ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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51『女好き、ケンカ禁止令』

サ〜〜〜ルべ〜ジ〜〜サルベ〜ジ〜〜♪

シャンシャンシャンピーピーピーピー♫

 

「何だありゃ…」

 

「しゃんしゃんしゃん♪さーるべーじー♪」

 

「こらイリス、真似するのはやめなさい、可愛くて襲っちゃいそうになるでしょ」

 

「え」

 

良くわかんない船から流れてきた歌を口ずさんだらそう言われました。

私がナミさんでむらむらする様にナミさんも私で…!?あ、何か今まで感じた事ない様な嬉しさが…。

 

「全体〜〜…止まれっ!!」

 

号令と共に音楽が止んだ。

サルベージとか言ってるからどんな奴が出てくるのかと思えば、顔を見せたのはまんま猿みたいな顔してる人だった。

…ウッキーとか言ってるし。

 

「おいお前ら!そこで何してる、ここはこの俺のナワバリだ」

 

「船が沈んだから探検ー」

 

「ほうなるほど探検……はっ!?まさかてめェら…船に手ェ出したって事か?」

 

「当たり前じゃん、自分の物だって名前でも書いてんの?」

 

「た…確かに…!!」

 

分かった、この猿バカだ。

 

「ねぇナミさん、あの人が船を引き上げてくれるならルフィ達回収していい?空島の手掛かりならその時猿にでもお願いして探させて貰おうよ」

 

「まぁ…相手がそれを許してくれるならいいけど…」

 

大丈夫大丈夫、そんなに何も考えて無さそうだもんこの猿。

 

そんな感じで3人を引き上げて猿の人に合図を出せば、彼は船員にテキパキと指示を出し海底に沈んだ船を引き上げた。

引き上げたと一言で言ってもその方法はかなり独特で、まず“ゆりかご”と呼ばれる良くわからん巨大フックの様な物を沈んだ船に引っ掛けて、息を吹き込む事で浮力を生み出し持ち上げるといった物だ。

風船じゃあるまいし…どんな肺活量??

 

「よーしお前ら空気送るの忘れんな!引き上げろォ!!」

 

「「アイアイサー!!」」

 

空島の手掛かりの為とはいえ…何を見せられてるんだろう、私…。

ルフィやウソップチョッパー…まぁいつもの3人はこの光景に目を光らせてるけど、正直私はどうでもいいや、船さえ引き上げれるなら。

 

「…あ」

 

と思っていた所を、海中に現れた巨大な亀がガレオン船をぱくりと丸呑みしてしまった。

 

「ああ〜〜っ!!?船がーーーーッ!!!」

 

「手掛かりが…!あのカメ…甲羅ごと砕いてやる!!!」

 

海上に姿を現した亀を見て腕を回して準備運動する。

サルベージ云々はどうでもいいけれど、その船はどうでもいい事ないから吐き出せ!!!

 

「え…何?急に夜になった?」

 

ナミさんが言うように突然、辺りが夜の闇に包まれる。

さっきまで真昼間だった訳だから、考えられるとしたら陽の光を何かが塞いでるとしか…。

 

「ボ!!ボ… 園長(ボス)!あ…あれは…!!」

 

「何だ?」

 

船の進行方向を指差しながら猿の部下達が何やら震えている。

良く見れば、巨大亀も同じように前を見てガチガチと震えていた。

 

「……キャハ、イリスちゃん……アレ、何かしら?」

 

「え?」

 

不意にミキータが私に抱き付いてきて、前を指差す。

アレって…あー、アレ……あーー……。

 

「きょ、巨人かなぁ…ドリーとブロギーの何10倍も大きいやつ」

 

「そんな呑気な事言ってる場合かァ!!みんな舵を切って!このまま正面に進んだら間違いなく死ぬわ!」

 

「急げお前ら!オールを漕げ!!」

 

もう急いで舵を切り、みんなでオールを全力で漕ぐ。

槍の様な武器を持った翼の生えた真っ黒大巨人から全力で逃げ出し…気付いた頃には夜は晴れて昼間の日差しが帰って来ていた。

後方を見ても巨人の姿は何処にもない…ふー、流石にあんな巨体…勝てないよ。生物じゃないって。

 

「ハァ…ハァ…あり得ねェ…」

 

「ああ…あのデカさはあり得ねェ…」

 

「…今日は厄日だね…ロビンが一味に来てくれた事で幸運使い果たしたかな?」

 

ガレオン船は降ってくるわ指針は空に奪われるわ…猿は出るし巨大亀出るし夜は来るしバカデカイ巨人の大怪物は出るし!!

