ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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224『女好き、ポイズンキッス』

『何故お前達がここにいる、麦わらの一味』

 

「……!良く分からないけど、ルフィ!チョッパー!急いで帆を畳んで!ぶつかるわよ!」

 

「おう!」

 

「分かった!」

 

慌ててルフィとチョッパーが帆を畳みに行き、なんとかサニー号はそれ以上進む事なく前方の巨大船と激突する事態は避ける事が出来た。

相手の船はサニー号より何倍も大きく、それもあってか、こうして寝転がりながらでも舷に姿を現した人影が良く見える。

 

「あれは……サンジ君!?」

 

その人影はフードを被っているけれど、薄らと見える影の向こうには特徴的なぐるぐる眉毛が見てとれた。だけど……。

 

「サンジでは……無さそう。気配が違うし」

 

「そうなの?……まぁこの際誰でもいいわ。──ねぇちょっと!!その船に解毒薬は載ってない!?マグマの様な海でも生息出来る魚の毒を中和したいの!!」

 

その言葉にフードの男はナミさんへと視線を向け、その目をハートにして飛び出させた。気配は別人なんだけど……本当に別人なのか自信無くなってきたなぁ。

 

「お?サンジか!?」

 

「おーい!サンジーー!!大変なんだ!イリスが魚の毒にあたって……!!」

 

丁度そこへ、戻ってきた2人が大きく手を振って『サンジ眉』の人に呼びかけた。別人なのは間違いないだろうけど、あの眉は特徴的だから私みたいに気配を探らないとフード越しには分からないだろう。

 

「サンジサンジと……人違いだ、似ていて当然だがな」

 

そう言って、男は被っていたフードを取る。……うん、思ったより似てるわ、激似だわ。

サンジと違って髪をオールバックにしている様で、後頭部に向かって尖った形に髪がセットされている。中々独創的なヘアスタイルだけど、それが妙に似合っていた。額にはサングラスを乗せ、ヘッドホンの様な物もつけてあり、どこか悪ぶってる印象を与えている。

 

「私の名はヨンジ!お前達の良く知るサンジとの関係性は秘中だが……」

 

絶対弟だこれ。てことはまさか、イチジとかニジとかも居るって事?4人兄弟だったんだ……。

 

「……まぁ、今はサンジ君の弟だとかはどうでもいいの!いやむしろ、サンジ君の弟ならイリスの事助けてよ!見て!この容姿を!世界で一番可愛い女よ、思わず助けたくなるでしょ!?薬の1つや2つ渡せるでしょ!!」

 

可愛いのはあなたじゃい!と声を大にして言いたいけど、どうやらそんな体力までは無いみたいだ。

侵食と治癒を繰り返す事で、私の口から吸ってはいけない類のガスが漏れ始めた。体内の臓器が溶けてるのかなぁ、とか呑気に考えてるけど、実際ナミさんが口にしてたらと思うと…………、やめよう、想像しただけで吐き気がする。

 

「ふん、女だからと言って助ける必要がどこにある?第一、そいつはまだガキだろうが、顔が良いのは認めてやるがな。──それとも、薬を略奪してみるか?“海賊”らしくな……!!」

 

「……、そう。そっちがその気なら遠慮はしないわ、こっちは薬さえ手に入ればその船が海の藻屑になろうと構わないもの」

 

「ほう……?威勢がいいな、女。ここで事を起こす気は無かったが、お前らがやるというのならばっぐおォ!?」

 

もしかして「私の為に争わないで!」というセリフを言う事が出来るのでは、とか考えていた時、ヨンジの事を後ろから誰かが蹴り飛ばして海面まで吹き飛ばした。ヨンジはそのまま大きく水飛沫を上げて海中に沈んでいったが……気配は弱くなかったから能力者でも無い限りは大丈夫だろう。

 

そのヨンジを蹴り飛ばした“誰か”は、彼とは違って迷いない跳躍でサニー号へと降り立った。

さっきも言ったけど、サニー号とかたつむり型の船はサイズにかなりの開きがあって、相手の船の方が遥かに大きい。そんな船の甲板からこの船の甲板までひとっ跳びで来たんだから、この人もそれなりに強いんだろうけど……それ以前に……!!

