合衆国召喚~星条旗異世界にはためく~   作:アスタラビスタ

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6話

中央歴1639年 4月4日

ロデニウス大陸

 

 

 

古来から空を飛ぶという事は人類にとっての夢であった、しかし翼を持たない人類には到底叶えられない夢であった。

人は自らでは叶えられない夢を、翼を持つ生物を使役する事によってなしとげた。

彼らはワイバーンと呼ばれる生物を駆り上空13,000ft(約4000m)までを掛ける事が出来ていた。

しかし空はまだ遥か高く存在し、その終わりを見た者は居なかった。

そんな遥か高い空、成層圏と呼ばれる高度120,000ft(約37,000m)を音速の8倍で飛行する物が居た。

それは二等辺三角形の主翼に楕円の胴体を持ちステルス塗料を微妙な濃淡に塗り分けた特徴的な塗装を施され標章はなかった。

それはSR-91オーロラと呼ばれる機体であった。

オーロラは人の手の届かない遥かな高みから機体の偵察機器ベイに格納された偵察機材を用いて地上のありとあらゆる記録を取っていった。

偵察記録の電子データは地上もしくは空中の中継装置を経由しアメリカ合衆国本土の国防総省(DoD)国家偵察局(NRO)国家安全保障局(NSA)中央情報局(CIA)といった複数個所に送信され各分野の専門チームによる分析が行われ合衆国もしくは同盟国への脅威となりえるものがないかを確認される。

 

 

 

中央歴1639年 4月5日

アメリカ合衆国 ワシントンD.C.

 

 

 

ホワイトハウス地下 2階の大統領要旨説明室(ブリーフィングルーム)ではここ2か月間に於ける各省の活動に関する報告が行われていた。

 

「―――以上が過去2 か月での経過になります」

 

2か月前に合衆国はこの世界に転移後初の国交を樹立し、国交を結んだクワ・トイネ公国の仲介でクワ・トイネ隣国のクイラ王国とも間を置かずに国交を結んでいた。

両国とも地質調査で膨大な地下資源が確認された事と隣国のロウリア王国との関係から採掘権の会得を条件に安全保障条約を締結していた。

そんな国務省からの現状説明が終了すると国防総省からの説明に移っていく。

レンツ国務長官が着席すると変わってボーウェン国防長官が立ちあがる。

大型ディスプレイの画面が切り替わり国防総省(DoD)のシンボルが表示される。

 

「まずですが懸念事項であった、衛星資産に関する報告です」

 

画面が切り替わり、軌道表示の画面に切り替わった。

衛星の軌道を示す波線とそれをなぞる光点が数組確認出来た。

 

「現在USA-292レーダー(Topaz)偵察衛星及びUSA-293光学(KH-13)偵察衛星各1基並びにこれを支援する為のUSA-294、295衛星データシステム(Quasar)衛星 2基の軌道上への投入に成功しています」

 

ボーウェンが読み上げる事に各衛星がハイライトされていく。

 

「これにより最低限でありますが衛星偵察資産が復旧しましたが、依然監視覆域には大幅な穴が開いたままになっています。SATCOM(衛星通信)に関しましてはUSA-296から297までのWGS(広帯域グローバル通信衛星)の軌道投入に成功しています。NAVSTAR(GPS衛星)に関しては来週に初号機の打ち上げを予定しております。…次にですがこちらを」

 

ボーウェンがそこまで説明し画面の切り替えを促すと画面が切り替わり高度330ft(約100m)ほどで撮影した様な鮮明な空撮画像が表示される。

オブライエン大統領はミネラルウォーターを一度口に含んでから質問を投げ掛ける。

 

「これは一体どういった映像だ?」

 

「この映像は偵察衛星の監視覆域を補う為にトウノパから交代で飛ばしているオーロラ戦略偵察機が昨日ロデニウス大陸上空から撮影したものになります。この映像が撮影された時偵察機はロウリア、クワ・トイネ国境上空120,000ft(約37,000m)にいました」

 

ボーウェンはそう説明しながら胸ポケットからレーザーポインタを取り出しディスプレイへと向ける。

 

映像が動き出し森林地帯と草原が画面の上から下へと流れていく。

森林地帯が見なくなってから暫くするとなにか白色をした円形もしくは長方形の何かが無数に映り始めた。

その何かがちょうど画面を埋め尽くす所で一度映像が止まる。

 

「ここはロウリア、クワ・トイネ国境から西に約31mi(約50km)の地点になります。この映像に映っている白色の物は天幕と思われます。」

 

そう言いながら無数の白色の円形・長方形をレーザーポインタの赤い星でなぞっていく。

天幕の周りには人影と思われるものは無数におり数万は下らない事は分かった。

 

「これは全てロウリア王国軍の兵士です。数はおおよそ35~40万と思われます」

 

ボーウェンの説明にオブライエンは眉をひそめた。

 

「40万?確かか?」

 

「はい大統領。これはロウリア王国軍の動員可能戦力の8割にあたります」

 

「これは大規模な演習か?」

 

「いいえ、大統領。これは明確な侵攻準備です。ロウリア王国は国軍として約30万を保有し。他に各所領がそれぞれ領軍として兵力を保有しており。確認出来た兵力から考えて各所領からも兵員をかき集めています、そして…ここです」

 

映像が進み天幕が途切れた一角を映し出す。

そこには四足歩行で大地に立つ恐竜の様な生物が最低でも十数匹は居た。

 

「情報がないのでクワ・トイネ公国軍務局にも照会を実施していますが所謂ドラゴンの一種とみられます。そしてこの一角も興味深いものがあります」

 

レーザーポインタが移動し、開けた場所の一角を指す、そこには車輪付きの台座に乗せられた前装式大砲と思われるものがこれもまた十数門あった。

 

「これは我々の事前情報に全くなかったものです。自国開発したのか供与されたかは分かりませんが、この準備からしても兼ねてから懸念されていたクワ・トイネ、クイラ両国への侵攻作戦が進行中である事は確実と考えています」

 

ボーウェンからの説明を聞き、オブライエンはこめかみを数回叩いてから口を開く。

 

「状況は理解した。我が国が取るべきオプションは?」

 

「プランAは空軍による先制攻撃です。幸いロウリア王国軍はまだ国境まで距離があり民間人居住区もない事から最も確実かつ大打撃を与えられます。プランBは越境を待ってからの防御戦闘からの逆侵攻作戦です。これは敵軍が侵攻ルート毎に分散してしまう点とクワ・トイネ公国領内である事から緒戦での民間人への被害が懸念される事です。クワ・トイネ公国との安全保障条約に正確に則るのであればプランBが議会からの反発も低いでしょう。プランCは外交交渉による解決を模索です」

 

ボーウェンから3つのプランを提示され、オブライエンはしばし考えこむ。

 

「…プランB、Cでいこう。レンツ、至急両国にこの件を伝えるんだ。ヨムキプールと湾岸の二の舞はご免被るからな、それとロウリアには我が国の方針と意思を間違いなく分からせるんだ。ボーウェン、部隊の編制と移動を進めてくれ、それと戦闘計画の立案もだ」

 

「わかりました、大統領」

 

「承りました」

 




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