ナミさんをココヤシ村から連れ立った私達一行は、正式にナミさんが仲間になってからは初めての夜を迎えていた。
ここで1つ整理しておきたいのは、メリー号内の船室は当然男部屋と女部屋に分かれている。
そして、今まではナミさんが私に距離を取り同じ女部屋とは言え端から端くらいの距離で眠っていたのだが…。
「な、ななな、ナミさん?何か、色々と当たってるんだけど…!」
「あら、何か問題でもあるわけ?あんたの女よ?」
「………な、何でもないです」
まさか、今日になっていきなり同じベッドに潜り込んでくるとは思うまい…。
心臓が痛い……。
「…なに?嫌なの?」
「そんな事ない!幸せ過ぎるだけ!」
考えてみてよ!今まで好き好きちゅっちゅ!って攻めてた女性が、そういう関係になったその日の夜にベッドに潜り込んできた私の気持ちを!!!
そう、むらむらしてるんです!!でもいきなり手なんか出せないじゃん、我慢してるんです!!
「そう、ならいいんだけど。…そういえばイリスって、カヤにはキスしたんだっけ」
「ほっぺね!頰!ほっぺた!」
「私は頰にもされた事ないわね〜」
んぐぐぐ、露骨なアピールきた…ァ!むしゃぶりつきてェ…、ぺろぺろ、脳内だけで我慢するしかない…!
「また明日するよ!い、今はまずいかな…はは」
そう言うと頰を膨らませて怒った顔を作るナミさん。これそんなに怒ってない顔じゃん…意地悪な感じの顔だよこれ…。
「今してくれないと、正妻取り消し」
「ええっ!?そ、それは嫌だよ!」
「……ぷっ、あっはは!ウソよ、ウ・ソ。そもそも、正妻取り消し何てあんたじゃなくて私が嫌よ」
そう言って笑うと、ナミさんは不意に私を抱きしめた。
え、だからナミさん今は不味いんだって!あなた様のおっきな双丘に顔挟まれてるんですよ!!
「…改めて言わせて、村を…私を救ってくれてありがとう。…大好き」
「っ…わ、私はその、ただナミさんを嫁にしたかっただけだと言いますか…」
「それでも。…嬉しかったのよ」
私を抱きしめる力が強くなる。その分ぽよぽよおっぱ…ごほん!二つの丸いナミさんが私を挟み込む。
「…ね、イリスは、私としたくないの?」
「………き、キスの話?」
「そうだけど…あんたが望むならその先も」
あわわわわ。どうしよどうしよ、心臓が動きすぎて止まる…!過労死しちゃう!
「わ、私はしたいよ、すっごくしたい、だってナミさんだし、正妻だし、大好きだし?…でも、今はほら、雰囲気的に…キスだけで終わりそうにないって言うか…その、いきなり手を出すのも…それ目当てって思われたくないって言うか」
「何言ってんの、私の体だって私でしょ、もうあんたの物何だから好きにすればいいじゃない」
な、何だ?正妻になってくれたとは言え、いきなり飛ばし過ぎでは…?
