ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

245 / 251
書き溜めがぁぁ!


238『女好き、沙彩の能力』

沙彩がここに来た理由は、単純に私が女王化を使用し、更に王華を顕現させたからとの事だった。

いきなり大きな気配が2つ現れれば確かに警戒しても不思議では無いだろう。

 

で、ついでだからと現在の状況を沙彩にも説明しておいた。すると沙彩は少し考える素振りを見せ、イチジへと視線を向ける。

 

「そうねぇ……ジェルマには悪いけれど、王華の提案を呑まなければ“お茶会"の話を流す、というのはどうかしら?」

 

「何だと?」

 

「プリンは可愛い妹だし、元々私は政略結婚なんて反対だったのよ。あの子にはあの子の人生を歩んで欲しかったし……私では埋めきれなかった心の溝もあのままにはしておけないもの。まぁ、その点に関してはサンジが居れば大丈夫だけれど。だけど、ジェルマは絶対に必要というわけじゃないでしょう?」

 

ジェルマ側に対して妙に厳しい扱いをする沙彩だが、これは恐らくジェルマが嫌いだからとかではなく、単純に王華とジェルマのどちらを味方をするかなど沙彩にとっては考えるまでも無い事だから、というだけの理由だろう。

 

「だが、我々との繋がりはビッグ・マムも求めているだろう。超彩……お前が幾ら強くても勝手に判断は出来まい」

 

「知らないわよ、王華が求めるならママくらい倒してみせるわ」

 

「そ、そこまで大ごとにはしなくても良いかなぁ、はは……」

 

困った様に笑う王華へと愛おしそうに微笑みかける沙彩は、なんというか本当に幸せそうだった。そりゃあ、彼女からしてみればようやく再会を果たせた大親友だし、叶も再会した時は色んな意味でテンションが高かった。……この調子だと、美咲も交えて全員が集合した時は三日三晩はしゃぎ回るんじゃないだろうか?

 

「……ふふ、どうやらここまでの様ね。私達に拒否権は無いみたい」

 

「おい、レイジュ……!!」

 

真っ先に両手を上げて降参のポーズを取ったのは、意外でも何でも無く、レイジュだった。

その事にヨンジが抗議の声を上げるが、沙彩が軽く視線を向けた事で言葉を詰まらせる。

 

「女王を怒らせてしまったのなら……私達が滅ぶきっかけになるかもしれないと思ったけれど、私達にはまだ為すべき事がある。そういう事でしょう?どの道、あなた達とじゃ勝負にならないわ、自滅覚悟の特攻すら私達を傷付けずに防いでしまいそうだもの」

 

「しまいそうというより、その通りね。四異界が2人に、下ではサンジも居る。それに私にはこんな事も可能なのよ」

 

パチン、と沙彩が指を鳴らせば、急にイチジとヨンジがふらつきだして床に膝をついた。倒れるとまでは行かなかったが、突然起こった体の不調に2人とも困惑している様だ。

 

「あなた達の顔周辺に睡眠ガスを漂わせているのよ。それで直ぐに昏倒しないなんて流石はジェルマね」

 

「ぐ……っ!何故、そんな力を……!!」

 

「何故?私の能力を知らないのかしら。この程度なら科学者に作って貰った睡眠ガスを『噛めば』直ぐに使用出来るわ。とはいえ、実物の半分の効果しか出せないのだけれど」

 

『カミカミの実』という噛むだけで対象の能力をコピー出来る悪魔の実を食べた沙彩だが、その対象は『悪魔の実』じゃなくとも効果を発揮するらしい。

仮の話だけど、もしシーザーの生み出したシノクニを沙彩が噛んでいればアレの半分の効力を持った毒ガスを自由自在に扱えたという事になるのだろうか。

 

「もしかしてだけど、最初にイチジ達を食らった大口って……」

 

「ええ、あれも私の能力よ。王華の体なら直接噛むのも吝かではないけれど、幾ら何でも口に含みたく無いモノも存在するでしょう?その為に編み出した技、『白影(シラカゲ)』よ」

 

と、いう事はあれに噛まれても能力をコピーされるって訳だ。半分の効果しかコピー出来ないとはいえ、やはりこの世界の悪魔の実と比べてしまうと頭一つ抜けた性能を誇っている。

 

まぁ、こうして予想外の援軍『沙彩』により、私達とジェルマのアレコレは無事?解決した。

落とし所としては王華の案通り、私がジェルマを見逃す代わりに安城さんとの戦いに協力してもらう様取り付けて終わった。見逃すとは言ってもコゼットちゃんとシエル、メーアに関しては私達が引き受ける事になったのだが。そこは断固として譲らなかった。私達に負けたイチジ達がまた腹いせで彼女達に手を出さないとも限らないし。

 

そしてサンジだが、私達が話し合いを終えてすぐ、息を切らしてこの場へと飛び込んできた。そこら中に倒れている兵士やレイジュとニジ以外の兄弟を見てホッと一息ついていたが、この場に沙彩が居るのにも気が付いて首を傾げていたので事情を説明しておいた。

 

そうこうしている内に昼が近付いてきて、ビッグ・マムの城へと出発する時間となった。とはいえ王族はレイジュ以外みんな倒れているので、事情を説明する為にレイジュはサンジと2人でビッグ・マムの元へ向かう事になったのだが、事情を説明するのなら私も居た方が良いと思って同行する事になった。そもそもついてくつもりだったし、堂々と同行出来る分当初の計画よりも良い展開だと言っても良い。

 

