ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

225 / 251
218『女好き、100倍の先』

「しっかし、おめェら“伝説”と繋がり過ぎててレイリーと会った時みてェに頭クラクラするよ」

 

うへぇ、と舌を出しながら頭を押さえたウソップがそう言葉を漏らす。

伝説がどうとか言うけど……、

 

「私達だって将来的には海賊王の船員(クルー)だよ?」

 

「そりゃそうだが……」

 

「せっしゃもロジャー達に会っておるが、記おくはあいまいでござる。若かったゆえ」

 

「なるほど、曖昧……ってウソ付け!ロジャーは20年以上前に死んでるよ!誰と勘違いしてんだ!」

 

ウソを付いた事に対してウソップがツッコミを入れる流れはなんか可笑しくて笑っちゃったけど、そのモモの助の言葉には引っかかるものがあった。

この世界でロジャーといえば、言わずと知れた『海賊王ゴールド・ロジャー』だと誰もが思い浮かべるだろう。そしてさっきのイヌアラシ達の話では、彼らはロジャーと面識がある。

……そりゃあ、モモの助はどう見たって20歳未満だから、誰かと勘違いでもしてなきゃ辻褄が合わないけどさ。

 

「さて…これからまだカイドウと戦うまでにやる事は多々ある!準備が必要でござる!先刻話した様に、「ワノ国」においても現在共に戦う“侍”達を募っておる所!」

 

「その間にわしらも会いたい男がおるぜよ!戦力が増えて困りはせんきにゃあ」

 

「誰だ?」

 

「元白ひげ海賊団1番隊隊長……現在の『不死鳥海賊団』船長、“不死鳥のマルコ”じゃき!」

 

「マルコに?」

 

ああ、ネコマムシとイヌアラシは白ひげの船にも乗ってるって言ってたっけ。マルコは45歳だから、当時の白ひげ海賊団に既に居たって事かな。

 

「マルコを誘うなら私の名前を出した方が良いよ、自意識過剰とかじゃなくて、絶対エースが来たがると思うし。流石に白ひげまでは着いてこないと思うけど……」

 

「そうか、今更だが、ゆガラはあの戦争の英雄である『女王』か!」

 

「はは、海賊じゃない人からすれば、英雄どころか死神かもしれないけどね」

 

私は自分を過小評価するつもりはないから、あの戦争でエースや白ひげが生き残ったのは私の力があってこそだったと自負している。勿論、その過程でルフィやボンちゃん、ジンベエ、イワンコフ、そして嫁であるハンコックや、実は1番の功労者かもしれないMr.3の助力があってこそだと言うのも理解してるけど。

 

「案外マルコ達は呼びに行かなくてもワノ国まで勝手にくるかもね。エースがドレスローザに単身で来てたって事は、不死鳥海賊団は近くに居たって事だし」

 

「え?エースもドレスローザに着てたの!?」

 

「うん、ナミさん達には言ってなかったっけ。私達の船が見えたから寄ったんだってさ」

 

「軽いわね……」

 

私もそう思うけど、エースって身内にとことんまでデレるタイプだからね…。ルフィも私も居るってなっちゃ、そりゃあ一目見ておかないとってエースなら思っても可笑しくないというか。

 

「探すのは上手くやるぜよ、ともかく、わしらにしてもまだ準備する時間が欲しいんじゃき」

 

「そうか、分かった!じゃあ1度別れてまた集まる場所を決めねェとな!」

 

と、言う事で、再び集合する場所は現地の『ワノ国』に決まり、侍組はみなワノ国組に居るので、後から行く私達が迷わない様に錦えもんのビブルカードを貰う事となった。

 

そうこう話している内に、私達はくじらの木の下にある俠客団(ガーディアンズ)の居住区へと戻って来ていた。

下で待ってくれていたミンク族の面々が、雷ぞうの無事と、2人の王の手打ちの祝いと、無事落ち合えた光月家の祝いだと大盛り上がりして、雷ぞうが号泣したりルフィが宴がどうとか騒ぎ出したりしたけどそれはみんなでなんとか諌めておく。現状、あんまり宴をしている暇も無さそうだからね。

 

「サンジ奪還組のメンバーは、ルフィと、私、それから……」

 

「私も行くわ、その場に居て責任を感じてるし……第一、この新世界の海を私なしで渡れないでしょ?」

 

「おれも行くぞ!ペコムズの回復を待てないのなら医者が居る!」

 

「それに、落ち込んだりした時誰が音楽を奏でるんですか?」

 

「ルフィと私、イリスとチョッパーね」

 

「ちょっと!仲間外れはやめて下さいよ!一緒に目の前でサンジさんを連れてかれた仲でしょう!?」

 

となると、メンバーは私、ナミさん、ルフィ、チョッパー、ブルックって所かな?

