魔法少女ぶらぼ☆マギカ   作:Ciels

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まどかは幸せな家庭で育ってきたから愛情たっぷりな彼女になると思います(願望)


上位者転校生

 

 

 

 次の日の朝。学生の本分は勉強にあると言い伝えられる通り、まどかとさやか、そしてマミはこの地にある学舎……中学校という所へ通う事となる。

 昨日のマミの家での説明会はその後、滞り無く終わった。ややマミの私を見る目が乙女と化した事以外、異常は無い様に見えた。なお、キュゥべえに関しては勧誘のため一時的にまどかの家にお世話になるそう。

 そうそう、マミとキュゥべえ曰く、魔法少女というのは私が予想した通り血生臭い存在らしく、魔女を倒した時に精製されるグリーフシードを巡って対立する事も多々あるらしい。啓蒙された知識によれば、魔法少女は定期的にソウルジェムをグリーフシードで浄化しないと生きられないそうだ。

 なるほど、マミ達はあの暁美ほむらという少女がキュゥべえを襲った原因が、新しい魔法少女が増えたら不味いからだと思っているのか。彼女は曰く、利己的な魔法少女で、取り分が減るのが困ると……

 

 人間とは、こうも表面的な事実でしか物を見れない存在であったか。笑わせる。

 私はまともな人間の記憶は無い。確かにヤーナムでは数名の人間は比較的まともだが、それでも死んだり発狂したりと、日常から照らし合わせればまともではない人物しかいないだろう。最終的に、あのオドン教会の男とアリアンナが一番まともだった。まぁ、両人とも姿なき上位者の影響を酷く受けていたが。

 

「じゃあ人形ちゃん、行ってきます」

 

 そんな思考はさておいて、私は狩人の夢のとある墓石の前で人形ちゃんに別れの挨拶をする。彼女はお辞儀をした後、小さく手を振ってにっこり笑った。

 

「行ってらっしゃい、狩人様。貴女の目覚めが、有意でありますように」

 

 そんな彼女に私も手を振ると、ローファーの爪先をトンっと地面に押し付けて整え、転送した。

 そう。今日、私は自分の知る限り初めて学校へと行く。昨日の今日で随分と準備が早いが、その辺はまぁ上位者的な力で上手いこと調整して見せた。姿なきオドンがあの男を無意識的に操っていたように、私もまたあの世界の役人どもを支配し、都合の良い様にでっち上げて見せたのだ。

 これから向かう見滝原中学校に想いを馳せる。ああ、きっと若くて美しい乙女達が大勢いるのだろう。まどかもさやかも、そしてマミも。皆が美しいのだから、その友達も美しいに決まっている。

 

 やはりウィレーム先生は正しい。学び舎は学問と百合を育てる場所。彼はヤーナムにてその事実に辿り着いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後方に座るまどかを見つめる。彼女達は私の視線に気がついている様で、まどかはやはりたじろきながら、そして美樹さやかは何を吹き込まれたのかこちらを警戒して睨み付けている。

 私はそんな二人の存在を懸念しつつ、昨日の出来事を振り返る。何にせよ、特大イレギュラーが発生したのだから、気が気でなかった。

 キュゥベえを仕留めきれなかったのに加え巴マミまで出て来てまどか達と接触してしまった。挙げ句の果てにあの百合の狩人とかいう不審者……彼女が一体何者であるにせよ、見逃しておくには情報が少な過ぎた。

 今までこんな事は無かった。近隣から仲良しレズコンビがまどかを狙いに来た事は幾度かあったが、それも探ればすぐに身元が分かるような類だ。だが、あの百合の狩人という魔法少女に関しては、寝ずに情報を得ようとしても何も得られない。巴マミの家から尾行しようとしても、いつの間にか消えてしまっていた。

 

「ふぅ……」

 

