魔法少女ぶらぼ☆マギカ   作:Ciels

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叛逆の物語編


Live While We’re Young
夜明け


 

 

 宇宙は広い。その宇宙飛行士は窓から外を見上げる。眩い星々が漆黒の宇宙の中で輝いていて、母なる星である地球はそんな光景に感動する彼を嘲笑うかのように青く小さい。

 通信機が鳴り響く。地上管制から打ち上げが成功した事に対する賛辞と、新聞記者達が彼の着ているシャツを気にしているという俗っぽい言葉が投げかけられた。そして勇気を抱いて船外に飛び出せという命令も。

 だから彼は、一人震えそうになる心を抑えて宇宙服に身を包み、扉を開ける。そしてその事を地上管制に伝えた。フワフワと浮いて妙な感覚だと、そしていつも地上から見上げる星々が、なんだか今日は違って見えるのだと。

 

 それは正しい。宇宙は彼を歓迎している。この高次元の暗黒の中、一人飛び立った勇気のある彼を。この暗黒は元々人々の内にあるのだから。遠路遥々同胞がやってきたのを歓迎しない者達がいるだろうか。

 

 そして遥か彼方の宇宙から地球を見下ろす彼は思うのだ。

 惑星地球は青い。そしてこの壮大さの中で、自分ができることは何もないのだと。それは宇宙に魅了されたものが持ち得る一つの感性。神秘に触れ啓蒙を得た証。

 

 もう10万マイルは飛んだはず。それでも彼の心は平穏に包まれていた。それは母なる温もり。深淵という微睡に浸かる喜び。実感はない。しかしそれでも、彼は宇宙に抱かれている。

 彼と旅する宇宙船は一体どこに向かっているのだろうか。最早彼はその操舵を放棄しているのだから。行き着く先を知るのは宇宙船だけ。そしてそれを操る未知の女神だけなのだ。

 

 だから地上管制にお願いをするのだ。妻を愛していると。きっと妻は分かってくれているはずだが。

 彼は宇宙に恋してしまったのだから、許されるはずもない。彼は恋した女神に導かれるまま宇宙を漂う。

 

 地上管制から彼を呼ぶ声が聞こえる。トラブルが起きたと混乱しているようだったが。彼は意に介さずにただ浮かぶ。女神に抱かれながら。少女達を愛した女神に連れられ、男は愛されずともその女神に恋をしたのだから。

 

 

 

 私は今、宇宙船で月の裏側を漂っている。母なる地球は青い。そして私にできることは何もないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ━━蛇の村の館の中。(In the villa of Ormen)蛇の村の館の中。(In the villa of Ormen)孤独な蝋燭が一本佇んでいる。(Stands a solitary candle)

 

 

 耳にするヘッドホンから曲が流れてくる。どうにも不気味で魅惑的なサウンドは多感な時期の私の脳に響いてしまうようだ。世間ではもっと女の子らしい曲などザラにあるというのに。

 

 

 ━━あぁ、あぁ。その全ての中心には。(At the center of it all)その全ての中心には。(At the center of it all)君の瞳が。(Your eyes)

 

 

 瞳を開けば夜の静寂さが街を包んでいる。暗い帳の中に煌くビルの光は人の時代の象徴だけれども、それでも闇というものの本質は拭い去れない。その中で、私の赤い瞳だけが屋上に光っているのだから、不気味なのは曲よりも私だろうか。

 エレクトロニカとジャズが混ざり合う曲は夜に良く似合う。私は徐に立ち上がると車が行き交う道路を見下ろした。数々の車はやはりライトを付けていて、遠く離れた屋上からはまるで蛍の光のように見えて幻想的だ。きっと写真を撮ったならば良い作品が生まれるだろう。

 

 

 ━━処刑の日。(On the day of execution)処刑の日。(On the day of execution)女達だけが膝をついて微笑むのだ。(Only women kneel and smile)

 あぁ、あぁ。その全ての中心には。(At the centre of it all)その全ての中心には。(At the centre of it all)君の瞳が。(Your eyes)

 

 

 制服から、闇に紛れるような漆黒の衣装を身に纏う。少女らしくはないだろう、地味で写り映えのしない私の衣装はそれでも戦いには向いているのだ。

 ゆっくりと両手を広げ、眼下に広がる蛍の光を受け入れる。今日は一段と瘴気が濃い。人が悪夢を見るにはうってつけの夜だろう。

 

 

悪夢を狩るには良い夜ね(Today is a good to hunt the nightmare)

 

 

 身体を傾け、眼下の闇に堕ちていく。浮遊感、疾走感、自由感。その全てを受け入れ、私はただひたすらに蛍に向かい堕ちていくのだ。

 左手に弩を、右手に剣を。少女らしくない実戦的な武器を携え。私は悪夢に飛び込んでいく。マントが風に揺れ、私の銀髪が靡く。自慢の銀髪はお姉ちゃん譲りでかっこいいでしょう?

