ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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70『女好き、星のフォクシー』

2回戦で勝ち取った奪う権利もパスした私達は、ついに最終戦に移ろうとしていた。

とはいえ3回戦目は「コンバット」という戦闘が主体となるものだ。それならルフィが負けるとは思えない。

 

「ルフィ、後は任せたよ!」

 

「おう!任せとけ!」

 

『波乱のデービーバックファイト、最後のこの1戦が運命の鍵を握る〜!!種目はそうみんなもお待ちかね!ゲームの花形、「コンバット」ォ〜〜〜〜ッ!!!』

 

「待ってたぜーー!!」

「早くやれ〜〜っ!!」

 

やっぱり戦闘ってだけあって人気なのかな。ルフィの懸賞金が1億って事を知っておきながら逃げない事を見るに、敵も何かしら勝算があるんだろうけど…。

 

『さァ〜ア!フィールドメイクを始めるよ〜〜っ!!』

 

「フィールドメイク?」

 

『用意されているのは大砲、そして中には1発の鉄球!出場選手が2人同時にこの大砲を回す!!』

 

ルフィが呼ばれてその大砲に近づいていく。

要するに2人で大砲を回して止まった位置で撃ち、砲弾が当たった所が戦いの舞台って訳か。

 

「…いやいや、その大砲を用意したのはそっちじゃん。いくらでも不正できるよね?」

 

『不正なんてしてないよ〜!なんなら確認しても大丈夫!!ただし、元に戻せるならね〜!』

 

「…なるほど」

 

大砲をバラして確認するのは勝手だけど戻せなかったら分かってんだろうなァ?って脅しか。

 

「イリス、どうするの?」

 

「大丈夫、任せて」

 

ひらひらと手を振ってその大砲の前まで歩き、それに手を当てる。

するとその大砲の隣に全く同じのものが複製され、よっこらせと持ち上げてウソップの元へ向かい彼に渡した。

こういう事に関しては一味の中でウソップがダントツだからね。

 

「「………」」

 

フォクシー海賊団の皆さんが額から流す汗の量が尋常じゃないんですが…それだけで答え合わせ出来るんだけど。

 

「私がこういうのも倍に出来るって失念してた?はい残念でした。で、どんな感じ?ウソップ」

 

「おォ…ちょっと待ってくれ」

 

ガチャガチャ工具を漁って分解していくウソップ。なんだありゃ、全く分かんないや。

 

「…!おい…、これ、回しても最後は同じ向きに大砲が止まるように細工されてるぞ!」

 

「って事らしいけど?」

 

ニヤリと笑ってフォクシーを見れば、分かりやすくぐぬぬと顔を歪めて悔しがる。誰がそんな怪しさ満点大砲を回すか!

 

 

 

最終的に別の大砲を使う事で話は終わった。ちなみにその大砲も同じ手順でウソップに確認してもらったので問題ない。

 

『お邪魔は入ってしまったが、気を取り直して〜〜!回るよ大砲!』

 

誰がお邪魔だ!

 

ルフィとフォクシーが回す大砲は自然に止まって草原の方を向いた。

直後に撃った砲弾も勿論草原に着弾し、フィールドはお互いハンデのない平らな草原に決まったのだった。

 

「……フェ、フェッフェッフェ…け、けちょんけちょんにしてやるぜ…」

 

「どうせ自分の船を戦場にしようとしてたんでしょ」

 

「そ、そんな訳、そんな訳あるかおめェバカ、バカが!!」

 

焦りすぎだけど…。

自分の船なら最初っから細工など好きなだけ出来るし、奴の能力を有利に働かせるギミックなんかも一杯搭載されていた筈だ。

いやー、いい仕事した!!

 

『ル〜〜ル説明するよ〜〜っ!!バトルフィールドは今鉄球が落ちた場所から半径50m以内!つまり、直径100mの“円”の中全てが戦場!武器・兵器、円内の全ての物は利用可能。円内には決闘者の2人以外は立入禁止!敵を円から出せば勝ちっ!ーーー以上!!なお、空中・海中では出た事にならないよ!!』

 

あかん、草原フィールドだからルフィが圧倒的有利すぎる…。

草原に都合よく武器が転がってる筈もなく、生身の殴り合いだとどう考えてもルフィが勝てるし、仮にルフィを円内まで飛ばしたとしても周りが海って訳でもないから、地に足着く前に腕を伸ばしてロケットで帰ってこれる。

 

『フィールドが平坦な草原だから観客席は必要ないね!早速出場選手の2人には準備をして貰うよ〜!!』

 

「選手はこっちに来てくれ。セコンドは誰だ?」

 

「あァ、それなら俺が」

 

セコンドってあれかな、ボクシングなんかでリングの外でやいやい言ってる人?

