ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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37『女好き、麦わらの一味、チョッパー!』

「お前、見たことあるなァ?あの時俺の事を散々コケにしてくれたガキじゃねェか?」

 

「そうだね、性懲りもなくどうしたの?」

 

「お前のせいで俺の顔は膨れあがってしまったんだぞ!どう責任を取るつもりだ!?王の顔だぞ!!!」

 

何か騒いでるけど、あなたの顔は元々膨れてるから気にしなくてよくない?

…ていうか、王?海賊じゃないの?

 

「どうでもいいか。さ、早く行こうよナミさん、ミキータ」

 

「待てェい!お前ら一味だけは許さん!この国の法に則り処刑してくれるわァ!!」

 

「は……法とか、そんなもんハナっから無視してるから私達はーーー」

 

飛び掛かりながらワポルが口を開く。あれにまともに食われてしまったらどうなるのかは分からないが…まぁ、良くない事は何となくわかる。

でも、そもそも当たらなければどうという事は無いはずだ。

 

「くらえっ!バクバク工場(ファクトリー)!」

 

「海賊って、呼ばれてるんでしょッ!!!!10倍灰(じゅうばいばい)去柳薇(さよなら)ッ!!」

 

「んぐォ!?」

 

飛びかかるワポルの顎を下からアッパーで殴り飛ばす。

バクバクの実の能力なのかは知らないけど、あいつの顎って鉄だから殴ったこっちのが痛いかもしれない。

 

「イリス!後はおれがやる!!」

 

「うん、よろしくー……ってルフィ、服すごいボロボロになってるけどどうしたの?」

 

「大砲に当たった!」

 

「何でピンピンしてるのかは聞かないでおくよ、ルフィだし」

 

上着をボロボロにしたルフィが走ってきたのでワポルは彼に任せる事にした。別に今までの敵と違って私がワポルと戦う理由ないし…。

嫁に危害を加えるようなら何が何でも抵抗するけどね、拳で。

……いや冗談ではなく私の場合はガチだからね?

 

「…ん?何この鍵」

 

チャリンと足に当たった鍵を拾う。

ワポルを殴った時に落としたのか?だとしたら宝物庫の鍵だったりしないかな?ナミさんにプレゼントしたら喜びそう!

 

「なぬっ!?それは俺の『武器庫』の鍵じゃねェか!おのれ貴様…!奥の手まで奪いやがって…!!もう許さんぞ!奥の手はもう一つあるのだッ!!」

 

「逃げた!待て!!」

 

逃げたワポルを追いかけてルフィが走っていった。

武器庫の鍵か…、いらないなぁ。

 

「ナミさんいる?」

 

「宝物庫じゃないんでしょ?…うーん、でも貰っておくわ、何かの役に立つかもしれないし」

 

「もう慣れてはきたけど、敵が居るのにナミちゃんもイリスちゃんもあまり気にしないのね」

 

「はは、気にしても一緒よ、イリスが近くに居るんだから」

 

ナミさん、あんまり私を攻撃しないで、死ぬ。

 

「サンジ達は?外?」

 

「そうよ、チョッパーちゃんも居るわね」

 

なら、その近くに行こうか。ルフィは放っておいて大丈夫だ、ONE PIECEの主人公は伊達じゃない。

 

 

私達が城の外へ出ると、そこにはサンジとチョッパーがいた。

 

「お前は…」

 

「や、チョッパー。どう?私達の仲間になる決意はした?」

 

「……何でお前達は、おれみたいな奴を誘うんだ」

 

「キャハハハ、可愛いからじゃないかしら?どうなのイリスちゃん」

 

「可愛いとか言うな!」

 

可愛いのに、可愛いって言われるのは嫌なんだ。やっぱり男の子だからかな?私はカッコいいって言われても嬉しいけどね。

 

「小娘、誰の許可を貰ってここに来たんだい?」

 

…あ、そういえばDr.くれはも居たのか。

…上手いこと誤魔化しておこう。

 

「えーっと、外の空気を吸いに…?」

 

「ほォ、死にかけてた病人がねェ?」

 

うぐ……心に刺さる、今私の胸には矢印が数本刺さったよ、ほんとに!

 

「そ、それはそうとイリスちゃん、中はどうなってるんだ?」

 

サンジ…!そういうところ本当に良いと思う!優しいよね!

 

「ああ、今ルフィがワポルを追っかけてる所だよ、もしかしたらもう追いついたかも……あ、もう終わりそう」

 

「あー……」

 

ふと上を見上げれば、城の天辺にワポルの頭が突き出ていて、ルフィがそこまで歩いて行く所だったので指を差してサンジに伝える。

どうやったらあんな頭だけ出る何て状況になるんだろうか…ルフィの戦闘って本当に奇想天外で先が読めないよ。

 

そう言ってる間にもルフィはワポルの顔の前に辿り着き、両腕を後ろに長く伸ばす。あれ、普段よりずっと伸びてるな…ワポルが結構タフだから正真正銘の全力で叩くつもりなんだろうね。

 

「ドクトリーヌ…ドラム王国が……!」

 

「この国は…ドクロに敗けたのさ、ヒッヒッヒ」

 

何のこっちゃ。

今回の件も裏では色々事情があったのかな?ワポルが王様の身分を隠して海賊をしていたのに関係があったりするのかもしれない。

 

 

ドガァンッ!!

