「…あー、終わっちゃったね、みんな」
「そうね」
ぽりぽりとマイペースに煎餅を食べてるミス・ゴールデンウィーク。
四面楚歌ってやつですけど…余裕っすね…。
「慌てたりしないの?」
「私だって感情がない訳じゃないもの、今も焦ってるけど…今更慌てたってどうにもならないわ」
なるほど。
「じゃあどうするの?私と戦ってみる?カラーズトラップとやらで」
私がそういうと、ゴールデンウィークはハァ、とため息をついて筆を出す。その筆には既に絵具がベットリとついていた。
「さっきから描いてるんだけど、あなた効かないのよ…偶に居るのよね、あなたみたいに私の能力が効かない人」
ふーん…ってうわ!背中すごいぎっしり模様描かれてるんだけど!いつの間に!?
「…それで?残りは私1人って話だけど…ここまで追いつめて何もしないのかしら。それとも本当に見逃してくれるの?」
「え?見逃す?…いや、それはないかな、だって嫁候補だし…あ、それで思い出したんだけど、私の嫁になって?」
「………は?」
流石のゴールデンウィークと言えども、目を見開いて疑問の声を上げる。
…そりゃそうなるか、突然過ぎた。
「いやー、ハーレムが夢だからさ、嫁になってほしいんだよね」
「それでなるわって言うと思ったのかしら…あなた、思ったよりバカね」
う、うっさいわ。今までは何故か上手く行ってきたから、こう言った正攻法の口説き方を知らないんだよ私は!
「……でも、そんなバカだからこそミス・バレンタインはあなたに付いたのかしらね。…いや、それはまだわからない…か。…嫁にはなってもいいわ。あなたに賭けてみるのも面白いかも知れないし」
「えっ!本当!?」
なるわって言ってくれたじゃん!もうっ、落として上げるのが上手いんだからぁっ!
「でも、条件があるわ。…必ず我が社…
「もともと、そうしないと私達命狙われてるからね」
「あなたは知らないだろうけれど、みんな最初は
新たに取り出した煎餅を齧りながら、ゴールデンウィークは目を瞑り言う。
「各々夢を叶える為に入ったつもりが、気付けばこうしてオフィサーエージェントなんて呼ばれてる。…Mr.0を倒すことが、私達を真に解放することよ。だからあなたの手で彼を倒すことが出来たのなら…あなたの嫁にでも何でもなってあげるわ」
「なんだ、単純でいいね」
「…本当に分かってるのかしら。Mr.0、
「でも、勝つかもしれない」
ニッと笑ってゴールデンウィークの顔を見ると、彼女は驚いたような表情を浮かべた後…ふ、と笑った。
「私の名前はマリアンヌ。『自由の旗手マリアンヌ』と呼ばれていた事もあったわね。…今の言葉、忘れちゃダメよ。それからもう1つ、あなた達一味はもう…
そう言って彼女はミキータにMr.5を潰してる大木を撤去してもらい、彼を引き摺って何処かへ去っていった。
…どこ行ったんだろ、いや、でも嫁予約はしたからいいや。
あと目を付けられてるのは知ってる。じゃなかったら追手なんて来ないでしょ。
それにしても…
…夢、か。
「…あ!そういえばドリーは大丈夫なの!?」
はっとしてブロギー達の方を見れば、なんか普通にドリーも起き上がってみんなと話してた。
…あんなに思いっきり斧を叩きつけられて生きてるって…。
いや、違うか。100年も使われてきた斧なんだ、刃こぼれがとんでもないのだろう。
だから実際には刃で斬られたのではなく、石で叩きつけられた訳だ。
「キャハ、ゴールデンウィークとは話ついたのかしら?」
「ばっちし、クロコダイル倒せばいい話だったよ」
「それは単純ね」
「ほんとに」
とにかく、先にミキータの元へ歩き彼女に肩を貸す。
…あ、肩を貸すって言ってもあれだから、私の肩に手を置いて支えにしてる感じだから。…くそう。
「…ミス・バレンタイン。本当に裏切ってよかったの?」
いつのまにかビビ王女が近くに来ており、そう言った。
「キャハハ、いいも何も、これは私が決めた事よ。あなたが気に病む必要はないわ」