因みに王華と沙彩だが、彼女達2人はコゼットちゃん達の護衛を買ってくれる事になった。目を覚ました時逆上した王族がコゼットちゃん達に手をかけないとも限らないから……というのが1番の理由だけど、せっかく再会出来たんだから色々と話したい事もあるのだろうと思う。

 

 

 

そんな訳で今、私はジェルマの従者が手綱を握る馬車……というか引いてるのは大きな猫だから猫車?にレイジュとサンジの3人で乗り込んでビッグ・マムの城、『ホールケーキシャトー』へと向かっている。3人って言っても流石に周りに護衛は沢山居るけどね。

ジャッジやイチジ達は目を覚まして治療が終わり次第来るらしい。なんか普通の人間とは骨格が違うみたいで、ニジに関しても明日のお茶会までにはなんとか動けるレベルまでには回復するそうだ。

 

「骨格が違うって、レイジュも?」

 

「ええ」

 

「へぇ、だからイチジ達は殴った感触が固かったんだ。でもレイジュの肌は柔らかいよね?これは何で?」

 

「肌だからじゃないかしら……」

 

ぷにぷにとレイジュの剥き出しの太ももを摘んでいると、対面に座っているサンジが困った様に頬を掻いた。流石に実の姉が口説かれてるのは色々と複雑なのかな?両親の夜事情を覗いてしまった子供みたいな感覚なのかもしれない。

 

「今更だけど、コゼットの事……ごめんなさい、女王。弟のやった事とはいえ止められなかった私にも責任があるわ。それに、その後もあなたを利用して私達を倒す様に仕向けたり……」

 

「あー……レイジュは悪くないよって言っても、その言い方だと納得出来ないんでしょ?分かった、その謝罪は受け取っておくね。だけど私を利用ってのに関しては謝罪は受け付けないよ、あれはジャッジが悪いし」

 

力量差を測りきれず、起こしてはならない行動に出たジャッジが原因だし。それに元を辿れば、冷静さを欠いてジャッジに私が得をするだけの交渉をしたのも悪いのだから。

……そういう意味では、本当の原因は私だからね。

 

「それはそうとイリスちゃん、その姿になったのなら見聞色の覇気でブルック達の気配を探ってみたらどうだ?連絡が繋がらなくともこの島に居るのは間違いないんだろ?」

 

「そうしたいのは山々なんだけど、沙彩とかビッグ・マムとか、他にも沢山大きな気配がこの島に集まってるせいか島全体を見るとなると細かいとこまで探りづらいんだよね。どうしても大きな気配に反応しちゃうし」

 

見聞色の覇気で誰かの気配を探る時、私の場合は気配の声を聞く様なイメージなのだけど、大きな気配は相応に気配の声が大きいので小さな気配の声を隠してしまうのだ。私がミキータみたいに匂いで分かれば良いのだけど、正直あのレベルには到達できそうにない。

 

「シャルリアも心配だけど、ナミさん達も心配だな……森は抜け出せたのかな」

 

まぁ、森の方にはルフィの気配を感じるし問題無いだろうけど。……ん?ていうか、段々近付いて来てる?

 

今、猫車はホールケーキシャトーへと続く草原を走っているのだけど、遠くに見える私達が最初に降り立った森からルフィの気配がこっちへと近付いて来ているのだ。

……確かに薄らと黒い点みたいなのは見えるけど、遠くて良く分かんない。と言うわけでいつものやつを発動!

 

「……ん?なんか、走る……木?に乗ってルフィ達がこっち来てるんだけど」

 

「走る木?」

 

首を傾げるサンジだけど、私も意味が分からずに首を傾げるしかない。冷静に考えれば誰かの能力なんだろうけど……早速現地の人を味方につけたのかな?

 

「お〜〜〜い!!サンジィ〜〜〜!!!」

 

「うわっ!」

 

さっきまで遠くに居たのに、いつの間にやらゴムゴムのバズーカで猫車に飛び乗って来たルフィが、サンジを見るなり表情を輝かせる。

それは良いんだけど、衝撃で猫車がぐらついてるんだよね!倒れちゃうって!

 

「離れろ貴様!!」

 

「大丈夫よ、彼は敵じゃないわ」

 

急な突撃者に思わず銃を向けた護衛の兵士達をレイジュがそっと宥め、とりあえず猫車を止めて外に出た。

 

「あれ、ナミさんとルフィだけ?ペローナちゃん達は?」

 

直ぐに追いついて来た走る木からナミさんが降りて、他に誰も降りてこない事を不思議に思いそう聞いてみれば、ペローナちゃんを始めとしたキャロット、プリンちゃん、チョッパーの4人はブリュレという女の能力で鏡の中の世界に閉じ込められてしまったらしい。

4人とも不意を突かれたらしいが、脱出に関しては何とか頑張ってみるから気にしないで欲しいとの事。

 

いや、気にするって。

チョッパーは当然大事な仲間だし、ペローナちゃん、キャロット、プリンちゃんに関しては嫁なんだよ?うん?嫁ったら嫁だよ。

ただでさえシャルリア達と連絡が繋がらなくなってるのにこれ以上離れ離れになるのは……。うーん、やっぱり最初別行動取ったのは間違いだったかな?いや、でもそうしないとコゼットちゃんと会えなかったか。

 

「帰ろう!サンジ!」

 

「って言いたいとこだけど、まだダメなんだよね」

 

ルフィらしい勢いだけど、サンジはまだ遠くの地に人質を取られたままだ。その件と……後は正式に結婚式をぶち壊しておかないとワノ国に向かえない。

人質を取られてるのに結婚式をぶち壊すっていう大胆な事考えてるけど、これはどうするかなぁ……まぁ、後で考えよう。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。