんが本心を伝えるだけで良い。だからまずは会おう、会って話をしよう!あと嫁になって!!」

 

ぐいっとレベッカちゃんの腕を引っ張る私に、周りに数10人と控える侍女達があたふたし始めた。

今や(というか前からなんだっけ?)レベッカちゃんはこの国の王女だ。気軽にこういう事をするのは良くないのかもしれないけど、嫁になるんだから別にいいよね。

 

「レベッカ!何かあったの!?……って、あなたは女王!?」

 

とそこに、勢いよく扉を開けてヴィオラが登場した。うーん、やっぱり彼女も美しい。

 

「ちょっとレベッカちゃん貰ってくね。あと、こっちの2人を今日からよろしくお願いします」

 

「こっちの2人……?……ッ、あなた……モネ……ッ!!」

 

「……久し振りですね、ヴィオラおう……ヴィオラ様」

 

私が手で2人を示せば、知り合いだったのかヴィオラは分かりやすく表情を怒りで染めて、モネは気まずそうに視線を逸らした。

うん、こういう事もあるだろうね。だからこそ乗り越えてもらわないといけない。これこそが、彼女達に与えられる罰であり試練なのだから。

 

「この2人が今日からここでお世話になるのはヴィオラも知ってたよね。改めてよろしくお願いします」

 

「……それは、聞いていたけど、まさかモネが居るなんて」

 

「事情も知らない私が勝手に話を進めちゃって申し訳ないとは思ってる。でも、受け入れてほしい」

 

「わ、私からもお願いします、ヴィオラさん!」

 

お、まさかのレベッカちゃんからの援護射撃だ。

それでもヴィオラは眉を寄せたままだったが、すぐに考えは纏まったのかモネをジッと見据えた。

 

「この国を救ってくれた恩人の頼みだもの、無下には出来ないわ。けど、条件は付けさせてくれないかしら?」

 

「ありがとう!それで、条件って?」

 

「まず1つ目だけど、モネには海楼石の手錠を付けてもらうわ。そちらの女性も能力者なのなら同様にね」

 

ふむふむ、それはまあ、当然の処置だよね。信用できない自然系(ロギア)の人間を雇うのは無理だって事だ。そんなの誰でもどこでも同じである。

 

「そして2つ目は……、もし、少しでも彼女達に怪しい動きが見られた場合は……死んでもらう」

 

「うん、分かった。じゃあそれでよろしく!」

 

「……えっ、い、いいの?そんなに軽くて大丈夫かしら!?」

 

正直、やった事だけ見ればモネもベビー5も即インペルダウン行き確定だ。条件付きとはいえ受け入れてくれるだけでも、ドレスローザの王族は心優しい。

それにこの条件は2人には枷とならないだろう。既にこの国に害を及ぼそうとはしていないし、ドフラミンゴの洗脳じみた支配からは抜け出している。

七武海であるドフラミンゴ軍の幹部だったモネとベビー5には手配書が無いから、海軍側にも顔は割れてない筈だ。

 

「モネ、ベビー5、頑張ってね」

 

「ええ、……ヴィオラ様、もうあなた様方には嘘を付かないと誓います」

 

「……はぁ。まずはその言葉が信用するに値するという事を行動で示して貰うわ。昔程甘くはないわよ、びしばし働いて貰うから」

 

ヴィオラや王からの信頼を得るのは彼女達の途方もない努力が必要になるだろうけど、こうして受け入れてくれたんだから、それも時間の問題だと思う。

さて、私はレベッカちゃんを頂いていきますか。

 

「という訳で、後はよろしく!またね、モネ、ベビー5、あとヴィオラも!…叶、お願い!」

 

「行きます。『テレポート』」

 

そして私は慌てるヴィオラに手を振って再びキュロスの家前まで転移してきた。

うん、2回目だけど改めて思う。叶の能力便利過ぎない?

 

「さ、レベッカちゃん、中でお父さんが待ってるよ」

 

「う、うん!」

 

軽く背中を叩いて送り出す。レベッカちゃんの表情からは、少しの緊張と多くの期待がバッチリ見て取れた。

 

「あ、アイリスっ!私、本当にあなたに感謝してるのっ!約束通りドフラミンゴを倒してくれて……それに、こうしてお父さんとも……っ!」

 

「私だけの力じゃないけどね。でも、ありがとう、レベッカちゃん」

 

「ううん、ありがとうは私の方!……だから、その……!」

 

「ん?」

 

「私、なるわ!アイリスのお嫁さんに!ううん、なりたいのっ!……ダメ、かな?」

 

そう言って、恥ずかしそうに俯くレベッカちゃん。申し訳ないけど、俯いたって身長差のせいで赤くなってる顔は隠せていない。

うん……なんていうか、正直今回はもう厳しいかなって思ってたんだよね。また今度この国に来た時に全力で求めてやるーとかなんとか考えていたっていうか……つまり何が言いたいかと言うとですね、

 

「レベッカちゃん、ちょっと」

 

「えっ?……んっ!」

 

腕を引っ張って強引に唇を奪った。背伸びしたって届かない私のいつものパターンだ。

キス自体は短く終わり、最後に軽く唇を舐めて腕を離す。

 

「私から嫁になって欲しいって言っておいて、ダメなんて言う訳ないでしょ?ありがとう、レベッカちゃん!」

 

「アイリス……!」

 

「…………私も居るんですけど」

 

「え?知ってるよ?」

 

「知ってるのに目の前で見せつけられたんですか!?私は!!」

 

叶には申し訳ないけど、レベッカちゃんが嫁になってくれたのが嬉しかったんだから仕方ないよね!

