ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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56『女好き、懸賞金額1億ベリー』

翌日の朝。

 

「おー!!なんか起きたらメリー号が凄い事にー!」

 

「飛べそ〜〜〜!!」

 

「だろう!!?おれも手伝ったんだぜ!」

 

ナミさんのぽよんを枕に、ミキータのぽよんを握り締めながら寝てた私が起きた時メリー号の外観が色々変わっていた。

まず大きな変化として翼がある。あとメリーに鶏のトサカみたいなのが付いてる。…え、鶏?飛ぶ、んだよね…?

 

ゴーイングメリー号フライングモデルと言うらしいが、ナミさんやミキータはこれを見ても不安にしかならないと言っていた。

言いたいことは凄く分かるけど、翼がある事で海流に突き上げられた時の機動制御がしやすくなったりするのかな?

 

「マシラやショウジョウ達にも手伝って貰ったんだ、中々イケてるだろ!?」

 

「翼にジェットは付けれないの?」

 

「付けたかったんだが…材料も技術もねェ…!そこだけが惜しいんだ!!」

 

「はいはい分かったから早く行きましょ、そんなに時間も無いんでしょ?」

 

「俺達が先導してやるよ!」

 

マシラとショウジョウの船が連れてってくれるのか。

後はサウスバードで方角さえしっかりすれば完璧だね。

 

「ありがとうひし形のおっさん!じゃ行ってくる!」

 

「ああ、俺ァここでお別れだ!だがな小僧…1つだけ間違いねェ事を教えてやる!“黄金郷”も“空島”も、過去誰1人“無い”と証明出来た奴ァいねェ!!バカげた理屈だと人は笑うだろうが、結構じゃねェか!!それでこそ!“ロマン”だ!!」

 

そして私達は全員船に乗り込みマシラ達の後に続いて海へ… 突き上げる海流(ノックアップストリーム)を目指して出航したのだった。

……空島に黄金郷が“ある”かもしれないという証明なら…昨日したけどね。

 

 

 

***

 

 

 

3時間後、私達は目的の海上へと到着した。

本来なら後1時間ここで待機しておかなくてはならない筈だったのだが、積帝雲がやってくるのが予想よりも早く予定を繰り上げたのだ。

 

「ウータンダイバーズ!すぐに海へ入れ!!海流を探る!」

 

「「ウォーーホーーーー!!」」

 

 

「あれが積帝雲かぁ…こうして見ると本当に夜がやってきてるって感じだね」

 

「確かにあの雲の中なら、島の1つや2つくらいは隠れててもおかしくないわね」

 

そういえば、あの積帝雲が現れた時に巨人は現れたんだよね…。実は空島の住人がみんなあんな巨体とか言わない…でしょ?もしそうだったらケンカなんてしたらとんでもない事になるよね。

 

 

「反射音確認!12時の方角大型の海流を発見!!」

 

「9時の方角巨大生物を探知!海王類と思われます!!」

 

「10時の方角に海流に逆らう波を確認!!巨大な渦潮ではないかと!!」

 

「それだ!!船を10時の方角に向けろ!爆発の兆候だ!!渦潮を捉えろ、退くなよ!!!」

 

その言葉と同時に急に波が高くなり船がとてつもない規模で揺れる。

爆発の前震らしく、それだけでもかなりのものだ。

 

「航海士さんっ!記録指針(ログポース)はどう?」

 

「……!!ずっとあの雲(・・・)を指してる!!風の向きもバッチリ!積帝雲は渦潮の中心に向かってるわ!!」

 

「う、渦潮なんてどこにあるの…!?」

 

ナミさんはまだ発生してない渦潮の事すらわかるようだ。可愛いだけじゃなくて航海士としてのレベルも高いナミさん…素敵だ!

 

「どうやら今回当たりの様だぞ兄弟!!」

 

「ああ、爆発の規模も申し分なさそうだ!!」

 

マシラとショウジョウの2人が言うなら間違いないんだろう。

2人は更に私達を渦の軌道に連れて行くと行って、自らの船とメリー号をロープで繋いだ。

 

「流れに乗れ!逆らわずに中心まで行きゃなる様になる!!」

 

「おお!!?」

 

海を見ればいつの間にやら巨大な大渦の上に居たようだ。

ええ!?これってこのまま行けば渦に飲み込まれるんじゃないの!?

