ハーレム女王を目指す女好きな女の話   作:リチプ

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7『女好き、無双する』

「し、侵入者だァーーっ!?」

「数は!?」

「一人!ガキが一人だ!」

「ならギャーギャー騒いでんじゃねェ!みっともねェな、摘み出しとけ!」

「それがよォ!このガキ…!!くそ強いんだよッ!」

 

 

 

「てぁっ!!」

 

突っ込んでくる海賊の顔面に回し蹴りをくらわせ、後ろから奇襲を仕掛けてきた奴もその回転のまま蹴り飛ばす。

舐めてかかってきた奴らは皆足元に転がっていて、もう無謀な突撃はしてこなくなった。

 

「来ないなら、こっちから行くよ!」

 

私は集団に突っ込む。

数は総勢で百ちょいってとこだったけど、今はもう百人も居ないだろう。

 

「くそ!おい誰かあの人達(・・・・)を呼んでこい!!」

 

「あ、ああ!そうだった、まだこの船にはあの二人が居た!」

 

ん?あの二人?

クロやジャンゴ以外に誰か居たっけ、そんな強い奴。

 

「へへ…ガキだからって舐めてたが、てめェもこれで終わりだ!」

「俺らクロネコ海賊団の船の番人が出るからにゃ、てめェ殺されるぜ!」

 

「誰か知らないけど、この船に乗ってる人はみんな倒すつもりだったから出てきてくれるなら丁度いいや」

 

喋る二人の頭を掴んでお互いの頭にぶつけ昏倒させる。鈍い音のカスタネットを叩いた感覚だ。

 

「んん?侵入者はガキ一人じゃないのかい」

 

「おだやかじゃねーな。ま行くけども」

 

やがて海賊達の奥から出てきたのは、二人組の猫っぽい男だった。

一人は細く、もう一人は太く…ただこれは体型の話で、どちらにも筋肉の鎧はがっちりついてるようだ。

 

「これでてめェも終わりだな!やってくださいニャーバン兄弟(ブラザーズ)、シャムさん、ブチさん!」

 

確かに船の番人というだけあって強そうではあるが、2人組は何やら自信なさげにおどおどしている。

 

「い、いや、僕達にはムリだよ!なぁブチ!」

 

「ああ、あ、あいつ強そうだぜ、まじで!」

 

「えー…」

 

…ぶっちゃけ言わせてもらうと、すんごく胡散臭い。

いや、だって君たち自分の体格見てみ?どっからどう見ても弱くは見えないからね。しかも猫だし、猫被りとかそんなんでしょ。

 

「そんなの待ってあげるほど、優しくないよ」

 

ダッ!と床を蹴って一気に距離を詰める。まずはシャムからだ、おどおどしてる彼の顔面目掛けて蹴りを放つ。

不意打ちの攻撃なので、シャムの顔に綺麗に入って倒すことに成功した。

 

「あれ、本当に弱いの?それとも…自分たちが不意を突かれるとは思ってなかったって事?」

 

ブチがいきなりの展開で固まってるうちに、倒れたシャムの足を思いっきり踏みつけて骨を折る。これは無人島に居た時に動きが速い獣対策でよく使っていた手で、とりあえず足の骨を折っておけば意識が回復しようと何もできないからだ。

 

「そ、そんな、シャムさんが…!」

 

「これで残った強敵はあなただけ?」

 

後ろに飛び退いてブチに言葉を投げかける。

もちろん後ろに飛び退く前に近くの下っ端を数人沈めておくのも忘れない。ただでさえ人数が居るんだから、こまめにやっておかないと終わらないのだ。

 

「あなた達が出てきたら私は終わりみたいに言ってたけど…、じゃあその頼みの綱が通用しないとなれば…今度こそ本当にあなた達の終わりだよね」

 

「ぐ…まさか猫被りの俺らにすら容赦がないとは…」

 

「猫を被ってるだとかなんだとか、どうだっていいよ。どんな理由があれ、あなた達はカヤお嬢様の命を狙った」

 

何にもしてない無害な美少女の命を狙うようなやつらなんか、例え臆病だろうが泣き虫だろうが…絶対に許すつもりはない。

 

「それで、もう最終兵器はないの?」

 

「く、……あ、あれは!」

 

「ジャ、ジャンゴ船長が帰ってきたぞ!」

 

あぁ、あの催眠術士が帰ってきてしまったのか。

前世じゃ信用してなかった催眠術だけど、この世界じゃ出来てもおかしくないし…万一眠らされたりしたらその時点で負けだ。これは気をつけないと本当に危ないな…。

 

「おいおい…こりゃどういうことだ?ガキ一人にクロネコ海賊団が壊滅寸前じゃねェか!」

 

大袈裟に腕を広げて登場するジャンゴ。

警戒だけは常にしておかなければ危険だろう。

 

「船長!シャムがやられたんだよ!俺達に催眠かけてくれ!」

 

「シャムが?そりゃやべェ」

 

その言葉にジャンゴは紐をくくりつけたチャクラムのような物を懐から取り出すと、それをブラブラ揺らし始めた。

どう見ても催眠術をする前振りだ、さっと顔を背けて距離を離す。

 

