それは夢を見る仁美からすれば、悪夢ではなかったのだろう。人とはストレスを解消するために悪夢をみるものだ。そしてストレスが悪夢を生み出す引き金ならば、生きる上で無くなるはずもない。つまり、誰かが言っていたように悪夢は巡り終わらぬものなのだ。
故に。仁美は今頃心地良く涙で枕を濡らしながら眠りについているのだろう。彼女を放って血に酔う彼氏に不満を抱きつつ、しかし見放すはずもない。仁美とはそういう少女だ。真、仁美は健気である。こうして悪夢に乗じてぶつけるくらいでしか不満を表せないのだから。それは不器用とも言えるだろう。
変身を最後まで待ってくれていた仁美の悪夢は口からバイオリンを召喚するとそれを勢いよく振るった。刹那、衝撃波が迫ってくる。
いくら変身シーンを挟む多感な時期の魔法少女と言えども戦いが始まれば機敏に対応してみせた。マミを筆頭に衝撃波を避ければ反撃に転じる。
「まどか!」
ほむらが彼女の名を呼べば、まどかは弓を手にほむらの手を取る。瞬間、マミが私達ピュエラマギホーリーセプテッドの面々をリボンで繋いだ。
そして時は止まる。ほむらの機械仕掛けの円盾が作動し、私達以外はすべて止まってしまった。これは彼女の固有魔法である時間停止だ。そんな強力な魔法を得るとは、一体彼女は何を願って魔法少女となったのだろう。
「いっくよ〜っ!」
まどかが弓を引き絞ってから開放すると、矢の嵐が悪夢に迫り止まった。動き出せばあの矢は悪夢を尽く貫くだろう。私もマミと手を繋ぎ、彼女と頷き合う。まどかとほむらが相棒ならばマミとのペアは私なのだ。
マミは大きな射出台を召喚し、私はその上に跨った。
「しっかり掴まって!ティロ、スパラーレっ!」
それはイタリア語で射出。私はボウガンの矢の如く勢い良く飛んでいく。凄まじいGが掛かり、しかし魔法少女であるならば耐えられないはずもない。
飛びながら両手に長剣を召喚すると、私は回転しながら動かぬ悪夢へと迫る。そしてすれ違いざまにぬいぐるみのような悪夢を何度も斬りつけた。だが滅するには至らない。
「む、硬いな」
流石仁美が産み出しただけはある。あの子は強く、賢い魔法少女だ。悪夢にもそれは反映されているのだろう。
「リリース!」
ほむらが唱えた瞬間、時間が動き出す。ズタズタにされた悪夢は何が起きたか理解する前に数多の矢に射抜かれた。どんどんボロボロになりながらもまだ悪夢は耐えているようだ。
「暁美ほむらの時止めだァー!誰も彼女の時間の中では静止する!世界を支配する唯一無二の力だ!」
時が動き出すのと同時にやかましいタツヤの解説も再開された。私が着地すると、さやかと杏子も動き出す。それを阻止せんと悪夢はバイオリンを投げ捨てチェーンソーを召喚し、地面へと突き立てた。瞬間、地面が抉れさやか達を妨害する。
「おいおい、ナイトメアまでチェーンソー使うのかよ!」
「こりゃ相当怒ってるね!」
地面から離れ攻撃を回避する二人。そこに割って入るのは今まで蚊帳の外だった先輩方。織莉子先輩は水晶からレーザーを射出すると悪夢の注意を引いた。無機質な瞳が織莉子先輩を睨む……が。
悪夢が何かをする前に迫る獣がある。愛に塗れたキリカ先輩だ。
「そんな目で織莉子を見るなぁ!」
獰猛に悪夢を睨むキリカ先輩が固有魔法の速度低下を掛けながら鉤爪を展開する。両腕からまるでアメコミのヒーローばりに伸びた鉤爪で、ノロマの悪夢を貫くと一気に地面へと串刺しにしてみせた。
その真上ではさやかが飛び上がり━━
「ちょっとは頭を冷やしなよ仁美!」
慣れた手つきで剣を召喚し、キリカ先輩が飛び退くとそれを放つ。放たれた剣は、しかし悪夢を貫くことはなかった。悪夢は既の所でそれらを避け、状況が悪いと見たのか一目散に逃げていく。