 心労で溜息が出る。ただでさえやる事が多いのに、追加で仕事を増やされる身になって欲しいと、後ろで私を睨みつけるアホに恨み言を吐きそうになった。

 そうこう考えているうちに、ホームルームの時間に。相変わらず先生は彼氏に振られた事を根に持って喚いているが関係無い。私としては、今日の放課後以降の活動をどうするかを考えなければーー

 そんな、学業なんて二の次である私の耳に驚愕の事実が飛び込んでくる。

 

「今日も皆さんに転校生を紹介します!」

 

「は?」

 

 素の声で、私は言ってしまった。転校生?この時期に?ちょっと待って欲しい。確かに私も変な時期に転校してきたからその件に関しては何も言えないが、転校生?そんなの、今までのループでは無かったではないか。

 私は乱れに乱れる頭をなんとか整理して、とにかくその転校生が魔法少女問題に関わりの無い人である事を祈る。

 

「それではどうぞ!」

 

 先生の誘導で扉が開き、私の新鮮な転校生という肩書を奪っていく輩に注目した。そして今度こそ、私は精神的苦痛で吐きそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「転校生を紹介します!」

 

 先に教室へ入った先生がクラスメイトに告げる。私、自称百合の狩人は夢広がる学生生活に心躍らせながらその時を静かに待っていた。

 この近未来的刑務所みたいな学校は、壁がガラスになっている。そのせいで私は他のクラスメイトのオス共から嫌らしい目つきで見られたが、我慢の時だ。もうすぐ私の百合天国のための大いなる一歩を踏み出すのだから。

 先生が転校生の存在を告げたために教室が騒がしくなる。私は教室内から見えない様に秘薬を飲みながら、今か今かと待つ……男子め、女子が良いなどとほざくなよ。

 

「それではどうぞ!白百合さん!」

 

 そうして、この地での私の名が呼ばれた。私は生まれつきの良い声を用いて返事をし、扉を開ける。宇宙は教室にある!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 流れる様な銀髪をポニーテールに結い、気品溢れる歩き方でその転校生はやって来た。

 きっと日本人では無いのだろう、その顔立ちはとてもでは無いが東洋人には見えない。美しい、ヨーロッパ系の美少女だった。雪の様に白い肌に翠の瞳、胸こそは私とどっこいどっこいだが、スタイルはとてつも無く良い。女の私が惚れてしまいそうなくらいの……艶っぽさがあった。

 彼女はゆったりと先生の横まで歩くと、生徒達に正対する。そして氷の様に冷たそうな、それでいて慈悲に溢れた笑顔で言った。

 

「初めまして皆様。この度転校して参りました、白百合マリアと申します」

 

 あの白百合の狩人が、とんでもなく良い声でそう言った途端に私は半ば白眼を剥いた。

 

 

 

 

 

 

 

 名前を告げ、御辞儀をする。ちなみに御辞儀は人形ちゃんを参考にしている。すると教室がなぜだか静まり返った。

 何か悪い部分でもあっただろうか。それなりに礼儀正しくやったつもりだが……何せ人間の、しかも子供のことだ。何か気に触る事があったのかもしれない。

 だが、私の心配は杞憂だったようだ。突然クラス中から歓声と拍手が上がる。

 

「おお、素晴らしい!」

 

「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 主に男子達から。中にはワカメのような髪をした女子が、キマシタワー!宇宙よ!と叫んでいる……考えたくは無いが、私を見たせいで発狂しかけているのだろうか。だとしても、関係は無いが。

 混沌とした教室を先生が鎮めると、私についての情報を語る。いや、騙る。

 

「白百合さんはイギリスからの転校生ですので、日本の土地には不慣れです。皆さん仲良くしましょうね」

 

「ええ。私、日本は初めてですから。仲良く、しましょう?」

 

 妖しげにそう言うと、ごくりと男子とワカメ女子が生唾を呑んだ。ふむ、あの女子は啓蒙が低いが見所がある。リストに加えておきましょう。

 おや、よく見ればまどかもさやかもいるでは無いか。まぁそう調整したからなのだが。そして……

 

