魔法少女ぶらぼ☆マギカ   作:Ciels

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デモンズソウルリメイクステージ構成変わらないのか…


恋慕

 

 

 

 

 夜は必ずやってくるものだ。かつて火の時代が終わって闇の時代が訪れたように、暗い時間というものが巡るのは普遍的な事実。それは逃れようもない。

 見滝原の夜はとても幻想的である。市街中心はビルと車の光が眩く輝き、深夜であっても眠る事はない。対して工場地帯ではそれよりも優しく街頭や一部の光が灯り、眩さに疲れた心を癒してくれるだろう。

 

 それでも拭えぬ何かがあるのであれば、公園に行くと良い。あそこは闇。街頭はあるも本来ならば昼間にこそ役目を持つその場所に、役割以外のものがあるはずもなし。日陰者は皆、そこに集う。私のように。狩人など、夜でなければ価値などないのだから。

 

 一人、私は滑り台の上に魔法少女姿で座り宇宙を仰ぐ。星々は街の光のせいで見えないが、それでも良い。視界のための瞳では無く脳の瞳で見れば良い。そこにはほら、あんなに美しい高次元暗黒が広がっているではないか。これこそ神秘。啓智を齎す悪夢の根源。狩人が狩るべき対象が潜む深淵であり、しかし上位者が求めるべき深み。

 今でも哀れなる使者達は花園で交信を続けているのだろうか。忌むべき失敗作達は時計塔で宇宙に向かおうとしているのだろうか。此度の旅路が終わればそれを確かめに向かうのもありかもしれない。

 

「だが、その前に……互いにやるべき事があるようだ」

 

 暗闇から現れた客人を見下ろす。ゆっくりと、一歩一歩を踏みしめながらこちらへやって来る少女。剥き出しの肩を覆うようにマントを羽織り、比較的露出のある衣装はしかし彼女が着ればしっくりと魔女狩りの衣装として当て嵌まる。

 手には鞘を携え、水底のような瞳は同じく青々しい髪の間から私を捉えていた。

 

「思い出さなくても良いことってあるよね」

 

 美樹さやかは鞘を眼前に突き出すと、ゆっくりとその刀身を抜いて見せた。そこに新米魔法少女であった姿は無い。百戦錬磨の円環の理の右腕。女神の守護者。円環の理へと昇華された魔法少女達から人魚姫と称される剣士がいるのみ。

 私は立ち上がると、左腰の鞘に手をかけた。そしていつものように冷ややかに笑い、問いかける。

 

「そうかな?しかし目醒めとは迎えなくてはならないものだ。それが優しければ優しい程に、人はその深みに抗えなくなる。……君もそうなるのだろう?」

 

 さやかは左腰のホルダーに鞘を戻すと、両手でしっかりと剣を握り構える。

 

「随分と物騒な目醒め方もあるもんだね。家族を皆殺しにするなんて」

 

「いいや。死ぬはずもないさ。ただ、目醒めただけだ……彼らもまた、人ならざる者達なのだからね」

 

 

 

 

 

恋慕の魔女

Oktavia Von Seckendorff

 

 

 

 

 

 

 刹那、さやかが動く。狩人の動体視力を持ってしてもその動きを追うのに精一杯な程に速い。私が飛び上がった瞬間、今まで丁度良い物見台として活用していた滑り台がバラバラになる。あれだけの質量を一度に解体するとは、やはり人の成長とは素晴らしい。例えそれが死んでしまったものだとしても。

 遠く着地し、私は剣の柄に手を掛ける。同時にさやかが身体をうねらせながら突撃してきた。それも直線的では無くジグザグに、撹乱させるように。

 

「気付けば刃は飛んでいた」

 

 瞬間的に呟くと同時にさやかは鞘に剣を納める。何かが来ると狩人としての感が警鐘を鳴らし、宇宙からの啓蒙がその映像を幻視させた。

 まだ剣が届かない距離、しかしさやかは回転しながら剣を振るう。そして飛んでくる幻の刃。剣を極めし彼女の刃が文字通り飛んできたのだ。私はそれをステップで前に躱すと居合の要領で剣を振るう。その一撃は魔法少女として長きを彷徨い、狩人として成熟させた一閃。さやかはそれを容易く弾いて見せた。

 

「紫電、一閃ッ!」

 

 一撃を弾かれ無防備な私の腹部を斬り裂くべく、さやかは対抗するように居合斬りをかます。それは名の通り正しく稲妻の如き剣筋。

 だがそれしきの攻撃で殺される程、私は有象無象ではない。ブーツの裏で強引に彼女の剣を押さえると、それを踏み台にして跳躍する。そして回転飛びしながら剣を二回振るい、さやかはそれを全て弾いて見せる。弾かれながら、私は左腕の暗器でもある弩をさやかに向けて放った。距離などほとんどない。

 