それを阻むのは杖を構えた星野先輩。彼女は杖を高らかに掲げると不敵に笑った。
「私の美技に酔いしれなさい」
自分で言ってて恥ずかしくないのだろうか。しかし彼女の魔法は凄まじい。頭上に黒いモヤ……否、宇宙を召喚する。それはどこまでも神秘的で、しかし恐ろしい高次元の暗黒のようにも見えた。
ズキリと私の頭が痛くなる。同時に何かが流れ込んでくるような錯覚に陥った。あの魔法を見るといつも頭痛がする。宇宙は嫌いではないのだが、なぜだろうか。あの深き闇に私の本能が警鐘を鳴らしているのだろうか。それは分からない。
「私の呼びかけは失敗ばかりね」
そう言う星野先輩の宇宙から光が降り注ぐ。それはレーザーにも似た、しかし神秘の塊である流星なのだという。遍くそれらは悪夢を執拗に狙い、ぬいぐるみの身体を撃ち抜いていく。だが威力が高すぎる。あれでは突き抜けるだけで止めることはできないだろう。
「さぁ穢れた血の聖女さん。貴女の出番よ」
「ああ?あたしの事言ってんのか?まぁいいや」
逃げ続けるナイトメアの先にいるのは風見鶏の上でお菓子を貪る杏子。彼女は手元のお菓子を口に押し込むとニヤリと笑って両手を組む。
「そうらアミコミケッカイ!」
杏子の槍から鎖が伸び続け、それらはいつのまにか悪夢を飲み込む蜘蛛の巣へと変化していた。鎖が悪夢を絡めとると、最早脱出するほど力を有していない悪夢はジタバタするのみで逃れることはできない。そして火の力を有する結界は、暴れれば暴れるほどに悪夢を焼いていくだろう。
好機。あの悪夢は無力化されたも同然だ。マミは的確にその事を見抜き、皆に指示する。
「みんな、仕上げよ!」
私達ピュエラマギホーリーセプテッドは悪夢を囲み、伸ばされた鎖を掴む。そうしてマミの肩に乗っていたベベが悪夢へと取り付けば。私達の狩りは遊戯へと変わる。それは少女達の戯れ。そして制裁の裁判でもある。丸いテーブルを囲んだ私達。その中央には料理される悪夢と、悍しく変化した調理師のべべ。
にこやかに、しかし容赦無く。料理は進む。
ケーキ、ケーキ、まぁるいケーキ。
私達は歌い出す。ほむらはこの調理方法は知らないようで、困惑しながらも合わせるように歌っているのが可愛くて印象的だ。
まぁるいケーキはだぁれ?
ケーキはさやか?
ベベの問いに、さやかはリズム良く答える。
「ちーがーう!私はラズベリー!まぁるいケーキは赤い!ケーキは杏子?」
振られた杏子は八重歯を覗かせながら落ち着いて答える。
「ちーがーう。あたしは林檎。まぁるいケーキはベベが好き。ケーキはマミ?」
ベベがマミに牙を向ける。色合いからチーズを連想してしまうのだろうか。ベベはチーズ好きだからね。
「ちーがーう。私はチーズ、まぁるいケーキはモノクロ。ケーキはリリィさん?」
本当にチーズだった、リズム良く足を踏むマミが私を指差す。私は左右に揺れながら歌う。
「違うわね。私は桑の実」
花言葉はなんだったか。そのまま揺れ、私はオドオドとしているほむらを見る。
「まぁるいケーキは転がる。ケーキはほむら?」
慌てた様子でほむらは否定した。
「ちが、います!私はかぼちゃ!」
なぜかぼちゃなのだろうか。パンプキンはハロウィンには欠かせなく、そして甘いが果物としては連想し辛い。となればきっと、ほむらは自身の事を鈍臭くて美しくないと考えているに違いない。自己評価は低いようだからね。
「まぁるいケーキは甘いです!ケーキはまどか?」
「ちーがーう!」
可愛い振り付けでまどかは否定した。彼女は魔法少女になるとややお茶目になる。普段はしないような振る舞いを見せたり、自信に溢れたり。