「ふふ……」

 

 なぜか半分白目になっている暁美ほむらに笑いかける。ああ、そんな顔をしないで。綺麗な、お人形さんみたいな顔が台無しよ。いや待て、汚してこんな顔になったと考えればそれはそれで……

 啓蒙の低い邪な考えが頭を過ぎる。それはいけない。百合落ちは素晴らしいが、今私が考えたのは百合ものに男が出てくるくらいに邪道だ。ウィレーム先生は嘆くだろう。

 

「席は暁美さんの横になります」

 

 そう宣言され、ようやく我に帰るほむら。物凄く警戒している彼女の横の席に腰掛けると、お隣さんであるほむらに笑いかけた。

 

「よろしくね。暁美さん」

 

「っ……」

 

 まるで番犬のように牙を剥く彼女だが、それを無視して振り返り、かなり後ろの席にいる魔法少女候補二人に小さく手を振る。彼女達は少し困惑していたが、ほむらとは違い手を振り返してくれた。素直な少女は可愛い……ほむらも、きっとそうなる。

 

 

 さて、お昼時になればまどかとさやかと三人でお食事タイム。私の今日のお昼は人形ちゃんに作ってもらったサンドウィッチだ。食材はしっかりとこの世界で買った物で、調理は狩人の夢で行った。

 人形ちゃんは料理が初めてだったようだが、一緒に作ったから不味いという事にはならないだろう。

 

「いや〜、しかし驚いたよ!まさか白百合さんが転校生だったなんて」

 

 さやかがお弁当を食べながら言う。豪快な食べっぷりは見ていて気持ちの良いものだ……あらあら、口元にケチャップがついているわよ。舐めたい。

 

「マリアでいいよ。私も皆が一緒で驚いたよ」

 

 我ながら白々しい。今の私は狩人では無い。見滝原中学2年の白百合マリアだ。口調は変わるさ。ちなみにマリア様から名前をお借りしたが、違和感無いだろう。

 

「だから百合の狩人だったんだね〜。えっと、マリアちゃん」

 

 ああもう、まどかは可愛いなぁ。小動物のような愛らしさを持つまどかは今のところ私の百合天国リストの最有力候補だ。そのうち彼女も狩人の夢に御招待しよう。キュゥべえが見えると言うことは、啓蒙も多少持ち合わせているだろうしね。

 

 そして会話は、魔法少女の願いについて移行する。というか、マミは遠くから見ているだけで良いのだろうか。せっかく友達になれそうなのに。

 

「しっかし意外だな〜。願い事なんてすぐに決まると思ったのに」

 

 さやかが青空を仰ぎ見ながら言う。二人とも、願いはまだ決まっていないようだった。それもそうだろう、命をかけてまで叶えたい願いなど……この時代に早々ありはしない。ましてや物を知らない少女達なら。

 私はそんな、若さに溢れる少女達の言葉を、滅多に見ることのなかった青空を見ながら聞いていた。

 

「色々やりたい事考えたけど、いざ命かけるってなったらなぁ」

 

「うん……そうだね」

 

 やはり、幸せに生きてきた少女達に命懸けの狩りは荷が重い。キュウべぇは大抵の少女が二つ返事で承諾すると言うが、さやかは自分を嘲笑った。

 

「きっと、馬鹿なんだよ」

 

「へ、そうかな」

 

「そう、幸せ馬鹿」

 

 独白するように、さやかは大人びた……それでいて多感な思春期でしか感じ取れない心を持って言う。

 

「きっと珍しく無いはずだよ、命をかけてまで叶えたい願いなんて。そう言うの抱えてる人って、世の中大勢いるんじゃないかな」

 

