ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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66『女好き、空島に別れを告げる』

「あ、ナミさーーん!」

 

「…!!イリス!!」

 

シャンドラの遺跡へと戻れば、みんながそこに集まっていた。アイサちゃんも居るね。

 

「お前らそれ食糧か?どうしたんだ」

 

ゾロの問いには、遺跡へと来る途中の森で神官達の食糧庫を見つけたルフィが袋いっぱいに詰め込んできたのだと答える。いくら何でも詰め込みすぎだけどね、ルフィの10倍は大きいよこの袋。

 

「お前らよくあの高度から…」

 

「ゴムゴムの風船だ!」

 

「死ぬかと思った」

 

「キャハ、何にせよ無事で良かったわ…」

 

ルフィの背中から私を受け取って横抱きするミキータ。

ナミさんも近くに寄ってきてつんつんと私の頰を突つく。

 

「全くあんたは毎度毎度無茶ばっかり…ちょっとは私達の身にもなってみなさいよ」

 

「ごめんなさい」

 

「何よその棒読み」

 

ぐいー、と頬を引っ張られる。痛い痛い、倍加出来ないから痛い!

 

「サンジ!飯!」

 

「任しとけ、空島の食材をふんだんに取り入れたフルコースを食らわせてやる。…レディのみんなには特別メニューだよ〜〜!!!」

 

「いえー!」

 

「「ブーブー!」」

 

はっはっは!男衆のブーイングなど効かぬわ!!

…って言うほど鬼でもないから、こっそりあげちゃおう。特にルフィには今回も世話になったし、彼が居なきゃ情けない話エネルを倒す事なんて出来なかった…。いや、むしろーーーー。

 

「イリス、ルフィ、…ありがと」

 

「アイサちゃん?どしたの」

 

「空島だよ!救ってくれて、感謝してるんだ!」

 

ぶんぶんと腕を振り回して感情を表すアイサちゃん。

 

「はは、失くすには勿体ないでしょ?この空は」

 

「…う、うん」

 

ぷい、と顔を逸らして頬を赤らめるアイサちゃんを見てフッ…とドヤる。

ついつい幼気な少女すらも堕としてしまったか…空島は堕ちずともあなたの心は私に堕ちた…なんてね、はっはっは!!!

 

「赤目さん、凄い顔になってるわ」

 

「こら、調子に乗らないの」

 

「ふぁい」

 

また頬を引っ張られてびょーんと伸びる。でも調子には乗るよ!うん!

 

 

 

 

そして夜になり、サンジが料理を運んできた。

匂いにつられてシャンディアの民も、そしてエンジェル島を避難していた空の民もこの遺跡へと集う。

長年いがみ合っていた彼らは、取り戻した自由を謳歌するように手を取り合い…ルフィの掛け声で宴が催された。

 

「イリス!これ食べる?」

 

「うん、でも食べさせてね、手が動かないから」

 

「あ、あーん」

 

ぱく、とアイサちゃんの差し出したよく分からない肉をひと口食べる。

…食材は分かんないけど、美味しい!流石サンジだ。

 

「うん、凄く美味しい!」

 

「ほ、ほんと!」

 

「ほんとだよ」

 

うーん、子供に好かれるっていいなぁ。なんか癒されるというか…。

 

「ジュラァ!」

 

「お、主もご機嫌だね」

 

あの時追っかけ回されたウワバミも宴会に混ざっている。チョッパー曰く、このヘビは幼い頃からずっとこの地に住んでいて…鐘の音をもう一度聞ける日を待ち望んでいたのだとか。

 

「アイサ、その青海人の子がお気に入りなの?」

 

「ラキ!そ、そんなんじゃないけど…」

 

「どうだか」

 

美人なお姉さんがアイサちゃんに話しかけながら近づいて来た。シャンディアの女性か…むむ、美人だなぁこの人も。

 

「あんたがエネルを倒してくれた青海人?ありがとね…お陰で私達は…」

 

「ああ、いいよそれはもう…お礼ならさっきアイサちゃんとコニスちゃん……あー、エンジェル島の女の子に貰ったからさ」

 

嫁になるっていうね。

 

「へェ…幼いのにやるじゃない、アイサより少し小さい?」

 

「同じくらいだと思うけど!?それから私は19歳だからね、勘違い禁止!」

 

「えっ…」

 

アイサちゃんも目を点にしてた…。だって仕方ないじゃん…伸びないんだもん!!