 

 そして向かうは戦場。メルヘンに彩られ、しかし死の匂いは濃く。それはまさに悪夢の辺境。哀れな落とし子共を狩りに、私達は向かうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その悪夢は、追い詰められていた。人々が深層心理の中で生み出した悪夢として実体を持ち、代理人として暴れ呪いを撒き散らす存在として生み落とされた彼らの性質は暴虐だが。立ち塞がった桃色の少女が放つ数々の矢が彼又は彼女の進路を塞いだのだ。

 生まれて一日、されど戦いには容赦など持ち得ない悪夢は応戦することもできずに撤退を余儀なくされる。そして命辛々路地裏に逃げ込み、今後の事を考える暇も無く。

 

「ナイスまどか!」

 

 今度は青色の少女と赤色の少女の待ち伏せに遭った。今度こそ悪夢は応戦しようと試みたが、どうにもこの二人のコンビネーションの前には自身の戦いをし辛い。青い剣を避ければ赤い槍が縦横無尽に飛んでくる。またもや悪夢は逃げに徹する事しかできない。

 それでも悪夢は逃げ続ける。時折斬り刻まれそうになりながら、突き刺されそうになりながら、それでも悪夢は命辛々薄暗い屋内に逃げ込んだ。ここならば襲われる方向が分かり易いと、考えた結果だ。

 

 それが悪夢にとって最悪の一手だと知らずに。

 

 

 コツ、コツ、とブーツの音が暗闇に響く。それが追手だと悪夢が気がつく頃にはその正体も見えるというもの。

 それは、少女ではなかった。黒尽くめの、不吉な格好をした少年。手には一振りの大剣と古い散弾銃。それは今まで対峙した少女達とは異質なほどにかけ離れている。それでも悪夢は応戦しようと身構えて、少年はトンガリ帽子とマスクのせいで見えない顔を歪ませて呟いた。

 

「今宵もまた、人々の悪夢で満ちている。ククク……素晴らしいじゃないか。我ら狩人の本領発揮という訳だ」

 

 言うや否や、彼の手にする大剣が青く光り輝く。まるで宇宙に浮かぶ月のように。もしかすれば、一番不味い相手と当たってしまったかと悪夢は後悔した。そしてそれは正しい。

 剣では届かない距離で少年はその大剣を振るった。刹那、迫る月光の光波。悪夢はそれを間一髪避けるとプライドも何もかも捨てて窓を突き破り逃げ出す。

 あの光波を打ち出す瞬間、少年の瞳を見て感じた。あれは先ほどの少女らとは比べものにならない程に狂っている。悪夢が他人に狂っているなどと感想を抱くのもおかしな事だが、狩人というものは皆そういうものだ。血に酔い、狩に優れ、狂っているものだろう?

 

 そうした逃亡が功を奏したのか、あの少年達は追ってこないようだった。悪夢は逃げ延びた裏路地でホッと一息入れると、その場に項垂れる。まさか悪夢が悪夢を見るとは思いもしなかった。そして自分もまた人の呪いの産物であるが、やはりその呪いを心に抱く人間こそが一番恐ろしいのだと震える。

 

 

 

 

「やぁ。瘴気の元は君かな?」

 

 

 

 

 一閃。突然真上から少女が落ちてきた。悪夢は考える事もできずにバッサリと腕を斬り落とされる。

 落ちてきた少女は、先ほど出会した少女達とは対照的な色合いだった。さっきまで襲ってきた少女達はそれなりにカラフルで、いかにも女の子が好きそうな衣装だったのに。目の前の少女に関しては質素そのもの。

 それどころか、闇に紛れる事を意識しているようにも見える。それでいて、身体の機能を阻害しないように。そう、いつでも戦えるように整えられた服を着て。

 

 悪夢は逃げ出そうとして、少女の隠し玉である弩に足を射抜かれる。それは徹底した狩。転がる悪夢に少女はゆっくりと近づくと剣を向ける。

 

「こんなに瘴気も濃いんだから。悪夢の一つや二つ現れるわよね」

 

