合衆国召喚~星条旗異世界にはためく~   作:アスタラビスタ

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17話

中央歴1639年 4月18日

ロウリア王国 ジン・ハーク

 

 

王都防衛騎士団に今年から配属されたばかりの新米騎士マルパネウスは城壁監視塔へ続く石畳の道を駆け足で移動していた。

現在王都防衛騎士団は昨日のビーズルへの攻撃を受け24時間の警戒態勢を取っていた。

特に最も外周の城壁に設置された監視塔は敵の早期警戒の為に全ての監視塔へ人員が配置されていた。

マルパネウスは早朝から昼頃までの組み分けとなっていたが、昨晩隊の同僚らと酒場でエールを引っ掛けていたせいで少しばかり寝坊してしまっていたのだった。

決して軽いとは言えないチェインメイルを着込み、左腕で兜を抱え、右手には槍を持っているマルパネウスは息を切らしながらも駆けていた。

 

「ハァッ…! ハァッ…!まずい…まずい!、先輩に怒られる!」

 

監視塔まであと100m程になった瞬間、監視塔が突然爆炎に包まれた。

一瞬遅れて炸裂音が鳴り響き、マルパネウスは思わず倒れこんでしまう。

倒れた際にぶつけた額を右手で押さえながら監視塔を見やる。

そこには上層階部分が吹き飛び、瓦礫と化した監視塔があった。

 

「い、いったいなにが!?」

 

そんな呟きをかき消す様に今度はその右隣りの監視塔が吹き飛ぶ。

再度の爆発にマルパネウスは兜を被り、伏せて縮こまる様に身を守った。

3度目の爆発が起きた時、やっと王都中に緊急事態を告げる鐘の音が響いた。

 

 

 

中央歴1639年 4月18日

ロウリア王国 上空

 

 

日が昇り始め、朝焼けに空が染まる中、高度19,000ft(約6,000m)380kt(約700km/h)で飛行する機影があった。

ややずんぐりむっくりとした胴体にひし形の主翼と水平尾翼を持ち、少し外側に傾斜した2枚の垂直尾翼を持った単発機。

第3海兵航空団所属のF-35B ライトニングⅡ垂直離着陸戦闘機だった。

USSワスプを発艦した、このF-35は胴体内ウェポンベイに8発のGBU-53 ストームブレイカー精密誘導爆弾と2発のAIM-120C-7AMRAAM中距離空対空ミサイル(BVRAAM)を搭載していた。

が、既にGBU-53は2発を投下しており、残弾は6発であった。

またこの機以外にも更に3機のF-35が同様の兵装を搭載し任務についていた。

 

『2よりリード。目標への命中を確認した。』

 

「リードより2。こちらからも確認した、4箇所目をやる」

 

編隊長はそう言えば、旋回待機させていた機を爆撃コースに乗せる為、スティックを倒し針路を変更させた。

そして目の前の大型ディスプレイに表示されている戦術マップから次の標的を選択する。

すると自動的に機首下部に設置されているAN/AAQ-40 EOTS目標捕捉・指示器が標的にキューイングされる。

兵装の選択とウェポンベイが開放された事を確認すれば、スティックの兵装発射スイッチを押し込んだ。

 

「ニトロ1、投下(Bombs away!)

 

GBU-53がラックから切り離される振動が射出座席を僅かに震わせる。

GBU-53は機体から数百フィートほど落下した所で滑空用の主翼を展張させ、シーカーを保護していたカバーが分離される。

まずGBU-53は慣性誘導装置(INS)により目標へ向け針路を取った。

とはいえほぼ直線上での投下であった為、針路調整の必要は殆どなかった。

誘導翼が小刻みに動き針路と姿勢を安定させる、そして命中まであと十数秒となった所で母機のEOTSから誘導用レーザーが照射される。

レーザーの反射波を検知したシーカーはその役目を確実に全うした。

標的となった監視塔に命中したGBU-53はその運動エネルギーにより、外壁の石材を貫通し主翼を吹き飛ばしながら信管が作動するまでに2フィート(約60cm)ほど進んでから起爆した。

100lb(約45kg)の高性能炸薬は、監視塔を構成する石材をいとも簡単に吹き飛ばし、同時に監視塔の中にいた数名のロウリア王国軍騎士を物言わぬ肉片へと変えた。

目標への命中と破壊を確認すれば司令部へと通信を入れる。

 

「ニトロ1より、キャッスル。目標 4箇所を破壊した」

 

『キャッスルよりニトロ。了解した、間もなくアリゲーター及びブルドッグが攻撃に移る、要請があり次第支援するように』

 

「ニトロ1了解した、IP フォックストロットで待機する」

 

 

 

中央歴1639年 4月18日

ロウリア王国 ジン・ハーク

 

 

王城内の廊下をパタジンは足早に移動していた、本来ならばまだ起床する時間ではないのだが、突如鳴り響いた爆音と警報の鐘の音で一瞬にして叩き起こされたからであった。

そして一刻も早く現在の状況を把握すべく臨時指揮所に駆け込む。

 

「状況はどうなっている!」

 

「はっ!現在、第1城壁の第16から19監視塔が攻城魔法と思われる攻撃により完全に破壊されました」

 

「この短時間に4箇所もやられたのか!?敵の規模は?」

 

「まだ敵影は確認出来ていないとの事ですが…」

 

軍師がそう答えた所で、魔信器に着いていた通信兵が声を張り上げた。

 

「第15監視塔から報告!北側の5kmの丘陵に敵影らしきものを確認したとの事です!」

 

「らしきものとはどういう事だ!正確に報告しろ!」

 

通信兵の曖昧な報告にパタジンは声を荒げた。

 

「それがどうも報告が要領を得ないもので…」

 

「…まぁいい、いま動かせる部隊は?」

 

「歩兵部隊および重装歩兵部隊は現在招集中でしばらく時間が掛かります。魔導砲部隊と地竜部隊も同様です。ただ軽騎兵部隊は哨戒予定だった200騎と呼び戻している200騎の計400騎が対応できます」

 

軍師からの報告にパタジンは少し考えてから指示を出す。

 

「よし、騎兵部隊にすぐに出陣を命じろ。まずは敵部隊の正確な規模と装備を知りたい。ただ無理に交戦する必要はないからな、そして軍師はそれを見て策を考えろ、いいか敵の些細な行動も見逃すな、弱点を探し出しそこを突く!」

 

「ははっ!」

 

パタジンの指示を聞いた軍師は周りの騎士や通信兵に指示を出していく。

そんな姿を見ながらパタジンは呟いた。

 

「今日は王国史上もっとも長い一日になるな…」

 

そんな呟きは指揮所の喧騒にかき消され誰にも届くことはなかった。

 




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