ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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44『女好き、砂の弱点を知る』

「クロコダイルーーーッ!!!」

 

「「イリス〜〜ッ!!」」

 

飛び出し、床に着地する。

……お!もしやあれがミス・オールサンデー!?う、美しい……というか、何か見た事あるような…?

でも、今はそれよりも…!!

 

「うおおおっ!!!10倍灰(じゅうばいばい)去柳薇(さよなら)ァッ!!!」

 

クロコダイルの元へ一直線に駆け出して拳を繰り出す。

しかし、クロコダイルはそれを薄ら笑いを浮かべながら見ているだけだった。

 

「っ…!!」

 

「クッハハ…ハーッハッハッハ!!!てめェが“女好き”か?話には聞いてるぜ(・・・・・・・・)

 

そんなクロコダイルの態度を裏付けるかの様に私の拳は奴の体をすり抜け、右手で首を掴まれて持ち上げられた。

くそ、やっぱりスモーカーみたいな能力か…!!スモーカーが煙なのに対して、こいつは砂っぽいな…!!

それに妙な事も言ったよね、話には聞いてるとか何とか……。

 

「いけない!イリスさん、クロコダイルの右手は…!!」

 

「な…ァ…!?」

 

みるみる内に身体中の水分が吸い取られていく…!?

ひ、干からびてたまるかァ…!!

 

「…なんだと?てめェ…何故干からびねェ…?」

 

「ばーか…!そのまま容量(キャパ)オーバーしちゃえ」

 

吸い取られる度に体内の水を倍加して補填していく。確かにこいつの能力は厄介だけど…私なら対策できる!

とはいえ、まだこれじゃ何も意味がない。私からの攻撃手段が無いのに変わりはないんだ…!

 

「放せこのッ!!」

 

足裏でスタンプするようにクロコダイルの体目掛けて連打するも、やはりすり抜けてしまって意味がない。

…スモーカーもそうだったけど、まるで無敵だ。けど…抜け道は必ず何処かにある…!だって本当に無敵なら“七武海”所かそれこそ敵無しだもん!

 

「クハハ…こうなっちまえば『麦わら』も『女好き』も終わりだろう。東の海(イーストブルー)で多少名を挙げた所で粋がる様な小物は…この海には幾らでもいるんだぜ?」

 

「やってる事は…あなたの方が小物でしょ…!?…うぐ、!?」

 

クロコダイルの私を掴む力が強くなる。ぐ、ぐ…!首が締まる…っ。

 

「ぶふッ!」

 

「ッ…!!?」

 

あ、やばい、水倍加の調節ミスって吐いちゃった。

その水はクロコダイルの顔に直撃して顔をびちゃびちゃに濡らす。

 

「こほっ、けほっ!はーっ、ぐ、ぐるしぃ…!気管に水入った!」

 

「「何やってんだお前ェ!」」

 

檻の中のウソップやゾロが口を広げて叫んでいる。

いや、ふざけてる訳じゃないんですよ、確かに絵面はふざけてるみたいになったけど!

 

「いい加減…はな、せ!!!」

 

「ぐっ…!?」

 

「あれ…っ」

 

だん!と再度蹴りを顔に放った時、それはクロコダイルに直撃して吹き飛ばした。

腕から解放された私はふらつきながらも何とか立つ。いやね、首締められてた訳なんで、酸欠みたいなあれだったんですよ。私自身の肺気量倍加してなかったら死んでたよ絶対。ちなみに肺気量を倍加してるからと言って肺まで倍の大きさになった訳ではない。そんなことになったら身体がヤバイ。

 

…ともあれ、私は今クロコダイルに攻撃出来たんだよね…?

 

「クロコダイルを、吹き飛ばした…!?」

 

声を発したビビ王女も…更にはミス・オールサンデーも驚愕の表情を浮かべている。

私が攻撃出来た後と前で、奴の身体に起こった決定的な違い…それは間違いなく水だ…!

