ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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偉大なる航路(グランドライン) 空島編
57『女好き、in スカイピア』


「よっ!」

 

飛びかかってきた男の蹴りを腕を立てて受け止め、弾き返す。

ちなみにルフィとゾロとサンジは初っ端の攻撃でやられて船に転がっていた。

 

あの3人がやられる理由なんて1つしかない、ここの空気の薄さが原因だろう。

私はほら、倍加すればいいだけだから問題ないのです。

 

男は私に弾き返されても空中でバランスを整えてバズーカを構える。

 

「バズーカ撃つ気…?させないよ!」

 

小太刀を取り出して長さを倍加する。ここからならワポルに喰らわしてやった去羅波(さらば)一文字(いちもんじ)が届く筈だ。

 

「そこまでだァ!!」

 

「ん?」

 

だが男がバズーカで船に狙いを定めている時、急に横から鎧の老人が現れて仮面の男を槍で突き刺した。

男は持っていた槍で防いだが流石に飛べる訳ではないのかそのまま雲の海に落ちていった。…そのまま落下して死んだりしないよね?

 

「誰?」

 

「我輩、“空の騎士”!」

 

「ピエーー」

 

空の騎士だけじゃなくて彼をここまで乗せてきた鳥も鳴いて返事をしているけど、いやピエーーじゃわかんないよ、チョッパーを呼んで!

 

 

「…去ったか」

 

去ったっていうか雲海に落ちたよね。

 

「あんた達3人どうしたのよ、イリスがいなきゃ今頃どうなってたか…!」

 

「はは、ナミさん、私を持ち上げてくれるのは嬉しいけど…ルフィ達は何も悪くないよ。なんたってここは地上から遠く離れた積帝雲!空気だって相応に薄くなってるからね」

 

「いや、でもまったく不甲斐ねェ。レディに全て押し付けるようになっちまって…」

 

「大丈夫、私は能力で取り込んだ酸素を倍にすればいいだけだから気にしないで」

 

逆に能力が無かったらどうなってた事か…。

私から悪魔の実取ったら低身長しか残らないからダメじゃん!!せっかくの全・倍加(ボーナスタイム)も使えなくなって大人っぽくなる事すら不可能になる訳でしょ!?あーだめだめ、この考えはやめよう。

 

「おぬしら青海人か?」

 

「正解?外れの人がいるの?」

 

「キャハ、絶対そういう意味じゃないと思うわ」

 

それより、あなたは誰?とナミさんが鎧老人に尋ねる。

髭が凄い、サンタクロースみたいだなこの人。

 

「我輩“空の騎士”である。青海人とは雲下に住む者の総称だ。…つまり青い海から登ってきたのか」

 

「うん、そうだ」

 

「ならば仕方あるまい…先もそこの幼子が言っていたように」

 

オイ、幼子って私の事???

 

「ここは青海より7000m上空の白海、更にこの上層の“白々海”に至っては1万mに及んでいる…通常の青海人では体が持つまい…」

 

でもルフィもゾロもサンジも

「段々慣れてきた」

とか言ってますけど…。そうだよね、彼らを通常の括りに入れるのは間違ってるよね!

 

「それよりさっきの奴海の上を走ってたのは何でなんだ?」

 

「まァまァ待て待て…質問は山程あるだろうが、ーーーまずビジネスの話をしようじゃないか」

 

チョッパーの質問には一旦答えず、何やら交渉でも始める気なのかよっこらせ、と手すりに座った。

 

「我輩フリーの傭兵である。ここは危険の多い海だ、空の戦いを知らぬ者ならさっきの様なゲリラに狙われ、空魚のエサになるのがオチだ。ワンホイッスル500万エクストルで助けてやろう」

 

「…………」

 

「………????何言ってんだおっさん」

 

「ぬ!!?」

 

みんなして首を傾げる。なんだエクストルって。

 

「バカな…格安であろうが!これ以上は1エクストルもまからんぞ!我輩とて生活があるのだから!!」

 

「何そのエクストルとかホイッスルとか」

 

こちとらただでさえベリーにも慣れてないってのに。

…いやベリーは大体1円=1ベリーって感じだから分かりやすかったんだけど!

 

「……!!おぬしら…ハイウエストの頂からここへ来たんじゃないのか?ならば島を1つ2つ通ったろう」

 

「ハイウエスト??いや、私達は普通に突き上げる海流(ノックアップストリーム)に乗ってここまで来たんだけど」

 

「…何と!あのバケモノ(・・・・)海流に乗ってここへ!!?…まだそんな度胸の持主がおったか…」

 

あれ、普通じゃなかったのかな?