やはり彼女は魔法少女になって変わった。それは良い変化だ。より一層美しく、可憐で。ほむらが惚れるのも分かる。
「私はメロン!メロンが割れたら甘い夢っ」
今夜のお夢は苦い夢。お皿の上には猫の夢。まるまるふとってめしあがれ━━
悪夢を触媒としてケーキが出来上がる。それを食すのは調理師のべべ。お口を大きく開けた黒い異形は、頂上からケーキを平らげてみせた。そうして悪夢の後に残されたのは仁美の遺志。
さやかはそれを愛おしそうに抱きしめると、宇宙へと放り投げた。漂う仁美を抱擁できるのはただ一人しかいないだろう。
そして、いつの時代もヒーローとは遅れてやってくるものだ。
黒い影が、少女達の戯れにやって来る。夢が醒め、現実へと舞い戻りし血の権化。夜の間に漂う狩りの夢。獣を狩りし人の業。上条恭介がようやく現れたのだ。
恭介は仁美の遺志を腕に抱くと、マスクで隠した表情を和らげた。それは悪夢狩りの最中では決して見せぬ彼の心。そして遺志は彼に寄り添う。
「志筑さん、ごめんね。ここまで君を悩ませてるなんて」
乙女心に疎い恭介が彼女を抱きしめれば、それは朝日の訪れと共に天高く登っていく。きっと今日の仁美の朝の目覚めは心地良いものだろうさ。
私達はそれを、ただ静かに眺めていた。刹那、恭介とさやかの視線が合う。少年は何か少女に言いたげにし、そのまま顔を逸らして夢へと帰還した。きっと今はまだその時ではないのだろう。これは本人達の問題だ。私が何かを知り得るものはない。
やったね、とまどかが嬉しそうに言えば、タツヤの腕を離れたキュゥべぇが頷いた。
「お疲れ様、リリィさん」
明ける宇宙を眺める私の横へ、マミが並ぶ。そっと、その手を握った。良い夜明けだろう。記憶の彼方にある……絶望と疲労、そして酩酊からの解放とはまた違う。ただ希望だけがここにはある。ゼロからのスタートではなく、プラスからの始まり。それを愛しき者と迎えられるのは素晴らしい事ではないだろうか。
「見滝原の夜明けはやはり美しい」
言葉にすれば、マミは優しく微笑んだ。そして、星の聖歌隊はそれを遠く眺めるだけ。星野先輩はいつになく無感情な瞳を私に向けると呟いた。
「それで良い。貴女が受け入れているのなら。でも目醒めの時は……辛いものよ」
人知れず彼女達は去り、後に残された私達はしばし談笑する。
「いや〜私達が力を合わせればチョロいもんよね!」
「こらこら、油断は禁物よ?今回だってちょっとヒヤッとさせられたわ」
さやかの軽口をマミが咎める。それを止めるのはやはり杏子。
「そういうお説教はごめんだね。まー、ケーキと紅茶があったら別だけど?」
「コラ、調子いいこと言ってんじゃないの」
さやかのツッコミに杏子は悪戯っ子のように微笑んだ。だがそれはいいのかも知れない。今日はもう、マミとイチャつく気分でもない。皆で楽しむべきだ。
「もう、仕方ないわね……みんな、うちに寄ってく?」
マミがウィンク混じりに提案すれば皆が頷いた。それは私達魔法少女の平穏な一ページ。ありふれて、そして幸せな風景。
マミが歩き出し、皆がそれに追従していく。さやかと杏子が無邪気にお喋りし、まどかがそれを見て笑い、タツヤがキュゥべぇと意気投合し、マミが私に手招きをして。なんと充実した日常か。そうして新しく加わったほむらと、今はぐっすりと寝ているであろう仁美がいれば恐れなどない。ナイトメアが出ようとも、私達の行く手を阻むものはないのだ。星野先輩達とも何だかんだうまくやっている。
私は宇宙を見上げた。若い太陽の温もりと吹き抜ける風が心地良い。もうすぐ宇宙全体が明るくなるのだ━━
だから奴らに呪いの声を 赤子の赤子 ずっと先の赤子まで
けれど けれどね 悪夢は巡り そして終わらないものだろう?
