合衆国召喚~星条旗異世界にはためく~   作:アスタラビスタ

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8話

中央歴1639年 4月11日

ロウリア王国 国境地帯

 

 

 

クワ・トイネとの国境まで約3kmの地点でロデニウス大陸統一軍の先遣隊は開戦前の最後の野営を行っていた。

野営地のそこかしこで焚火が炊かれ野営地全体を明るく染め上げていた。

全ての将兵に十二分な食事と酒が配給され、明日の戦いに向けて士気を高めていた。

そんな野営地を見下ろす小高い丘の上に先遣隊の将校用の天幕はあった。

その天幕の一つで先遣隊の副将を務めるアデムは酒瓶を傾け笑みを浮かべながら伝令に明日の指示を伝えていた。

既にアデムの頭の中には勝った後の事しかなかった。

アデムが任されている先遣隊は軽装歩兵、重装歩兵をはじめ、騎兵や魔導士を含めた地上部隊3万余であった。

加えてこの日の為に用意したと聞いている地龍も4頭配備され、竜騎兵に至っては150騎もの数が割り振られていた。。

 

「明日ギムを落とした後は好きにしなさい」

 

「好きに…ですか」

 

「ええ。女子供を犯し、嬲るも。男は腹を掻っ捌いて首を落としも構いません…あぁ、ワイバーンや地龍そして魔獣の餌にするのもいいかもしれませんねえ、餌代もタダではないですから亜人共を餌にすれば一石二鳥でしょう」

 

アデムが嬉々として語り、それを聞く伝令は顔を蒼白にしていた。

 

「住民は皆殺し…いや…幾らかは嬲った後に解放しろ。クワ・トイネ中に恐怖を伝播させるのです」

 

「はっ!」

 

その命令を聞けば伝令は一目散に天幕を出ていく。

アデムはその背中を見送れば酒瓶を煽り一層笑みを深くした。

 

 

 

中央歴1639年 4月11日

クワ・トイネ公国 クサナイ空軍基地

 

 

 

クサナイ空軍基地に設置されたアメリカ・クワ・トイネ軍合同司令部にはアメリカ陸海空軍の将校やクワ・トイネ公国軍から派遣された将官が詰めていた。

指揮所では数十人の要員が動き回り各部隊からの連絡や補給の手配などに追われていた。

そんな指揮所後方にある幕僚席ではクワ・トイネ派遣軍司令官であるベンジャミン・ローマー少将が報告を聞いていた。

 

「現在ロウリア王国軍先遣隊は国境まで1.8mi(約3km)の地点で野営を実施しています。明朝には国境を越えるものと思われます」

 

「こちらの部隊の展開状況は?」

 

「は、第68装甲連隊第4大隊A(アルファ)中隊はすでに予定通り、ギムに到着し現地のクワ・トイネ公国軍と共に防御配置についております。第319砲兵連隊第3大隊もギム後方に展開完了しております。第82航空連隊第1、2大隊はFOB(前方作戦基地)ゼブラにて待機しており、明朝 FARP(前進燃料補給点)ヤンキーに進出し攻勢開始まで待機します」

 

 

【挿絵表示】

 

 

参謀の報告にローマーは頷く。

 

「海軍連中はどうだ?」

 

第5空母打撃群(CSG-5)はクワ・トイネ沖合100nm(約180km)を遊弋中です。要請があり次第何時でも攻撃を行えます。第7遠征打撃群(ESG-7)第5空母打撃群(CSG-5)の後方30nm(約55km)に位置しています」

 

「わかった、ありがとう。少尉。さて諸君、明日は忙しくなるぞ」

 

 

 

中央歴1639年 4月12日

クワ・トイネ公国 国境地帯

 

 

 

薄く朝靄が掛かる中、ロウリア王国軍は満を持して国境を越えるべく進撃を開始した。

ロウリア王国軍はパイク部隊を第1戦列として第2列に重装歩兵を中心とした近接部隊、第3列に弓兵や魔導師、魔獣使いなどを配し、第4列にはカタパルトや破城槌に加え地龍などの特殊な物を配置した陣形を組んでいた。

野営地から出発し約1時間後、ロウリア王国軍はクワ・トイネ国境を越えた。

国境を越えたにも関わらずクワ・トイネ公国軍がなにもしてこない事に兵士達はもとより将校でさえも「亜人共は我らに怖気づいて逃げたのだ」という嘲笑が広がっていた。

そんなロウリア王国軍を遥かな高みから監視する目があるとも知らずに。

ロウリア王国軍の上空19,000ft(約6000m)をレース・トラック・パターンで飛行するのはアメリカ陸軍所属のMQ-1CグレイイーグルER無人偵察機(UAV)であった。