そのハイウエストとかいうとこから来るのが主流だったのかもしんないけど、結局あの時点ではあれしか方法無かった訳だし…ま、結果オーライ!

 

「ワンホイッスルとは1度この笛を吹き鳴らす事」

 

空の騎士が笛を投げてきたので受け取る。

おー、この形の笛なんだか懐かしい!小学生の時とか進行で先生が使ってた様な気がするよ、ピッピッ!ぜんたーい止まれ!

 

「その笛を吹けば我輩、天よりお主らを助けに参上する!本来はそれで空の通貨500万エクストル頂戴するが…あの海流を渡ってきた勇気あるお主らにはワンホイッスルプレゼントしよう!その笛でいつでも我輩を呼ぶがよい」

 

空の騎士はそれだけ言うとバサッとマントを翻して背を向けた。

 

「待って!名前もまだ…」

 

「我が名は空の騎士、ガン・フォール!!そして相棒ピエール!!」

 

「ピエ〜〜〜!」

 

「言い忘れてたが我が相棒ピエール、鳥にして“ウマウマの実”の能力者!!」

 

あ、凄い、鳥が翼を生やしたまま四足歩行になってる…!え、つまりペガサス!?

 

「翼を持った馬になる!!即ち…」

 

「嘘…!素敵、ペガサス!?」

 

「そう、ペガサス!!」

 

ばぁん!と背景に効果音でも付いてそうな気合の入り様だが、その見た目はペガサスと呼ぶにはあまりにも……いや、やめておこう、例え身体中の斑点模様で色々台無しにしてるとか、そもそもペガサスにしては顔がちょっとあれだとかは放っておこう。あれはペガサスだった!!

 

「勇者達に幸運あれ!!」

 

バッサバッサと羽ばたくピエールに乗ってガン・フォールは去っていった。

…結局何も教えて貰ってないよね…。

 

 

「…フリ出しに戻った訳だけど…どうしよっか」

 

「とにかく船を進めよう、じっとしてても何も変わらねェ」

 

ゾロの言葉にそうだね、と頷くと改めて辺りを確認していたチョッパーから声がかかった。

どうやら滝みたいに見える雲があるらしく、辺り一面代わり映えのない景色の中では唯一の違いだと言うことからそこに行くことに決まった。

 

滝へ行くまでも道中、他の雲とは性質の違う雲を発見した。

それは島の様にいくつも雲海に浮かんでおり、乗り込んだルフィ達曰く綿のようにふかふかして気持ちいいとか。…ぐ、ちぎって持って帰りたい…。

 

その際ルフィ達に乗れる雲の上から滝の雲を確認してもらった所、その滝の下には大きな門があるらしい。

 

「…よし、抜けたみたい」

 

道を塞ぐいくつもの“乗れる雲”を避けて何とか門の前へと辿り着いた私達は、その門を見て声を上げる。

 

「おお…確かに門あるね」

 

「キャハ、天国の門だってイリスちゃん」

 

確かに門にはそう書いてるけど…。それに、見えてた滝はやっぱり雲の滝だったようだね。さっきの乗れる雲の上を雲海が流れてるみたいだ。

 

「見ろよあそこ、誰か出てきたぞ!」

 

門の隅にある扉が開かれて、中から背中に翼を生やした老婆が出てきた。あれって本当に翼…なのかな?飾りじゃなく?

 

「観光かい?それとも戦争かい?」

 

凄い物騒な事呟きながら写真撮ってきた。

……あえ!?写真!?やっぱりあるんじゃんこの世界!!そりゃあるよね、妙に文明進んでたりする世界だもんね!!よーし!カメラ手に入れるぞーー!!!そして色んな嫁達の姿を写真に収めるぞー!!

 

「どっちでも構わない、上層に行くんなら入国料1人10億エクストル置いて行きなさい、それが「法律」」

 

「10億…!!?……って高いの?エクストルの相場がわかんない」

 

「さぁ…あの、お金もし…もし無かったら…」

 

「通っていいよ」

 

「いいのかよっ!!」

 

ウソップの突っ込みが刺さる。いやホントだよ、いいんかい!

…でも法律がどうこう言ってたのは気になる所だけど…門番みたいな人が良いって言ってるんだから良いんだよね!