 

 

「うっわ…」

 

ルフィの“バズーカ”がワポルの飛び出た顔面に炸裂してその体を果てまで飛ばした。

…何か本当に、今回は何もせずに終わったな。

 

「こういうのもたまにはいいかも」

 

「何がよ」

 

「戦いをサボるってこと、ナミさん達と一緒に居られる時間が増えるし?」

 

へへ、と笑うとナミさんは大して否定もせずそうね、と頷いた。

…ダメだ、素直ナミさんに勝てる未来が見えない、どうやっても負ける…ッ!

 

 

「おーい、みんなー!!」

 

「あれ?ビビ王女!どうやってこの城に?」

 

ビビ王女だけではなく、その後ろにゾロやウソップの姿も見える。

…ゾロ、船の見張り役は?ん?

 

「ロープウェイを登ってきたの!…それで、ナミさんは無事!?」

 

ロープウェイあるんかい!!

 

「無事よ、もう大分良くなったわ」

 

「良かった…」

 

軽く手をあげてアピールするナミさんにほっと胸を撫で下ろすビビ王女。

彼女が医者を探すって決断してくれたからこそこうしてナミさんを助けることが出来たんだし…頭が上がらないよ、とにかく嫁にしよう。

 

「おお!お前らも登ってきたんだな」

 

降りてきたルフィも近づいてきて、とりあえず一味集結ってとこかな。

 

「お前は城の天辺で何してたんだ?」

 

「王様をブッ飛ばしてたんだ」

 

「…じゃあ、やはりさっき空の彼方へ飛んで行ったのは、ワポル…!!」

 

あ、ドルトンも…それに村の人達も来てたのか。…って凄い傷だけど、大丈夫なの!?あとロープウェイに何人乗ってきたの!?

 

「あとの2人はどうしたんだ!?」

 

「トナカイがブッ飛ばした。そうだっ!おい聞いてくれよウソップ、新しい仲間を見つけたんだ!」

 

「何っ!?」

 

あとの2人ってどこの2人よ。

ダメだ…話に全くついていけない。

 

「ん?チョッパーはどこ行ったの?」

 

「あの子ならあそこよ」

 

ナミさんの指差す方を見れば、木の後ろに隠れてるチョッパーがいた。

…いや、隠れてるというか、出てるけどね。尾行とかでこっそり覗く時にする体勢だと思うけど…逆だよチョッパー、体の方が出てるよ。

 

「な、何だあの変な生き物は!?」

 

「トナカイ…?違う…!!」

 

「ば、バケモノ…!」

 

チョッパーの見た目ってバケモノ呼ばわりよりまず可愛いねって感想が出てくると思うんだけど…。

 

「バケモノだーーーっ!!!」

 

ウソップお前もか。

 

あ、チョッパー逃げた。

 

「バカ野郎!おれが見つけた仲間ってあいつなんだぞ!ショック受けて逃げちまったじゃねェか!」

 

「なにィ!?あれが!?」

 

「待てよバケモノォ!!」

 

チョッパーを追いかけて行ったルフィ。…いやあんたもバケモノ呼ばわりするんかい。

 

「あそこまでルフィが頑なになったなら、チョッパーが仲間になるのも時間の問題だね、今夜くらいかな?」

 

「そうね、これでようやく出発出来そ……ん?」

 

「ハッピーかい?小娘、外の空気は存分に吸えただろう、早く部屋に戻んな!!」

 

ナミさんの肩をガシッと掴むDr.くれは。

…これは、無理やり逃げられそうにもないね…。

 

「お前達もだよ!1人残らず病室へ入んな!」

 

「「は…はいっ!」」

 

そんな感じでドルトン達と一緒に病室に連れていかれた私は、再度寝かされたナミさんのベッドに座っている。

ちなみに、村人の中ではドルトンが1番重傷だったのでナミさん同様ドルトンもベッドの中だ。

 

 

 

そうしてドルトン達の治療が粗方済み、空に月が昇る頃、不意にDr.くれはは気になることを口にした。

 

「ドルトン、この城の“武器庫”の鍵ってのはどこにあるんだい、知ってるね?」

 

「武器庫…何故あなたがそんなものを」

 

Dr.くれはが武器を欲しがる姿は想像できないんだけど…。

どっちかっていうと、ナイフがあれば武器は事足りるよ、とか言ってそう。

 

「どうしようとあたしの勝手さね」

 

「…あの鍵は昔からワポルが携帯していたので、ずっとそうなら…ワポルと一緒に空へ」

 

「なに、本当かい?困ったね…」

 

「あ、でもその鍵…むぐっ」

 

武器庫の鍵はナミさんが持ってた筈だ、そう思って口にしようとした時、上半身を起こしたナミさんに後ろから口を押さえられる。

そのままぐいっと引かれてナミさんのぽよんぽよんに頭が挟まった。……こういう時はほんと、身長低くて良かったって思う、低身長バンザイ。いややっぱり高身長になりたい。

 

