ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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62『女好きvs (ゴッド)・エネル、慈悲なき雷の猛攻』

「てめェ…何者だ?」

 

「我は神なり」

 

「なんだと?」

 

突然現れた男が自分は神だと言った。…つまりこいつがエネルか。

 

「変な太鼓背負ってるね、雷神の太鼓ってやつ?」

 

「ん?何だ知っているのか、博識じゃないか」

 

「まぁね」

 

前世だと一般常識だったよ。

 

「それで?その神サマが何しにここへ?」

 

ナミさんを背で庇う様にして話を続ける。

…あちゃー、シュラを倒した時は呑気なこと考えてたもんだよ…こうして対峙してみると分かる…こいつは、強い…!

 

「用があるのはそこの老人だけだ、お前達は黙ってじっとしていればいい」

 

「んだとてめェ…!勝手に人様の船に乗り込んどいて何言ってやが…っ!!が…、!」

 

「ギャーー!!サンジー!!!?」

 

「サンジ君!!」

 

「今…何を…!?」

 

エネルに詰め寄ったサンジに奴が触れたかと思うと、一瞬にしてサンジは黒く焦げて倒れ伏した。

…サンジが一撃で…!?

 

「オイ!心臓の音が聞こえねェぞ!」

 

「うそ…」

 

「ヤハハハ…バカな男だな、別に私はお前達に危害を加えに来た訳では無いというのに…」

 

「ならば何をしに来た!!」

 

「ヤハハ、冷たい言い種じゃあないか…実に6年ぶりだぞ…!先代(ゴッド)ガン・フォール」

 

危害を加えに来た訳じゃないって…でもこいつはサンジを…!!

 

「ちきしょう!こいつ…サンジを……!!殺しやがったァ〜〜!!!心臓がピクリとも動かねェ…!おいサンジ〜!!」

 

「…ん?待ってウソップ、そっち右胸!」

 

「え?……ゲッ!心臓が動いてる!良かったなァ生き返って…!」

 

だが次の瞬間、ウソップも一瞬で目の前に移動してきたエネルに額を指で小突かれて黒コゲになりサンジの上に倒れた。

 

「貴様…」

 

「黙っていれば…何もしない……いいな?」

 

「…いいな?じゃないよ。仲間が2人も理不尽にやられて……黙ってられるかっての」

 

「ならばどうする?まさか戦う気ではあるまい」

 

「その、まさかだよ!!」

 

常人の目に負えないスピードでエネルの背後を取り拳を振りかぶる。

 

20倍灰(にじゅうばいばい)去柳薇(さよなら)!!」

 

「……」

 

軽く振り向いたエネルの頰を思いっきり殴ってやる気持ちで振り抜いた拳は、奴の顔をすり抜けて終わった。

それどころか奴に触れているだけで電撃が身体中に流れてくる…!耐性を倍加しないと意識が保たない…!

 

「…!あなたも、攻撃が当たらないパターンの能力者か…!!」

 

「そうだ、ゴロゴロの実を食べた私に…つまり雷に、たかたが人程度が勝てる訳ないだろう」

 

「あなたも、人でしょ…!」

 

一度後ろへ跳び退き距離を取る。クロコダイルにだって弱点はあった…こいつにも絶対何かある…!!雷、雷の弱点……!!

 

……わからん!!絶縁体とか!?ゴムとかさ!よし、ルフィ呼んでこーい!!

 

「100万V…」

 

「っ!?」

 

後ろへ跳んで距離を稼いだ筈の私の背後から声が聞こえた。

前を見ればさっきまでそこにいた筈の奴の姿は見えず…ぽん、と軽く頭の上に手の平を置かれた。

 

放電(ヴァーリー)

 

「ぐっ…!!?」

 

耐えろ耐えろ…!!まだ倒れる程じゃない…!!

 

「ほう…これを耐えるか、なら…1000万V 放電(ヴァーリー)!」

 

「き…っ、き、効かない、ね!!」

 

振り向き様に裏拳をお見舞いする。勿論奴の顔を横一文字にすり抜けるだけで終わったが…。

 

「はァ…っ、はァ…!げふ」

 

口から煙を吐き出す。

1000万Vって…、何処まで電圧高める事が出来るの…!?

 

「…ふむ?なかなかタフだな、青海人の娘」

 

「どうも…!だぁ!!」

 

どん!!と甲板を踏みつける。

そこにあった衝撃貝(インパクト)を拾ってエネルの胸辺りに持ち上げて殻頂を押す。

 

衝撃(インパクト)ッ!!」

 

「まだやるのか?…無駄だという事がわからんか」

 

衝撃(インパクト)が当たった位置だけエネルの体が影のように揺らぐが…それはスモーカーにもクロコダイルにもあった現象だ、つまり効いていない証拠…!