 

「そんな事より!!ね、宴を楽しもうよ、ほらあなたもこっちこっち!」

 

「いいのかい?じゃ、お言葉に甘えて」

 

ラキと呼ばれてた女性は、私の隣に座るアイサちゃんの隣に腰を下ろした。うむ…美人だ。

 

「イリスちゃん、デザート持ってきたわよ、レディ限定らしいけと」

 

ミキータがお盆を手に持ち歩いてきて、隣に腰を下ろす。お、これは…。

 

「ありがとミキータ」

 

「アイサちゃんもラキも、はい」

 

「何コレ?」

 

「見た事ないね、青海の食べ物?」

 

見た感じパフェっぽいけど…空島にはないの?

まぁでも、確かに食の文化も全然違うし知らなくても変じゃないか。

 

「食べてみたら分かるよ、サンジがレディ限定って言ってる料理は…というかサンジの料理にハズレはないからね」

 

そう言ってミキータに一緒についてたスプーンでクリームを掬って食べさせてもらう。………う、うまぁい!!

 

「あらミキータ、私の分は?」

 

「キャハ!勿論あるわよ、はい」

 

ナミさんもこっちに集まってミキータからパフェを受け取る。

ロビンも強引にここへ連れてこられ、これまた強引にパフェを押し付けられていた。…ミキータ、なかなかやりおる。

 

「赤目さん、前から気にはなってたんだけど…あの変化はなあに?あなたの能力とは関係が無さそうなのに…」

 

ふとロビンがそんな事を聞いてきた。…うーん、なんだろ。

 

「私にもわかんないんだよね、何だろ?」

 

「何を倍加したらああなるのよ…」

 

「さぁ…溢れ出るナミさん達への想いかな…」

 

「キャハハ!なら私も出来るわね、イリスちゃんへの想いで強くなるわ!」

 

ふんす、と鼻を鳴らして胸を張るミキータ。なんだこの女はァ…襲ってやろうかァ…!

 

「案外人じゃ無かったりして」

 

「ブッ…ロビン?私は見ての通り人間ですが?」

 

「フフ…そうね」

 

全くもう…こうやって冗談を言ってくれるようになったのは嬉しいけど…なんていうか心臓に悪いよ。

 

ぱくぱくとミキータやナミさんにパフェを食べさせて貰い、容器が空になった所で私はアイサちゃんを見る。

……うーん、名残惜しいなぁ。

 

「…じゃ、お別れの挨拶でもしようか」

 

「え!」

 

バッ、と私達の方を向くアイサちゃん。その時余程驚いたのか手に持っていたパフェの容器を落としてしまった。でも中身はもう空か…じゃ、良かった良かった。

 

「どうして!?もっとゆっくりしていってよ!!青海人にとってここは珍しいんじゃないの!?」

 

「ふふん、そりゃ珍しいよ、雲の上の島なんて…滅多に来れるトコじゃない」

 

「アイサじゃないけど、私からもお願いするよ、島を…空を救ってくれた恩人なんだからもっとお礼をさせてくれなきゃ…」

 

「だったらあなたも私の嫁って事で、はい決定」

 

お礼がって言った女性は軒並み嫁ね、決定ー。

 

「よ、嫁…?」

 

「うん嫁。…で、私達はこれでも海賊だからさ、用事が済んでるのにいつまでも同じトコにはいられないよ、…特にうちの船長がね」

 

「…でも、あたい…もっとイリスと…」

 

涙ぐむアイサちゃんに優しく微笑みかける。…本当は頭撫でたり、抱きしめたりしたいけど体がなぁ…動かなくてなぁ…!

 

「だったら、また会いに来るよ。…だからそれまで、私が手を出せるくらいのいい女になっててね」

 

「騙されちゃダメよアイサ、コイツは私達にもろくに手を出さないから」

 

「ちょっと!騙してないから!!アイサちゃんもそんな顔しないで!」

 

はぁ、はぁ…せっかくいい感じに締めようと思ったのに…!