「霧雨」

 

 必殺の一矢は、しかしさやかの身体が蒸気のように霧散してしまったことで無価値となる。彼女だったはずの水蒸気は瞬間的に着地した私の背後へと回り込み、少女を形作った。

 なるほど、今のは霧となり攻撃を無力化し、相手の背後に回る秘儀なのか。瞬時にそんな事を思いつくとは、新米魔法少女姿を知っている私からすれば感慨深いな。

 

「ぬぅあッ!」

 

 怒るようにさやかが唸り、目にも留まらぬ速度で剣を振るう。憤怒の舞━━そう名付けるのが良い程に怒りが篭る連撃。そう、連撃だ。何度も重たい一撃を彼女は喰らわせて来る。私はそれを剣で弾くも、腕の疲労は蓄積される一方だ。

 しかしそれよりも先に、剣が折れそう。この剣は魔力を帯びているだけで他に特別な事はない。その昔、敵対者から奪ったり買ったりした一般的な剣でしかないのだから。

 

 ステップで彼女から距離を取る。だが彼女が態勢を整えるような時間を与えてくれるはずもなし。

 さやかは羽織っていたマントをこちらに飛ばす。嫌な目隠しだ。完全に彼女の姿が消える。だがこういう場合、上から来るものだ。

 

「ふんっ!」

 

 案の定さやかが上空から仕掛けて来る。落下しながら、その剣先は私の胸を捉えていた。

 迎撃のために瞬時に魔力を剣に込め、振るう。迸る魔力は微弱ながらも、ビームのように剣から飛び出てリーチを伸ばす。だが本職の剣士であるさやかがそれに対応しないはずもない。あっさりと魔力の長剣を弾くと素手の左手を私の首元に伸ばした。

 

「ぐっ!」

 

 そしてそのまま地面に押し倒され馬乗りにされる。私が何かをする前に、さやかは私の胸に剣を突き立てた。

 

「案外脆いね、あんた」

 

 吐血する私を見て、さやかが冷酷なまでに無表情のまま呟く。流石円環の理という規格外の神の精鋭として戦うだけある。認めよう、此度の私は君に負けた。

 だが、それだけだ。私は口を歪ませ狂気のままに笑う。何かを感じ取ったのか、さやかは私から離れた。それと同時に流れ出た血が刃のように周囲を舞う。まるで意志を持ったように。アサルトアーマー、私はそう呼んでいる。時計塔のマリアのように、血は私の攻撃手段となる。

 

 神秘が溢れる。今の私に流れるのは、魔法少女としてのリリィの血ではない。青ざめた月、その上位者の血。その神秘は私を中へと浮かすと月の光を浴びせるのだ。

 

「堪らぬな……やはり狩りというものは血を滾らせる」

 

 流れ出た血が、私に集まる。それは傷口だけでなく、私の身体を全て覆い。

 

「そして狩りとは、やはり狩装束でなければなるまいさ」

 

 血が弾け、真に私が産まれる。それは長く馴染ませた狩装束。偏愛を感じる程に作り込まれた人形の帽子と服。そして時計塔のマリアのズボンに手袋。それらを身につけ、ようやく私は狩人として蘇ったのだ。

 右手に落葉を。左手にエヴェリンを。やはりこれが一番馴染む。カランと地面に落ちた剣は、やはり折れてしまった。所詮は贋作、しかし使い勝手は良いものだった。あの剣の名誉のために言うならば、ヤーナムの狩には似合わぬが決して駄作ではなかったよ。

 

「あっけないと思ったら、遊んでたって事?」

 

 剣を構えるさやかが睨む。

 

「肩慣らしさ。こういう戦いは久しぶりだろう?さて……じゃあ、やろうか」

 

 加速する。決してヤーナムの古狩人如きができるようなものじゃない。それは瞬間移動に近い。連続でジグザグに、タイミングをずらしながら加速すればさやかは防御するように剣を垂直に構えた。

 加速の終わりに銃撃を挟む。さやかが弾丸を弾くのと同時に落葉を分離させ、加速回転斬りを叩き込む。

 それは体幹削りの極致。青い魔法少女は弾きながらも後退りする。まるで駒のような連続攻撃は反撃の余地すらない。

 

「……っ!」

 

 疲弊していくさやかは、強引に私の剣を押し込んだ。そしてそのまま突き刺しを見舞って来る。それを完全に見切っていた。

 

「見えたッ!」

 

 笑い、私は突き出された剣を落葉で受け流し踏みつける。顔を硬らせたさやかの腹に、左手の短刀落葉を突き刺した。苦痛に顔を歪めるさやかだったが、すぐ様痛覚を遮断し剥き出しの肩でタックルしてくる。

 私が押された隙にさやかは距離を取り、彼女の魔法で傷を癒す。

 