「ドクトリーヌ?私の治療代なんだけど…タダに!それと、私を今すぐ退院させてくれない?」

 

「ん?そりゃ無理な頼みだとわかって言ってみただけかい、治療代はお前達の船の積荷とあり金全部。お前はあと2日ここで安静にしてて貰うよ」

 

なんか、ナミさんが考えてることわかったよ。

こういう交渉はやはりナミさんが一味の中で頭1つ抜けてるね。

 

「武器庫の鍵、必要なんでしょう?」

 

そう言ってナミさんはキラリと輝く鍵を指に引っ掛けて見せつける。まさかナミさんが持っているとは思わなかったのかDr.くれはだけではなくドルトンも驚いていた。そりゃそうだよね。

 

「本物なのかい!?どういうこった…」

 

「色々あったの」

 

ワポル殴ったら衝撃で落ちただけなんだけど。

 

「…ふ、このあたしに条件を突きつけるとは良い度胸だ、ホンットに呆れた小娘だよお前は」

 

「ふふ」

 

悪戯が成功したみたいな笑い声してる!あーー顔が見たい!絶対可愛い顔して笑ってるのに!!…でも、このポジションは譲れない!ぽよんぽよんは譲れないっ!!

 

「ガキンチョは何変な顔してんだい。……ふぅ、いいだろう、治療代はいらないよ!」

 

チャリ、と鍵を受け取ってDr.くれはは背を向け部屋を出ようとする。

 

「ただし、それだけさ。もう一方の条件は呑めないね、医者として」

 

「ちょっと待って!それじゃ鍵は渡せないわよ、返して!」

 

「いいかい小娘」

 

Dr.くれはは振り返ってナミさんをびしっと指差す。

 

「あたしはこれからちょっと下に用事があって部屋を空けるよ。奥の部屋にあたしのコートが入ってるタンスがあるし別に誰を見張りにつけてる訳でもない。…いいね、決して逃げ出すんじゃないよ!!…お前達ちょっと来な、力仕事だ」

 

「は…はい!」

 

それだけ言うと、ドルトンの見舞いに部屋へ来ていた村人達を引き連れて出て行った。

………つまり、

 

「…コート着て今のうちに逃げだせって言ってるね、ナミさん」

 

「そうみたい。…じゃ、行きましょ」

 

Dr.くれは…か。

医者として、それから人としても大きな人だったな。ドリーやブロギーとはまた違った大きさがあって素直に尊敬してしまう人柄だよね。

 

 

 

 

「おーーーい、トナカイ〜〜っ!!!」

 

 

「お、ルフィまだチョッパー探してるんだね」

 

城の外にナミさんと出ると、ルフィはすぐ近くにいた。

みんなも周りに集まっててチョッパーさえ来れば直ぐに出発出来そうだ。

 

「ミキータ、チョッパーは来てくれそう?」

 

「キャハ、それが呼んでも出てこないのよ、海賊になりたくないって事も考えられるわね」

 

「うーん…」

 

それはないと思うけどなぁ。だって興味津々だったし。

 

「トナカイ〜〜〜っ!!!」

 

 

「あっ」

 

誰かが声を上げる。

それは、チョッパーが私達の前に姿を見せたからだ。

 

「チョッパー!仲間になってくれるの?」

 

「……無理だよ」

 

私の誘いに、声を落として拒絶する。

……これは、あれだね。私は引っ込んでおこう。

 

だってチョッパーは、自分を押し殺してる。

バケモノだって言われ続けてきた自分に負い目を感じて、一味に入るのを躊躇ってるんだ。

本当は海賊に興味があるのは間違い無いし、今でも行きたいって顔してる、それでもチョッパーはそれが理由で頷くことが出来ない。

 

…なら、どうする?

そんなもの簡単だ。うちの船長は、こういう事に関してはとにかく凄いのだから。

 

 

「無理じゃねェさっ!楽しいのにっ!」

 

「おれは…お前達に感謝してるんだ!だっておれは…トナカイだ!角だって…蹄だってあるし…!青っ鼻だし………!!!」

 

………。

 

「そりゃ…海賊にはなりたいけどさ…!おれは“人間”の仲間でもないんだぞ!バケモノだし…!!おれなんかお前らの仲間にはなれねェよ!…だから…お礼を言いにきたんだ!!…誘ってくれてありがとう…。おれは、ここに残るけど…!いつかまたさ、気が向いたらここへ」

「うるせェ!!!!」

 

……あ、思い出した…。

 

 

「行こーーーうっ!!!!!!」

 

チョッパーの心の傷を、叫びを、悲しみを、全てを吹き飛ばしてルフィはうるさいと叫んだ。

そんな事はどうでもいいんだと言うように、仲間になってくれと純粋にチョッパーを欲した船長の言葉にーーーー。

 

 

「お"お"!!!!!」

 

 

ーーーチョッパーの、歓喜の雄叫びが響く。

 

 

 

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