 

「…ううん…。あたい、平気だ!!あたいはまだまだ子供だから…一緒に行けないけど、だけどもう一度イリスが来てくれるなら待つ!!」

 

「アイサちゃん…」

 

凄いな…確かまだ9歳なんでしょ?私が9歳の頃はどんなだったかなぁ、思い出せないや。

 

「オイお前ら!ちょっとこい!」

 

「ん?」

 

ルフィが私達を呼んでいる。宴会疲れなのか大口開けて寝ているヘビの口元で手を振っていた。

 

「ナミさんーつれてってー」

 

「はいはい…っよ」

 

おう…お姫様抱っこですか…、やだ、イケメン…!

 

「イリス、もう行くの?」

 

「ううん、出発は多分明日の朝だと思うよ」

 

「…明日の朝」

 

そう言って考え込んだアイサちゃんをラキに預けてルフィの元へ行く。

…コニスちゃんにも挨拶したいなぁ。

 

「どしたのルフィ」

 

「ししし、…黄金を奪って逃げるぞ」

 

「黄金?」

 

小声で言うルフィに小声で返すナミさん。でも黄金郷はないし、鐘は海に沈んだ筈でしょ?

 

「どうした、もう帰るのか?」

 

「なんだなんだ、予定より半日早くねェか?」

 

他のみんなも集まってきて、ルフィはそれを見てヘビの口内を指さした。

 

「こん中に黄金が大量にあったんだ、ソレを貰ってく」

 

「いいね、海賊っぽくて」

 

私は賛成、お礼お礼言われるのも何だし…女性陣のお礼は嫁入りとして、男性陣が困るから黄金を奪ってチャラにしよう!

 

「おれはこの島の(ダイアル)が気になるなァ…黄金は任せていいか?」

 

「そうね、それぞれしたいこともあるだろうから…黄金探索組とそれ以外で別れましょう」

 

「「了解!」」

 

そうして私達は数手に分かれて行動する事になった。ちなみに私は黄金探索組……なんだけどまずはアイサちゃんの所に戻る。

 

「イリス!ルフィはなんて?」

 

「予定変更なしで明日ここを出るってさ。…それでなんだけど、私達が島を出るのはみんなには内緒ね」

 

「どうしてだい、私達から言わせればあんた達にはとれだけ感謝を述べても足りないくらいなのに」

 

「簡単だよ、海賊に湿っぽい別れは似合わないじゃん」

 

そう言えば2人とも納得してくれた。

…本当は黄金を奪って逃げてるのがバレたくないからです。

 

逃げるようにヘビの口内へ向かう。

それにしてもナミさん、細いのに柔らかい触り心地…特にぽよんとか。

 

「…あ、体動く」

 

「本当?」

 

能力も使える…ていうか反動長いな!全・倍加(オールインクリース)と比べ物にならないくらいあるじゃん!

 

「えー、次イリスちゃんを抱っこするのは私の予定だったのよ!!」

 

な、に…?勿体ない事した……。

 

とはいえ動けるんだから仕方ない。私が動ける事で持てる黄金の数も増えるでしょ。

ナミさんに下ろしてもらって自分で歩く。ルフィを先頭にして長いこと歩けば、辺り一面黄金に染まった場所に出た。

 

「へー!このヘビ何食べてるんだろ…」

 

「な!?あったろ黄金!」

 

「あァ、こりゃ凄ェな」

 

ちなみに黄金探索組は私、ナミさん、ミキータ、チョッパー、サンジだ。後は船長ルフィ。

 

「凄い、見てナミさん、王冠!」

 

「素敵!あ、これはサウスバードの…!」

 

各々で持ってる袋にぽいぽい黄金を詰めて行く。こんなに黄金があったら何持って行こうか迷うなー、この量は絶対全部は持っていけないもん。

 

そんな感じで探索は続き、気付けばかなり時間が経っていたのか背中にかけてある袋一杯に黄金が詰まっていた。おー、ガシャガシャいってる…黄金がガシャガシャしてるんだよ、日本人なら憧れるよね!

 

「キャハハハ!これを売ったお金でイリスちゃんの黄金像を作るわ!等身大がいいわね…」

 

「それはやめて頂きたいのですが…」

 

ミキータならしかねない…!でもそんな所も可愛いよ!!