 

「……私も連れてけ」

 

「え?」

 

「連れてけ」

 

……まぁ、だよね。今すぐにでも出発しようとしてる訳だし、今夜色々したいと思ってるペローナちゃんを置いていくのは私としても本意では無い。なら……、

 

「シャルリアも来てくれない?」

 

「!は、はい、畏まりました」

 

同じく今夜の“相手”として決めていたシャルリアにも同行する理由がある。あくまでも私には、だけど。

そりゃあ欲を言えばロビンもミキータも連れて行きたいけど、あまり大人数になり過ぎるのも良くは無い筈。我慢はしなくていいとはいっても、こういう場面での我慢は大事だからね。

 

「じゃあ、サンジ奪還組は私、ナミさん、ペローナちゃん、シャルリア、ルフィ、チョッパー、ブルックで決まりだね、多分そっちに合流する頃には沙彩も連れてくると思うから戦力アップは期待しといてよ」

 

「あ〜ん…イリスちゃんと当分会えないなんて、私、生きる価値を見出せるのかしら……!」

 

「再開した時の喜びに価値を見出してくれたら、私としてはこれ以上無いくらい嬉しいかな」

 

いい加減一味みんなで集まりたい所だけど、現実はそう上手くも行かないみたいだし。

ちなみに叶はワノ国組だ。ビッグ・マムの方は私1人でも十分なので、危険なワノ国の方へ同行してもらう事にした。ワノ国で異常事態が起これば、即座に『テレポート』で私を呼び戻すっていう寸法だ。

 

「しかしその人数だとこっそり潜入ってのは微妙になってきたな」

 

「それに関してはルフィも居るし、最初から無理なんじゃないかな」

 

「違ェねェな。にしてもおめェ、今日はやけに素直じゃねェか」

 

「うるせェ」

 

私に大人しく抱かれているペローナちゃんを見てそれをフランキーが揶揄っていると、ロビンもにこりと微笑みながらペローナちゃんの頭を撫でる。

 

「偶には素直になった方が良いわ。変に気持ちを抑えるのは良くないもの。所でイリス、そっちで万が一歴史の本文(ポーネグリフ)に出会ったら“写し”を1枚お願い」

 

「うん、分かった」

 

「私もワノ国でカイドウの方の歴史の本文(ポーネグリフ)を調べておくわ」

 

「それは良いけど、四皇のお膝元なんだから無理はしないでね?」

 

善処するわ、なんてロビンは言うけど、この笑顔はやる時は無茶してでも…ってやつだね、私には分かる。

うぐぐ……無茶も無理も私が今まで何回もしてきてその度にみんなには心配かけてたからあんまり言えない……!ロビン、絶対分かってて言ったなぁ…!!

 

 

「……ん?」

 

その時、不意に視界が少し傾いた。

あれ、どうして家や木が傾いてるのかな、と思うよりも早く今度は大きな揺れが私達を襲い、立っているのもやっとな程の“地震”が起こったのだと理解する。

いや、その理解は可笑しいかもしれない。なんたってここはゾウの上……地が震えてるのではなく、ゾウが震えているのだ。

 

 

─パォオオオオオン……!!─

 

 

象主(ズニーシャ)が鳴きゆうぜよ!何事じゃ!!」

 

「凄い揺れだ…!今までこんな事は……!!」

 

けたたましいと感じる程に大きな鳴き声と、恐ろしい程の揺れが私達を襲う。一瞬の事で少し反応が遅れてしまったけど、慌てて腕の数を倍加させてそれぞれ嫁の元へ手を伸ばししっかりと掴んだ。勿論キャロットやワンダ、他の可愛いミンク族達も忘れてはいないし、本体の腕はペローナちゃんをしっかりホールドしている。

といっても咄嗟の事だったので女王化も使えず、腕の数は最大で60本しか増やせなかったのだけど……。……改めて言うと60本ってなんか、きもちわ……うん、考えない様にしよう。

 

「…え!誰の声だ……!?」

 

「ルフィ、何か聞こえるの!?」

 

「あァ…!誰かは分かんねェけど……!お前誰なんだよーー!!」

 

ルフィの言う声も気になるけど、今はそれどころじゃない。流石にこの揺れじゃあ周りの建物が耐えられる筈もないし、今まさに崩れようとしているものもある。幾ら私が揺れの脅威から嫁を守っているとはいえ、あんなのが降ってきたら危険だ!