 自らの師の仇を討った男を思い出す。彼はきっと、死んでもあの女王を殺したかったに違いない。だからこそ、見ず知らずの私を利用したのだろう。

 檻を被った狂信者を思い出す。現実の自分が干からびようが、脳に瞳を授かりたかったのだろう。

 思えばヤーナムの民は皆、死と願いは切っても切れないのかもしれない。ならば私は?百合天国を達成するまでは、何度でも死んで見せよう。きっと、かつて青ざめた血を求めていた私も等しくそう考えていたんだろうさ。

 

「だから、それが見つからない私達って、その程度の不幸しか知らないって事じゃん」

 

 フェンスを握る手に力が籠る。

 

「幸せ過ぎて、馬鹿になっちゃってるんだよ」

 

 私は立ち上がり、さやかにゆっくりと寄っていく。

 

「どうして私達なのかな……こういうチャンス、欲しい人はいっぱいいるはずなのに」

 

 そっと、外を向く彼女を後ろから抱きしめた。フェンスを掴む彼女の手を、優しく包み込む。そして耳もとで囁くように諭した。

 

「君の心は美しい」

 

 ぞわりとさやかの心を震わせる、私の声。

 

「さやか、君の言いたいことはわかるよ。君は不幸を知らず、与えられた大きな分岐に心が揺れているんだ。そうして、自己嫌悪に陥っている」

 

「そう、かな」

 

「そうだとも。でもね、さやか。もっと自分の心と向き合い給え。君の心は君にしか分からない。君が自己嫌悪を抱く事もまた、本心なのだろう」

 

 少女の心は美しい。それ故に脆いのだ。

 

「だからこそ、物事の一面だけを見ないで欲しい。君は可能性に満ちた少女なんだ。じっくり悩め、そして決めるのだ。その意思は、人間であることの証明さ」

 

 少しばかりの啓蒙を与える。彼女は純粋故に頑固すぎる。もう少し、周囲を見るべきなのだ。

 さやかは身震いした後、落ち着いたように頷いた。まどかはちょっとヒヤヒヤしながらそれを見ていたが……大丈夫、彼女が百合に落ちる時は、君もまたそうであるから。

 

「さて。それでは是非とも魔法少女の先輩である君にも御教授願おうか」

 

 不意に私は屋上玄関に視線を向けて語った。そこには漆黒の闇……ではなく、黒が似合う暁美ほむらが神妙な面持ちで立っていたのだ。

 それを見たさやかの行動は早い。曰く、ほむらはまどかをつけ狙っているらしく、いち早く彼女を守るように動いたのだ。私はまたベンチに腰掛け、足を組んで彼女を見据えた。

 

『大丈夫』

 

 警戒するさやかに、遠くから見守っていたマミがテレパシーで語った。やはり私の啓蒙は魔法少女の脳波ですら読み取れるようだ……素晴らしい!

 というかマミよ、狙撃に自信があるのか知らないが、君もこちらに来たらどうだね。

 

 こちらに歩み寄るほむら。私とマミのいる位置を目だけで一瞥した後、さやかの言葉で足を止めた。

 

「昨日の続きかよ」

 

「いいえ、そのつもりは無いわ。そいつが鹿目まどかと接触する前にケリを付けたかったけど……今更それも手遅れだし」

 

 ほむらの心の奥に暗い炎が陰る。その炎で炙るのは、言うまでもなく。

 

「で、どうするの。貴女は魔法少女になるつもり?」

 

 ほむらはまどかに問いかける。しかしまどかは狼狽えるのみ……しかしまぁ、物の言い方がなってないな、彼女は。数多の可能性の内に思いやる言葉すら薄れたか。

 

「あんたには関係ないでしょ!」

 

 騎士であるさやかが吠える。それを無視して、再度ほむらは問う。

 

「昨日の忠告、覚えてる?」

 

「……うん」

 

 それを聞いていくらか安堵したのか、ほむらは瞳を閉じて踵を返す。

 

「ならいいわ。忠告が無駄にならない事を祈ってる」

 

