ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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38『女好き、三方六つぽよん攻撃』

「なぁ、おれ達も別れの挨拶をしに行こう、医者のばあさんとドングリのおっさんに…」

 

あの後、私達の仲間になる決意をしたチョッパーはDr.くれはに旅立ちの旨を伝えに行った。

 

「ばかね、チョッパー1人にしてあげなさいよ、きっと涙のお別れになるんだからさ…ドクトリーヌも表向きああだけど、本当は心の優しい人なのよ」

 

確かに、遠回しにナミさんを見逃してくれた訳だし優しいのは間違いないよね。

 

「医者がついてきてくれるのなら、ナミさんの体の事も安心だわ」

 

「医者??」

 

ビビ王女の言葉にルフィが反応する。さてはルフィ…チョッパーが医者だと知らないな?

 

…そう、そのチョッパーだけど、彼はONE PIECEに登場する麦わらの一味の船医だった筈だ。

さっきの強引勧誘で思い出すことができた。…何たってあの場面、好きだったし。

 

「おれ達は本当にこのまま行くのか?」

 

「もちろんよ、チョッパーが来たら山を下りてすぐアラバスタへ出航するわ!」

 

「そうか、じゃあロープウェイの準備をしとこう、ルフィ手伝えよ」

 

ウソップの問いにナミさんが答えてすぐさまロープウェイへ向かった。

…いや、ほんとにロープウェイがあるならそっちで登れば黒歴史(あんなこと)しなくて済んだかもしれないのに…。

 

 

「何だ、城の中が騒がしいぞ」

 

「まぁまぁ、ゾロのいびき程じゃないよ」

 

「はっ倒すぞクソガキ!」

 

「はぁ…まったくヤボなんだから…人の別れの夜にどうして静かにしててあげられないのかしら」

 

だけど、本当に騒がしいな…。まさかワポルの仲間とかが城内に残ってて騒ぎになってるとか…そんな事になってなきゃ良いんだけど。

 

「あ、チョッパー来たよ!」

 

城の入り口を見れば、何故かトナカイ形態になってはいるけどチョッパーがこちらへ走ってきていた。

 

「え、でも追われてない!?」

 

「どういうこと!?」

 

誰に…!やっぱり、ワポルの残党が!?

 

「おーいお前ら、ロープウェイ出す用意が…」

 

「みんなそりに乗って!山を下りるぞォ!!」

 

「待ちなァ!!!」

 

な、何でー!?

ワポルの残党とかそんなんじゃなかったけど、Dr.くれはが包丁を無数に投げながらチョッパーを追いかけていたのだ。

丁度準備を終わらせてくれたウソップ達も面食らった顔してるよ。

 

「ナミさん!ビビ王女、ミキータも!」

 

ぎゅ、と3人を上手く掴んでチョッパーの引くそりに乗り込む。

そんなに広くはないそりにかなりの人数が乗り込んだから、私はナミさんの膝の上に座らせてもらった。最高。

 

「くぅ、イリスちゃん、羨ましいぜ」

 

「でしょー?でもナミさんは勿論、ビビ王女もミキータもあげないからね」

 

「えっと…どうして私までイリスさんのメンバーに…?」

 

何か言ってるビビ王女はスルーしよう。

キスまでした仲じゃないですか!(無理矢理)

おっぱいも揉んだし!!(意識がない時に)

 

………あれ、私…人間の屑???

 

 

「うおぅ」

 

一段とそりが揺れたので何事かと周りを見れば、ロープウェイが渡るロープの上をチョッパーが走っていた。

…わぁ、今夜は満月なんだ、ここならゆっくりお月見出来そう!足場ないけど!

 

そのままロープを渡りきり、山を下りる。

後はこのまま船へと戻るだけ何だけど…チョッパーはいいのかな?あまりいい別れだったようには…。

 

ドン!!

 

「!!」

 

何?砲撃音!?

城の方から聞こえてきた音にチョッパーは足を止めていつもの姿になる。

 

「これ、砲撃…?まさか…また城で何か…!!」

 

「なら、早く戻らなきゃ!」

 

その後も何発とその砲撃音は響いたが、チョッパーは戻ろうとはせず…ただ何かを堪えるように城を見上げていた。

 

「………あ」

 

「奇麗……」

 

その瞬間…私は、いや…私達はその余りの光景に言葉を失った。

辺りは暗闇に包まれ、満月の光だけが夜道を照らす今……城のあった山の天辺が淡く光り輝く。

その光は淡いピンク色に染まり……それはそれは鮮やかな…、

 

「桜だ……」

 

ドラムロッキーを木に見立てた幻想的な夜桜を見て、チョッパーは涙を流して吠える。

彼がこの桜に一体どのような想いを秘めているのかは知らない。けれど…この光景がチョッパーを救ったのだと言うことは何となく私にもわかったのだった…。

 

 

 

後に語り継がれるこの“ヒルルクの桜”は、まだ名も無きその国の自由を告げる声となって夜を舞う。

丁度この土地でおかしな国旗を掲げる国が誕生するのは、もう少し後の話…。

 

 

 

***

 

 

 

その後、メリー号に乗り込み新たな仲間、チョッパーを加えた私達一行は島を覆い尽くさんばかりの巨大な桜を肴にチョッパー歓迎会を開いていた。

 

 

「ーーーーーーなるほど、そういう事情がね」

 

「チョッパーちゃんにそんな事が…」

 

ちなみに今は普通に気になってたのでワポルとドラムの関係をチョッパーに聞いていたのだ。

 