 

「ーーそれに、通らなくてもいいよ」

 

「え?」

 

「あたしは門番でもなければ衛兵でもない。お前達の意思を聞くだけ」

 

「え??」

 

門番じゃ…ないの??

 

…………え、これ、大丈夫??門番は?だってこれ不法入国みたいにならない?

 

「……ま、いっか」

 

考えるのめんどい…。

 

最悪どうにでもなるでしょって結論付けてこの門を通る事にした。

老婆が呼んだのか、船の下に巨大なエビが現れて船を持ち上げ門をくぐってその先へ連れて行く。

そこにある滝を登り、登り切った先にまだまだ螺旋状に上へ続く道がありそれも登る。しかも結構速い!

 

「どうなってんだこりゃ…!雲が帯状になってまるで川みてェだ…!」

 

「自然に出来たものとは思えないわ」

 

「何か書いてあるぞ!出口だ!!」

 

上を見れば確かに光が見えていた。

辺り一面雲のトンネルで囲われた場所の中に出来た道を通ってるからあれを出口だと思ってしまうが、これからの事を考えればあれは入口だろうね。

 

「神の国、スカイピア!?」

 

「行けェ!!」

 

そしてメリー号は長い縦のトンネルをエビに送って貰って登り切り、ついにもう1つ上の層…おそらく、白々海へと出た。

 

「島だ…!!空島だ〜〜〜!!!」

 

どういう原理かはさっぱり分かんないけど、雲の上に木が生えてるし!何だあれ!?

 

とにもかくにも、私達は空島に到着したのであった。

 

 

「ここ海底はないんだよね?錨はどうする?」

 

「一応出すしかねェだろ、まさかこのまま船を置いとく訳にもいかねェ、どうにか固定しよう」

 

私とゾロが四苦八苦してる間にもルフィとウソップ、チョッパーは既に上陸してワイワイ騒いでいた。

いやー、でも雲の上にある島…いや、雲でできた島…か?これはロマンだよね!!

 

「よし、何とか固定出来た!私もふかふか遊ぶぞー!!」

 

ここにはあの乗れる雲が海底にあったようなのでそれに刺しておいた。その雲がこの島の基盤になってるんだね。

 

「ジョ〜〜ジョジョ〜〜!!!」

 

「痛い痛いっ、ごめんごめんっ!」

 

「…あ?」

 

何やらナミさんが痛がってる声が聞こえると思って振り返ると、サウスバードが逃げるナミさんの頭を叩きまくっていた。

ああ、置いてくるの忘れたのか、一緒に連れてきちゃったんだね、はは、それは申し訳ない事をした。

 

「とか言うと思ったかクソ鳥ィーー!!!」

 

「ジョォォォッーー!!???」

 

サウスバードに蹴りをかましてメリー号の船体にめり込ませた。あ、ごめんメリー…でもあの鳥が悪いんだよ。

 

「ってナミさん、何その格好!えっち!」

 

「えっちって…、水着よ、上だけね」

 

「ミキータは水着着ないの!?」

 

「キャハハ、私はこれでいいわ」

 

いつものワンピースか。確かにミキータが脱いではしゃいでる所ってあんまり想像出来ないけど…どうせなら脱いでよ!ミキータも!!あとロビンも!!

 

「ねぇ、ここ“スカイピア”って…」

 

「ええ、ルフィの見つけた地図にあった名前よ!空から降ってきたあのガレオン船は200年も前に本当にここに来てたのね」

 

ロビンがナミさんとこの場所の事について話している。

スカイピアが実在したとなると、髑髏の右目は現実味を帯びてきたなー!

 

「ナミさん、ミキータ、ロビンも!早く行こう!」

 

「あ、待ってイリス!」

 

「キャハハ!そうやってはしゃいでると見た目相応ねイリスちゃん、可愛いわ!」

 

「何を〜!?」

 

わいわい言いながら船から飛び降りれば、雲海はやはり普通の海とは入った感じが違った。

海自体も抵抗少ないし、足がつくとこはフカフカだし…何だか気持ちいい。

 

「う〜〜…ん、ここなら海軍も追ってこないし羽を伸ばせる!」

 

ビーチまで歩いて体を伸ばしながら言うナミさん。でも今まで海軍に追われた事ってアラバスタでしかないよね。

 

「ナミさんの魅惑の腰つき…ぐへへぇ…っ」

 

「こら、涎がつくじゃないの。もう」

 

がし!と腰に抱きついた私の頭を撫でる姿はまるで天使のようだ…。

仕方ないわね…ふふ、みたいな感じ!ぺろぺろしちゃう!