 

ある程度船が渦潮に乗れば、マシラ達はロープを回収して渦から外れた。

 

「じゃあおめェら!後は自力で何とか頑張れよォ!!」

 

「ああ!送ってくれてありがとうな〜〜!!」

 

 

「い、イリス…これ、本当に大丈夫よね?」

 

「はは、わかんない!もし渦に巻き込まれたら助けてねナミさん」

 

「この規模はどう考えても即死よ!」

 

そう言ってる間にも積帝雲の生み出す夜に飲み込まれ、船は大渦の中心へと放り出された。

 

「ぎゃあああああ!!落ちる〜〜っ!!!!?……んあ?」

 

ウソップが叫んでいる様に、そのまま下へ落ちて船は渦に巻き込まれて大破…とはならず、何故か急に大渦が消えて波も元通りになった。

積帝雲は変わらず上にあるが…どうなってるの?

 

「…渦が消えた…?」

 

「…違う!もう始まってるのよ…!!渦は海底からかき消されただけ……!!」

 

あの規模の渦を消せる程の……大爆発!!つまり…この船の下にはもう…!

 

「待ァてェ〜〜〜!!!!」

 

「ん?」

 

突然聞こえた大声に目を向けると、昼に会ったチェリーパイの大男がイカダみたいな独特の船に数人の仲間と乗ってこっちに向かってきていた。

でも…今は来ない方がいいと思うよ。

 

「ゼハハハハ!!追いついたぞ麦わらのルフィ!女好きのイリス!てめェらの1億(・・)の首を貰いにきた!!観念しろやァ!!」

 

「え?1億って?」

 

「やはり知らねェのか、…ん?何でこの辺暗いんだ?」

 

大男は一瞬首を傾げるも直ぐに切り替えて3枚の手配書を見せてきた。

 

「てめェらの首にゃ1億ベリーの賞金が懸かってんだよ!そして“海賊狩りのゾロ”!てめェにゃ6000万ベリーだ!!」

 

「またルフィと一緒ってこと?へへ、この一味も女好きの一味に改名かな!」

 

「船長はおれだぞ!!」

 

改名はいいんだ…。いやしないけどね?

 

「そうか…アラバスタの件で額がハネ上がったんだわ…!1億だなんて…」

 

クロコダイル倒したからかなぁ?ルフィはこの一味の顔みたいなもんだし、ゾロはよく分からないけど…強い人でも倒したのかもしれないね。

 

「っ…?」

 

とその時、海が持ち上がる。

ゴゴゴ…と海なのに地響きが聞こえて視界が段々と高くなってきた。

 

「全員船体にしがみつくか船室へ!!振り落とされるぞォ!!」

 

「おお…!?」

 

直後、メリー号の真下から海が吹き飛んだ。

それは一直線のビームの様に太く長い水柱の海流で、こいつこそが突き上げる海流(ノックアップストリーム)ってことだろう。

メリー号はその海流に文字通り突き上げられて空へと上がって行く。

近くにいた大男の船が大破して吹っ飛んで行ったけど…命狙ってきた訳だしまぁいっか。

 

「うわああああああああ〜〜!!!」

 

「水柱の上を船が垂直に走ってるぞ!」

 

「うほ〜〜!!面白ェ〜〜!!どういう原理だァ!?でもこれで空まで行けるぞ〜〜っ!!行けェ!!メリー!!」

 

「ちょっと待った…!そうウマイ話でも無さそうだぞ、船体が浮き始めてる…!このままじゃハジキ飛ばされるのがオチだぞ!!」

 

「オイオイ!そんな事言ってもよ!こんなもん爆発の勢いで昇っちまってんだから、今更自力じゃァ…」

 

「あァおれ達お終いだ…このまま落ちて全員海に叩きつけられて死ぬんだよ!!」

 

「……ちょっとみんな騒ぎすぎじゃない?」

 

「「え?」」

 

私はニッと笑って親指で自分を指す。

 

「私の正妻を忘れてない?」

 

「帆を張って!今すぐ!!」

 

私の言葉のすぐ後にナミさんが声を張り上げる。

どれだけ船が浮き上がっていようが、上から突き上げる海流(ノックアップストリーム)で突き上げられた残骸が降ってこようが…関係ない筈だ、この船は!