 その時だった。生存の危機に瀕した悪夢が、自身の口から煙を吐き出したのだ。煙幕のように立ち込める煙は容易に悪夢の身体を包み込み、その存在を秘匿する。黒尽くめの少女は煙を吸うまいと手で口を覆って悪夢を探すが、時すでに遅し。

 

「あぁっと!これは!一体悪夢に何が起きたんだァーッ!?」

 

 そんな少女の背後から、やかましい声が響いた。それはどこか見覚えのある茶髪の少年。彼はその肩に白い宇宙の使者を連れ、大袈裟にその場で起きた事象について解説しだす。

 

「こ、これは!あの悪夢、生命の危機に瀕して進化したんだ!死にたくない一心で瘴気を口から出して煙幕にするなんてッ!敵ながら天晴れな戦法だぜェー!」

 

「キュー!」

 

 少年の大声解説に耳を塞ぐ少女。その顔はうんざりしている。

 

「タツヤ、うるさい」

 

「おいおい、そんなに邪険にしなくていいじゃあないか!俺だって君達が戦っている中、必死にサポートしようとしているんだぜ!」

 

 タツヤ。そう呼ばれた、解説役の少年がオーバーリアクションで嘆く。一人だけジョースターの世界から飛び出てきたような少年は、しかしすぐに心を入れ替えると周囲を見渡す。

 

「しかし一体どこへ!?ここら一帯は街外れ、逃げる場所も限られているッ!」

 

「心配しなくても、あとはマミ達がやってくれるよ」

 

 鞘に剣を納めながら少女は路地から出る。どうやらもう少女には今宵戦う気はないようだ。

 

「おいおい!いくらあの魔弾の魔法少女巴マミでも、今回のナイトメアは危険だぜ!あの上条恭介からも逃げ切ったんだ!なぁキュゥべぇ!?」

 

「キュー!」

 

 やたらとコンビネーションが良い二人に、少女は呆れたようにため息を吐いてみせた。

 

「それ、マミには絶対言わない方がいいよ」

 

 そう言って少女は跳躍してこの場を後にする。タツヤと呼ばれた少年とキュゥべぇは慌てるように彼女に走り追い縋った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やぁ!俺は鹿目タツヤ!見滝原中学校に通う弓道部の二年生!得意科目は体育で苦手な科目は数学!最近の悩みは事あるごとにうるさいって言われる事かな!

 さて、俺はひょんなことから人間の呪いの権化であるナイトメアに襲われてしまった!絶体絶命のその時、俺の前に現れたのはなんと双子の姉で魔法少女である鹿目まどかだった!驚く俺に姉ちゃんやその友達である魔法少女達はこの街で起きる数々の不思議な事件を説明してくれた!そして正義感溢れるこの俺は、彼女達の助けとなるべくマスコットであるキュゥべぇと一緒にサポートをしているんだ!

 

 って、そんな事は今はどうでもいい!今は現れたナイトメアをどうにかしなきゃならない!黒尽くめの魔法少女リリィが言うには巴先輩達が後は片付けるらしいが、俺は楽観視しないタチでね!人々の暮らしを守るためならなんだってするぜ!

 

 おっと、とんでもない速さでジャンプしていくリリィが止まった!あれはどこかのアパートか?きっとナイトメア達はあそこにいるに違いない!行くぜキュゥべぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナイトメアは運よく空いていた窓から屋内へと入った。ここはどうやらアパートの一室のようだ。追手は見えないから、しばらくここで休んで戦力を回復することにしようとする。

 そうして壁に寄りかかり、休もうとしていた折。この場所がとても奇妙であることに気がついた。電気のついた一室。それは良い。だが人は居らず、それどころか真夜中だというのに朝食を作るような音がキッチンからしてくる。

 不思議に思い、悪夢はキッチンへと赴く。そこにいたのは二人の少女だった。黄色の衣装に身を包み、二つに結んだ金髪をロールさせている美少女。そしてもう一人は、深緑の衣装を着こなし野菜を切る少女。

 

 流れてくるレコードの音に合わせ、金髪の少女が歌う。

 

「私は朝の夢を見る」

 

「まだだめよ、まだだめよ」

 

 合わせて緑色の少女が歌う。

 

「何色の朝が来る?」

 

 不意に背後から歌が聞こえた。それは一番最初に襲ってきた桃色の少女。彼女はパンの入ったバケットを手に楽しそうに歌う。

 

「まだだめよ、まだだめよ」

 

 桃色の少女はパンを一つ悪夢に放る。釣られるがままに悪夢はそのパンを食した。極上の味。

 