適当言ってる様に聞こえるかもしれないけどそれくらいしか知識ないなぁ…。マネージャーみたいな物って考えてたらいいのかな?

 

まぁ、そのセコンドにはウソップが付いてくれるそうだ。良いコンビだから安心して任せられるね。

 

「最初はどうなることかと思ったけど…案外楽に勝てそうで良かったね!」

 

「キャハハッ、そうね、やっぱり2回戦でイリスちゃんが大活躍したからじゃないかしら」

 

「それを言うならミキータ達だって1回戦目圧勝したじゃん」

 

「それも赤目さんが向こうの船長を抑えてくれたからよ。そうでしょう?」

 

おぅ…そう素直に褒められると照れる…。

 

目を合わせると気恥ずかしいのでフィールドとなる草原の方へ目を向けると、直径100mのラインや選手が入場する道などを作っている最中だった。

…あの道、いるの?

 

「ルフィが勝つまで暇だなぁ…ポルチェちゃんでも口説いてこようかな」

 

「ルフィが勝った時の指名で選べばいいじゃない」

 

うーん…そういうので得た美女ってなんか…こう、違うというか…!

 

「…ふふ、冗談よ。あんたにはあんたのやり方ってのがあるんでしょ。もう知ってるわよ」

 

「ナミさん…!」

 

私の正妻は相変わらず察しが良すぎて素敵!

 

 

『ライン設置完了!お待たせ致しましたァ!!本日のメ〜〜〜インイベントッ!!「コンバット」!!ま〜〜もなくゴングだよ〜〜〜っ!!』

 

「お、始まるみたい!」

 

暇つぶしに観戦するかぁ。

丁度良いからルフィの戦いをじっくり観察してまた技盗んでやろう…ふっふっふ!!

 

『さ〜〜て、今回の対戦はこの2人!計らずも船長(キャプテン)対決〜〜〜!!まずは来る者拒まず!!「コンバット」無敗伝説920勝!!全ての勝負(ゲーム)に勝つ男!!レフト側から入場……我らがオヤビン!!“銀ギツネのフォクシー”!!!』

 

「フェッフェッフェ!!!」

 

「オヤビーーーン!!」

「瞬殺で頼むぜーー!!」

 

ボクシング系統のスポーツで用いられるグローブを着用してるし、服装もそれっぽく仕上げてきたフォクシーが左右から吹き出る煙に包まれて登場する。ほんとにボクシングっぽい演出だな…。

 

『さァそして対するは、東の海(イーストブルー)出身!!少数派海賊団のリーダーで懸賞金1億ベリーの男!!ライトコーナーより入場!!通称“麦わら”!!』

 

「おめーも頑張れー!!」

 

普通にルフィ応援してる人居るし。このフォクシー海賊団ってなんていうか…根っからの悪というか、根っからの海賊だよね。

 

『モンキー・D・ルフィ!!!』

 

「うがーーーっ!!!」

 

登場したルフィは、フォクシー同様グローブを拳に装着して…何故かアフロを被っていた。

 

「うわ…凄い!私も付けてみたい!」

 

「やめなさい」

 

ぺし、とナミさんに叩かれる。だってあれ付けたらパンチ力上がりそうじゃん!通常の状態で50倍出せるかもしれないじゃん!!

 

『デービーバックファイト運命の第3回戦、「コンバット」始まるよ〜〜!!!』

 

ルフィとフォクシーがバトルフィールドへと入りシャドーボクシングなどを始める。ルフィ完全に成り切ってるなぁ…ウソップもその後ろでノリノリの声援を送っているし。

 

『さ〜〜!待ちに待ったメインイベント!!両選手がバトルフィールドに足を踏み入れたよ!!それではセコンドは邪魔なので引っ込んでてくれ!』

 

「早ェな!もう終わりかセコンドの役目は!!」

 

ウソップが叫び、その後しぶしぶと後ろに下がっていった。

意味あったのかな…セコンド…。

 

