ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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新世界 ホールケーキアイランド編
222『女好き、2人同時に』


「ペローナちゃん、一体どうしたの?今までならお顔真っ赤にして反撃して来たのに、今回は自分から誘ってくるなんてさ」

 

「……うるせェな……ぁっ…」

 

するり、とペローナちゃんのロングスカートの中へ手を入れ、太ももを優しく撫でてみる。案の定、狙い通りに甘い声が跳ねて私の口が三日月状に歪んだ。

 

「理由言わないと最後までやってあげないよ」

 

「は…ァ?」

 

「今日はシャルリアも居るし……見てるだけになっちゃうかもね」

 

顔を近付けて耳元でそう呟けば、彼女は大きく目を見開いて目尻に涙を溜めて行く。意地悪したのは私だけど、泣かせちゃうのは心苦しいから優しく指で涙を掬い取り、その薄く綺麗な唇にキスを落とした。

 

「……ん……、私、可愛げがねェじゃねェか」

 

「え、誰が?」

 

「だから、私だっつってんだろ。周りの女に比べても……口調はこんなだし、思った事を素直に口に出す事すら出来なかった。……誇れる事と言えば、この可愛い顔くらいだ」

 

後ろ向きなのか前向きなのかよく分からない悩みをぽつぽつと喋り出したペローナちゃんに、首を傾げる事で理解していない事を伝える。そもそも可愛いのが顔だけっていうのが分からないというか……ペローナちゃんは全部ひっくるめてペローナちゃんで、その全部が可愛いのに。

 

「私だってお前の嫁なんだ、お前とナミが、昨日の夜に何かあって更に距離を詰めたって事くらい分かる。……だから、私はこのままじゃ、相手にされなくなるんじゃねェかと思ったんだ」

 

「そんな事──」

 

「分かってんだよ、んな事は。お前は何があったって私を見捨てねェし、死ぬまで愛してくれる。……これは私自身の気持ちの問題だ、お前の嫁として、私ばっかりがいつも幸せになる訳にはいかねェ…………くそ、やっぱり恥ずかしい〜……!」

 

……ブフッ!!……いかんいかん、鼻血が出る所だった、なんとか心の鼻血で収まってくれたからほんとに良かった。

え、この娘、これで可愛げが無いとか本気で言ってるの?そもそもペローナちゃんみたいな娘が自分の事を「可愛げが無い」って言ってる時点で可愛いんだけど、その辺理解してないよね??

 

「じゃ、じゃあペローナちゃんはどうしたいの?私を幸せにするなら、どうすれば良いと思う?」

 

「……私から何かすれば良いんだろ、キスとか」

 

「でも、普段シてる時はペローナちゃんからしてたでしょ?」

 

「あれは、他の奴らもみんなそうしてたから……。いや、これが駄目なのか……そんなの言い訳じゃねェか……!」

 

ペローナちゃんが私の首にするりと腕を回した。そして彼女の精一杯の力で私を引き寄せ、キスをする。

ちょっとビックリしたけど、今までこうして積極的に求められた事は無かったから嬉しいな。大体ペローナちゃんってナミさん達に流されて仕方無く、みたいな体を装ってたとこあるし。

 

「んっ、ふ、ぁ……!」

 

「ちゅ、ん……っん」

 

舌を入れるのは私から。ペローナちゃんを食べてしまうかの如く深く、獣の様な本能そのままに唇を、舌を、口内全てを蹂躙する。

何度も何度も角度を変えて、より深く繋がれる場所を探して行く。ペローナちゃんもただされるがままではなく、必死に私を求めて舌を動かしてくれているのが堪らなく愛おしい。

 

「は、っ……、っ私だって、おま……、イリスが好き……!私の身も心も、隅々までイリスに奪い尽くして欲しい!!」

 

「っ……ペローナちゃん……!」

 

「好き……っ、イリス、大す……っんぅ!」

 