 

「ナミさんミキータ、ロビンー…私を癒してー…」

 

「はい」

 

ミキータがひょい、と私を抱き上げてぽふ、と胸に顔を埋めさせた。

うーん…癒しとは何か、よく分かってらっしゃる…。

 

「ミキータ、後で私に代わってよね。…それで?船で何か見つける事はできた?」

 

「流石に探索時間が短すぎだ。手に入れたモンもこれくらいしか無かったが…」

 

「何これ?ガラクタばっかじゃない!」

 

ルフィ達が集めてきた戦利品をガラガラと袋から取り出せば、そこには錆びた剣や食器に生タコが入っていた。

…お、生タコは嬉しいね。タコ美味しいもんね。

 

「何も無かったんだナミさん。あの船は明らかに既に何者かが荒らした後だった。でなけりゃ何かしらの理由で内乱が起き殺し合ったかだ」

 

「探す時間も短かったし、こればかりは仕方ないよナミさん。あとサンジ、タコの刺身食べたい」

 

「お安い御用で」

 

ミキータからナミさんへと抱かれるのが代わって胸を枕代わりに寛ぐ。

 

「…そうは言うけどイリス、私達に今必要なのは日誌とか海図よ、情報が無かったら空なんて行き様が無いわ」

 

「なら、これが役に立ちそうね」

 

「え?」

 

ロビンがナミさんに渡したのは、まさかの永久指針(エターナルポース)だった。

 

「こ、これ何処から?」

 

「さっきのおサルさん達の船から盗っといたの、一応ね」

 

「す、凄い!あんな短時間で!」

 

あの短い間にその一応を判断して行動に移せるのは凄い事だよ!

 

「行き先は?」

 

「…“ジャヤ”。きっとあの猿達の本拠地ね」

 

「お、そこに行くのか!?オーーーシ、ジャヤ舵いっぱーーーい!!」

 

ルフィが雄叫びを上げ、みんなもそれに合わせて舵を切る。

丁度サンジが持ってきてくれたタコの刺身をうまうまと食べていると、そこそこ重要な事実に気が付いた。

 

「あれ、でもジャヤに行くって事は空島の記録(ログ)が書き換えられるって事だよね?」

 

「まぁ…そこは運も必要ね。島についてすぐ記録(ログ)が溜まる訳でも無いから時間との勝負になるわ」

 

なるほど、確かに現状はそれしか方法ないもんね。

 

そういう訳で、私達は一先ずジャヤを目指す事となった。

でも空島の情報か…果たしてその島で手に入るのかどうか…。ま、行ってみたいと分からない、か…。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ジャヤ着いたーー!!」

 

「ちょっとリゾートっぽくねェか!?港に並んでる船が全部海賊船っぽく見えるのは置いといて」

 

あの後、そう時間を掛けることなくジャヤへ辿り着いた。あの猿達がさっきの場所をナワバリとか言ってた位だからそこまで遠くはないだろうと踏んではいたけど。

 

 

「殺しだァ!!!」

 

 

「「何なんだようこの町はァ〜〜っ…」」

 

突然町の中から聞こえてきた声にウソップとチョッパーがしくしく涙を流す。さっきリゾートっぽいとか言ってたけど…もしかしたら真逆かもしんないね、ここ。

 

「とにかく情報収集に行かないとね、危なそうだけど…ナミさんやミキータは来る?」

 

「キャハハ、残る方が危ないんじゃないかしら、1番安全なのはあなたの隣だもの。ねぇナミちゃん」

 

「そうよね、ロビンはどうする?」

 

「私は平気よ、こういう事は1人の方が得意なの」

 

ロビンは裏の仕事が得意って言ってたし、こういう情報収集なんかは十八番なのかな?

 

「じゃあ降りるメンバーは私とナミさんとミキータ、ロビンにルフィ、ゾロでいい?」

 

「本当は俺も行きてェ所だが…」

 

「バカ野郎サンジ!お前まで行っちまったらこの船がもし襲われた時誰が守るんだ!!」

 

「わ、分かった分かった、離せって…」

 

船番はサンジとウソップ、チョッパーか。サンジがいる時点でメリー号は安心だね。

 

「じゃ、行こう!」

 

そして私達情報収集組は町へ繰り出した。

それにしても、見れば見るほど無法地帯って感じだね。さっきも殺しがどうとか言ってたし…本気で気を張って置かないといつナミさん達に危害が加わるか…。

 

「ねぇあんた達、この町でケンカするのだけはやめてね」

 

「何でだよ」

 

ルフィが唇を尖らせてナミさんに問う。

 

「騒動を起こすとこの町に居られなくなるかもしれないでしょ?そしたらもう空になんて行けないんだからね」

 

「キャハ、ごもっともね」

 

私はその点心配ないけど…ルフィやゾロはちょっと煽られたらすぐ喧嘩しそう。

…ん?何かナミさんもミキータも私の方を見て言ってる気がする…気のせいだろうなァ…。

 

「一番危ないのはあんたよイリス。私達に何かあったらすぐ騒ぎ起こしそうだもん」

 

「ハハっ、言えてるな。誓いの言葉でも立てたらどうだ?」

 

「うっさいわゾロ!私が喧嘩なんてする筈ないよ、ね?ナミさんの言う事なら何でも聞くし」

 

「一応、誓って貰うわ、今から私が言う言葉を復唱してね」

 

えー…私信用ないなぁ。

そう思いながらも「ワタクシはこの町では決してケンカしないと誓います」と復唱した。

ルフィとゾロにも言わせてるけど、やっぱり私をジッと見てるよね?絶対私よりルフィやゾロの方が喧嘩っ早いからね?ね??