MQ-1Cは12時間前に監視任務を開始してから夜通しロウリア王国軍の動向を機体下部の第3世代赤外線監視装置(Gen.3 FLIR)とAN/ZPY-1 STARLiteレーダーの合成開口(SAR)モードで絶えず監視し、その全てを中継機を通してクサナイ空軍基地の統合司令部へと送り続けていた。

 

 

 

中央歴1639年 4月12日

クワ・トイネ公国 クサナイ空軍基地

 

 

 

クサナイ空軍基地の駐機場は慌ただしさに包まれていた。

グレイイーグルによってロウリア王国軍の越境を確認した司令部は攻撃機隊の発進を命じていた。

駐機場では既に兵装の搭載を終えていた第36戦闘飛行隊(36th FS)のF-16CM全20機はタキシー・ウェイ(誘導路)を滑走路へ向け進んでいた。

F-16CMは全機がAIM-9Mサイドワインダー短距離空対空ミサイル(SRAAM)2発とAIM-120C-7 AMRAAM中距離空対空ミサイル(BVRAAM) 4発に加え、 AGR-20A(APKWS)を装填したLAU-131 ロケット弾ポッド 2個と誘導の為のAN/AAQ-33 スナイパーXR目標指示・照準器(TGP)そして300ガロン増槽を装備していた。

F-16CMは各飛行隊事に滑走路に進入しアフターバーナーの炎を煌めかせ離陸していく。

そんなF-16を愛機であるF-15Eストライクイーグルのコックピットから見るのは第391戦闘飛行隊(391th FS)隊長レックス・チャーロ少佐だった。

チャーロ少佐は機付き整備士が最後の点検を終え、兵装係が搭載兵装から安全ピンを抜き活性化状態にするのを待っていた。

乗機のF-15Eは兵装としてAIM-9M サイドワインダーSRAAM 4発に加え、地上攻撃用にMk.82バリュート付高抵抗爆弾 26発を満載していた。

すると後席から兵装システム士官(WSO)のリック・オコンネル中尉がチェックリストを片づけながら声を掛けてくる。

 

「まさかアフガンのテロリスト共の次に戦うことになるのが異世界なんて思ってもみませんでしたよ、少佐殿」

 

「ああ、全くだよリック。俺は今度の休暇でキョウトに旅行に行く予定だったんだ。」

 

「それは災難でしたね…チェックリスト全項目OKです、少佐」

 

「了解した」

 

オコンネルからチェックリスト完了の報告を聞くと同時に機付き整備士が準備完了を知らせてくる。

タラップが外され、必要な要員以外が機から離れた事を確認するとエンジン始動手順を進める。

まず左のプラット&ホイットニー製F100 -PW-229ターボ・ファン・エンジンが甲高いファンの回転を響かせ回転数が必要数に達した事を確認すれば右も同じように始動する。

左右のエンジンが問題なく始動した事を確認すれば外部電源から機内電源へ切り替えを行い、ハンドサインで機外のAPU操作員に知らせ機材と人員が離れた事を確認する。

 

「TEWSモードチェックOK、INS整合完了、航法・照準ポッドOK、兵装チェック…OK」

 

チャーロはシステムチェックを実施し問題ない事を確認すれば管制にコンタクトを取る。

 

『クサナイ・タワー、こちらゴーストライダー1、タキシング許可を求む』

 

『ゴーストライダー1、滑走路18までE3、E1経由でのタキシングを許可します』

 

『ゴーストライダー6、滑走路18までE3、E1経由でタキシングする』

 

タワーからタキシング許可を得るとスロットルを僅かに開けF-15Eを進ませる。

F-15Eが誘導路を進み滑走路が近くなった所で管制塔から指示が来る。

 

『ゴーストライダー1、滑走路18への進入後、離陸を許可。風は方位1-8-0から2kt』

 

『ゴーストライダー1、滑走路18から離陸する』

 

滑走路に進入すればチャーロはスロットルをアフターバーナー位置に叩き込み、機体を加速させる。

兵装を満載したF-15Eはアフターバーナーの凄まじい力でぐんぐんと速度を上げ、速度が200kt(約370km/h)を過ぎた所で機首を上げ離陸していく。

完全に脚が離れた所でギアアップし、着陸脚が振動と共に格納される。

高度が1500ft(約460m)を越えた所で後ろを振り返れば後続の僚機が続々と離陸してきていた。

第391戦闘飛行隊(391th FS)はクサナイ空軍基地上空で編隊を組み、待機していたKC-46空中給油機から給油を受けた後、国境沿いの街ギムへと針路を取った。

 




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