 

「これは()よ!ただの水柱なんかじゃない、立ち昇る“海流”なの!!そして下から吹く風は地熱と蒸気の爆発によって生まれた“上昇気流”!!相手が風と海なら航海(・・)してみせる!!この船の“航海士”は誰!!?」

 

「「!!!」」

 

こんな海流ですら航海してみせると断言したナミさんは可愛いだけじゃなくて格好いいも備えてるよね!

 

「オオ野郎共!!すぐにナミさんの言う通りに!!」

 

「「オオ!!」」

 

「右舷から風を受けて舵はとり舵、船体を海流に合わせてっ!!」

 

イエッサー!と全員で指示を聞いて取り掛かる。

指示は完璧なんだ、私達が言う通りにこなせれば…間違いなくこの船は空島まで到達する!!

 

「わあっ!ヤバイぞ!水から船が離れそうだ!」

 

「落ちるーーーっ!落ちるぞナミ何とかしろォ!!」

 

「ううん、いける!!」

 

チョッパーが言ってた様に、船は水柱から離れてしまった。

だが、船がそのまま急降下する事はなかった。

何故ならメリー号は、水柱を離れても上へ昇る勢いを緩めなかったからだ。つまり…空を飛んだのだ。

 

「すげェ!船が空を飛んだ!!」

 

「この風と海流さえ掴めば、どこまででも昇っていけるわ!!」

 

「キャハっ!ナミちゃん流石ね!!空島は積帝雲の向こうでしょ?」

 

「ええ、あるとしたらね!」

 

みんなで頷き合って、ルフィが両腕を上げて叫んだ。

 

「積帝雲に突っ込むぞ〜〜っ!!!!」

 

そうしてメリー号は突き上げる海流(ノックアップストリーム)をナミさんのお陰で攻略し、積帝雲の中へと辿り着く事に成功したのだった。

 

 

 

***

 

 

 

「っぷはぁ…っ!はぁ…はぁ…」

 

積帝雲に突っ込んだ直後、息は出来ないわ何も見えないわでかなり苦しい思いをさせられたが何とか雲を突き抜けて目的の場所へと到着する事が出来た。

 

雲の上だと言うのに船はまるで海にでもいるかのように静かに漂う。

辺り一面真っ白で…まるで雪景色。凄く綺麗だった。

 

辿り着くまでの衝撃で翼は折れ、帆もボロボロだがメリー号も何とか耐えてくれてありがとう。何はともあれ私達は…空の海“空島”に来れたんだ…!

 

「雲…!?何で船は乗ってるの!?」

 

「そりゃ乗るだろ、雲だもんよ」

 

「「イヤイヤ」」

 

能天気な事を言うルフィにサンジ達が突っ込む。

まぁなんでもいいよね、こうして私達は誰1人欠けず空島に来れたってだけでも上々だよ。

 

「大変だ、ウソップの息がねェ!」

 

「よし、人工呼吸だ!!」

 

「…はっ!よーし…じゃあ私もナミさん達に人工呼吸しちゃおっかなー!!」

 

おっと、久しぶりにナミさんの呆れた視線を頂きました、たまらん。

 

「どうぞ」

 

ミキータには当たり前の様に目を瞑って待機されました。これもこれでたまらん。

 

「ともかく、ここが空の海って訳ね。でも見て、記録指針(ログポース)はまだこの上(・・・)を指してる!」

 

「どうやらここは積帝雲の中層みたいね」

 

「まだ上へ行くのか…?どうやってだ…?」

 

「それは分からないけど…」

 

そもそも積帝雲の中に来たのはいいけど、ここからどうすればいいのかなんてわからないからなぁ。

今はあっちこっちに行ってみるしか無いのかも。

 

「第1のコ〜ス!キャプテン・ウソップ泳ぎまーーす!!」

 

「おう!やれやれ!!」

 

ウソップがこの海を泳ごうとしてる。

ルフィがそれを煽るのは分かるけど…ウソップはよくここ泳ごうと思えたよね、絶対普通の海じゃ無いのに。

 

「やめといた方がいいよ、まだどんな海なのかも分かってないのに」

 

「海は海さ!」

 

そう言って雲の海に飛び込んで行ってしまった。

…普段からそれくらい積極的なら良いんだけどなぁ。

 

「ウソップー!中はどうなってるのー!!」

 

…………。

 

「…あれ、上がってこないね、結構深くまで潜ったのかな」

 

「思うんだけど…ここには、“海底”なんてあるのかしら…」

 

「あ」

 

ロビンの発言に一味全員が冷や汗を流す。

空の海って言ったって雲は雲なんだし…底を抜けたら地上に真っ逆さまじゃん!!