「……ごめんなさい、ありがとう」
「いいわよ、お礼なんて…。私はあなたの国の騒動に一枚噛んでたんだから。恨むべきじゃない?」
そんなミキータにビビ王女はまさか、と言って私とは反対方向の肩を貸した。
「私、あなたの事を誤解していたかもしれないわ。…だから、……アラバスタまで改めてよろしくね……ミキータ」
「!…ええ、ビビちゃん!」
…私が空気になってる事よりも、今隣で起こった事に鼻血が出そうだ。
そして場所を移し、ドリーの家で彼の怪我の治療を行い私達は目下最重要任務を話し合っていた。
…というのも、ブロギーの話ではこの島の
「1年ってのは深刻だな」
「そうよ、本当に笑い事じゃないの」
ゾロの台詞にナミさんが頷く。
「何とかしてくれよおっさん達」
「バカいえ、ログばかりは我らにもどうする事もできん」
だよね…。
ドリーの言うように、いくら巨人族が強かろうとも島の磁場をどうこうする事など無理な話だ。
「…あれ、サンジじゃん」
ジャングルを抜けて走ってくるサンジを見つけたのでみんなに伝える。
ナミさーーん、ビビちゃーーん、ミキータちゃーーーんとか言いながら走ってくるのは何なんだ…あとどうせなら私の名前も呼ばんかい。
「無事だったんだね〜、よかった〜っ♡」
「お前ほんとに男と女で態度違うよな、ある意味尊敬するぜ」
ウソップが呆れ顔で言う。まぁ、サンジの場合は挨拶みたいな物だって最近気付いたよ。
「ンなんじゃこりゃァ!!!お前がMr.3か!!?」
そう言えばサンジは見た事なかったか。巨人族を見て身構えるサンジに私は大丈夫だと手を振った。
「この人達は巨人族だよ。こっちがドリーでこっちがブロギー。…それはそうと、何でサンジがMr.3を知ってるの?」
「おおそうだった。みんな聞いてくれーーーー」
「ーーーという訳なんだ」
「…じゃあ、さっきまで
何という偶然か、サンジはMr.3が拠点としていたろうの家に侵入して『電伝虫』と呼ばれる電話カタツムリでMr.3を装い電話していたらしい。
しかも私達を既に始末したと報告したらしく、これから追手が来る事はないそうだ。
「流石サンジ、良い仕事するね」
「キャハハ!でも、ログが溜まらない事には追手が来なくても動けないけど」
「あァ、それも心配ねェ。こういうモンを手に入れた」
そう言ってサンジが懐から取り出した物を見てみんなが口をあんぐりと開ける。
それはまさしく、アラバスタへの
「アラバスタへの
「出航出来るぞォ!!」
サンジ、最後の最後に持っていく男である。
でもこれは大手柄だ、1年をチャラに出来たのは凄く大きい。
「じゃあ、直ぐにでも出ようよ、早くアラバスタへ向かわないとマズいんでしょ?」
「ええ、本当にありがとうサンジさん!」
「いや〜〜、ど〜いたしまし…テヘ♡」
目がハートになってやがる…。
「おっさん、おれ達もう行くよ、色々ありがとな」
「ゲギャギャギャ!お礼を言わなくちゃならねェのは我らの方だ!ありがとな麦わら…!」
***
そして私達はメリー号へ戻り船を出した。
その際、ゾロとサンジがそれぞれ狩ってきた大きいサイと恐竜を捌いて船に載せたりしていたが。
…狩勝負ってほんとにやってたんだ。
「おい、もっと肉載せられんじゃないか?」
「バカ無理だ、これ以上は保存しきれねェ」
あんな大きなの船に載せたら沈むわ。
「…お!あれおっさん達だ!」
「見送りに来てくれたんだな」
島の川から海へ出る所でドリーとブロギーはそれぞれ右、左に分かれて立っていた。
…そういえばゴールデンウィーク…、マリアンヌは大丈夫なのだろうか、ついでにMr.5も。
「この島に来たチビ人間達が…」
「次の島へ辿り着けぬ理由は1年のログだけじゃねェ」
「なに?」
?
ナミさんも首を傾げてる。何を言わんとしているかが分からないからだ。
後は島から出るだけで…、この先に何かあるのだろうか?