 

「叶!なんかこう、良い感じの魔法で倒れてくる建物を押さえて!」

 

……って、叶どこ!?居ないんだけど!!まさか叶がこの揺れでどこかに吹き飛ばされて気絶してるなんて事は無いだろうけど……!!

……そういえば、カン十郎も居なくなってる……!?

 

「あーもう!こんな時に何してるの叶…!仕方ない……女王化!」

 

からの、見聞色100倍!ゾウに起きてる異変の原因を調べる為に、この辺り一帯を隈なく探して……、って、探すまでも無かったっぽい!普通にゾウの足元でゾウに攻撃してる海賊達が居るし!

 

「命じるって何をだよ!!お前が応えろ!お前は誰だ!!」

 

「ちょっと、誰と喋ってんの!?ルフィ!私達にはなんにも……!」

 

「おれも聞こえるだけだ!こっちの話聞いてねェし、どこの誰かも分からねェ!」

 

「……ジャックでござる!ジャックがゾウを……おそっているでござる!強そうな船が5せき!9時の方角に……!」

 

モモの助もルフィと一緒で変な声を聞いているのか!それも、ルフィより正確に把握しているみたい!

 

「ゴール・D・ロジャーもおでん様もこの地にて同じ事を言っていたと聞く……!会話は出来ないが大きな“声”が聞こえると……!」

 

ペドロが言った事は、それでも今起きてる2人だけが謎の声を聞けてる理由の証明にはならないけど、とにかく下に居るジャックをぶっ飛ばせば全て解決するって言うのは分かった!ただ……この揺れをどうするか……!王華にお願いするのが1番だろうけど……。

 

「声の主は、この、ゾウでござる……!」

 

象主(ズニーシャ)!?」

 

「ゾウは、大昔に罪をおかし、ただ歩く事しか、許されていないのだ。……命令に、したがい続けてる……。だから、1度だけ許可をくれ……!めいじてくれ…戦えと!」

 

モモの助がゾウの言葉を代弁してそう語った。なるほど、反撃自体は容易だけどゾウを縛る命令のせいで手が出せないって事か。

……だけど、ジャックをぶっ飛ばす役は譲れないね。

 

「私の嫁になる予定の人がいる国を滅ぼして、今回に至っては私の嫁を全員海に沈めようとしてるって事でしょ……!!その反撃を、他の誰かに譲ってたまるか……!!王華!!」

 

「はいはい!役割は分かってる、あなたの嫁達をしっかり守っておけば良いんでしょ!」

 

「違う!あなたの大事な叶が居ないから、あなたはそっちを優先するべきだよ!だから私の嫁は、私の力で守ってみせる!」

 

と言っても、いつもの通り神背(ヒューマ)頼みだけど!

ぱちくりと瞬きをする王華を放って“私”を呼び、私の役割を代わって貰う様にお願いしてペローナちゃんを預ける。

寂しそうな顔をする彼女が愛らしくて、こんな状況だというのにキスを1つ落としてしまった。

 

「ほら、いつまで呆けてるの、叶を探さなくていいの?」

 

「……ううん、そうだね、私は叶を探さなきゃ!」

 

そう言って王華は消える様なスピードで移動を開始した。まぁ叶に関しては心配する様な事も無いだろうけど、女王化した以上は出来るだけ王華と叶は会わせてあげないとね。

 

「モモ!お前が言え!お前の声なら届く気がする、ゾウがやられたらおれ達みんな海の底だぞ!!……多分!」

 

なんで最後に私の方を見るのかな?いや、その考えは間違ってないけど。そもそもゾウがやられるなんて事は私が許さないし。

 

「…っ!負けるなゾウ!倒れてはならぬ!ジャックを追い払ってくれーーー!!」

 

「……さて」

 

 

──(シエスタ)女王化(クイーンエクスティア)

 

 

先程まで揺れていたゾウの体が、しっかりと4本の足に支えられて微動だにしなくなった。モモの助の『命令』が届き、象の主とも称される怪物の一撃がジャック達を裁く為に振るわれる。

大きく振りかぶられたその巨大な鼻が、勝利を確信していたジャック達を押し潰さんと巨体に見合わぬ猛スピードで迫り───。

 

「悪いけど、こいつらは私の獲物だから」

 

 

バゴォォンッ!!