『さて今回の舞台は、まさかまさかの大ハプニング!真っ平らな草原地帯!!それもこれも全て奴のせいだ!!』

 

「ブ〜〜!!」

「空気読めガキ〜〜っ!!」

 

「キャハハ!………1万キロ」

 

「待ちなさい、あんなのただの煽りよ。気にしちゃ負け…分かった?」

 

「う……ええ、ごめんなさい」

 

しゅんとなって走り出そうとした体を引っ込めるミキータ。可愛い。

 

「オイ、何言っても仕返してこねェぞ」

「今のうちに先の2戦の鬱憤を晴らすか!やーいチービ!」

「バーカ!」

「女好きー!!」

 

最後のは悪口でも何でもないんだけど…。

 

「……ふゥ。ちょっと行ってくるわ」

 

「ま、待ってナミちゃん!抑えて!あんなのただの煽りでしょ?ね?ナミちゃんなら抑えられるわ!」

 

「そ、そうね。悪かったわミキータ…」

 

「アハハ」

 

そんな2人を見て笑うロビン。

…うーん、これは何とも良い光景ですね。いいぞもっと煽れ!

 

『直径100mの円から放り出されるのは一体どっちだ!?時間は無制限!!広い決闘場に残されたのはたった2人の海賊!!さァさァさァ草原を熱気が包み込むよ!仲間を奪るか奪られるか!!もう後が無いっ!!デービーバックファイト最終戦!!銀ギツネのフォクシーvs麦わらのルフィ!両海賊団主力対決にその全ての命運がかかるっ!!』

 

そして、カァーン!と高らかにゴングが鳴った。

ルフィ…構え方もボクシングっぽくなってるし。

 

「ゴムゴムのォ!」

 

「“ノロノロ”!」

 

「うわっ、あぶねェ!」

 

真正面から突っ込むルフィに向かって右手を突き出すフォクシー。

ルフィはそれを見て咄嗟に右へ跳ぶ。

 

「バカめ!!“ノロノロビーム”!!」

 

「しまっ……た〜〜〜〜ま〜〜〜ず〜〜〜〜い〜〜〜!!」

 

最初の右手はフェイクだ。跳んだルフィに向かって左手からビームを放ち、跳んでいる為直ぐには動けないルフィはそのビームに直撃し、空中で動きがノロノロになってしまった。

…あれ、当たったら本当に厄介な能力だったんだね…正直舐めてたかも…。

 

「フェッフェッ!このまま場外まで飛ばしてやる!」

 

「や〜〜〜め〜〜〜ろ〜〜〜ッ!こ〜〜の〜〜!!」

 

「ホイ」

 

とん、と宙に浮くルフィの体に飛び乗ったフォクシーが拳を構えた。

 

「九尾ラッシュ!!!」

 

「……!!」

 

まるでルフィのガトリングの様な拳の雨がルフィ自身に襲いかかる。

それはルフィに全発直撃しているが、まるでビクともしていない。

…というより、反応がノロくなっているだけだ。と言うことは…。

 

「フェーーッフェッフェッ!!挨拶がわりだ!どうせパンチそのものはさして効いてねェ。それくらい分かってるぜゴム人間!!…3、2、1…!!30秒だ!」

 

「うげばへどかぶ!!?」

 

フォクシーの能力が効力を失った今、ルフィにそれまでノロくされていたパンチの“衝撃”が一気に押し寄せる。

だけどフォクシーも自分で言っていたようにルフィはゴム人間だ。打撃は効かない!…それに、そもそも…。

 

「はァ…はァ…、くそーーっ!思った以上に厄介だな、ノロノロビーム!…ビームっていいな」

 

「まだまだ行くぞ!ノロノロビーム!」

 

「食らうか!」

 

「なに!?」

 

今度はジャンプではなく、地に足付けて高速でフォクシーの背後に回り込んだルフィが拳を構える。

こんな感じで、そもそも個人の力量差が大きいからね…卑怯な手を使える舞台ならともかくこんな平坦フィールドでルフィに勝てる訳がないよ。

 

「お返しだ!!ゴムゴムのォォ!!銃乱打(ガトリング)!!!」

 

「うぼばへっ!?」

 

無数の拳に吹き飛ばされたフォクシーに向かって飛び付き、足を掴んでぐるぐる回す。あ、これ終わったわ…。

 

「ゴムゴムのォ!(ステラ)ァ!!」

 

ごうん!と物凄い勢いでフォクシーを投げ飛ばしたルフィが、うおー!と雄叫びを上げていた。

挨拶がわりのパンチなんてしている余裕なかったと思うんだけどね、うん…。あれかな、1億の賞金首と戦ったことなかったとか?