 

ヘビから出れば、既に空からは陽の光が差していた。もう朝だったのか、ヘビの中でどんだけいたんだ。

 

「ヘビしかいねェじゃねェか、昨日のゲリラとか天使ちゃん達はどこ行ったんだ?」

 

「わかんないけど、いないなら都合がいいよね、バレたら事だよ!」

 

「そりゃそうだ、何せこんなに黄金奪って逃げようってんだ!」

 

ジャラジャラと袋を揺らして遊ぶ。もう残りのみんなは船に行ったのかな?

 

「お前ら!黄金探索は終わったのか!」

 

「ウソップ、ゾロ!凄かったよ、こんなにあった!」

 

どん!と袋を見せれば2人ともおー、と声を上げる。

ゾロとウソップが担ぐ分の袋にも黄金を詰めてたから、それを2人に渡しておいた。

 

「あとはロビンだけか」

 

「あ、じゃあ私船に戻って出航の準備してくるわ」

 

「ああ、コニスも準備してくれてるぞ」

 

コニスちゃんはメリー号にいるのか。…よし、彼女にも挨拶する機会はありそうだね。

 

「それにしても、この空島ともお別れか。いざ地上に戻るとなると名残惜しいもんだ」

 

「あァ、おれはもっと(ダイアル)を探したかったなァ」

 

「キャハハ、それはそうとウソップくん、例のアレ(・・)は出来てるの?」

 

「お、アレか…、材料なら揃ってるぜ、船に戻ればすぐにでも取り掛かれそうだ」

 

む、ミキータの新しい武器ってやつか…どんなのだろ。

 

(ダイアル)を使う事でおれの武器も、ナミのタクトも強化できる!ついでにゾロの剣も匂貝(フレイバーダイアル)で強化してやろうか?」

 

「やめろ」

 

どんな強化を施すつもりだったんだ…?どっちにしろここの貝はかなり便利なものだって事はわかる。ミキータの武器にもソレを使ってるんだよね?

 

 

 

 

***

 

 

 

 

それから待つ事数10分、ロビンの姿が遠くに見えた。

…ロビンの後ろにシャンディアも空の民も全員居るんだけど…。

 

「ちょっとマズイよね、今私達宝持ち逃げするトコなんだけど…」

 

「ちょっと所じゃねェぞ、まさか俺達がしている事がバレたのか!?」

 

「おーーいロビ〜〜ン!!急げ急げ!逃げるぞ、黄金奪ってきた!!」

 

「アホ、言うな!!」

 

サンジがバシっとルフィの頭を叩く。ロビンも状況を掴めたのか軽く頷いて走ってきた。

 

「よーし、逃げろ〜!!」

 

「逃げろ逃げろ〜〜!!」

 

逃げ足にも自信がある麦わらの一味、かなりの速さで島の人達を振り切って船へ帰る頃には後ろに人影など1つも見えなかった。…ん?いや1人居るな……あれは。

 

「オイ早くしろ!誰か追い付いてきたぞ!誰だ!?」

 

「誰でもいいだろ!!船を出せ!!」

 

「ーーー待って!!!」

 

その1人は大きな声を上げて私達を止める。

私はその声の主を船の上から真っ直ぐ見つめた。

 

「ハァ…ハァ…!!っ…、イリスーーーー!!!!」

 

「聞こえてるよ、アイサちゃん!」

 

その1人はアイサちゃんだった。まさか私達に追いつけるなんて…でもがむしゃらに走ったのだろう、その足には数多の傷跡が見える。

 

「あたい…あたいね!!待ってるから!!イリスに相応しい…女王の嫁に相応しい女になって、待ってる!!!だからまた、絶対来てェーーーー!!!」

 

「…やるじゃない、アイサ」

 

「キャハハ、私達もうかうかしてらんないわね」

 

「フフ」

 

…まだ子供だっていうのに、こうして想ってくれたんだ。前世なら私は逮捕物、今世でもこれは逮捕物かもしれないけど……9歳の嫁ってのも悪くない。そもそも元から賞金首だからね、どんとこい。

 