 

道中、落馬して吐血してる人が居たけど見るからに怪しいしおっさんだったからスルーした。

私の関わってはいけないセンサーが発動したから信じてよし、きっと前世の知識が私を止めたに違いない。

 

他にもチャンピオンがどうとか騒いでる人も居るし…この町何かおかしいよね、うん。

 

「お、ここなんか情報収集するのに向いてそう、静かだし」

 

「ここは素敵ね、ガラの悪い町だけど…こんな所もあるのね」

 

外れへ歩いていた私達は、海上リゾート的な場所へ辿り着いた。

さっきまでの喧騒とは無縁の静かな場所で、落ち着くには丁度いい感じだ。あ、ホテルもあるじゃん!

 

「お、お…お客様っ!お客様困ります!勝手に入って頂いては…」

 

「ん?」

 

情報収集の為にホテルの前まで移動すれば、何やらそのホテルの従業員だろう人が私達を止めてきた。

え、何この人…ずっと体揺らしてるんだけど…ボクシングのフェイントを大袈裟にしてるみたいな動きだ。

 

「と、当「トロピカルホテル」は只今ベラミー御一行様の貸し切りとなっておりますので!べ…ベラミー様に見つかっては大変な事になりますのでどうかすぐにお引き取りを」

 

「何だよ、いいじゃねェか入るくらい」

 

ルフィがそう返すが、貸し切りなら仕方ないだろう。こんな良さげなホテルを貸し切りにしてるんだし…それなりにお金も払ってるんじゃない?

 

「オイどうした」

 

「ヒエ〜〜〜〜〜!!!!」

 

急に背後から聞こえる声に従業員が分かりやすく震え上がる。

声がした方を見ればそこにはロン毛のイキッてそうな長身男が隣に美女を侍らせて歩いてきた。

…はん!私の方にはナミさんとミキータがいるもんね!羨ましくなんか羨ましい!!

 

「どこの馬の骨だその小汚ねェ奴らは…」

 

「さ…サーキース様、お帰りなさいませ、いえ、これはその…」

 

「言い訳はいいから早く追い出して!いくら払ってココ貸し切りにしたと思ってんの!?」

 

「その通りだ…。オラ、帰れよクソガキ共…、あ?良い女も連れてるじゃねェか」

 

サーキースと呼ばれた男がミキータを見て舌舐めずりする。

おーうおうおうおう、誰の女狙ってんだこのクソロン毛ださコートがよォ…!

 

「キャハハ、イリスちゃん抑えないと!どうどう!」

 

「はっ…、ごほん、ほら、手出さなかったでしょ?」

 

「いや…今のはミキータが止めたからだろ…」

 

「オイ、こいつぶっ飛ばしていいか?」

 

「あんた達ねぇ…!!」

 

う…ナミさんを怒らせるのだけは嫌だし、ここは大人しくしよう…。ミキータだって直接手出しされた訳じゃないし…。

 

「フン…ハハ!面白ェ奴らだ、この俺をブッ飛ばす…!?…それにしても貧相なナリだな、ホラ、これで好きな服でも買うといい」

 

そう言ってサーキースは私達の前に紙幣や小銭をばら撒く。

…何だコイツ、腹立つな。

 

「サーキース勿体ないわよ、コイツらなんかに」

 

「ハハ…ケツでも拭いた方が有効だったかな」

 

「行くわよ!不愉快っ!」

 

「うわっ」

 

ナミさんに引き摺られてホテルの敷地内を出る。

ケンカが止められてなかったらあの男…ルフィ辺りにボコられてそう。

 

「何なのアイツら!人の事をバカにして!!」

 

「隣の美女が気になるよね、サーキースの女じゃなければなぁ…」

 

基本的な人の女には手を出さない様にしてるのだ。略奪愛は好きじゃない。

 

「それで、これからどうすんだ。アテはあるのか」

 

「それなんだけどさ…こういう情報収集の基本に立ち直ってみない?」

 

「基本?」

 

ミキータが首を傾げる。おっと、可愛い死するとこだったぜ。

 

「うん、やっぱりまずは…酒場でしょ!」

 

「結構良い案ね、じゃあこの町の酒場を探しましょう」

 

という訳で、私達は酒場へ向かう事になった。

よーし、酒場探すぞー!!あと美女も居れば完璧だー!隣に2人居るけど!!

 

 


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