「まだ夜は食べかけよ」

 

 また少女が増える。今度は青い剣の少女と赤い槍の少女。二人はそれぞれ鶏肉とリンゴを手にし、歌いながら悪夢に食材を投げる。

 

「眠っている子は」

 

「どこにいる?」

 

 まだだめよ。悪夢はお腹を空かせてそれらを食していく。

 

「まだだめよ。眠っている子に朝ごはんを」

 

 気がつけば、悪夢の手を両断した少女が食材をテーブルに並べていた。

 その間にも少女達は食材や飲み物を手に悪夢を囲んでいく。気がつけば、金髪の少女の肩に潜んでいた悪夢のような物体がテーブルの上の食材を散乱させた。悪夢は驚き飛び退こうとするが。

 

 

「さぁ、おはよう。悪い夢はこれっきり」

 

 

 金髪の少女が放った一言で、夢は醒めて行く。

 朝が来れば朝食を。そして開けない夜はない。夢とはいつか醒めるもの。人の呪いは朝の幸せへと還元される。

 

 

「決まったァーッ!ピュエラマギホーリーセプテッドの必殺技ァ!」

 

「キュー!」

 

 遅れてやって来たタツヤとキュゥべぇが叫ぶ。同時に悪夢が晴れていく。それは魔法少女達の戦いの終わり。夜明けだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚ましの音と共に、私は眼が覚める。時計を見ればもう7時。今日は月曜日。なら、後は分かるかな?学校へ行かなければならない。

 布団から手だけを伸ばして目覚ましのボタンを叩く。本当に目覚ましの音というものはトラウマになる。このまま永遠に眠っていたいが、仕方なく私は布団を蹴飛ばして窓から入る風を浴びる。

 清々しい朝だ。ひんやりとした風と、暖かな日差しがミックスされて気持ちが良い。窓から身を乗り出して思いきり背伸びすると、私は両手で頬を叩いて気合を入れる。

 

「よしっ!」

 

 寝巻きのまま、私は部屋を出て階段を降りる。そしてリビングの扉を開けると一言。

 

「おはよう」

 

 私の挨拶に、その場にいた家族が順番に答える。

 

「おはよう、リリィ。もう朝食はできてるから着替えなさいな」

 

 台所に立つ、深紫の紙を一本に束ねた母が言った。わたしは頷いて隣の部屋に入って学生服に着替える。

 先にテーブルに着いて新聞を読みながらコーヒーを啜る父が私に挨拶する。

 

「おはよう。昨日は夜更かししてたのか?」

 

「どうして?」

 

「クマ、できてるぞ」

 

 鏡で顔を見てみれば、父の言うように確かに目の下に隈ができている。やはり夜更かしは美容の天敵だ。肌の白い私なら尚更だろう。

 ため息混じりに席に着けば、家政婦ロボの人形ちゃんが紅茶を出して来た。私は笑顔でお礼を言うと、紅茶を飲む。暖かく深みのある紅茶は目覚めの一杯としては最適だ。だが、飲み終える前に母が思い出したように言った。

 

「ねぇリリィ、お姉ちゃん起こして来て。まだ寝てるみたいだから」

 

「なんだ、姉妹揃って夜更かしか。男でもできたのか?」

 

「もう、違うってば。お姉ちゃん昨日は遅くに帰って来てたから。残業してたんだって」

 

 言いながら私はリビングを後にして階段を勢い良く上る。そして姉の部屋に辿り着き、扉を開けた。

 目にするのはカーテンを締め切り布団に包まる姉、マリア。大きな時計塔を模した目覚ましに手だけを伸ばしているところを見るに、多分機能は果たしたのだろう。本人は止めるだけ止めて二度寝したが。

 

 私はカーテンを開けて陽の光を布団に浴びせる。それでも起きない姉だが、私は勢い良く布団を剥がして姉を起こしにかかった。

 

「起きろー!」

 

 だが姉は猫のぬいぐるみを抱いたまま唸って縮こまるだけ。

 

「うぅ〜……あと五分……いや一時間……」

 

「会社遅れちゃうよ?またまどかのお母さんに怒られるよ」

 

「それは……嫌……」

 

 寝坊助な姉の会社の上司は友達の鹿目まどかの母親。相当勝気な人らしく、姉は上司を恐れている。

 猫のぬいぐるみを取り上げ、未練がましく手を伸ばす姉の手を引っ張ってベッドから引きずり出す。

 

「もう!早く起きてってば!」

 

「う〜ん……」

 