 

名残惜しいけど、あんまりキュロスを待たせるのも悪いし、手を振ってレベッカちゃんを見送る。

私もついていって娘さんを下さい的な挨拶をしたい所だけど、流石にそれくらいの空気は読めますとも。

 

「それじゃあ叶、みんなと合流しよう!テレポートよろしく!」

 

「1日にテレポートを使用出来る回数は2回までです。大抵は行き帰りで終わりますよ」

 

「あ、はい」

 

回数の制限って、そんなに厳しいんだね……。

 

 

 

***

 

 

 

結局、全力で走ってみんなに追いつく事を提案してそれに落ち着いた。

叶は私の様な速度は出ないとの事で、せっかくだからと王華を呼んで彼女に叶を任せる事にした。

王華も叶も幸せそうだから、私のした事は間違ってなさそうだ。

 

「って、うお!なんか凄い事になってない!?」

 

「これは……!海軍の大将、藤虎の能力です!ズシズシの実の重力人間で、隕石を降らせる事も可能です!……あ、隕石なら私も降らせる事は可能ですが」

 

「どうなってるのウィザウィザ……!」

 

まぁ、異界の実が頭おかしい性能なのは今に始まった事じゃない。深く考えないでおこう。それより今はこの“空”が問題だ。

ドンキホーテファミリーとの戦闘の跡に残された沢山の瓦礫、それらが全て上空へと舞い上がり、青空を覆い尽くしている。天候は瓦礫って所かな。

その藤虎って海軍大将がこれを引き起こしているのなら、ただの瓦礫撤去って訳でもないだろう。確実に私達を狙った攻撃だ。こんなもん落とされちゃ面倒過ぎるから、どうにかしたいんだけど……。

真・女王化を使えば瓦礫を吹き飛ばす事は出来るけど、それだけの威力を放つとなると余波がとんでもない事になる。なんとか周りへの被害を最小限に抑えられないものかな?

 

「アレはスルーで良いです、気にしても無駄でしょう、どうせ落ちてきません」

 

「えっ、あれが!?」

 

「理由なら後で分かりますから、まずは合流を急ぎましょう!」

 

んん?良く分かんないけど、落ちてこないならいっか!叶は原作知識がある訳だし、信用しても大丈夫だろう。

 

「行くよ!」

 

「うん!叶、しっかり掴まっててね!」

 

「は、はい!」

 

私達は全力で東の港へ走り出し、空の瓦礫は意識の外に追いやった。

目的地へ近づけば近づく程海兵も増えていく。一々攻撃していてはキリかないので避けて通っているが、こうも数が多いとそれはそれで面倒だった。

 

「ちょっと眠ってて貰おうかな!フッ!」

 

周囲へ向けて覇王色の覇気を放ち、海兵達を昏倒させていく。少し手荒だけどそこは大目に見て欲しい。怪我させてないだけマシだ。

 

「見えた!東の港!!……けど、あれなんだろ?」

 

てっきりそこに停めてある船に乗り込むのかと思っていたけど、どうやらそうではないらしい。

見た所、沢山の船が霧で見えないくらい遠い沖の方まで連なっていて、その横に橋が浮かべられている様だった。あの橋で海の上を移動しろって事だね!そりゃ確かに、こんな港に出港用の船なんか置いとけないか、いつ沈められるか分かったもんじゃないもんね。

 

「ルフィ達はもう向こうまで行ったのかな!」

 

「うん、藤虎がそこに居て、民達がこっちに走ってきてるからね!それより叶、あなたも一緒に連れて行って大丈夫なの?」

 

「大丈夫です。王華に会えたのなら、私がこの地に残る理由はありません。小人族との別れも済ませてあります」

 

そっか、と王華が言うと同時に、私達は宙を蹴って海の上を駆ける。用意されていた橋は今の私達が通ったら衝撃で壊してしまうかもしれないから、という判断だ。

ちらりと『藤虎』と呼ばれた大将を横目で見る。……盲目か、あれでよく海軍大将まで登り詰めたもんだよ。

 

そうして少し宙を駆ければ、視界の先に大きな海賊船が見えてきた。これだけ離れても依然として空には瓦礫が舞っているが、確かに叶の言う通り落ちてくる気配は無く、藤虎の気配を探ればその近くに沢山の民の気配もした。

なるほど、港にドレスローザの民が集まるから瓦礫を降らせないのか。

 

「イリスちゃーん!こっちよー!」

 

舷から軽く身を乗り出して手を振るミキータに大きく振り返し、私達はその巨大船に乗り込んだ。おお、なんか分かんないけど沢山乗ってるね。コロシアムで見た顔が多い、かな?

しかも、なんか変な空気だった。なんか参加がどうとか言って……え、参加じゃなくて傘下の方なのこれ??え?傘下??

 

 

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