 

「うお、このイス雲で出来てるのか…!でもフカフカ雲とは別だな、まふっとしてるぞ」

 

チョッパーの体にはサイズが合ってないけどねそのイス。

それにしてもあのイスといいここまで上がってきた雲の道といい…空にはやはり雲を造形する技術があるんだろうね。

 

「おい、あそこに誰かいるぞ!」

 

「ゲリラか…!?」

 

サンジとゾロが発見した人を見れば、遠くでハープを弾いている様だった。

耳を澄ませれば心地よい音色が耳にすっと入ってくる…それにあの人…視力倍加で見てみたんだけど可愛いよめっちゃ。羽生えてるし多分天使だと思う。

 

「お、何だコリャきつねか?」

 

「やだ、可愛いじゃない!」

 

ビーチを歩いて近づいて来た真っ白い小狐のような見た目をした動物をナミさんが撫でる。

可愛い動物と可愛いナミさん……これは奇跡のコラボレーションだ…。早く写真が欲しい。

 

ハープを弾いていた天使も私達に気付き近づいて来た。

 

「へそ!」

 

「…?」

 

ん?と自分のお腹を見る。…んーー?私、そういうへそ出しの服はあんまり着ないんだけど…、もしかしてこの天使、へそフェチ!?

 

「青海からいらしたんですか?スー、こっちへおいで」

 

あれ、なんか普通になった。

白狐がスー!と鳴きながら天使の元へ戻る。へそってあれかな、タイミング的にあいさつみたいなものかもしれないね。

 

「下から飛んできたんだ、あなたはここの住人なの?」

 

「はい、住人です。ここはスカイピアのエンジェルビーチ。…あ、すみません紹介が遅れました、私はコニスと言います」

 

「コニスちゃん!」

 

なんかその、触角みたいな髪の毛…?はかなり奇抜だけどこの空島では流行りのファッションなのかな?素材が良いから何でも良いんだけど、

 

「はい、コニスです。何かお困りでしたら力にならせて下さい」

 

見ず知らずの他人なのに…空島ってとこが良い人だらけなのかコニスちゃんが特別聖人なのか…どっちでもいいか、可愛いし。

 

「分からない事が一杯で困ってるんだよね、今だったらそう…コニスちゃん、君の好みのタイプとかね…」

 

「はいはい、その子は後で口説いておきなさい。今は空島の情報でしょ」

 

「待てお前ら!海から何か来るぞ!」

 

今度こそゲリラか?

来たら来たで返り討ちだけどね、こっちには空島に慣れたルフィ達もいる事だし。

 

「あ、父です」

 

「なぬ!?お父様!!?」

 

返り討ちなんてとんでもない!!お父様ならむしろ低姿勢にいかねば…!

 

遠目で見てもコニスちゃんと同じ触角髪型なのが分かる。

海の上を水上バイクの様な乗り物に乗ってやってくるお父様。私がよく知ってるような水上バイクに比べるとまだ小舟っぽさはあるけど、ハンドルがあったり、船を動かす謎の機関っぽいのがあったり…まぁ空島版水上バイクみたいなものだろう。

 

「あれ何に乗ってるんだろう」

 

「“ウェイバー”の事ですか?」

 

ウェイバーって言うのか。…ウェイバー?もしかして、ノーランドの日誌にあったやつかな?

 

「はいすいません、止まりますよ」

 

お父様が陸に上がり、私達に声を掛けるので道を空ける。

だけど操作を誤ったのか転んで大ダメージを受けていた…、血が出てますけど…。

 

そんな感じで私達はコニスちゃんとそのお父様…パガヤに出会った。

 

みんながウェイバーに興味津々なので乗り方を教えてくれるそうだ。

……ふ、これは前世に似た乗り物があった私が有利過ぎる…、乗りこなしてナミさん達を後ろに乗せて華麗にドライブと行こうかな…。

 

 




仕方ないとは思いますが、評価1が入ると心に刺さりますね…。頑張ってはいるつもりですが、やはりもっと実力を付けていかなければ…!出来るだけ多くの人に愛される作品になって欲しいですし!

だからと言って悪い評価を入れるなと言う訳ではありません!素直に思った評価、感想は遠慮なく下さい!
でももしよろしければ少しの温情で評価10を……あ、はい、すみません。

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