素直になろうとするのは良いけど、なんかヤケになってるよね?ちょっと可愛過ぎて言葉の途中に口塞いじゃったよ。

……でも、今回はちょっと我慢しないとね。

 

「ふぅ、ごめんねペローナちゃん、今はシャルリアも居るから」

 

「!い、いえ、お気になさらず!私はいつになっても構いませんので……!」

 

「はぁ……っ、はぁ……うるせェ、私だって別に遠慮はしねェよ」

 

首に回ってるペローナちゃんの腕を優しく解き、隣に寝転ぶシャルリアの顔の横に左の手の平をつく。右手は何故かペローナちゃんが離してくれないというか……。

 

「ん、れろ」

 

「っ、ぴゃ!」

 

え、今ペローナちゃん、指舐めたよね!?遠慮しないってそういう事!?びっくりし過ぎて変な声出たんだけど!

 

「もう……まぁ、私の手くらい幾らでも好きに使ってくれていいけどね」

 

指に湿った温かさを感じながら、今度こそシャルリアに視線を向けて間髪入れずにキスを落とす。

シャルリアは、キスした時の反応が凄く可愛い。何て言えば良いのかな……全てをあなたにあげます、みたいな雰囲気を出してるんだけど、その中に慣れてないからか羞恥も含まれていて……とにかく可愛い。

 

あと、長く深いキスをしている時に息継ぎをするのが下手っぴなのも可愛い。慣れてないのと余裕が無いのが合わさって結構苦しそうにしているのだ。……苦しそうにしてる嫁を見て可愛いって思うのは流石にまずい、かな?別にSっ気がある訳でもないんだけど。

 

「は……っ、ふ、……んぅ……っ!」

 

必死に息を肺に取り込もうとしてるみたいだけど、そっちに集中させない様意図的に舌の動きを激しくしてみる。食べ比べなんて言い方をするのは2人に失礼だけど、こうして同時に味わってみるとやっぱり違いが出てくるものだ。違いと言っても優劣が存在する訳では無いけどね、2人とも違った良さがあるって話で。

 

──と、流石にこれ以上はシャルリアも限界かな。

 

「ぷは……っ」

 

「っは……っ!けほ、こほっ!はぁ……はぁ……!」

 

「ごめんね、やり過ぎちゃった。もう一回良い?」

 

「は、い……っ!どう、ぞ……っん!」

 

少し息継ぎをしてもらった後、またすぐに唇を重ね合わせる。咳き込むほどに苦しくても、私への懸命な奉仕を続けるシャルリアが可愛くてついつい調子に乗ってしまう。

ペローナちゃん程大胆になれなくて私の肩にちょこんと乗せられている手の平も、少し足が触れ合っただけでぴくんと跳ねる反応も、瞳の中にハートマークが幻視してしまいそうになる程熱っぽい視線も、必死に絡みついてくる唇も、何もかもが可愛くて……。

だから、ついつい夢中になってしまった。数分間キスをし続け、ハッとなって慌てて唇を離す。

 

「っは……ご、ごめん!流石にやり過ぎた……!」

 

「っ……、は……ひ、ら、いじょうぶ、れふ……っは、ぁ……!」

 

全然大丈夫じゃないね!うん、ちょっと自重する。ちょっと。

 

ちらっとペローナちゃんを見てみると、指を5本とも全部舐め終わったのか今度は手の平に舌を這わせている所だった。このまま放っておいたら全身隈なく食べられてしまいそう……。ていうか、本当に遠慮しないね!