 去り際に言うと、今度はまどかが意を決して問うのだ。

 

「ね、ねえほむらちゃん!ほむらちゃんはどんな願い事をして魔法少女になったの!?」

 

 問われると、ほむらは歩みを止めて振り返った。その表情は冷徹なままだが、確かに私には燃えたぎる熱意をかんじられる。ほう……君もまた、私と同胞なのか。分かるよ、まどかは甘い物だ。

 ほむらはそれから何も言わずに屋上を去る。残された私達はその姿をただ見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後、喫茶店。私達、魔法少女見習い及び狩人はこの後に控える狩りのために集合していた。少女的に言えば、まさしくお茶でしかないのだが。

 しばらく雑談し、お茶とお菓子を楽しむとマミが言った。

 

「さて。魔法少女体験コース第一弾、張り切っていきましょうか。準備はいい?」

 

 マミがそう言うと、さやかはバッグから金属バットを取り出す……それを見てマミと私は苦笑いした。

 

「何もないよりはマシだと思って!」

 

「まあ、そう言う覚悟は大切だと思うわ」

 

 張り切るさやか。私は少し真剣に考え、そして彼女を観察した。それをどう受け取ったのか知らないが、さやかはさっと身体を手で隠す。

 

「……君がどう思ったのかは聞かないでおこう。しかし、それで狩りに挑むのはいささか無謀だね」

 

「うわ、またマリアの口調が変わったよ」

 

 狩人モードの私に少し引いているさやかを置いておき、私の思考は自らの夢の武器庫にアクセスする。夢を見れる狩人は、そこに必要なだけ物をしまっておける。それを使ったに過ぎない。

 そこから私はとある武器を取り出す。レイテルパラッシュ、と呼ばれたシンプルな仕掛け武器である刀剣だ。

 

「これを使うといい。君は運動が得意そうだから……」

 

「ちょ、ちょっと白百合さん!しまって!」

 

「あ、ああすまない……つい地元のように武器を出してしまった」

 

 慣れというのは怖い。いつも当たり前のように武器を持っていたから、現代日本という武器の取り扱いに厳しい環境には慣れていないのだ。学校でも、手ぶらな状態では落ち着かない物だった。

 私は急いでレイテルパラッシュをしまうと、しょぼくれたように縮こまった。

 

「あはは……ま、まぁ私のこと考えてくれたんだもんね、ありがと」

 

 さやかにフォローされる。そんな自分が情けないが……

 

「ま、まどかは何か持ってきた?」

 

「わ、私は……衣装だけでもと思って」

 

 そう言ってまどかは鞄からノートを取り出す。そこに描かれていたのはファンシーな魔法少女姿の私たちの絵……

 それを見て、さやかとマミは苦笑いする。少女達からすればこの絵はあまり好ましくないのだろうか。だが、私は……

 

 急速に啓蒙が高まる。一種の、カレル文字にも似た作用が私の体内にもたらされた。脳に刻んでもいないのに、脳の瞳が震える。絶頂にも似た多幸感が私の身体を襲ったのだ。

 全身の血管から血の槍が伸びそうになる錯覚をおぼえ、しかし不快なものではなかった。

 

「か、か……」

 

「か?」

 

 震える私を皆が見つめる。

 

「可愛いぃいいいい……ああまどかぁ、貴女は、君は、可愛いのねぇえええ!!!!!!」

 

 宇宙を見た気がした。ただの落書きにしか見えないこの絵に、私は確かに百合の宇宙を見た。

 まどかの手を取り、私の頬に擦り付ける。

 

「ああ、この手が宇宙をもたらしたのね……美しいわ……」

 

「ひゃ、ま、マリアちゃん!?」

 

「ちょっとあんた何してんのさ!私の嫁から離れろー!」

 

 まどかの手をとる私を引き剥がそうとするさやか。そんな我ら百合の子孫たちを見て、マミは今後が不安になりつつも苦笑いした。

 




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