 

「……美しい……!!」

 

その人は、女の人だった。

ピンク色を基調としたワンピース……いや、ワンピースと言ってもいいのか、スカートで下着は見えないし、胸も隠れてはいるんだけど、なんというかえろい。分かりやすく言えば、肩からお腹まで8の字に開いているワンピース。谷間は余裕で見えてるし、今にもポロリと行きそうである。

そんなピンクとは打って変わって、背中に靡かせている羽型のマントはなんとも毒々しい紫色だ。

服装はかなり尖っているけど、その容姿は疑いようもなく美女だった。

ぷっくらと質感の良さそうな唇に、深い知性を窺わせる紺色の瞳、シュッと通った鼻筋、それに、ぐるぐる眉毛。……え、この人もサンジの血族なの!?

 

ヨンジとは違って、この人はサンジ同様片側の目を髪で覆っている様だ。サンジより垂らしている髪は長いが、彼女自身は肩までつく程度のショートヘアである。耳に付けているヘッドホンはヨンジと同じみたいだけど。

 

「こんにちは。ごめんなさいね、弟は人情の欠片もない人でなしなの」

 

「弟……サンジ君のお姉さん?それとも、妹かしら」

 

「姉ね、所でその子──」

 

「レイジュ〜〜!!おのれ、良くも私に恥をかかせたな!!」

 

どうやらサンジの姉らしいその人が私に視線を向けた瞬間、海中から凄まじい勢いでヨンジが飛び出してきた。履いている靴が特殊なのか、彼はそのまま宙に浮いている。

 

「あいつもミキータみたいに空飛べんのかァ」

 

あの靴欲しいなァ、とか物騒な事呟いてるルフィをみんなでスルーした後、ペコムズが口を開く。

 

「『ジェルマ』は科学戦闘部隊だ、それこそがママの欲しがっている力!ヴァンスモーク家ってのは、大昔に北の海(ノースブルー)を武力で制圧した一族、つまり、王族だ」

 

「王……げほっ、じゃあ、サンジって王子だったんだ」

 

「そうなるな。尤も、その名はある時代の“悪の代名詞”、だから絵物語のモデルにもなった」

 

「あら、詳しいのね、ライオンさん。でも過去の話じゃない……今もまだ王族よ。『ジェルマ』は国土を持たない国、治める土地は無いけど、『世界会議(レヴェリー)』への参加も認められてるわ」

 

レヴェリーってなんだっけ。確か、前にナミさんか誰かに聞いた気がするんだよね。

各国首脳会議みたいなもの、だったかな?Gで20なアレみたいな。いや、Gで20なアレが何を目的としているのかまでは知らないけど。だって王華だし。

 

『悪意を感じる』

 

はは、まさかそんな、はは。

 

「さて、私達の話よりもまずそっちの子をなんとかしてあげないとね。いいかしら?“正妻”さん」

 

「!……ええ、勿論よ、此方こそお願いするわ」

 

……そっか、今更だけどナミさん自身もかなりの高額賞金首だから結構世間に知れ渡ってるんだよね。

 

ん?ていうかちょっと待って!解毒の為に美女がキスってこの人の事でしょ!確か、レイジュ!