 

「仕方がない、あまり時間もかけられないのでな」

 

「…くそ…!ヤバイ…、ナミさん、ガン・フォール!2人を抱えて下へ逃げて!!」

 

「う、うん!」

 

私の声に慌ててガン・フォールはウソップとサンジを抱えてメリー号の中央へ飛び降りる。

ナミさんもすぐに降りていったが、私の方をチラリと見て心配そうにしていた。

 

…だけど、今回ばかりは本気でマズイかも…。

 

「…1億V 放電(ヴァーリー)

 

「ッ!!!?」

 

船が揺れ、目の前が真っ白に染まった。

い、ち億とか……やり、過ぎだって……ば…………。

 

そうして、あっさりと私の意識は刈り取られた。

…情けなくも、手も足も出ずに敗北してしまったのだ…。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「…ん、ぅ…っ、」

 

体中におかしな痺れを感じながらも目を覚ます。

…エネルにやられたのか…!くそ…情けない、あの場にはナミさんも居たのに…私は…っ!!

 

「って、ナミさんは!!?ったぁ…っ!!」

 

「っつ…!あ、目を覚まされましたか…?体の調子は…」

 

「何だ生きてたのか青海人め!」

 

…何だこの状況。

急いで起き上がろうとしたら私を覗き込んでたのかコニスちゃんの額に頭突きをくらわしてしまった。

というかそもそも何でコニスちゃんがここに?あと誰この幼女、私よりちっちゃい?。……フッ。

 

「コニスちゃん…?どうしてここに…とかも聞きたいけど、まずナミさんは…?」

 

「はい、ナミさんなら今は外でウェイバーの試運転をしてます。イリスさん達が地上から持ってきたウェイバーですよ」

 

…良かった、無事だったんだ…。

 

「サンジとウソップは?」

 

「彼らなら外で治療中です、まだ起きてはいませんが…」

 

無事ってことか…ふぅ…心配事が無くなったよ。

 

「コニスちゃん、私の怪我見てくれたんでしょ…?ありがとね」

 

「いえ…私など…。そもそもあなた方をこの島へと誘導させるよう仕向けたのは…」

 

「関係ないよ、ありがとう」

 

そう言ってニッと笑うと、コニスちゃんは胸に手を当てて微笑んだ。

 

「…それで?そっちの子供は誰?」

 

「誰が子供だ!青海人に名乗る名なんてない!!」

 

「彼女はアイサさん、シャンディアの子供です」

 

正真正銘の子供か…。子供詐欺も居る世界だから見た目は信用ならないんだよね!

 

…流石に子供相手にどうこうしたりはしませんよ?コニスちゃんのぽよんからは目が離せませんけども。

 

「…さて、本当はコニスちゃんを口説きたい所だけど…」

 

「何言ってんだこの変態は」

 

「変態じゃないよアイサちゃん、これは私にとって挨拶みたいなものなの、ちなみにあなたにはしないよ…まだ早いからね、フッ…」

 

「何か腹立つ」

 

ピキ、と額に青筋を立てたアイサちゃんをスルーして起き上がる。その際止めようとしてきたコニスちゃんの腕はそっと掴んで退けた。

 

「大丈夫、これくらいの傷何ともないよ、意識さえ戻ればすぐ治るから」

 

20倍で治します。私の自然治癒速度はこの能力のお陰でとんでもないからね。流石に戦闘中とかにそこまで気は回らないけど…。

 

「ダメですよ!ナミさんから聞きましたけど1億Vの雷撃を受けたって…!!」

 

「でも見て、1億Vをくらった人間とは思えない程元気でしょ?」

 

飛び跳ねて元気をアピールする。シャドーボクシングも入れるか、しゅっしゅ!

 

「っとと…」

 

「イリスさん!」

 

しまった、やり過ぎた…。心配かけたく無かったけど…ダメージはかなり残ってるね…。

そのまま私の体はコニスちゃんの方へ倒れていき、ぱふっ、と胸の間に顔を挟んだ。

 

「………す」

 

「………す??」

 

「………、す、ぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「へ、変態だーーーーーー!!!!?」

 

これ幸いと息を吸いまくればアイサちゃんがそう叫ぶ。失敬な、美少女の胸に顔が挟まったんだから深呼吸するでしょ!!

