やる気に繋がるので感想もお待ちしてます
相も変わらず先生は恋愛に苦戦しているようだ。ホームルームではいつものごとく今回も彼氏に逃げられたらしい早乙女先生が発狂し、自らの恋愛観を余す事なく語り中沢くんがその被害者と化している。
そして最近流行のマヤの予言を引用し、世界は滅びるだの恋愛や男女関係が無くなればそれでいいだのと喚いているのだが。まぁ、つまりはいつも通りの日常というわけだ。
「2050年までに何が起こるでしょうか!はい、中沢くん!」
「えっ!?」
先生に当てられた中沢くんが慌てた様子で苦笑いしている。それに対して答えなど持っているはずもなく、しどろもどろしている彼に先生は失望したようなため息を溢した。
一体なんの話を聞かされているのだ私達は。面白おかしいが、父がこの話を聞けばきっと税金の無駄遣いだとか教育費を返せだとか皮肉めいた言葉と合わせて言うに違いない。
「うぇはは……今日の先生すごいね……」
「ありゃ既のところで逃げられたんだろうね……」
「見ていて辛いですわ……」
「腹減ったなぁ」
まどかとさやか、仁美そして杏子がテレパシーで会話をしている。しかし杏子は心底興味が無いようで昼ご飯の事しか考えていないようだ。あの子らしいが。
いつになっても終わらないホームルームだったが、その時教室の扉が開かれて一人の男性が入って来た。それは我が校のイケメンランキング1位との呼び声が高いALTの外国人の先生。一体どこで買ったんだと言いたくなるホストのような白いスーツを着こなし、彼は話に夢中である早乙女先生の横でわざとらしく咳払いをしてみせる。
「コホン、早乙女先生?」
「あら良い男……い、いえ先生!?」
本音を漏らす早乙女先生だったが、その時彼女はハッと何かを思い出したようだった。それはきっと、ALTの先生の背後にいる女の子の事だろう。噂でしか知らないが、転校生だ。
早乙女先生は我に帰り、転校生の手を引いて教壇に上がらせる。
「今日は転校生が来ています!」
「忘れてたね……」
思わずボソリと呟いてしまうがまぁ良い。テンションの高い先生に紹介されたのは、長くて艶やかな黒髪を三つ編みにした眼鏡っ子の少女だった。かなりの美少女……思わず生唾を呑む。昔から、私は美少女に弱い。
転校生はお辞儀をすると、ハキハキとした様子で自己紹介をする。
「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
良い響きの声だった。それこそ姉に負けないくらいの美声。ますます興味が湧いて来た。
「暁美さんは心臓の病気でずっと入院していました。久々の学校で戸惑う事もあるでしょうから、皆さんも助けてあげてください」
外国人の先生が笑顔で説明する。なるほど、病弱キャラか。随分とキャラを盛るじゃ無いか……匂い立つなぁ。堪らぬ少女の匂いで誘うものだ。えづくじゃないか……あれ、このは誰の言葉だったか。思い出せないが、きっと何かの小説だろう。
と、その時。暁美さんが耳元の髪をかき上げた。その仕草に惚れそうになるが、それよりも興味深いものは。
魔法少女の指輪。彼女の薬指には確かに指輪が嵌められていた。
「ごめんなさいね、みんなをびっくりさせたくて」
昼休み。屋上にて食事を取る私達は微笑むマミの言葉に驚かされる。どうやら彼女は暁美さんが魔法少女である事を隠していたらしい。動機は彼女らしいが、それならそうと予め教えて欲しかったものだ。
お弁当を食べる暁美さんは困ったように笑い、
「本当は昨夜のうちにご挨拶しなきゃいけなかったのに……」
と申し訳なさそうに言う。繊細な子だ、別に彼女を咎めようとする子がいるわけでもないのに。
ああ、とすればあれか。昨日の悪夢狩りで一人気配が多いような気がしたのはもしかして……
「昨日の戦いでマミや仁美と待ち伏せしていたのって、君?」
私が尋ねれば、彼女は頷いた。
「ご名答。こっそり暁美さんにも手伝ってもらってたのよ。彼女の魔法凄いのよ、コンビネーションで攻撃力を何倍にもできるんだから!」
新しい仲間が増えたからか、マミがいつになく興奮気味に言って見せた。それに対し暁美さんは謙遜した様子で首を横に振る。
「わ、私にできるのはサポートだけで、攻撃力はからきしですけど……」
そんな事はない。基本的に私達ピュエラマギホーリーセプテッド(命名主マミ)は戦闘力に特化した集団だ。サポート要員は常日頃から欲しかったし、それにこんな純朴そうな女の子なんだから……ね。