 

奴の能力はもう見たまんまに砂で間違いない、だからサラサラの砂に対して拳や蹴りと言った攻撃は効果がないんだ。

だけど、“水で濡れた砂”は固形になる…!泥団子が良い例だ。

 

「…俺を蹴るとは、なかなかやる。だが」

 

クロコダイルは受け身を取って体勢を崩さずに着地し、右手に小さな砂嵐を発生させた。

 

「あれは…っ!まさか、ユバを襲う砂嵐ってのは…!」

 

「ほォ…察しが良いじゃねェか小僧」

 

ウソップの言う言葉にハッとする。そうか、こいつは…あの町すらも…!!

 

「この通り、俺はてめェがどれ程自分を強化しようとも関係ねェ規模で攻撃ができる。少しばかり攻撃が届くようになったからと勝てる気で居たのか?…だが、俺はこの国の王に用があって少し忙しいんだ、てめェ1人に構ってやってる場合じゃないのさ」

 

「逃げるの!?」

 

くる、と後ろを振り向いてオールサンデーと共に部屋を出て行こうとするクロコダイルに再び飛びかかり蹴りを放つが、床から突然生えてきた腕に足を掴まれてそのまま下に叩きつけられる。

 

「邪魔をしないで、そこで大人しくしてれば… あなたは(・・・・)助かるわ」

 

「私は…?それってどういう…」

 

ガコ、と大きく隅の床が開いて勢いよく水が溢れ出てきた。

え、何でこんな大量に水が出てくるの…?あれ、よく見たらここ水族館みたいに周り全部ガラス張りで水に囲われてるじゃん!頭にバナナくっつけた巨大ワニとかも泳いでるし!…ということは、私とナミさんはこの部屋を支える柱の中に作られた道を通ってきたのか…。

 

「この部屋はこれから1時間かけて自動的に消滅する。そこから溢れる水でな…。つまりてめェがそこのお仲間を見捨てれば、てめェとミス・ウェンズデーは助かるって事だ」

 

「…ふん、そういう事?分かりやすくていいね、中々気が効くじゃん」

 

「クッハッハ!!!精々足掻くんだな…最も、てめェに残された選択肢は1つだけだが。それに、奴らの殺し合いが始まるまであと8時間…時間も残されちゃいねェみたいだぜ…?」

 

それだけ言うとクロコダイルはオールサンデーを連れて部屋を出て行った。

…そこの扉どこに繋がってんの?やっぱりVIPルームに入れば良かったのかな?

 

「…!さっきクロコダイルは、父に用があるって言った…!これ以上何をするつもりなのかは分からないけど…禄でも無い事なのは確かだわ!」

 

「しかも、そのお父様に化けたMr.2が何かしでかしてるみたいだし…8時間とか言ってたし、本格的に急がないとまずいよね……、ナミさん、もう大丈夫だよ!」

 

私がそう声を掛けると、よっ、とナミさんが上へあがってきた。

 

「ナミ!ナミも一緒だったのか!」

 

「当然よ、こんな訳の分からない店の中でイリスが私を離す訳ないでしょ。…それよりビビ、さっきのクロコダイルの話聞いたけど…現実問題として反乱は止められるの?」

 

「…まだ、何とか間に合うわ!ここから東へまっすぐ『アルバーナ』へ向かえば反乱軍より早く到着出来るかもしれない!そうすれば私から反乱軍のリーダーに話をつけられる!」

 

「だったら、早いとここの檻を何とかしよう。中から破壊出来ないの?」

 

「ダメだ、海楼石って海と同じエネルギーを発してる石でこの檻は作られてる!しかもゾロですら斬れねェんだ!」

 

ルフィやスモーカーは無理、ゾロでも斬れない程の強度を持つ檻って事か…。

となると私でも無理だ。能力を封じられちゃうとただの役立たず19歳に成り下がってしまう私にとって、天敵の檻なんだから。

だからクロコダイルは私に選択肢は1つしかないと言ったんだ、この檻を開ける事など出来ないと思っているから。

 

「扉はあるね、鍵はないの?」

 

「多分クロコダイルが持ってると思うけど…」

 

「追ってる時間もないもんね…困ったな…」

 

どうしたものか、と頭を悩ませていると、今度は水が溢れている床とは別の床が開きそこからワニが這い上がってきた。

…くそ、鍵もないとなれば完全に手詰まりじゃん…!