 

「…さ、流石に恥ずかしいですね、嫁入り前ですし…あまりいい事でも…」

 

「はぁぁ…すぅぅ、はぁぁ…。…ん?何を言ってるのコニスちゃん、嫁入り前って…そもそも私の嫁にくるんだからそんな事気にする必要ないんだよ!」

 

「え?そうなんですか?」

 

「まじまじ」

 

コクコクと頷けば、コニスちゃんはそうだったんですか…と驚愕の表情を浮かべた。アイサちゃんはそんなコニスちゃんを信じられない奴を見る目で見てた。

 

「ともかく、すーはー、私は見ての通り大丈夫だから、すぅぅ、はーー、甲板に戻るよ、すーーーはぁ…」

 

「いい加減にしろォ!!」

 

バシッ!とアイサちゃんに頭を叩かれたので泣く泣く中断して外に出た。

 

「イリス…!!あんた無事…よね?何あんな奴に負けてんのよ!!……心配したでしょ…」

 

部屋を出て階段を登りフォアに上がれば、私を見たナミさんが一目散に駆け寄りぎゅっと私を抱き締めてそう言った。

…本当だよね、情けない…。

 

「ごめん…、はは、思ったよりやるね、神とやらは」

 

「ばか…!」

 

ナミさんを心配させてしまった事に罪悪感を感じつつも、私はエネルの能力について考える。

…奴の能力は自分自身でも言っていたように雷。つまり災害級の悪魔の実だ。

またこの船に現れることだってあるかもしれない…次は負けない…!!

 

「あれ、ガン・フォールは?」

 

「ん…この国の危機とか言ってエネルを追ってどこかに行ったわ」

 

この国の危機…、そりゃあんなのが神ならこの国はずっと危機に陥ってるよ。

 

「ダメですよアイサさん!」

 

「うるさい!離せ!!」

 

「?」

 

なんか騒がしいな、とコニスちゃん達の方を見ればアイサちゃんが彼女の制止を振り切って雲の川(ミルキーロード)に飛び込んでいた。

 

「アイサちゃん!」

 

「あんたは泳げないんだからじっとしてなさいってば、私が行くから」

 

ボフッと雲に飛び込んだナミさんがアイサちゃんを捕まえる。

 

「何だよ離せ!あんたには関係ないだろっ!」

 

「関係あるわよ、あんたも女なんだから将来的には家族でしょ?」

 

「何言ってんだ!?こいつらやっぱおかしい!!」

 

ぐいぐいと暴れるアイサちゃんを引っ張って一旦ウェイバーに乗り込んだナミさん。

お、私達が修理してもらったウェイバーってちょっと大きめなんだね、2人乗りくらいなら出来そう?

 

「…ん??」

 

ふとナミさん達の近くの森を見た。

別に何か意味がある訳じゃないんだけど…ただ違和感を感じたから…。

 

「……ゲプ」

 

「……ウワバミだ」

 

「ええ!?」

 

雲水をごくごく飲んでいた巨大過ぎるヘビに遭遇した。

…いや、でかいって。どんくらいでかいかと言うと凪の帯(カームベルト)に居た海王類くらいでかい。

 

森から顔を出して水を飲んでいるようだけど…何やら気が立ってそうな雰囲気だ。

 

「ジュララララララ!!!」

 

「きゃああ〜〜〜〜!!!何なのこのデカさ!!!」

 

「ウゲ…ジュラララララァ〜!!」

 

「いやああああ!!」

 

「ちょ〜〜ッ!?」

 

いきなり暴れ出した巨大ヘビから逃げるようにナミさんが乗ってたウェイバーを動かす。

でもそっち森なんだって!

 

「くっ…!引き戻すのが無理なら…!行け、20倍!」

 

ぐーーん!と腕を伸ばしてナミさんとアイサちゃんが乗るウェイバーに掴まった。

仕方ない…!このまま森に行くしか…!

 

「ああっ!ナミさんそっちは森の中!!」

 

「ごめんコニスちゃん!サンジとウソップ任せたよ!お父様もよろしく!」

 

「お父様…?」

 

首を傾げるコニスちゃんのお父様、そこは気にしなくていい。

 

「よっ…と」

 

そのまま腕の長さを戻して私の体はウェイバーへと引き寄せられるかのように距離を縮め、ナミさんの後ろへと乗った。

 

「ぎゃあああ!?腕が伸びたーー!?」

 

「私より伸びる人居るから驚くのはまだ早いよ?」

 

「呑気な事言ってる場合か!!…でもごめん!つい体が動いちゃったのよぉ…!」

 

「仕方ないよ、あのサイズが暴れちゃったらね…」

 

後ろを見れば、ヘビは私達を追いかけてきていた。

それにしても苦しそうだね…。

 

「森の中入っちゃった…どうしよう…」

 

「どうにかなるよ、最悪あのウワバミは私が……ってあり?」

 

あのヘビどこ行った?