邪な感情が出そうになったが、そんな時さやかが暁美さんをフォローするように言った。
「でも頼もしいじゃん。ここんとこナイトメアも大物ばっかりで手こずらされてたからさ」
「実力は昨日で証明済み……ってことならね。あたしも別に文句はないよ」
「黒髪おさげの美少女……キマシタワー!」
仁美は相変わらずだ。ともあれそう言われ、暁美さんは笑みを浮かべて喜んだ。
「改めまして……暁美ほむらです。これから皆さんと一緒にこの街のナイトメアと戦います。どうかよろしく」
暁美さんが頭を下げて一礼した。私とまどかはそんな彼女に駆け寄り、互いに手を取る。
「こちらこそ!これから一緒に頑張ろうね、ほむらちゃん!」
「君はもう私達の友達だから、遠慮しないで何でも言ってね」
心からの一言だった。新たな仲間の歓迎。暁美さんは驚いたが、すぐに満面の笑みを見せて頷いた。
あぁ、これぞ青春。中学生の身にとって魔法少女という仕事は辛いものがあるが、それでも得るものは多い。そして仲間との出会いは、何にも変え難いものだ。
しかし見れば見るほど美しい……この手も、実を言えば好きなだけ舐めていたいがそんな事をすればこの関係性もあっという間に崩れてしまうだろう。いや待てよ、ワンチャン彼女も私と同じく少女好きという可能性も……
「リリィさん?だめよ、変な事考えちゃ」
と、そんな熱意をマミの一言で遮られる。ぎくっと私は身を震わせて暁美さんから渋々離れる。そしてマミの手を取った。そして膨れっ面で嫉妬しているマミの頬にそっと唇を付ける。
「そんなに嫉妬しなくても、マミが一番好きだからね」
「ちょ、ちょっと!みんなの前でやめてよ!」
カァッと顔を真っ赤にして恥ずかしがるマミだが、握った手を離さない所を見るに満更でもないのだろう。
仁美はキマシタワー!といつも通り興奮し、さやかや杏子は茶化すようにお熱いねぇ、なんて言っているが、初めてこの光景を見る暁美さんはマミ以上に顔を赤らめて沸騰する。無理もないだろう。
「わわっ!さ、白百合さんと巴さんって……ええ!?」
私は見せつけるように横からマミを抱きしめると、ふふんと笑って暁美さんに言って見せた。
「少女同士の恋愛は、嫌いかな?」
決まった。そして百合の花が咲き乱れる。私の脳内で、だが。暁美さんは戸惑いつつ興奮しつつも、ぎゅっと手を握り締めて言う。それはまるで決意を固めたように。
「お、女の子同士の愛情も、アリだと思います!」
それを真横で聞いていたまどかは目をキラキラさせて妖艶に微笑む。あれは火のついた時の目だ。まどかめ、私には分かっていたぞ。君が実は百合が大好きだってことがね。
まどかは親しみを表すように暁美さんに抱き付いた。びっくりした暁美さんはそのまま固まるが。
「ま、まどか!?」
「うぇひひ、ちょっとしたスキンシップだよ〜」
その割には妙にベタベタしてないかな君。
「あら、騒がしいと思ったら。巴マミとその金魚の糞じゃない」
突然、そんな声が響いてくる。聞き知ったその声の方を向けばやはりと言うべきか、厄介な人達がそこにはいた。私達ピュエラマギホーリーセプテッドのライバルである魔法少女三人組、クワイア・オブ・ザ・コスモスだ。
先頭に立つ帰国子女で金髪ハーフの魔法少女、星野さんはねっとりと暁美さんを見ると鼻で笑う。
「魔法少女の転校生がいると聞いて来てみれば……フン、地味ね」
「ちょっと星野さん!」
同級生のマミが当然ながら怒った。それを意に介さず、彼女は両手を腰に当てて踏ん反り返る。
「それに比べ私のリリィ……ふふ、貴女はいつ見ても美しいわね」
「星先輩……相変わらず清々しいくらい悪役ですね」
呆れたように私は言った。彼女は昔からやたらとマミに因縁をつける魔法少女なのだが、何を隠そう彼女は私に惚れている。中学で最初に会ったその時から、彼女はやたらと私にベタベタして来たしその度にマミが嫉妬したものだ。こんな人が生徒会長なのか我が校は……
そんな星野さんの背後から困ったように笑って仲裁に入る人がいた。それは副生徒会長の美国織莉子先輩だ。高飛車な星野先輩と比べ彼女は聖人だ。思慮深く、穏やかで。しかし悪夢には一切の躊躇はしない冷酷さを併せ持った魔法少女。
「ごめんなさいね。星野ちゃん、転校生が来るって聞いてずっとそわそわしてて。巴さん達のチームに入るって聞いたから拗ねちゃってるの」
「織莉子、やめなさい」