 

 

だけど、その天災級の攻撃は、象主(ズニーシャ)とジャック達の割り込んだ私の“片腕”によって防がれた。

その時の衝撃波で海は大荒れ、下のジャック達も被害を受けている様だけど……。

 

「私の声は聞こえないんだっけ?じゃあ悪いけど、無理矢理動き止めさせて貰うね?……ふっ!」

 

「────ッ!!?」

 

ズォオ!と私の体から放たれる暴力的なまでの“覇王色”が象主(ズニーシャ)を包み込み、やがて本能で上下関係を察知したのか、象主(ズニーシャ)は頭を垂れる様に頭を下げる。

恐怖で言う事聞かせたみたいで本当にごめんね……ちょっとこの状態、本当に手加減難しくて……。

 

「良い子だね、そのまま大人しくしててくれるかな?」

 

「────」

 

言葉は通じてない筈だけど、私から放たれる“覇王”の圧はその身に刻まれたのだろう。大人しくこの場は譲ってくれる様なので優しく鼻を撫でてジャックの乗る船へふわりと降り立った。

 

「……てめェは……誰だ……!?」

 

「誰だと思う?」

 

わざわざこうしてここに降り立ったのも、何かしら弁明する事があったら聞いてあげよう、くらいの軽い気持ちで来たのだ。私から話をしようとする気なんて一切ない。あー、でも忠告だけはしないとね、流石に殺したくはないし。

 

「今から殴るからさ、出来れば死なないでくれると助かるかな。タフな人達が前に出て弱い人を守る様な感じで居て欲しいんだけど。あと、船は粉々になるだろうから泳げる人は泳げない人をなんとかしてあげてね?ほら、私って臆病だからさ、殺したくないというか」

 

「何を、言ってやがる……?」

 

「言っておくけど、許しを乞うたって無駄だよ?私の嫁を狙った時点で、私があなた達を許す訳がないでしょ?」

 

「嫁だと……!?まさか、まさかてめェは……!!」

 

図体の大きいボスっぽいやつ、多分ジャック(だろう)が声を荒らげるも無視して船から飛び立ち、象主(ズニーシャ)を背に5隻の船と対面する。

直後、私に向かって飛んでくる大砲の雨を全て覇王色の圧だけで爆破させて腕を振りかぶった。

 

(シエスタ)女王化(クイーンエクスティア)の効果は、倍加上限の解放。そして、1()0()0()()()()()使()()()()()()

となると……。

 

 

「──200倍灰(にひゃくばいばい)

 

 

100倍以上が解放されているという事にも繋がるのだ。

 

使い所を間違えると大量虐殺にも繋がるけど、今回は的も多いし、直接当てる訳でも無いから平気だろう。

 

「──女王の慈悲なき別れ(クイーンアルベリテ)!!!」

 

放たれた拳は、そのまま拳圧となって5隻の船を襲った。

私の予想通り船は全て粉々となり、乗組員は全員宙へと投げ出されている。特に真正面にいたジャックなんかは拳圧をモロに喰らって既に意識を飛ばしているみたいだ。

 

「あちゃ……やり過ぎたかな……?」

 

船だけではなく、もはや素の視力では見通せないくらい遥か果てまで『海を割って』しまった様で……なんか居たよね、こんな事した神。

 

「まぁいっか、スッキリしたし、みんなのとこに戻ろう。…あ、象主(ズニーシャ)、ごめんね?歩いて良いよ」

 

ぽんぽんと鼻を軽く叩けば、象主(ズニーシャ)は安心した様に一鳴きして前身を再開した。

とはいっても傷付けられた左足は今もなお血が流れ続けてるから、こればっかりはチョッパーに診てもらった方がいいだろうけど。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。