森自体が広大すぎてあのサイズでも見失うよ。

 

「メ〜!!!見つけたぞシャンディア!メ〜〜!!」

 

「神兵だ!!走ってナミ!!」

 

「え?え?何!?」

 

いきなり出てきたヤギみたいな人にアイサちゃんが悲鳴に似た声を上げる。ナミさんも反射的にウェイバーを走らせた。

 

「何なの!?メ〜って!?」

 

「神兵だよ!捕まったら殺される!!」

 

「待ってよ!だって、でもどこへ向かってんの私達〜〜〜!?」

 

「ナミさん!ちょっといい!!?」

 

「どうしたのイリス!?」

 

緊迫した声のナミさんが視線だけを私に向けた。

 

「さっきのメ〜ってもっかい言って!!」

 

「あんたはいつも通りで安心したわ!!!」

 

「ほんとこいつらバカ!!!」

 

「待てーー!!神の社へ行かせるなーーー!!!」

 

ウェイバーはかなりのスピードで森を走り、巨大な蔓まで辿り着いた。

ウェイバーはその蔓をも勢いを落とす事なく真上に登っていく。何たらと豆の木みたいな蔓だね、最上部には大男でもいるのかな?

 

「上の雲抜けたらどうなるの!?」

 

「大丈夫!突っ切って!!」

 

アイサちゃんが言うのでナミさんは速度を緩める事なく蔓を登りながら雲に突入した。

積帝雲に突っ込んだ時のように長い時間息ができないなんて事もなく、比較的早く雲を抜け出すことができた。…このジャックと何たら…まだ天辺が雲に覆われて見えない…、一体どれ程高くまで伸びているのだろう。

 

「!?お前ら…!?」

 

「アイサ!」

 

「娘っ!!」

 

「え?ゾロ…!ミキータ!あとついでにガン・フォール!」

 

この階にはゾロ達が居た。

ゾロとミキータだけ…?残りの3人は!?ロビンとかロビンとか!!

 

「仕留めろ〜!メ〜!!」

 

「さっきからうるさいなっ!!」

 

飛びかかってきた神兵とやら3人の顔面を腕を増やしてそれぞれ殴る。何だこいつら!

 

ナミさんは追ってきたヤギがダウンしたのとゾロ達が居た事で一旦ウェイバーを止めた。

 

「イリスちゃん!」

 

「ミキータ、無事!?」

 

「ええ、平気よ!」

 

良かった…見た感じ一悶着あったって雰囲気だもんね。

 

「アイサ!ここで何してる!!」

 

「てめェらもだイリス!ナミ!船はどうした!?」

 

「いや、それがーーー」

 

「何を企んでやがる青海人!アイサ!そいつから離れろ!」

 

なるほどゆっくり話も出来ないと!!せっかちかこのモヒカン!!

それにモヒカンの持つバズーカ、な〜んか見覚えあるんだよねえ…あれか、初めて見たゲリラ!

 

「うわっ!?」

 

離れろ!とか言いながらバズーカから熱線みたいなのを放ってきた。ちょ…それ当たったらアイサちゃんも死ぬよ!?

 

「ピエー!!」

 

「お主ら何故こんな場所へ来た!!?」

 

「あ、ありがとうガン・フォール…!」

 

仲間もいるのに撃ってきて反応に遅れちゃった…ガン・フォールがピエールに乗って助けてくれたから良かったけど!

 

「鬼ーーーっ!!ワイパーの鬼〜!!」

 

あいつワイパーって言うのか…。そりゃ鬼だよあんなの。

 

「何故って…だってすっごい大きな…!」

 

「……!!!あ」

 

ヘビが…とナミさんが口にした瞬間、その“大きなヘビ”が大きく口を開けて真横に現れ、ピエールごとパクリと食べられてしまった。

ど、どうしよう……!!

 

 




実際人間が危ないのは電圧のVよりも電流のAだってよく耳にしますよね。
ちょっと調べたんですけど、ドアノブとかでバチっとくる静電気って実は数万Vもあるらしいです。でも痛いだけで済むのは電流の流れが原因なんですねー。うん、不思議電気ってことですね(ルフィ風)

この世界は1億や2億の電圧をモロに受けてもタバコの火が欲しかったとか言っちゃえる人がいる世界なので、耐性を倍加できるイリスは耐久面に関しては有利ですね。20倍だと1億も耐えられないみたいですが…。

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