 

「グオオッ!!」

 

「あーもううるさい!!」

 

噛み付いてきたワニの顎目掛けてバキャッ、とアッパーを当てる。そのままワニは目を回して倒れた。何だこいつ。

 

「う、うそ…バナナワニを一撃で…?」

 

「バナナワニって言うんだ。まだ続々きてるっぽいけど?」

 

続々とそのバナナワニとやらが開かれた床から姿を現す。

こんな訳の分からない動物に時間をかけてる場合じゃないってのに…!!

こいつら全員を相手取ろうと思えば…一体どれ程の時間を無駄にするのか…!!くそ、クロコダイルめ、これも仕組んでたのか!

 

「てい!おりゃ!こっちまでこーーいッ!!」

 

軽くバナナワニを殴っていき、自分に意識を向かせてルフィ達がいる檻の向こう側へ走る。

時間がない今、何一つとして無駄に出来ない。このワニも檻破壊に協力してもらおう!!

 

「グゴオオ!!」

 

狙い通り、数体のバナナワニが檻に噛みつく。

中でウソップが騒いでるけど助かるなら安いもんでしょ!

 

「ガカカ……」

 

「うそん…」

 

だけどその目論見は噛み付いた全てのワニの牙が欠け落ちた事で失敗に終わった。

おかしいでしょ…何て檻だよ!

 

鍵はない、檻は壊せない、なら…水を止めるか!?床をまた閉めればとりあえず水の侵入は防げる筈だし…だけどそれじゃ結局檻からみんなを出せない、時間が無いのに…!

 

 

 

「“食事中は極力音を立てません様に”」

 

「っ…あ!」

 

反行儀(アンチマナー)キックコース!!!!」

 

ドゴォ!と音を立ててバナナワニの腹を蹴り飛ばし一撃で沈めたのは、ここまでどうやって辿り着いたのか聞きたいサンジであった。チョッパーとミキータの姿は見当たらないが…。

 

「サンジ!!」

 

「ったく、海軍片付けて来てみりゃ…何野郎共が纏めて捕まってんだ。レディにばかり負担を掛けてんじゃねェよ」

 

「サンジはどうやってここに?」

 

「ん?ああ、VIPルームから来たのさ、海賊って書いてた看板もあったが…ありゃ何だ?バカにし過ぎだと思わないか?イリスちゃん」

 

「ほーーんとにそう思うよ、全くその通り」

 

じと、と檻の中の面子を見るとウッ、と視線を逸らした。

 

「まだまだワニは沢山いるけど……、ナミさん、ビビ王女も私とサンジから離れないでね!」

 

「ええ!」

 

「分かってる!」

 

さて…サンジが来てくれたのは嬉しいけど、状況は対して変わってないよね…。せっかく戦力が増えた訳だし、バナナワニでも全滅させておこうかな。

 

「サンジ、ワニが邪魔で禄に考えも纏まんないよ、倒すの手伝ってもらって良い?」

 

「勿論、レディの頼みは断れねェ」

 

そう言ってサンジは次々にワニを昏倒させていく。私は嫁2人から離れる訳に行かないので、近づいて来た奴を倒していく。

 

「お…何か出てきたぞ、イリスちゃん、これ何か分かるか?」

 

「ん?……ん??」

 