「さァこの輪をじっと見ろ……!ワン・ツー・ジャンゴでお前らは強くなる。傷は完全回復し!だんだんだんだん強くなる!!」

 

「ちょっと…そんな催眠術ってありなの!?」

 

「ワーン…ツー、ジャンゴ!!」

 

ジャンゴは自分まで催眠にかからないようにサッと帽子で視界を遮った。

 

「ウオオオオオオオオオオーーーーーーっ!!!」

 

すると、ブチを始めとした船員全員が雄叫びを上げる。

なんと、足を折ったはずのシャムまでむくりと起き上がって何事もなかったかのように歩いているのだ。

 

「うそ…」

 

…傷は完全回復し、だんだん強くなる。

こんなでたらめな催眠術がアリなら、まずはジャンゴを潰さないと倒しても倒しても起き上がって、殺すしかなくなってしまう。

そうだ、傷は完全回復。痛みが無くなるんじゃない。

 

「…とはいえ、これはぼちぼち本気を出さないとまずいよね」

 

最初に闘ったガリオンやモージなどには使う必要がなく今までお披露目することのなかった私の武器、ナイフを腰から抜く。

そもそも、確かにナイフは私の得意武器ではあるのだが、人間相手に刃物なんて使ってしまうと殺してしまう確率が高くなるだけなのであまり好きではない。無人島に居た時は獣しか相手にすることがなかったから、そんなことを気にする必要も無かったが。

 

「…ふぅ、… 全・倍加(オール・インクリース)…!」

 

「んなっ!?なんだこいつはァ!?」

 

ジャンゴは私の変化に驚いて声を荒げる。

この技は3分しか効果がない上に、効果終了後はろくに戦えなくなってしまう。つまり、3分以内に決着をつける必要があるわけだ。

…それにしてもこの視界の高さ…たまらん!

 

「はぁ!十倍灰・大旋回(じゅうばいばい・だいせんかい)!」

 

まずは下っ端の頭を掴んで思いっきり振り回し周りを巻き込んで攻撃する。ある程度数が減ったのを確認し、私はぽいと下っ端を投げてまずはシャムに突っ込んだ。

 

「ウオオオ!!ネコ柳大行進!!」

 

「ぐっ…!?」

 

シャムに加勢するようにブチも加わり、爪を利用した高速の連撃を何とかナイフで捌く。

お互いがお互いの隙をカバーし合って攻撃してくるから反撃のチャンスがやってこない…なら!

 

「強引に、正面突破ァ!十倍灰(じゅうばいばい)去羅波(さらば)!!」

 

「ぐはぁっ!?」

 

ナイフを横一文字に斬りつけ、衝撃波を発生させる。

斬りつけた後のナイフの軌跡が斬撃となって飛んでいく近距離、遠距離どちらでも使える万能技だ。

近距離で使えば二連撃の技となり、今もナイフでニャーバン兄弟(ブラザーズ)の攻撃を止めた後、二連撃目の衝撃刃が二人を斬り裂いたのだ。

 

「悪いけど、時間無いから巻いてくよッ!!」

 

続けて二度目の去羅波(さらば)を放ち、ようやくニャーバン兄弟(ブラザーズ)を倒した。

 

「おい!起きろニャーバン兄弟(ブラザーズ)!明日の朝には計画を実行しなきゃ俺らはキャプテン・クロに殺されちまうんだぞ!?」

 

「キャプテン・クロね…、今は目と鼻の先に、目下最大の脅威が迫ってると思うんだけど?」

 

「くそっ!オイお前ら!もう一度よく見ろ!お前らはだんだん強くなぐぼぁぁーーッ!」

 

ジャンゴの顔面を殴り、吹き飛ばす。

これ以上面倒なことはされたくないし、何より術中はスキだらけだ、最後まで言わせなければ怖くない。

ジャンゴ単体の戦闘力はそう高くなく、今の拳で呆気なくダウンしてくれた。

 

「お、おい…まさか、嘘だろ…」

 

「船長やニャーバン兄弟(ブラザーズ)が、たった一人の女にこんな短時間でやられちまったのか…!?」

 

もはや戦意も無くなっているクロネコ海賊団の面々だが、ここで終わらせるわけもない。

私の役目は…此処に居る全ての海賊を倒すことだ、一人も逃しはしない。

ナイフを腰に戻し、指の骨を鳴らして下っ端に近づくと目に見えて慌て出した。

 

「ま、待ってくれ!強いのはよくわかった…なら、この船の宝を持っていっても構わねェ「いらない」ぐぇっ!?」

 

ガッと鳩尾に軽く拳を入れて倒す。

周りには下っ端だけとは言えあと三十人は残ってるな。

 

「私の能力制限はあと1分ってとこかな…、十分だよね」

 

もう既に怯えて縮こまっちゃってる人達を攻撃するのは流石に気が引けるけども…仕方ないよ、カヤお嬢様を殺そうとするのが悪い。

ニヤリと笑って見せると下っ端達はビクッと肩を震わせて、何ならそれだけで何人か失神した。

それから三十秒くらいで敵の全滅は完了し、全員をロープで縛り上げて私は船から降りたのだった。




すまん、シャム、ブチ…でも三刀流ゾロに瞬殺された実力を考えるとこんなものだろうと思います…。
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