合衆国召喚~星条旗異世界にはためく~   作:アスタラビスタ

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12話

中央歴1639年 4月13日

洋上 ロナルド・レーガン打撃群(CSG)

 

 

 

ロウリア王国海軍部隊への攻撃を命じられたロナルド・レーガンCSGはクワ・トイネ公国沖合に設定された遊弋地点から西に向け航行していた。

偵察によりロウリア艦隊は1日前に泊地を出港している事が確認されており、CSGはロウリア艦隊の針路を塞ぐ様に移動していた。

攻撃計画ではまず戦闘攻撃飛行隊(VFA)各隊による航空攻撃、CSGから分離した駆逐隊による艦砲射撃、駆逐艦搭載の軽空中多目的システム(LAMPS)による攻撃を実施する手はずになっていた。

ただ敵艦の総数が極めて多い為、敵艦隊が撤退を開始した時点で戦闘を停止する予定であった。

 

ロナルド・レーガン甲板上では第5空母航空団所属のF/A-18E/Fスーパーホーネットが兵装の搭載を開始していた。

ロウリア王国海軍の艦艇は近代的な艦艇と異なり木製の帆船であり、通常の艦艇攻撃に使用する高価で威力過多な LRASM(長距離対艦ミサイル)や1000~2000lbクラスのレーザー誘導爆弾ではなく安価で多数が搭載可能なAGR-20A(APKWSⅡ)レーザー誘導ロケットが選択されていた。

スーパーホーネットはこのAGR-20を7発装填するLAU-68Aを12基搭載する事が可能である。

弾薬庫では火器整備員が4.8lb(2.2kg)の弾頭を持つM229 ハイドラ70ロケット弾を分解し、誘導セクションを組み込み、それをランチャーに装填し弾薬エレベーターで甲板に上げるという作業を黙々とこなしており。

飛行甲板では火器係がスーパーホーネットへの装備を順番に行っていく。

 

アイランドの直下に位置する空母戦闘指揮所(CDC)ではロウリア艦隊の追跡を行っているE-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機(AEW)とアンダーセン空軍基地から発進したMQ-4Cトライトン広域海洋監視機からの情報がリアルタイムで入ってきていた。

そんなCDC内の司令官席にはCSG司令官であるハワード・ホワイトヘッド准将が着座しており、4面の大型ディスプレイに映し出される大勢図を見ていた。

大勢図にはCSG及びESG、CSGから分離した駆逐隊の現在地、そしてロウリア艦隊の位置が表示されており、それぞれにまた詳細な情報が付与されていた。

既に敵艦隊はCSGから西に160nm(約300km)の地点まで接近しており、駆逐隊も26nm(約50km)ほどの位置にまで進出していた。

 

「提督。攻撃隊の発艦準備が整いました。ノーマン少佐が発艦許可を求めています」

 

ハワードは制帽を一度整えてから答える

 

「随意に発進してよし、と少佐に伝えろ」

 

そう下命してから数分の間をおいてスーパーホーネット特有のけたたましいエンジン排気音と蒸気カタパルトの轟音がCDCを揺らす。

カタパルトに乗っていた最初の4機の攻撃機が発艦を完了するまで轟音と揺れは続いた。

暫くすれば大勢図上に発艦した攻撃隊のアイコンが表示されロウリア艦隊へと針路を取っていた。

 

統合参謀本部(JCS)宛に攻撃隊発進を知らせろ」

 

「了解しました」

 

 

ノーマン少佐率いる攻撃隊はE-2Dからの誘導に従いロウリア艦隊に向け飛行を続けていた。

30分ほど飛行を続ければ海面を覆いつくしそうな程の船影が確認出来た。

 

『こいつぁ、大量だな』

 

『帆船マニアなら垂涎の光景ですね』

 

『まったくだ、だがアレは敵だ。とっととデイヴィ・ジョーンズ送りにしてやろう。各機ブリーフィング通り敵艦隊の北側からアプローチを開始して任意目標を攻撃しろ。』

 

僚機にそう通信をすればスティックを倒し機体をバンクさせる。

僚機もそれに続き敵艦隊の北側に回りこむ。

敵艦隊を左手に見ながら攻撃機隊は飛行し、十二分に距離を取ってから反転する。

 

『手近な奴から狙っていこう』

 