「お前らは決死で我らの誇りを守ってくれた」
「ならば我らとて…いかなる敵があろうとも!友の
「我らを信じて真っ直ぐ進め!例え何が起ころうとも真っ直ぐにだ!!」
なるほど、良くはわからないけどとにかく真っ直ぐ進めってことでいいのかな。
ルフィも頷いてるし、彼が同意したのならこの先目の前にサイクロンがきても真っ直ぐ進むだろう。
「お別れだ。いつかまた会おう」
「必ずな」
「…!見て!前っ!!」
ドリーとブロギーの別れの言葉を聞き終えた後、ナミさんが海面を指差す。
「なっ!?」
そこには、
その海王類の名は“島食い”、見た目はバカでかい金魚だが、名前の由来はそのまんま島を食うかららしい。
そして島を食った時に出すフンは長く、大陸と間違えられる程だとか。
「舵きって!!急いで!」
そして今その金魚が口を開けてこの船を食べようとしているのだ。
ナミさんは必死に舵を取ろうとするが、さっきのブロギー達の言葉もある。
「…いや、真っ直ぐ行こうよ。ね、ルフィ、ウソップ」
「あァ!」
「おう、勿論だ!」
「〜〜〜っ!!もう!イリス、何かあったら絶対守りなさいよ!!」
「当たり前でしょ、じゃ、私から離れないでね、ほらミキータもビビ王女も!!」
これ幸いと3人を引き寄せて抱きつく。
…すーはーすーはーー。…はぁ、たまらん。…ちょっとナミさんいつもよりあったかい気がする…。
「ちょっとイリス、どさくさに紛れて何やってんの」
「あら、ナミちゃんはイヤなの?私はいつでも歓迎よ!」
「え、恥ずかしいのは私だけなの!?」
三者三様の対応、ありがとうございます!
ミキータはレモンの香りがするのかな、と思ったらチョコの匂いの方が強かった。流石ミス・バレンタイン。
ビビ王女は…何だろう、単純にいい匂いだった。多分王女の香りだと思う。
ナミさんはみかん、知ってた。
「そんな事してる間に食べられてるんだけど、本当に大丈夫なんでしょうね」
「大丈夫大丈夫。真っ直ぐ!」
「真っ直ぐ!真っ直ぐ!」
「おい、もう飲み込まれるぞ!」
「だ、大丈夫だ…まま、真っ直ぐ進めーー!!」
サンジの声にウソップが震えながらも返事をした。
…そして、後もう少しで飲み込まれるという時…。
「「ーーー覇国っ!!!」」
「うわっ…!!」
2人の巨人族が放った技は海を裂き、その先の島食いの頭にすらも大穴を開けた。
その穴から脱出できた私達は、そのまま振り返らずに前へ行く。
「海を斬った…!これがエルバフの…戦士の力…!!」
ウソップが感動して泣いちゃってる。
この島はウソップにとって、色々と得たものが多かったんじゃないだろうか。
「「さァ、行けェ!!」」
「うっはぁ!すげェ…!でっけェなァ…」
2人の巨人の盛大な見送りに、ルフィも目を輝かせて興奮している。
私としてもこれは助かる、マリアンヌが島を出る時にあんなのが居たら危なかった…。
「みんな!おれはな、いつか絶対に!エルバフへ…戦士の村へ行くぞ!」
「よしウソップ!必ず行こう!!いつか巨人達の故郷へ!」
肩を組んで踊り出した2人を見てナミさんが呆れたようにため息をついた。
「元気ねあいつら…。何だか私さっきのでどっと疲れちゃった…。ビビ、これ…指針見ててくれる?」
そう言ってビビ王女に
「何で私じゃないの!」
「あんたはこういう事が出来そうにないでしょ」
確かに!
「これで、やっとアラバスタへ帰れるわね」
ビビ王女へと手渡しながら笑いかけるナミさん。…あぁ、愛しいぜマイスイートハニー。
「ええ、私は…必ず生きてアラバスタへ…!」
「私がついてるから平気!ね、ナミさん」
「そうね」
…ん?気のせいかな、なんかナミさんの反応が薄い気がする。
「…ナミさん?」
「なに?…ごめん、3人とも…ちょっと私、部屋で休んで……っ」
「!ナミさん…っ!」
歩こうとしたナミさんがふらりと体勢を崩し…倒れそうになるのをすんでの所で支える事には成功した。
…だが、ナミさんに触れた時私は驚いた。
それは、ナミさんの体の柔らかさとかではない。いやそれもあるが、それ以前に…。
「ナミさん…!熱が…!!」
さっき抱きついた時よりも明らかに上がったナミさんの体温が、どう考えても普通ではない温度だったのだ。
……って、熱!!?い、医者!医者を呼べーーーーーーっっっ!!!