 嫌々姉は立ち上がると、重い足取りで部屋を出た。その隙に私は布団を畳んでぬいぐるみを定位置に戻す。

 

「ちゃんとしてれば美人なのに」

 

 困ったように私は呟くとリビングへと降りた。

 

 

 

 

 

 

 朝食を終えて姉と歯を磨く。普段から眠たそうな瞳をしている姉だが、やはりその切れ長の二重目蓋は見ていて惚れ惚れする。私も姉に似て美人な部類だが、それでも姉には劣るだろう。

 そんな羨望にも嫉妬にも似た眼差しを長身の姉に向けていると、歯ブラシを咥えた父がやって来て私達の間に割って入った。そして歯磨き粉塗れの唾を洗面台に吐き捨てるとそのままうがいをする。

 

「もう、お父さん汚い!」

 

「んん?男は皆そんなもんさ」

 

 そう言って軽く流す父は、まるで犬のように顔を洗い出す。

 

「もう!二人ともお母さんと人形ちゃん見習ってよ!」

 

「私もかい?」

 

「ズボラな所はお父さん譲り!」

 

 一緒にされて嫌がる姉を断言する。こうして白百合家の一日は始まる。どこにでもある家庭の一ページ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、家を出れば通学路にて友達を待つ。昨日はナイトメアが出たせいであまり眠れなかったから皆寝坊しなければいいんだけど。

 一人そんな不安を抱えていると、青と赤のコンビがやって来る。美樹さやかと佐倉杏子だ。二人とも私のクラスメイトで、とある事情で親が居ない杏子はさやかの家に養子として住んでいるのだ。

 

「おっすリリィ」

 

「おうリリィ、おはよー」

 

 元気そうな二人に私は手を振る。

 

「おはよう二人とも。よく眠れた?」

 

 そう問いかけると杏子はわざとらしく欠伸をしてみせた。

 

「ぶっちゃけ眠い」

 

「あんたはいつも朝は弱いでしょ」

 

 杏子の一言に突っ込むさやか。つまりはいつも通りだ。そしてもう一人、忘れてはいけない友達がやって来る。

 肩に私達魔法少女のマスコット的存在であるキュゥべぇを乗せ、二つに縛った桃色の髪を靡かせてやって来るのは鹿目まどか。彼女は焦ったように走っていて、やって来るや否やごめーんと謝る。

 

「待たせちゃった!?」

 

「ううん。今来た所。仁美は?」

 

 私が尋ねれば、さやかが後方を指差す。そこには恋人である上条恭介を連れた志筑仁美がいた。彼女達とは度々別々に登下校している。ラブラブな二人を邪魔しちゃ悪いとさやかが気を遣っているのだ。

 それにしても、さやかも恭介が好きだったのによく手を引いたものだ。私だったら嫉妬しちゃって見ていられないだろう。

 ちなみにここにいる友達に加え、仁美も魔法少女だ。そしてその隣にいる上条恭介も、魔法少女と戦いを共にする狩人と呼ばれる正義の味方。まぁ、狩人はちょっと戦い方が血腥いけれど……恭介は眠そうな目蓋を擦り仁美に引っ張られながら登校している。

 

「上条くんも大変だね〜。ナイトメアと戦いながら勉強もしてバイオリンも練習しなきゃいけないし」

 

「いいのよあいつはそれで。やりたいことやって満足してるって。さ、行こうか」

 

 さやかの提案に頷き、私達は通学路を歩く。宿題の事とか、今日の授業の事とかを話しながら、真っ当な女子中学生らしく私達は学校へと向かうのだ。

 と、その時。背後から誰かが走って来る。振り返ればまどかの双子の弟、鹿目タツヤが血相を変えて走っていた。

 

「おうおうおう!なんで俺を置いてくんだ姉ちゃん!」

 

 息を切らして膝に手をつくタツヤが問うと、まどかはちょっと怒ったように腕を組んだ。

 

「何回起こしても寝ちゃうからでしょ!」

 

「キュゥべぇもいつのまにか姉ちゃんのベッドに行っちまうしよォ〜、俺とお前は相棒だろう!?」

 

「キュ〜」

 

 そんなタツヤを冷ややかな目で見るキュゥべぇ。私達は苦笑いし、彼を加えてまた足を進める。いつも通りの登校風景だった。

 

 

どこまで書いたら良いかアンケート取ります。反映するかしないかは気分です(横暴)

  • アニメ本編のみ。あともうちょい
  • 叛逆。展開は変えるかもしれません
  • 叛逆後も。クオリティ低し(断言)
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