『了解しました』

 

マスターモードをA/G(空対地)モードに変更しAGR-20レーザー誘導ロケットが装填されたステーションを2つ選択し発射モードをシングルに設定する。

前席のヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)上にレティクルが表示される。

後席ではカラー多機能ディスプレイ(CMFD)に表示されるATFLIR目標指示器からの赤外線映像を見ながら艦隊外縁部に位置する帆船の1隻、その喫水線付近をロックする。

レーザー誘導爆弾(LGB)と違い発射前からレーザー照射を開始する。

 

『目標捕捉、レーズ開始』

 

HUD上にレーザー照射された目標を示すダイヤモンドアイコンが表示される。

ノーマンはレティクルをターゲットダイヤモンドに重ねる様に機体を緩降下させながら針路を微修正する。

 

『確認した。…発射』

 

目標との距離が10,000yd(約9,000m)を切った事を確認してから、スティックの発射スイッチを押し込む。

選択されたステーションからそれぞれ1発ずつのAGR-20が発射される。

ロケットモータが1秒間のみ燃焼し、弾体を148ft/s(約160km/h)まで加速させる。

1940年代に原型が生産されたハイドラ70を母体としたこのAGR-20は所謂”バカな”兵器であったハイドラを”頭のいい(スマート)”な兵器へと生まれ変わらせた物だ。

発射されたと同時に展開された、4つの誘導翼の中程に付けられたレーザーシーカーが、それぞれが受信するレーザー反射波が均等になる様に僅か数ドルのサーボモーターが誘導翼を操舵させる。

これによりレーザー反射波の真ん中へと向かい飛翔していく。

AGR-20は寸分違わず飛翔し、目標の帆船に命中した。

木製の船体を貫通し信管が作動するまでに0.5yd(約50cm)ほど進んでから同時に4.8lb(2.2kg)の高性能炸薬が2発分炸裂する。

爆炎と爆圧、調整破片が船体の天井や床板そして外板を吹き飛ばす。

近くにいた船員は何が起こったかもわからないまま絶命し、離れた場所にいた船員も調整破片によりズタズタに引き裂かれた。

それぞれが爆風半径39ft(約12m)を持つAGR-20 2発の弾頭威力は船体長が僅か161ft(約49m)程しかないロウリア船にとって致命傷であった。

爆炎と共に船体をまさしく”えぐり取られた”ロウリア船はそのまま真っ二つに裂けていった。

上空を飛び抜けながらノーマンとエヴァはそれを確認した。

 

『こちらディーバック1。1隻撃沈した。効果は十二分だ攻撃を続行する』

 

AGR-20の敵艦艇への効果が十二分な事を母艦及び後続へと報告すれば、エンジン出力を上げ、ロウリア艦隊上空を飛び抜けて行く。

 

中央歴1639年 4月13日

洋上 ロウリア艦隊

 

 

 

ロウリア王国海軍東方征伐艦隊を指揮するシャークン将軍は目の前の光景をただ茫然と見ている事しか出来なかった。

出港した際には4,400隻を数える大艦隊であった東方征伐艦隊。

シャークンをもってして列強国パーパルディア皇国を相手にしても負ける筈ないと豪語する大艦隊が敵艦隊を目にする事なく次々と撃沈されていく、そんな光景を目にすればたとえ誰であろうとも同じ事になっていただろう。

悪夢の始まりは1時間ほど前に飛来した4騎の鉄竜であった。

北の方角からやってきた鉄竜はワイバーンよりも遥に速く空を駆け、その両翼が煌めいたかと思えば船が大爆発を起こし沈んでいった。

はじめこそ、たかが4騎と考えていたシャークンであったがその鉄竜が8騎、12騎と増えていくと額には脂汗が浮かび手にも震えが走っていた。

そんなシャークンに追い打ちをかけるような報告がマスト上部に居る見張り員から届く。

 

「東の水平線上に船影!」

 

「なんだと!?」

 

船影との報告にシャークンは震える手でもって持ち上げた望遠鏡を覗き込んだ。

距離がある為詳細は分からなかったが自分達が操る帆船とは全く異なる形である事はわかった。

マストと帆ではなく巨大な構造物が船体の上にあり、更にその上にマストの様な物が見えた。

 

「あれが船なのか…?」

 




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