このレベルのスーパー美女だったとは流石に予想外だった……よし、スタンバイしよう。目を瞑って、少し口は開けておいて……。

 

「この症状は……熱々海の“ヨロイオコゼ”、食べちゃった?」

 

「え、何で分かるんだ!?」

 

「この毒は効き方が特殊なのよ、トナカイさん。それもかなりの劇薬よ?普通、巨人族でも即死するわ」

 

「えェ!?ど、どうしよう……おれは船医失格だァ!うおおおん!」

 

巨人族でも即死、と聞いて流石にギョッとした。そりゃあ30倍の回復力では完治に時間がかかる訳だ。まぁ、そのお陰でキスが出来そうなんだけど。

 

「でも私は、この毒が()()()……、いただきます♡」

 

ちゅうーーっ。

 

ちゅーーーーっ。

 

はぁぁぁぁぁ♡♡

 

此方こそごちになります!!

 

……ちょっとテンション上がっちゃったけど、私、現在美女──レイジュに毒治療という名のキスをされております。体内の毒素を吸っているのか、私の体で猛威を振るっていた毒が次々と唇を通してレイジュへと巡って行っている。

 

「……、?」

 

だけどレイジュはなんだか気になる事でもあったのか、訝しそうに眉を寄せてみせた。

……だから、舌を侵入させてみる。

 

「ん!?」

 

ふはは!私とのキス中に考え事なんて余裕じゃーないか!どんな理由であれ、私に唇を許した時点であなたの未来は決まったんだよ!

 

「っ……ん、ふ…っ!」

 

驚いて顔を引こうとしたレイジュの首にするりと腕を回し、離れられない様にガッツリとホールドする。逃げ回る舌を追いかけ、絡め取り、更に深くを求める様に、強く。

 

「あわわ……イリスがなんか凄い事してる……っ」

 

「あらキャロット、興味あるの?ならイリスにお願いしてみなさい、丁寧に教えてくれるわよ」

 

「え!?そ、それはちょっと、恥ずかしい、かなぁ……あはは」

 

……ふむ、キャロットは興味あり、と。押せば堕ちそうでちょろ可愛い。

キャロットは元々無邪気な娘だし、こんな行為を見せつければ興味を持つくらいはしても可笑しくないとは思ってたけどね。

 

……さて、ここまで来るとレイジュの抵抗は最早少しも無く、ただ私にされるがままであった。

諦めたのではなく、単に私の華麗なるテクに堕ちたのだ。証拠に現在のレイジュの瞳はかなりとろんと緩んでいて、口端からはだらしなく涎を垂らしている。

 

「レイジュ……!!何を遊んでいる!!おい、貴様等、黙って見てないで止めたらどうなんだ!!」

 

「何言ってんだお前、気になるなら自分でやれよ、おれは嫌だ、死にたくねェ」

 

「っぷは、良いよ、終わったから」

 

これ以上は色々止まらなくなりそうだったから何とか自制心を働かせて唇を離す。レイジュの口から垂れていた涎は、顔を離す時についでに舐めとっておいた。

 

「……っ!!これは、やられたわね……」

 

突然ハッと我に帰ったレイジュが唇を指でなぞり、苦笑しながらそう口にした。毒は完全に体内から消えていて、さっきのやり取りで全てレイジュへと移ったのだろうけど、それはそれで心配ないのだろうか?大好物とは言ってたけど……。

 

「やられたでしょ?嫁になってくれる?」

 

「……ふふ、噂通り……面白いわね、あなた」

 

笑わせたくて口説いてるんじゃないけどね?

 

「……あれ、そういえばサンジは?あなたは姉でしょ?あっちは弟でしょ?本人は居ないの?」

 

「ええ、私達もあの子を迎えに船を出したのだけど、どうやら行違いになったみたい」

 

「なるほど、じゃあこの先に進めばサンジは居るって訳だ。それさえ分かれば十分だよ」

 

「……!!今の会話で、ある程度の居場所を特定出来る様に誘導したのかしら……?どうやら貴女は頭も良く回る様ね」

 

え?そんなつもりは全く無かったけど……。サンジは一緒じゃ無いの、って至極当然の疑問を投げつけただけだよね?まぁ、美女が私に対して過分に評価してくれているのならわざわざ訂正する事も無い……のかな?

 

 

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