「うん!!ぜっったい、ぜっっっっったいに来るから!!!その時はまたよろしくねー!!!色々とーー!!」

 

「アイサー!その時は私が嫁の全てを叩き込んであげるわ!!」

 

「キャハハ!私ともイリスちゃん談義でもしましょう!!」

 

「うん!!またね!!!!」

 

ぶんぶんと手を振るアイサちゃんの姿が段々と遠くなっていく。

…またここへ来た時にあんた誰?とか言われたら泣くけど…。

 

「それで、コニス、私達は何処からこの島を出るんだっけ?」

 

「あ、はい、空島から青海へ帰るには雲の果て(クラウド・エンド)に行かなくちゃいけないので、まずは下に降りないと」

 

ああ、ここが白々海だからその下の白海にってことね。

という事はまだちょっとかかりそうだね、数10分くらいか。

 

「では私が案内させて貰ってすいません」

 

お父様がメリー号の前につけてある小型の船から声を上げる。案内役を買って出てくれたのはかなり助かるよ。

 

「コニスちゃんともお別れかぁ…いや、また会えるんだけどね?」

 

「ふふ、そうですね、いつでもいらして下さい。イリスさん達でしたらどんな時も歓迎します!」

 

「次はベッドの上で歓迎してもらおうかな」

 

「は、はい…」

 

顔を赤くして俯くコニスちゃんから視線を逸らす。こ、肯定しちゃったよ…ど、どうしよ。

 

「あんたまた自分から言っといてカウンター喰らってるじゃない。別に今からでもいいのよ、この船にもベッドはあるんだから」

 

「ちょ、ちょっと待って!ほら、もうすぐ雲の果て(クラウド・エンド)だからね、やっぱり次の機会に…」

 

「キャハハ…そんなこと言っても良いのかしら?」

 

「ひゃ…っ」

 

ミキータがコニスちゃんの胸を下からぽよん、と持ち上げる。な、なんだあれは……神秘、か…!?

 

「もう次にここへ来るのは一体何年後かしらねぇ……で、本当に良いの?イリス」

 

「………ぐ、ぐぐぐぐ……!!い、良い……の!!!本当に良いのぉーーーーー!!!!」

 

うわーーん!!と叫びながら部屋へ駆け込んだ私を見てみんなはため息をついた。

 

…私は、ヘタレだなぁ…。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……あ、あの、やっぱり私って魅力ないんでしょうか…」

 

「はぁ…そんな事ないわよ、あいつの嫁に相応しいくらい美人でスタイルも良いわ、自信を持ちなさい」

 

「でもイリスちゃんも頑なね、無理矢理じゃないと出来ないっていうのもイヤじゃない?」

 

「うーん……ロビンはどう思う?あんた達も」

 

イリスの頑なな態度に悩む女性陣。いきなり話を振られた男性陣の中の1人であるウソップが腕を振って答える。

 

「おれらにゃわかんねェよ、普通好きな女が居たら色々したいモンじゃねェのか?おれは恋とかあんまわかんねェけど」

 

「おれも」

 

「おれもだ」

 

「あんた達に期待した私がバカだったわ」

 

ウソップ、ルフィ、チョッパーからは予想通りと言って良い返事が帰ってきた。

元々そういうのが分かりそうな奴らでもないし、とナミは軽く首を振って気持ちを切り替える。

 

「でも、赤目さんってそういうコトに興味が無いわけじゃなさそうよ」

 

「それなのよねぇ…」

 

うーん、と悩んだ所で答えが出る筈もなく、ナミはイリスの不思議な行動に頭を抱えるばかりだ。

 

「前にどうしてしてくれないのよって聞いたらはぐらかされたし…」

 

「キャハ、だけどスキンシップは激しいわね、もっとして欲しいくらいよ」

 

「赤目さんにも、何か私達に言えない秘密があるんじゃないかしら」

 

「……そう、ね」

 

秘密だけで済めば良いけれど…、とナミはこれ以上考えないようにした。

 

…この先の、そう遠くない未来でーーーーー

 

 

 

ーーーーーイリスの“秘密”を切っ掛けとした大事件が起こる事になるとは、まだこの時の誰も想像すらしていなかった。

 

 

 


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