「因果なものだ。私が知る限り君の祈りは回復には繋がらないものだが、まさか多次元の君の願いが今の君の魔法を修正しているとはね」

 

 彼女の回復力は異常だが、さして問題にもならない。

 

「あんたの輸血だって相当めちゃくちゃでしょ!」

 

 言い終わり、私達は再度互いに向けて突撃を敢行する。だがそれを邪魔するものがいた。

 

 

 

 私とさやかの間に割って入ったその男は、月光を地面に突き刺し溢れる魔力を放出させた。青白い魔力は私達を吹き飛ばすくらい容易い。何せあの魔力は神秘の原初。裏切り者の竜が齎したものなのだから。

 私達は距離を取らされ、着地すると互いに邪魔者を見据えた。彼は突き刺した月光を引き抜き、刀身の汚れを払う。

 

 

「恭介……」

 

 

 上条恭介。私のかつての弟子が、間に陣取る。

 

「ようやっと使命を思い出したか、上位者」

 

 冷酷に私を睨む彼の瞳は、しかし待ちわびていたと言わんばかりに血走っていた。私は笑い、口元を隠す彼に言う。

 

「お陰様でね。しかし参ったよ、まさか我が父が自らの使命を忘れて家族ごっことは……ふふ、だが案外悪くなかった」

 

「恭介、そこをどいて」

 

 感傷に浸る私とは対照的に、さやかは焦るように恭介に指示した。だが恭介は退く事なく、たださやかと向き合う。まるで壁になるように。

 

「さやか」

 

 そこにいるのは狩人ではない。ただ少女を想い、取り返そうとする思春期の少年。

 

「一緒に帰ろう。志筑さんと三人で……本当の見滝原に」

 

 さやかの顔が明確に歪んだ。恋と使命の間で彼女は揺れ動いた。それでも。

 

「ごめん、恭介」

 

 拒絶。さやかは自らに剣を突き立てると、魔女を産み出す。それは恋慕の魔女。彼女の魂の姿。それは手にした剣を大きく振り上げると、恭介目掛けて一気に振り下ろした。

 容易く恭介は月光でそれを受け止めれば、衝撃波で地面の砂が舞い上がる。

 

「あんたは仁美を幸せにしてあげれば良いんだよ」

 

 哀れな人魚の声が響く。砂塵が晴れれば既にさやかと魔女の姿はなく。残されたのは私達二人だけ。

 落葉を夢にしまい、恭介の下へ歩く。彼はずっと、さやかがいた場所を眺めている。

 

「今すぐ取り戻す必要はない。時期を待つのだ、恭介」

 

 そう、助言者として彼に諭す。

 

「やはり、お前が正しかったのだな」

 

 振り返る恭介の顔は、どこまでも少年で、悲しみに歪んでいた。

 

「無知は悪ではないさ、恭介。ただ、まぁ。そうだね、私のやり方も多少強引だった事は認めよう。それに関してはすまない。結果として君達に誤解を産み、こんな結末になっただけではなく私自身も円環の理の傀儡と化していた」

 

 それは反省すべき点だ。やはりまともな会話がままならないヤーナムで悠久の時を過ごすとコミュ障と化すな。

 

「円環の理は今目的を見失っている。くるみ割りの魔女に心を許しすぎたのだ。そしてこれは好機とも言えるだろう」

 

「だろうね。力と記憶を取り戻す前に、どうにか彼女を抑えなければなるまいよ」

 

 私の言葉に恭介は力強く頷いた。

 

「やぁ、白百合マリア。いや、リリィなのかな?この場合どっちで呼べば良いんだい?紛らわしい事この上ないよまったく」

 

 不意に、恭介の肩に使者のトップハットを被ったキュゥべぇが乗る。どこから現れたのだ。

 

「……君は、そうか。なぎさと一緒にいたキュゥべぇか。自我を持ったのだな。良い事だ」

 

「どうかな。今になって少し後悔しているよ。もし自我を持たなければ今でも僕は一個体として何も考えずに業務をこなしていれば良かっただけだしね。ま、いっか。君に一つ報告しなくちゃならないことがあるんだ、白百合マリア」

 

 私は首を傾げる。

 

「母星の同胞達が君の目醒めに気がついた。まぁあれだけ派手な事をすれば、誰だって気付くよね」

 

「ふん……穢れた獣共め。干渉してくるだろうな」

 

 心底憎いといった様子で恭介が呟く。ならば我々も動き出さねばなるまい。こうやってさやかが動いてきた以上、他の円環の理の使者達が襲ってくる可能性もある。一先ずは、そうだね。愛しの上位者とコンタクトしてみるかな。

 

 

どこまで書いたら良いかアンケート取ります。反映するかしないかは気分です(横暴)

  • アニメ本編のみ。あともうちょい
  • 叛逆。展開は変えるかもしれません
  • 叛逆後も。クオリティ低し(断言)
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