 

…それよりルフィの決め技、空島での合体技のやつだよね。あの時は自分が星になるって意味だったけど…この技は投げた相手がって意味かな。ルフィが私の考えた技を自分用に組み替えて使ってくれるって、何か嬉しい。

 

そして、私の読み通りフォクシーはそのまま場外の海に落ちて敗北となった。

あっけないなぁデービーバックファイト…、苦戦したゲームあったっけ?

 

『ら、落下地点、フィールドの外ォ!デービーバックファイト3回戦!チームの運命を背負った船長同士の「コンバット」!オヤビン920戦無敗の伝説はここに敗れ、ゲームを呆気なく、呆気なく!制したのはなんと…!!麦わらの、ルフィ〜〜〜!!!!』

 

「まぁでも、何もなくて良かったね」

 

「本当にね…でもま、あんたが居てくれるなら私達に何があっても安心よね」

 

「そ、そうでしょ。何があっても守るよ!」

 

いきなり私を持ち上げるのはやめてもらっていいですか!心臓が!

 

 

 

 

***

 

 

 

 

海に落ちたフォクシーを救出するまで待っていた私達は、ついに勝利者として最後の指名権を渡された。

最後までパスっていうのも締まらないし…うーん…。

 

「さァ早ェトコ選べ!誰が欲しいんだ!」

 

救出されて治療を受けたフォクシーが言ってくる。

 

『指名権は勝利チーム、船長麦わら!彼ら一味はどうやら船大工を御所望の様子だよ!そうなると本命は50人の船大工のボス、ソニエか!?本能の赴くままお色気船大工ジーナ姉さんか!!?』

 

「ジーナ姉さんにしよう」

 

「やっぱりそうだよなイリスちゃん!」

 

サンジと固く握手を交わす。

あの中ならジーナ姉さんでしょ!!…ハッ…でもポルチェちゃんも…!!!

…ま、ルフィは多分人は取らないと思うけど。

 

「海賊旗をくれ!」

 

「「「何ーーーっ!!?」」」

 

「そんなバカな!迷わずおれ達の誇りを奪おうというのか!!」

 

あ、そっか、そういえばそれも奪えたんだっけ。

 

「いいよ帆は。それがねェとお前ら航海出来ねェだろ」

 

「えェ!?なんて慈悲深い…!!」

「ーーだが、帆にも(シンボル)が入ってるんだ!もうあれを掲げる訳には…!!」

「情けは無用だ!奪うもんは奪ってもらうぞ!!」

 

「……わかった。じゃあマークだけ貰えばいいんだから、おれが上から新しいマークに描きかえてやるよ。そしたら帆まで取らなくてもいいだろ」

 

そんなルフィの言葉に感動するフォクシー達だったが、ぶっちゃけ私達一味の面々はフォクシー海賊団の今後を思うと涙が出てきそうだった…。

だって…だって…!ルフィデザインって…!!

 

「描くぞ!」

 

すらすらと迷うことなく筆を走らせるルフィを見て、私はあーあ、と顔を押さえた。

ミキータやロビンは笑ってるし、ナミさんはため息を付いている。

 

「これでよし!」

 

満足げに描き終えたルフィ作のジョリーロジャーは、びっくりするくらいセンスの無い物だった。これはこれでいつも通りだから安心するよ…。

きつね、と書かれた下に最早何なのか訳がわからない…まぁ少なくともキツネには見えない動物の顔が描かれていて、その背にはアンバランスな骨がバツ印を描いていた。もしかするとこれはこれで芸術なのかもしれない。

 

案の定フォクシー海賊団の面々はがっくしと地に手の平付けて落ち込んでいる。…ま、1番穏便な最後だったかもね。

 

『…ま、まぁとにかく、勝者!麦わらの一味!!デービーバックファイト、これにて閉会〜〜〜〜!!!』

 

見た目はアレだけど、じっと見ていれば可愛く見えない事もない……様な旗を掲げて、フォクシー海賊団は海へと繰り出して行った。

…さて、私達はこれからどうしようかな。

 

 

 


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