 

「……私も、もうそろそろ良いかな」

 

本当は、もうちょっと軽い……軽い?触れ合いを続けてから本番に行こうと思ってたんだけど、2人がこんなにまで私を求めてくれてるし、何より……可愛過ぎて私がもう我慢出来ない。

 

「ペローナちゃん、シャルリア」

 

「……なんだ」

 

「……はい」

 

右手はペローナちゃんの左手と絡ませ、左手はシャルリアの右手と絡ませる。ぺろりと舌舐めずりをして、ちゅ、ちゅ、と2人に軽くキスを落として微笑んだ……つもり。それを見た2人の顔が少し引き攣ってたから、もしかしたらもっと余裕の無い顔してたのかも。

 

「愛してる」

 

だけど、それだけはどうしても今言いたかったから。

だからそれだけ、本当にそれだけを言い残して、私は2人に溺れていった。

 

 

 

……後日、私によって散々弄ばれた2人は腰の痛みで暫く起き上がれなくなってしまい、朝に先行する予定だったシャルリアは予定を大きく遅らせ、その日の昼過ぎに先行組とテレポートで跳んでいった。勿論、叶にやり過ぎだとジト目で訴えられたのは言うまでも無い。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……え?食糧が尽きた?」

 

「ええ……本当にごめんなさい、もっとちゃんと見ておくべきだったわ……」

 

シャルリア達が跳んでから数分と少し、申し訳無さそうに瞳を伏せるナミさんが理解し難い内容を報告してきた。

食糧……って、食糧だよね?食べ物だよね??え?バルトロメオから貰ったものにミンク族から貰ったもの、全部合わせれば向こう1週間は余裕で食べて行けるだけあったと思うんだけど……。

 

「な、何があったの?」

 

「……ルフィが、珍しく料理するって言うから」

 

「あ、うん、なんかもう分かった気がする……」

 

微かに漂う焦げ臭い香りはそういう事だったのかぁ……。

 

「……ったく、仕方ねェな、オイ女王、ちょっと私を見てろ」

 

「え、うん、分かったけど……どうするの?」

 

「ここは海の上だ、そんなとこで食材を手に入れようと思ったら釣りしかねェだろ」

 

とか言いながらペローナちゃんが幽体離脱したので慌てて本体の方を抱き止める。する時はするって合図くれないと心臓に悪いって!

驚いてる私を他所に、幽体ペローナちゃんはそのまま海へと飛び込んで行った。

……とりあえず1つだけ言わせて欲しい。それ、素潜りじゃん……。

 

そんな感じのツッコミは入れたけど、その発想は流石だと思った。

能力者は基本的に水に浸かる事は出来ない。腰下まで浸かってしまえばそれだけでかなり力が抜けるし、能力の行使が出来なくなる。

その点、能力者が行使する能力ならば海に干渉する事も可能だ。最たる例は青キジかな?自身の能力で海を凍らせたりとか。

ペローナちゃんもそんな感じで能力である幽体を飛ばし、海に潜ったという訳だ。

でもちゃんと海に潜れる能力者ってペローナちゃんしか居ないのでは?しかも実体じゃないから海王類に襲われても問題ないし……。

 

そうしてペローナちゃんが飛び込んだ海面を眺める事数分、そこから数匹の大型な魚がぷかぷかと浮かび上がってきた。なんだかどいつもこいつも泳ぐ気力を無くしたって顔してるし、間違いなくネガティブ喰らってるね。

 

「めーしー!!」

 

真っ先に腕を伸ばしたルフィが浮かんできた魚を全て掴み、勢いよく引っ張って甲板へあげる。と、効果が切れたのか途端にピチピチ暴れ出したので覇銃で黙らせておく。暫くは魚料理になりそうだけど、絶対にルフィをキッチンには入れない様にしよう。

 

「フン、食えるかどうかは分からねェぞ」

 

「あ、おかえりペローナちゃん。凄いね!あんな方法で魚獲っちゃうなんて!」

 

本体に戻ってきたのでペローナちゃんを優しく降ろし、そのまま魚に近付いていく。ルフィは論外だけど、私もきちんとした料理はあんまり得意じゃない。出来ない事はないけど、どの魚に毒があるとかどの部位が美味しいとかは分からない。だって私、基本丸焼きで食べてたし……。

 

「料理なら私がしてあげるわ」

 

「私も手伝う、邪魔にはならねェ筈だ」

 

な、何……!?ナミさんとペローナちゃんの手料理だって!?

……よし、胃が破裂する寸前まで食べるぞー!おー!!

 


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