そう思ってもごもごと顔を上げると、暗くても分かるくらい顔を真っ赤にしたナミさんがいた。
……なんだ、恥ずかしいのは私だけじゃ無かったのか。
「…慣れてないのよ、こう言うことは。……あんまり見ないで」
いや見るわ。可愛すぎか。
「…ナミさん、キス、しようよ」
「……さっきからそう言ってるでしょ」
胸から顔を離して、もぞもぞ体を動かしナミさんの顔の横まで私の顔を持っていく。
……ほら、何だっけ、あれ。なんかあるじゃん…据え膳?うん多分これ。今ってそういう感じでしょ?だから遠慮するのは逆に失礼なんだよナミさんに。うんそうだようん。
「い、いくよ」
「ん」
目を瞑ったナミさんがいつも以上に色っぽく見えて、私の心臓ははち切れんばかりに高鳴る。
徐々に近づいていく私達の距離は、それこそ今までの私達を表しているのかな、なんてどうでもいい事を考えながら。
「「ーーーっ」」
初めての、キスをした。
それはまるでこの世の物ではないかのように蕩けて、私の心にすっぽり落ちていく。ナミさんから漏れる吐息は想像以上に艶やかで、色っぽくて、唆られる。
…何がって、私の劣情がだよ。
それは一瞬の行為だったけれど、この先の人生で一度も忘れる事はないだろう“初めて”だ。
今この時、私はナミさんから全てを委ねられて、私の全てを委ねているのだ。
……ああ、なんて幸せなんだろう。そう思うと同時に、唇が離れていく今をどうしようもなく哀しくもなった。
「……なんて顔してんの、ほら…。何度だってしてもいいから」
「っ…な、ナミさん…!」
暗い部屋に2人っきりだって言うのも手伝って私は自身の欲望を全て吐き出すかの様にナミさんを求める。
何度だってキスをして、何度も何度も気持ちを確かめ合う。
こんな事をずっとしていると、それは勿論、私たちもお互いを好いている訳ですから…そういう感じになると言いますか…。
「んっ…ふぁ」
「ちゅ…は…ぁ」
唇を舌で撫でて、口を開かせると一気に中へ入れる。
どうするのか頭では全く理解してない深いキスも、私の欲望はああしたいこうしたいと勝手に動き回ってナミさんを犯していく。
いつの間にやら私はナミさんの上に跨っていて、押し倒している姿勢でずっとキスを続けていたようだ。
「…ふ…ぅ。…ナミさん、…ごめん、我慢出来そうにないよ」
「だ、から…、我慢…しなくていいんだって…。……きて?イリス…」
「ッ…、もう、知らないからね…!!」
貪るように、狂ったように互いの肌を重ね合う。
汗は1つに、体温は同じに、そして気持ちすらも深く、深く重なっていく。
それは激しい行為の中でも途絶えることのない熱を持ち、相手を想う心だけは無制限に膨らんで止まる事を知らずに高く大きくなっていく。
私達の夜は、まだまだこれからだーーーーーー。
***
「…ん、」
朝、ドタドタと男組…恐らくルフィあたりが騒いでる音で目を覚ます。
隣を見ると私の可愛い正妻が規則正しい寝息で眠っていた。
「……昨晩は、凄かったな」
本当に好きにした、という自覚がある。
ナミさんの事を考えはしたけど、彼女自身が自分より私の事を優先しろと言ってくれたので私がやりたいように、やりたい事を好きなだけやったのだ。
…ナミさん、本当に可愛かったな。
「……好きだよ、ナミさん」
ちゅ、と眠るナミさんの頰にキスを落とすと、ナミさんはゆっくりと瞼を上げて寝ぼけ眼で私をぼーっと見つめる。
「……イリス、おはよう」
「うん、おはようナミさん」
……あれ、これ、朝チュン!!?
大好きな人とこんなシチュエーション……転生、神!!!
「イリス、昨日はその……良かった?あんな事した事なかったから…あんたが満足出来たか心配で…」
「私満足度100%かな。私の方こそ痛くなかった?」
「ふふ、あんたが自分で思ってるよりずっと優しい手つきだったわね」
そうなんだ…。
ナミさんも満更でもなさそうな表情だし、失敗してないようでよかった。
「その、ナミさん、こんな私の正妻になってくれてありがとう。これからも…よろしくね」
「急に何?でも、ま…、こちらこそよろしくね、イリス。これからは正妻としてあんたを支えていくわ」
「お、お手柔らかにお願いします…」
…思い返せば、ここまで来るのに何年掛かったんだっけ。
無人島で目を覚ました時からもう16年近くなるんだよね、それでナミさんと会って、一味と会って…。
…ここ最近だけで、かなり濃い経験を積んだなぁ…。
…でも、これから先も私は濃く、花のある生活を望む。
それこそが私の夢の道であり、私とナミさんの道であるからだ。
「…ナミさん、ちゅーしたい」
「はいはい……ん」
「んっ」
だから、これから先に進むために今はナミさんを堪能しておこう。
…どうせまた、この一味は数々の苦難が待ち受けているのだろうし…いつこうしてゆっくり出来なくなるかわかったもんじゃないんだから。
そんな事を考えながら、私はナミさんの小ぶりな唇を更に小さい私の唇で堪能するのだった…。