気持ち悪い……選ばれてるの
秘密は甘いものだ
君も何かにのまれたか
青ざめた血を求めよ 狩りを全うするために
「……ッ!」
何かが私の頭を過ぎる。それは言葉。誰かの声。それは啓蒙。しかし私はそれを知るはずもない。まるで宇宙から何かの電波を受信したような感覚だった。言い知れぬ悪寒に身を包み、一人震えた。
頭に何かが蠢く。まるでそれが当たり前であるような感覚と、人間としての私が嫌悪する感情が鬩ぎ合うのだ。そも、啓蒙とはなんだ?無知に智を与え導く事?宇宙の真理を脳の瞳に齎し探求する事?そのどちらも正しい。いや否、狩りを全うし人を超える事。それこそが我ら狩人の━━
今の思考は、なんだ。考える前にスラスラと言葉が頭にめぐる。まるで沢山の自分が議論しているかのように。それは私であり私ではない。私とはなんだ?魔法少女である私とは?そもそも、いつから私は魔法少女になったのだ?記憶が無い。すべてが都合良く、しかし違和感の無いように思い出がある。一体何が真実なのだ?私の瞳が語る。私の役割はなんだ?いやそれよりも、戦いとは━━
こんなにも生温いものだったか。狩りとは、血に塗れ、酷く、そして酔い痴れるものだろう?
「白百合、さん?」
不意に。ほむらが私の肩を叩いた。煌く赤い瞳で彼女を眺めれば、何かに怯えたように。しかしいつものほむらとは明確に違う何かを抱いた様子で私を見ている。怯えでは無い。恐れだ。何かに気がついてしまった事による恐れ。きっとそれは気がついてはいけないもの。脳で何かが囁く。それは私の疑問を解決するための糸口にもなるのだと。
最早私の心理に、この脳に囁く何かを疑う懐疑心は存在しなかった。まるでそれが昔からあったように。実に馴染んでいる。
「ああ、ほむら。さぁ行こうか。マミが待ってるよ」
落ち着いて私はほむらに告げる。この疑問が何にせよ、私は解決しなければならない。例え何かを変えてしまう事になったとしても……なぜだろう。しかしやらねばなるまい。
ここ数日、ほむらの様子が優れない。まどか達といる時はいつも通りの彼女を演じているが、人一倍気にかけていれば私にもわかるものだ。やはりあの夜明けに、彼女は何かを啓蒙されたのだろう。私のように。それが何だか分からぬまま、ただ漠然と疑問を与えられた。
きっと不安で苛ついて、しかしそれを他人に告げるには彼女は優しすぎるから。ならば私から接触すれば良い。
昼休み、私達はいつものように昼食を取る。やはりほむらは優れぬ様子を見せている。大好きなまどかから唐揚げを貰っても、笑顔を見せぬ。ただ友達は楽しそうに時間を過ごし。私も表面上はマミ達と仲良く過ごし。だが、何かが足りぬ。もっと野性的な何かが。
それはやはり、狩りなのだろうか。
「すまない、先生に呼ばれていたんだ。お先に失礼するよ」
「あら、そうなの?残念ね……また下校の時に会いましょう?リリィさん」
残念がるマミの言葉に頷き、私は屋上を一人後にする。嘘に決まっている。狩り、青ざめた血。これらの言葉を知っていそうな奴を私は知っている。上条恭介だ。きっと今頃タツヤ達と教室にいるはずだ。
そうして廊下を歩いていると。珍しく人気の無い廊下の先に、その人はいた。
「リリィ」
ライバルである魔法少女、星野先輩だ。彼女はいつものようにダウナーなグリーンの瞳で私を見据えている。だが今は彼女に用はない。いつものように絡まれれば面倒だ。私も先輩のような綺麗な少女を相手にしたいのは山々だが。
会釈だけして私は彼女の横を通り過ぎようとする。しかし唐突に、彼女の細い指が私の腕を掴んだ。苛ついて彼女の顔見ようとして。
私は彼女の瞳に宿る宇宙に見えた。どこまでも美しく、深く、そして神秘に満ちた宇宙を。瞳に宿した宇宙はまさしく高次元暗黒の底。彼女はその瞳で私をじっと眺めた。思わず顔を逸らしてしまう。
「本当にいいの?」
「何の、事です?」
質問の意図に気づいている私がいる。つまり、この幸せを終わらせてもいいのかと。いつもの高飛車クールぶったお嬢様ではない。ここにいる星野先輩は、神秘そのものだった。