というのもそんな難しい話ではなく、ワポルはもともとあの国の王だったのだが…国がとある海賊に襲撃されて勝てないと分かった途端に一早く村人を捨てて逃げ出したのだとか。

…それは、何ともえげつない話だ。まぁ、それはどちらかと言えばドルトンの事情。

 

チョッパーには6年前に師匠と呼べる男がいた。

その名も“Dr.ヒルルク”。つまり、先程の桜を作った人物こそがヒルルクなのだ。

彼はチョッパーに生きる希望を与え、夢を与え、場所を与えて優しさを教えた誇るべき医者であり、チョッパーにとっても大切な人だったそうだが訳あって亡くなってしまったらしい。

 

流石にその辺の事情を根掘り葉掘り聞くのはヤボだと思うから私が尋ねるのはここまでにしておこう。

それはチョッパーが己と向き合って乗り越えた過去なんだから、今更後の人間がどうこう言う話でもないだろう。

 

 

「…それで、チョッパーの事情は分かったんだけど…」

 

私はチラッと横を見る。そこにはぐったり倒れてビビ王女に抱きしめられてるカルーの姿があった。

 

「カルー、あなたどうして川で凍ってたりしたの!?」

 

「クエクエ…クエ〜、グエ…」

 

私達がメリー号へ戻ると、何故か川で凍ってるカルーがいたのだ。

そりゃ、あんな寒い島の川に入ったりしたらああなるだろう、体がびっくりして心臓が止まらなかったのが本当に救いだ。

 

「足でも滑らせたんだろ?ドジな奴だな、はははっ!」

 

夜桜の美しさには男勢も勝てなかったのか、それを肴に酒を飲んでいるせいでテンションの高いゾロが言う。笑い事ではないと思うんだけどね…。

 

「ゾロって奴が川で泳いでて居なくなったから、大変だと思って川へ飛び込んだら凍っちゃったって」

 

「あんたのせいじゃないのよ!!!」

 

ゴン!とナミさんの拳骨がゾロの頭に落ちた。あれ、絶対痛い。

 

「いやでも、チョッパーってカルーの言葉わかるの?」

 

「おれは元々動物だから、動物とは話せるんだ」

 

それって凄くない?だってチョッパーって医術も使えて、その上そんな芸当が出来るんでしょ?

 

「凄いわチョッパー、医術に加えてそんな能力(ちから)もあるなんて!」

 

「…!!ば、バカヤローそんなの褒められても、嬉しくねェよ!コノヤローが!」

 

ナミさんの言葉に踊りながら答えるチョッパー。しかも表情もめっちゃにやけてるし、隠す気のない喜びの舞になってる。

 

「…あ、しまった!おれ慌てて飛び出して来たから医療道具忘れて来たっ!」

 

「え?それってこれのこと?」

 

舞から一転して慌て出したチョッパーに、そりに乗ってたリュックを見せる。

最初から乗ってたからチョッパーが乗せてたんじゃないの?

 

「お、おれのリュック!何で…!?」

 

「何でって…チョッパーが旅の仕度したんじゃないの?」

 

「キャハハ、ドクターでしょ、結局チョッパーちゃんの考えてることはお見通しだったって事ね!」

 

そっか…Dr.くれはが予めそりに置いておいたのか…。

チョッパーを追いかければどう出るかも完全に把握してたって事だもんね、やっぱり母の愛って凄いんだな…、母と言うにはちょっと年を取り過ぎてるから、どっちかと言えばお婆ちゃん…?

 

「う、何か寒気が…っ」

 

「じゃ、こっち来なさい」

 

わ、とナミさんに引っ張られて胸の中に入る。

 

「最近ナミちゃんばっかりでずるいわ、私も混ぜて?」

 

「ちょ、ちょっと…!」

 

その上ミキータが私を挟むように抱きしめて来たせいで左右の頰にあれなぽよんが4つ…。

 

「ビビは来なくていいの?」

 

「え!?あ、いや、私は、やめておくわね…うん」

 

顔を赤くしてキョドリながら答えるビビ王女にナミさんがニヤリと笑う。

 

「それにしては不満そうよね?王女様?」

 

「なっ、そ、そんなことないわ、私にはカルーがいるもの!」

 

「ふーーーん」

 

今度はミキータもニヤニヤ笑い出した。いや、2人共私の身にもなってよ!!……すっごい幸せです!!

 

「でもビビ、ちょっと寒いんじゃない?私達は暖を取ってるだけよ?何を気にしてるの?」

 

「…ぐ、ぐぐ…。ま、まぁ?それなら?いいかもしれないわね!ね?カルー?」

 

「クエ……」

 

呆れた声のカルーだが、ビビ王女は自分だけで頷くとそのまま私に正面から抱きついて来た。あ、あかん…どこでもぽよんや…。

 

「それじゃあてめェら!ちゅうもーーく!」

 

「お!」

 

ウソップが笛を吹き、皆もそこに視線を集中させる。だけどそれは視線だけで相変わらずみんなはワイワイ騒ぎながらお酒や食べ物をぱくぱく口にしていた。

 

「おれさ…」

 

「ここで、おれ達の新たな仲間!“船医”トニートニー・チョッパーの乗船を祝し、改めて乾盃をしたいと思う!!」

 

「こんなに楽しいの、初めてだ!」

 

「新しい仲間に!!乾盃だァア!!!」

 

『カンパーーイ!!!!』

 

涙を少しだけ見せて笑うチョッパーを祝う声を張り上げて、今宵も船は海を渡る。

 

メリー号は今、最高速度でーーー砂の王国、アラバスタを目指している。

 

 

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