所業をバラされて顔を赤くした星野さんが制止するも時すでに遅し。杏子とさやかは彼女を指差して笑っている。それに対し星野さんもプルプルと怒りを隠せないようだ。
「昨日のナイトメアは大物だったらしいじゃないか。僕と織莉子がいればもっと簡単に片付けられたに違いない」
「キリカ、なんで私を省くのかしら」
織莉子先輩ラブな呉キリカ先輩がその豊満な胸を張ってなぜか自慢してくる。この人達は織莉子さんを除いて人を煽らないと我慢ならないのだろうか。
困ったように織莉子さんは笑い、
「暁美さん、チームは異なるけれど同じく街を守る魔法少女としてこれからよろしくね」
そう言って彼女は暁美さんに手を差し伸べる。少しばかり暁美さんは躊躇ったが、それでも善意には善意で返せる人間だ、彼女達は握手をしお互いの誤解を解いた。
ALTの先生は一人、陽の当たる校庭を歩く。校庭を突っ切れば、我が校自慢の花壇が彼に見えるだろう。そしてそれを整備し育てるのは、用務員の老人。
背の高い老人は麦わら帽子を着こなし、義足を器用に操りながら赤い花々に水を遣っている。古めかしい如雨露から出る水道水は、しかし花々にとっては栄養そのもの。今日も光合成をし、その美しさを磨くのだ。
汗水垂らし、そんな花々を世話する用務員の老人に先生は話しかける。
「今日もお疲れ様です」
そう言って先生は老人に水の入ったボトルを差し出す。老人は振り返ると、にっこりと笑いボトルを手にした。
「あぁ、やぁすまない。有り難く戴くよ」
老人は軍手を脱いでボトルを手にすると、震える手でキャップを開けて水を飲む。春と言えども、昼の日差しは暑いものだ。ましてや老人ならば尚更脱水には気をつけなければならない。
先生は老人の横のレンガに腰かけると彼に問う。
「お花は順調に育っていますかな?」
その問いに、老人はにこやかに答えた。
「もちろんだとも。これくらいしか私にできる事はないのだからね……まさか狩る側が、育てる側になるとは思わなかったが」
━━いや、助言者として若者を育てたからこそこの役割を与えられたのか。老人は聞こえぬくらいの小声で呟いた。先生は首を傾げ、聞こえなかった言葉について再度問うが老人は笑って首を振った。
それよりも、と。老人は話を続ける。
「転校生が来たと聞いたが」
「ええ。話を聞いた時は病気がちで内向的だと聞いて心配しましたが、杞憂だったようです。今もうまく生徒達と溶け込めています」
そうか、と老人が言ってしばしの静寂が訪れる。その間にも校庭では少年少女達がそれぞれ昼休みを満喫していた。サッカーをする者、鬼ごっこをする者、沢山いるが。その全てが先生にとっては微笑ましいものだ。
「数日前にALTとして日本に赴任し、この学校に来た当初は私のような人間が本当に子供たちに教鞭を振るえるか不安でしたが……今となっては、良かったと思います。それも貴方に相談したおかげだ」
流暢な英語で彼は老人に語った。
「そうかね。私が居らずとも、君は良き教育者となっていたに違いないが」
「不安に駆られた私に、貴方が君なら出来ると仰ってくれたからです。感謝してもしきれません」
若者に礼を言われ、老人はくつくつと笑った。しばらくそうしていただろう。気がつけば時間は過ぎて行き、午後の授業が近くなる。
先生は立ち上がると老人に別れを告げる。
「貴重な時間をお取りしてすみません」
「良いのだよ。君も、励み給えよ」
何がとは言わない。しかし先生は自分の解釈に当て嵌め、頭を下げる。
「では、ミスターゲールマン」
「あぁ。また来なさい、ルドウイーク先生」
そうして教員や用務員である者達は奇妙な邂逅をしていく。それが運命に導かれたものだとも思わず。ただただ日常は過ぎて行く。
感想でも頂きましたが、原作ならタツヤはまだ赤ん坊です。ここではまどかの双子の弟としてスピードワゴン並みに解説していきますのでご容赦ください。
秘匿された謎については解明されますのでゆるして。
どこまで書いたら良いかアンケート取ります。反映するかしないかは気分です(横暴)
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アニメ本編のみ。あともうちょい
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叛逆。展開は変えるかもしれません
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叛逆後も。クオリティ低し(断言)