 

「あの野郎雲から落ちたのか!!?」

 

「ウソップーーーーー!!!」

 

ルフィが雲の中に全力で腕を突っ込む。

 

「出来るだけ腕を遠くに伸ばして!」

 

「でも下は見えねェから勘だ…!」

 

「大丈夫、任せて。目抜咲き(オッホスフルール)!」

 

目を瞑ったロビンが何かしているようで、彼女の額には汗が滲んでいた。もうウソップの命はロビンに託されたと言っても過言じゃ無いよこれ…!

 

「……いた!!やっぱり落ちてるわ…!六輪咲き(セイスフルール)!!OK、引き上げて!」

 

「うぐっ!うおっ!!っ!!ふんぎぎぎぎ!!」

 

彼女の合図で引き上げ作業に入るルフィだが随分重たそうだ。ウソップ1人分の重量くらいルフィならわけないのにどうしたんだろう?

 

「だァ!!」

 

「やった!上がってきた!!」

 

やがてウソップはルフィの腕から生えた無数の腕に捕まって引き上げられた。ロビンの能力って結構使い勝手良さそうだね。

 

「何かついてきたぞ!!」

 

ウソップのついでに巨大なタコや魚みたいなやつも来てしまったが、これはゾロが難なく斬り倒す。ルフィでも重たかったのはこいつらが原因か。

だけど斬り倒した時、タコの方はまるで風船の様にパァン!と破裂音を鳴らして張り裂けた。…図体だけで美味しくなさそう。

 

「雲の中に生物がいるなんて…」

 

「船が乗れてるくらいだから、やっぱり雲というよりは海なのかもね」

 

「ギャアアアアアアアアア!!!」

 

「うるっせェな今度は何だウソップ!!」

 

「ず、ズボンの中に…!なんかいた…」

 

ガクン、と力尽きるウソップに変わってロビンがなんかいたと言う魚を手に持つ。平べったいなー、ヒラメか?

 

「これが空魚じゃないかしら。ノーランドの日誌にあった“奇妙な魚”。ーーおそらく、海底のないこの“空の海”に対して生き残る為に色んな形で進化を遂げたんだと思うわ」

 

「それで風船になったり平たくなったり?」

 

「キャハハ!流石ロビンはすぐ的を得るわね」

 

「ふふ、ありがとう」

 

より軽くなる為にってことか…。

地上の海より浮力が弱いのだろうね…。鱗も羽毛みたいだし、まるで肉食生物のようなギザギザ牙の口も変だ。

 

「お!船…」

 

「んー?船があったの?どこ?」

 

空島を探してくれていたチョッパーが双眼鏡で見る方角を私も見る。

視力を倍加する限界も上がったし…これ結構便利だね。

 

「おーいみんな!船…と、…人?」

 

双眼鏡を覗き込みながらチョッパーが皆を呼ぶ。だが、次の瞬間私達が見ていた船は攻撃を受けたのか爆発を起こし真っ二つに割れて、何やら牛みたいな角を生やした仮面を付けてる人が雲の上を滑るように近付いてきていた。

 

「うわぁっ!!」

 

一緒に見ていたチョッパーは双眼鏡を落としてあたふたと慌て出す。

あれって何で雲の上をあんなにスイスイ移動できてるんだろ?

 

「どうかしたのかイリスちゃん」

 

「うん、何かどう見ても友好的じゃなさそうな人が雲の上滑ってこっちきてる。手にはバズーカと盾ってとこかな」

 

「あんたよくそれで落ち着いてられるわね…」

 

ナミさんがため息を吐きながらも私の後ろに隠れる。嬉しいんだけどナミさん、私の後ろって結構ガラ空きだからね、主に身長差分…ってやかましいわ!

 

その人間はすぐにナミさん達でも視認出来るくらい近づいてきた。

 

「マジじゃねェか、雲の上走ってやがる」

 

「いやーどう見ても滑ってるよあれは」

 

「んなこたァどうでもいいだろ、奴さんはやる気らしいぜ」

 

「何だ何だ?」

 

麦わらの一味戦闘要員4人で出迎えてやるとしよう。可哀想に空の人…いっちょ軽く捻ってやりますか。

 

 




ルフィと同じ懸賞金額は恐らく今回で最後になると思われます。
次回の変動からは被ることはないでしょう。

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