サンジが倒したバナナワニの1匹が、倒れ様に白く大きな球体を吐き出した。

…うーーん、こんな感じに白い何かを、つい最近見た様な気が…。

 

「“ドルドルボール”……解除!…お、オオ…!水!水だガネ!奇跡だガネ!」

 

「お?Mr.3!?」

 

その球からMr.3が出てきて、周りの水をがぶがぶ飲んでいた。

干からびてたし、ありゃ完全に任務失敗の罰か何かでクロコダイルにやられたな。

 

「ぷはーーっ!死ぬと思ったガネ!フフフ…クロコダイルめ、私を仕留めた気で居るだろうが甘いガネ!私はコイツに食われる瞬間、最後の力を振り絞ってこの“ドルドルボール”を造り出し…その中に身を隠す事で何とこの身を守っていたのだガネ」

 

「何急に説明始めてんの、興味ないから。…それより」

 

「は?」

 

ナミさんとビビ王女には檻の陰にでも隠れてもらって、私はMr.3に近付きその足を掴む。

 

「その能力……利用させて貰うよ」

 

「は、何をバカな事……オオオオオオオオッ!!!??」

 

掴んだ足を持ち上げて、高速で“大旋回”をする。

最初は5倍、そこから段々とスピードを上げていく。

 

「ほらほら!言う事聞かないとこのまま開いた床にでも投げ飛ばして水に浸けるよ!いいの?能力者なんでしょ!?」

 

「あばばばばばばっ!!?わ、わかったガネ!言う通りにするガネ!だからやめろ!」

 

よし、と頷いて回すのを止めると、そのまま檻の前まで引きずっていく。

 

「イリスちゃん、何を?」

 

「サンジは話にしか聞いてないと思うけど…こいつの能力はろうを自在に生み出す事が出来るの。つまり…」

 

「そうか!この檻の鍵を作る事が出来るって事か!」

 

「そゆこと。ほら、話は聞いたでしょ、早く作って」

 

「ま、全く…人使いの荒いガキだが…ぐへ!」

 

「19歳だっての!!見て分かんない!!?」

 

「「いや、それは仕方ねェ」」

 

サンジとスモーカー以外の全員からツッコミが入る。何だとコラ、喧嘩売ってるね???

 

とまあ、私の見た目の話はこの際置いておこう。いや本当は置いておきたくないんだけど、私も自重しなければ本当に時間がない。

 

 

 

ガチャリ

 

 

「お、開いた!?」

 

「やるな、ロウソク人間」

 

やはりと言うべきか、Mr.3が作った鍵で檻を抜け出す事には成功した。

サンジはそんなMr.3を蹴り飛ばして意識を奪う。そりゃ、一応敵だからね、利用するだけして後は眠っててもらいますよ勿論。

 

「みんな早く出て!急がないと時間がない!」

 

「…でも、あの通路にはまだ沢山バナナワニが…!」

 

「大丈夫、もうルフィとゾロが倒してるよ!」

 

ビビ王女の心配をよそに、ルフィ達は既にワニを全滅させていた。

そりゃ2人に掛かればこの程度のワニ敵じゃないでしょ。

 

「うわぁっ!?壁が壊れたァ!!」

 

「ええっ!?ルフィ何してんの!?やり過ぎだよ!」

 

「通路まで壊れた!!」

 

「ちょっと!私達能力者だよ!?…こうなったら湖から脱出するしかない!ワニは全滅してるから大丈夫、このまま外に出れば脱出できる筈!…という訳でナミさん、ビビ王女も私をよろしく!」

 

「全く潔いわね、でも任せて、こういう時くらいはあんたを私達が守ってみせるから。ね?ビビ」

 

「ええ!安心してね、イリスさん」

 

そうしてナミさんとビビ王女の胸に飛び込んで目を強く閉じる。

その直後に壊れた壁や通路から水が雪崩れ込み、私は倦怠感に襲われながらも弱々しく2人の服を掴んだのだった。

 

 

 

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