彼女はしばらく私を眺め、口を開いた。
「青ざめた血」
ハッと、私は先輩の瞳を見返す。
「やはり、いくら深淵の頂点であろうとも授かった啓蒙は打ち消せないわね」
それは深く、しかし暖かな誘惑。彼女の瞳に魅入られる。星野先輩は私の両頬をその手で包む。そしてクールであるその貌を柔らかく微笑ませ。
「お帰りなさい、リリィ」
心の底からの歓迎に、私は身を震えさせた。そんな私を、彼女は優しく抱擁する。獣とは違う、上位の何か。その神秘に溢れた身体で私を包んだ。
そして何かを言おうとした私の唇を、唇で塞ぐ。それはマミに対する背信行為。絶対にあってはならぬ事だが。なぜだろう、とても懐かしくて温かい。まるでこれを求めていたように。
「いいの。今はただ、私を受け入れれば」
唇を離せば、先輩は優しく諭した。
「愛しいリリィ。この先は自ら辿り着かなくてはならない残酷な真実。私ができるのはここまでなのよ。大丈夫、私はね、あの祭壇で貴女に狩殺された時から貴女に夢中なのよ」
言っている意味はわからない。だが納得している自分がいて、気味が悪いのに。それでも何故だか彼女を求めようとしている。
「……今はまだ、先輩が何を言っているのかは分かりませんが」
彼女の宇宙を覗きながら、私は口を開く。脳の何かは蠢き、瞳が開いている。
「例えどんな答えを得ようとも、私は私です」
「それが、聞きたかったの」
そう言うと星野先輩は私から離れる。そして優しい微笑みをずっと私に向けたまま。対して私は強い意志を持った貌でその場を後にした。尚更、私は恭介に聞かねばなるまい。
勢い良く扉を開けたせいで教室中のクラスメイトが私を唖然とした様子で眺めた。それらを一切気にせずに、唯一いつものように無表情で私に歯向かうような目を向ける恭介の下へと向かう。昼食を終えて恭介と談笑していたタツヤ達は空気を読んだようにそそっとその場を後にし、残るは私と恭介だけ。
私は座る恭介を見下ろすと、しばらくジッと彼の瞳と目を合わせた。
「どうしたんだい、白百合さん」
そう尋ねる恭介は、しかしまるで私が来るのを予想していたように冷静だ。
「聞きたい事がある」
「そうかな。僕にはそうは思えない。君はいつも、“答えを知っていた”だろう?」
やはりコイツは何かを知っている。ならば尚更無視はできぬ。何としてでも聞き出さなくてはならないだろう。
「やはり貴公、何かを知っているな。私の知らぬ何かを」
「いいや、違うな」
恭介は否定し、立ち上がり。先ほどまでの端正で冷静な顔立ちを獰猛に歪めた。憎しみと期待と、それ以上の何かを求めた顔で。
「お前は忘れているだけだ」
私達はしばらく睨み合っていた。何が起きているのか分からぬクラスメイト達は私たちが喧嘩したのだと騒ぎ立てていたがそれを無視し。
しかし恭介は突然冷静になって座る。ふぅっとリラックスしたように息を吐き、仁美とさやかが惚れた笑みで言うのだ。
「放課後、暁美さんと話してみるといいよ」
「ほむらと?」
「きっと彼女も、君と話したいと思っているはずだからね。……君も分かってるんだろう?」
ニヤリと、やはり彼は獰猛な笑みを見せる。彼から直接答えてはくれないようだ。ならば良いと私は言い放ち、その場を後にする。クラスは平静を取り戻し、なんて事はないいつも通りの騒がしさを取り戻した。
とにかく、放課後まで待とう。恭介が時期を示したのには意味があるはずだ。
ようやくまともな戦いになるぞTKGWくん……
どこまで書いたら良いかアンケート取ります。反映するかしないかは気分です(横暴)
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アニメ本編のみ。あともうちょい
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叛逆。展開は変えるかもしれません
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叛逆後も。クオリティ低し(断言)